2012年度渥美奨学生研究報告会



 2013年3月2日(土曜日)は「ひな祭り」の前日でした。春寒ようやくぬるみ始めたころ、渥美国際交流財団の2012年度研究報告会が午後2時より開催されました。東京都文京区関口の渥美財団ホールにて、本年度・来年度の奨学生、ラクーン会(同窓会)会員、指導教官の先生方や元カナダ大使などの来賓、財団の役員とスタッフを含め、約50名が集まりました。

会場の入り口には立派な七段飾りの雛人形が飾られており、春の到来を告げる柔らかな雰囲気をつくってくれました。

研究報告会は、渥美伊都子理事長のご挨拶から始まりました。今年85才のお誕生日をお迎えになった理事長はご自身の雛人形にまつわる記憶を穏やかで優しい口調で語ってくださいました。

続いて研究発表に入りました。「主人公」である理工系5名、文系7名、計12名の2012度の奨学生は、文化人類学、生物学、ジェンダー学、環境工学、エネルギー研究、日中比較文学、メデイア映像、日本美術史、消化器病態学、機械システムなどの幅広い分野にわたる多彩な研究テーマをめぐって、それぞれの博士論文のテーマを中心とする研究成果を報告しました。発表者たちは、財団の選考委員である片岡達冶先生が昨年の報告会で強調された効果的なプレゼンテーションの重要性を念頭に置いた上で、図表や写真、動画、さらに自分の研究のイメージを合わせた服装までも工夫して、独自性が感じられるプレゼンテーションを行いました。奨学生たちが順番に登場し、緊張しながら研究に対する情熱と愛着を込めた発表によって、会場は非常に盛り上がりました。

研究発表の後、来賓の綿抜豊昭先生(筑波大学)、孫建軍先生(早稲田大学孔子学院)、佐野みどり先生(学習院大学)から貴重なコメントを賜りました。綿抜先生は奨学生の指導教官として、留学生たちに多大なご支援とサポートに与えた渥美財団に感謝の意を伝えました。孫先生は、ご自身の渥美奨学生時代の経験を踏まえながら、今までの大勢の渥美奨学生たちが図書館で、自分自身の専門書関係の本棚の前に並んでいたら、いかなる光景になるだろうかという喩えを挙げました。選考委員である佐野みどり先生は、発表者たちの研究が面接時より着実に進んできた「成長」を高く評価し、これからの活躍に期待を寄せました。また、来賓の広田貞雄様は、2012年度奨学生たちに手づくりの花瓶にいれたお庭の小さな黄色い花をプレゼントしました。

報告会終了後、引き続いて開催された親睦会で、奨学生、財団の役員、来賓の皆さんは美味しい料理とお酒を味わいながら、愉快な雰囲気の中で語り合いました。非常に興味深い研究発表であったので、報告内容についての多くの質問や議論が交わされました。

「皆さんはこれで終わるのではなく、これからも世界中のどこにいても連絡を取り合いましょう」という今西淳子常務理事のお言葉、本年度の奨学生呉正根さんのピアノ演奏、そして最後の集合記念写真の笑顔、渥美財団とのこの一年間のすべてが奨学生たちの心に刻まれる大切な思いになるでしょう。

報告会の写真(ゴック撮影)

報告会の写真(嶋津撮影)

(文責:李雪)