2010年度奨学生、完成間近の羽田空港D滑走路建設工事現場を見学
2010年7月21日(晴れ)、渥美国際交流奨学財団の今西常務理事を始め、嶋津事務局長、石井さんと2010年度の奨学生6人が参加して東京国際空港(羽田空港)のD滑走路建設工事現場の見学会が行われました。
当日、りんかい線の東京テレポート駅で集合し、用意して頂いたバスで羽田総合事務所に移動しました。到着後、事務所で鹿島建設株式会社の椎野さんからパワーポイントや資料を使って、わかりやすい工事概要と概況説明を受けた後、ヘルメット、ライフジャケット、軍手を着用し、船に乗って工事現場に向いました。天気にもめぐまれ、初めての工事現場見学が空港の滑走路になることは思わなかった奨学生の皆さんは大興奮でした。皆各自の人生の初体験を写真で記録しました。
東京国際空港は、今後さらに航空需要の増大が見込まれる中、既にその能力の限界に達しているそうです。再拡張事業の一つのD滑走路建設工事は年間の発着能力を現在の約30万回から40.7万回に増強するために、新たに4本目の滑走路を建設する工事です。今後発着容量制約の解消、多様な路線網の形成などで利用者の利便性向上が図られ、さらに将来の国内航空需要に対する発着枠を確保しつつ、国際線定期便の受け入れも可能となります。本工事は鹿島を始め、日本の建設業界を代表する15社の建設会社が従事しています。
工事現場は、想像を絶するほどでした。従来の埋め立て構造では、多摩川の通水性を確保できないために、滑走路の約3分の2は埋め立て、残りの3分の1は滑走路近くの多摩川河口の水流に配慮して、桟橋構造になっています。最初から計画して埋め立て部、接続部、桟橋部、連絡誘導路部という異なる構造を一体化した構造は、世界で初めての試みだそうです。2年間をかけ設計し、その後3年間をかけ、すでに本体工事の96%を完了したそうです。工事関係者の皆様の知恵のお陰で無から作った新たな滑走路を海上に創り、巨大桟橋の上で飛行機の離着陸を実現する素晴らしい工事だと感銘しました。新しくできる羽田空港D滑走路は、全長3120m、滑走路長2500mとなります。最新の旅客機エアバスA380にも対応して設計されているそうです。
興奮を抑え、待つ時間30分、海路でD滑走路を一周回った後、ついにD滑走路に足を踏み入れました。現場がとにかく広くて大きく、余り音が煩くないことが第一印象でした。新しい発想と最新技術を、設計・施工の随所にみることができました。また、工期短縮のため,年間365日24時間体制で、安全を確保しながら施工を行っていることに驚かされました。
世界でもトップの日本の建設技術を応用する雄大な工事現場で見ることができ、渥美財団や鹿島建設に心よりお礼を申し上げたいと思います。とりわけ、炎天下、できるだけ現場を歩かず、効率的に見学できるようお気遣いくださった鹿島の椎野さんに心より感謝しております。大変貴重な経験でした。
見学会後、全員は京浜急行電鉄で品川に移動し、納涼会が行われました。今回は奨学生たちの都合がつかず、参加者が少なく、残念でしたが皆さんはフランスパンから羽田空港の将来まで様々な話題で盛り上がりました。楽しく、かつ充実した一日でした。
(文責:王シン)
● 当日の写真は下記よりご覧いただけます。
石井撮影
マティアス撮影