2021年度奨学生12月例会報告(2020年度、2021年度合同)


人間同士の久しぶりの再会、この素朴な喜びに、私はいつもありがたい何かを感じる。子供がたまたま飴をもらって舐めているような、純粋な甘さがそこにある。

そこに、これまでの離別という時間の蘊蓄があるだけに、再会の喜びには建前のいらない素直さがぐっと湧いてくる。人々は相手の視線を一目で確認しあい、懇意を受け止める。ミルクミント飴のような、ほんのりした甘さが舌の上で溶けていくように。

2021年12月13日。渥美財団のスタッフのみなさん、そして同期の奨学生たちに会えたのは、実に1年ぶりのことであり、私は久しぶりにこの甘さを憶えた。

我々2020年度奨学生がコロナ禍でイベントや活動が制限されたことはやはり心残り、という財団のご好意で、今年の忘年会は、2021年度の奨学生との合同参加になった。オミクロン株の煩わしさでまだコロナ禍の終焉は見えないが、対策のしっかりされている、ホテル椿山荘東京のレストランを会場に選んでくれたことで、同期の奨学生たち、大変お世話になっていた財団の方々、そして2021年度のかわいい新ラクーンたち、合わせて約30名で懇親会・忘年会・クリスマス会を楽しむことができた。私の場合、この1年間は授業に博論執筆に1歳児の育児に卒業後準備に∞に…毎日ドタバタしてきただけに、都心に出ることも食事会の参加も実に1年ぶりだった。出席者の誰よりも気分転換、或いはストレス発散になったことが顔でバレたせいで(冗談です)報告文を執筆することになった。

一度は宿泊/食事してみたい、と言われるあのホテル椿山荘であるだけに、集合場所を見つけた瞬間、私はホール中心の巨大なクリスマスツリーに魅了された。三宅さんが、いつもの暖かい微笑みで「お久しぶり」と迎えてくれた。クリスマスツリーの美しい風景に実にふさわしいお姿だ…と内心こっそり憧れながら、船橋さんのお話の輪に加わった。

食事はイヤーエンドディナービュッフェというもので巨大(雄大というほうが適切なほど)な宴会場へ案内されたが、同期の元笑予さんや劉怡臻さんとの再会話で盛り上がってつい列の最後になったため、今西さん、そして角田さん船橋さん三宅さんのいる机がたちまちいっぱいになり入れなかった。やれやれと思っている時に石井さんがこっち側の席に座ってくれた。おかげでかつての奨学生イベントの面白い話、財団のキッチンで各国の料理をする話、食材の買い出しの話、色々楽しむことができた。

食事はむろんとても美味しかったが、途中のデザート作りの炎の演出、そして窓から夜の庭園を眺めて「東京雲海」「森のオーロラ」を見る機会にも巡り会えた。

たくさんの奨学金の援助、そしてそれに負けないほど厚いケアを我々奨学生一人ひとりにしてくれたことに、改めて、心からの感謝を申し上げたい。そして、同期奨学生、という学生同士のグループを作ってくれたことに、心からありがたく思う。財団が選んでくれた同期奨学生であるだけに、やはりみな共通の話題が多いし、話が合う。4人がすでに就職して帰国されたことは残念だったが、それ以外の人は皆出席でき、中でも具慧原さんは足の怪我にもかかわらず笑顔で杖をついて歩く姿が心に残る。

2022年はきっと、世の中がより明るくなる1年であろう。財団の方々、そして奨学生の方々にも、幸多き年となりますようにと祈りたい。

(文責:苗鳳科)