2021年度奨学生11月例会報告
11月27日土曜日午後、11月例会は「「漆の箸」を作ってみましょう!」というテーマで渥美財団ホールにて開かれた。月例会としては珍しい体験型ワークショップで、例会の前からわくわくの気持ちでいっぱいだった。
今回は、日本文化財漆協会理事を務める漆芸作家の吉野貴将先生にお越しいただき、漆とはどういうものかを紹介いただいた。ウルシ科ウルシ属の落葉樹の幹に傷を付け、ウルシの元となる樹液を採取するところから、漆の精製、加工過程や、さらに漆器作品の種類をわかりやすく説明していただいた。また、ご自身が作製する作品についても紹介していただき、実物の作品も財団のホールで展示していただいた。日常生活の些細な面によりインスパイアされ作られた作品は、どれも素晴らしい芸術品だった。
漆の基本的な知識を得たところで、次は実際、自分たちで漆の箸を作ってみた。ベースとなる箸は黒と赤の2種類あり、好きなほうを選び、その上に模様を描いて自分の箸に仕上げる、という実践コースだ。描く模様の色のサンプルを見ながら、どの色にしようか、この色とその色の組み合わせはどう見えるか、ずいぶん悩んだ。
いざ描いてみると、漆は想像以上に粘度があり、扱いづらいことがわかった。ゆっくり時間をかけ、根気よく作業する必要があった。これは、忙しい研究生活を送っている私たちにとって、気分転換になるいいチャンスではないかと感じた。「それ、かわいいね」、「大胆な色使いだね」と、近くにいる人の箸を見てみたりと、楽しい時間を過ごせた。
まもなく、世界に自分だけのオリジナルな漆の箸が出来上がった。吉野先生に皆の大事な作品を預け、乾燥させていただくという。いつ手元に届くのか、またのお楽しみだ。早く自分の箸でご飯を食べてみたい、きっとご飯も普段よりもっと美味しく感じられるのではないか、そう思った。
最後に、まだ少し先のことだが新年会について話し合いをした。コロナの時代で先が見えない状況ではあるが、楽しく新年を迎えられれば、と皆で意見を出し合い、楽しい会を目指したいと語り合った。
今回の月例会は、東京芸術大学美術研究科の藤墳真由子さんと中居瑞菜子さんにワークショップを手伝っていただいた。例会の準備をしてくださった渥美財団の方々を含む全員にこの場を借りてお礼申し上げたい。
(文責:李典)
当日の写真