工事現場見学会(11月例会)報告


2024年11月27日、前日の風雨が嘘のような晴天のもと、2024年度渥美奨学生たちは、神奈川県山北町で鹿島建設横浜支店が施工中の新東名高速道路河内川橋(こうちがわばし)の工事現場を見学しました。この見学会には渥美直紀理事長や今西淳子常務理事も同行され、スーパーゼネコンが手掛ける長大アーチ橋建設工事の最前線を学ぶ貴重な一日となりました。

当日は10時に東京駅近くのバスセンターに集合し、マイクロバスで工事現場へ向かいました。途中、海老名サービスエリアで昼食・休憩を取り、13時過ぎに現場近くまで来た時に上空に架かる工事中の河内川橋を真下から見ることができました。奨学生たちは今から見学する橋を下から眺め、先ずその規模と精緻な構造に圧倒されました。

現場事務所到着後、会議室で渥美理事長から現場見学会の趣旨説明があり、続いて工事の指揮を執る鹿島建設の田中所長、南副所長から河内川橋の建設に関して概要説明を受けました。ここでは、地道な現場での取り組みと技術革新が大規模な建設事業や建設現場での安全性向上にどのように寄与しているかについて深く学びました。概要説明は、建設業界が抱える課題と、それを克服するための取り組みを実感する貴重な機会となりました。

次に、ヘルメットと安全帯を装着して実際の建設現場を見学しました。現場では工事用の仮設エレベーターを使って足場の上まで上がり、橋長771m、橋脚の最大高さ88mという巨大なアーチ橋が形づくられていく過程を間近で観察することができました。時折大きく揺れる仮設エレベーターで上がって見えた、建設現場からの景色はとても美しかった一方で、現場は常に命の危険と隣り合わせであることを強く感じました。実際に現場では「決心せよ!今日一日の無災害」「ひとつひとつ心を込めた物づくり」といった安全や品質確保を呼びかける掲示がいたるところに張られ、安全と施工品質に向けた意識徹底がなされていること、また安全マニュアルの策定を通じて安全管理が徹底されていることが見て取れました。現場で働く方々の責任感とプロフェッショナリズムに触れ、大きな感銘を受けました。

見学後は横浜に戻り、中華料理店で鹿島建設の社員の方々も交えた懇親会が開かれました。懇親会では、おいしい中華と四方山話を楽しむとともに、建設現場での具体的な課題や最先端技術の活用について、活発な意見交換が行われました。私が特に感銘を受けたのは、建設プロジェクトにおいて重要なのは、最新技術の開発と活用だけでなく、有機的な人間関係であることでした。地元住民の理解と協力が不可欠な大規模な建設プロジェクトに際して、鹿島建設の社員の方が地元の祭りへの参加などを通じて地道に地元住民との人間関係を構築し、地域社会とのつながりを深めるよう努力してきたというお話は強く印象に残りました。

工事は2016年8月に始まり、完成は2027年度を予定されているとのことですが、完成後の河内川橋を私も車で走ってみたいと思いました。引き続き、無事故・無災害で工事が完成することをお祈りしています。

文責:奥田弦希(2024年度奨学生)

当日の写真