2009年度奨学生、羽田空港D滑走路建設工事現場を見学
2009年6月29日、東京国際空港(羽田空港)のD滑走路建設工事現場見学会がありました。当該見学会は、渥美国際交流奨学財団の2009年度の奨学生のために、7月例会として同財団によって企画されたものでした。参加者は、財団の今西常務理事、嶋津事務局長と我々2009年度の奨学生でした。
見学に行く前の私の心境について一言述べたいと思います。私は、ウズベキスタンからの留学生です。ウズベキスタンは、海に接していないどころか、二重内陸国家です。すなわち、ウズベキスタンに接する国にも海はありません。したがって、ウズベキスタンの人々にとっては、海自体が、驚くべき存在です。そして、最もウズベキスタンの人を驚かせるのは、海で橋などを建設するという建設工事です。これまで日本で海にある多くの構造物を見てきましたが、その構造物の実際の建設作業を想像さえできず、いつか自分の目で見たいと以前から強く思っていました。そして、以前から羽田空港のD滑走路が海の上で建設されていることを知っていましたので、今回の滑走路建設工事現場の見学はまたとない機会であると思い、とても楽しみにしていました。
当日、全員は、お台場の東京テレポート駅に集合し、用意していただいたマイクロバスで工事に関わっている諸建設会社の総合事務所へ移動しました。本工事には日本の建設業界を代表する15社の建設会社が従事しており、15社の代表となっているのは、鹿島建設株式会社です。事務所で鹿島建設株式会社の阿部洋管理部長から工事に関する詳細な説明を受けた後、船で工事現場に移動しました。
工事現場は、想像を越えるものでした。東京湾で、すなわち周辺水深が20メートルまで達しているという場所で長さ2500メートルの滑走路が建設されています。具体的にいうと、羽田空港の4本目の滑走路となるD滑走路の構造は、主に埋立部と桟橋部とから構成されています。埋立部の沈下防止のために、埋め立てる前に砂杭を打ち込むことによって、地盤が強化されています。また、桟橋部でも、杭が海底下70メートルの深さまで地盤に打ち込まれ、沈下防止が図られています。ちなみに、滑走路全体が埋立構造でなく、その一部が桟橋構造になった理由は、空港の横に流れている多摩川の流れをせき止めないためです。環境影響の観点からの注目に値する対策です。当該プロジェクトの建設工事費は、5700億円であり、このような大規模のプロジェクトは、日本にしても非常に希だそうです。
上述した数字の大きさを分からない人でも、実際に工事現場に行ったら、工事の規模の大きさを容易に実感することができます。、すべてのものが大きすぎて、人間の素晴らしい創造力に改めて感心します。説明によれば、D滑走路の開業が来年(2010年)の10月に予定されているため、工事は、24時間、365日という急ピッチで進められています。実は、今回の見学の時点で、既に滑走路の形が出来ていました。
見学を終えた質疑応答の際に、本工事に従事している15社から構成される建設工事共同企業体を統括される現場代理人の、鹿島建設峯尾?二専務執行役員からご挨拶があり、我々奨学生を温かく迎えてくださっていることを強く感じました。
見学会後、全員はお台場にバスで戻り、ヴィーナスフォートにある素敵なタイ料理レストランで食事会が行われました。食事会は、様々な話題で大変盛り上がりました。興味深いお話を聞くことができましたので、ただ楽しいだけでなく、非常に有意義な時間でした。
工事現場の見学は、私に色々なことを考えさせてくれました。現場で働いておられる方々を見て、正直に言って、羨ましかったです。D滑走路は、現在の努力の結果として、今後長い期間にわたって、多くの人々に役に立ちます。滑走路の工事に関わっておられる方々のその努力は、今後の世代に高く評価されていきます。本当に羨ましいです。
見学会は、私の大切な思い出になりました。世界的に有名な日本の建設技術を現場で見ることができたのみならず、楽しい一日を過ごすこともできまして、渥美国際交流奨学財団や鹿島建設株式会社に心よりお礼申し上げます。
(文責:シェルマトフ ウルグベック)
当日の写真はここからご覧ください。