2021年度奨学生5月例会報告
2021年5月15日に「子供の時に好きだった本・影響を受けた本」というテーマで今年度5月例会が開催された。今回の集まりも3月の研究報告会と同様に、対面式とZoom式を併用する形で行われたが、安定した司会進行や映像・音響・配信の徹底した管理のおかげで非常にスムーズだった。
参加者は、名前・出身地・所属を言って自己紹介をしてから、子供の時に好きだった本、特に印象に残った本、影響を受けた本など、大事な思い出が詰まっている「本」について3分ほど語った。始まってすぐ、このお題を「子供時代」に限定したことが大正解だったということが明らかになった。なぜかというと、これ以上ない「アイスブレーカー」になったからである。今回の月例会で初めて顔合わせをする人、画面越しで参加してまだ「生」で会ったことがない人、ほとんど会話を交わしたことがない人など、お互いのことを全く知らない人が多く、下手をすれば誰も喋りたがらない気まずい雰囲気になりかねないこの「最初の集まり」の「アイス」が手強かったが、参加者の皆さんは照れながらも懐かしそうに子供の時に大好きだった本の話をすることでその「アイス」を見事に溶かして見せた。
「人生で一番影響を受けた本」というテーマなら、きっと難しそうな本や専門家しか読んだことがない本などが出てきそうだが、「子供の時代の好きな本」だったからこそ、絵本や漫画、推理小説や冒険物語など、誰もが共感できて、読んだ・聞いたことがある本が挙げられた。さらに、財団のスタッフの皆さんや奨学生の皆さんは、それぞれ同年代の人が多く、「この漫画、私も読んでいたね」、「この絵本、私も孫と一緒に読んでいる」、「この本の実写版、私も好きだ」という共通の話題がすぐ出てきて、一層和やかな雰囲気になった。
また、参加者が自己紹介をした順番は、座る順や名簿の順ではなく、話した人が次の人を指名するという形だった。「いつ指名されるか分からないから、ずっとドキドキする」という気分だったのは、私だけではないはず。
暗いニュースが多いコロナ禍だからこそ、こうやって暖かい気持ちにしてくれる機会が非常に貴重である。それぞれの研究の進行がバラバラであるため、「同期」という存在がいない博士課程では、心細い気持ちになりやすいが、博士号取得に向けて頑張っている奨学生や親切にサポートしてくれるスタッフさんの顔を見て、心強い気持ちになれた。今回の集まりに参加した皆さんに心から感謝する。
(文責:カキン・オクサナ )