軽井沢旅行に関する不完全な報告或は告白?
私が今年の軽井沢旅行について報告するなんて、どう考えても申し訳ない気がする。あまりにも不完全すぎる気がする。まずその所以を告白しなければならない。私の軽井沢旅行は、7月20日からの日程を翌日に遅ればせでかけつけることではじまった。しかも、新幹線の軽井沢駅を乗り過ごし、長野の風景を眼にするという、またとない機会までつくって、財団の方々を心配させながら、だった。こんなわけで、私の旅行報告なんて、当然不完全すぎるに決まっている。なのに、こんな私に今度の旅行を語ることを許してくれた、今西さんをはじめみなさん、ありがとうございます!(これが二つ目の告白!)
さてさて、長野駅から慌しくたどり着いた軽井沢は、東京の強烈な緑とは一段と違う神秘的な淡い緑色で染まっていた。駅からタクシーで5分ほどかかる研修センターは、まるで別世界。嶋津さんと谷原さんが笑顔で迎えてくれた。午前中の自由時間を過ごして、食堂に集まっていた同期たちは、軽井沢の空気にすっかり馴れきった顔で、前日の軽井沢巡りやオリエンテーションについて楽しげに話してくれた。その和やかな雰囲気に包まれ釜飯を食べながら、私も段々軽井沢に、そして今年度の渥美財団旅行に馴染んできた。
ゆったりとした昼休みの後に、午後2時からは研修センター会議室で第28回SGRAフォーラム「いのちの尊厳と宗教の役割」が開催された。普段の生活で当たり前のように見過ごしてしまう「いのち」の問題を、さまざまな視点や身近な事例から問い直し、食後の眠気に襲われていた脳を強く刺激するものだった。研究領域や仕事の分野を全く異にする人々によって行われた、人間の生と死に迫る議論は、会場を活気付けた。
この活気は夕食時間にもつづき、食堂は様々な声のリズムで快く満たされた。そのなか、嶋津さんの呼び声で出てみたところ、研修センターの前庭は、前日に雨のため出来なかった花火でお祭りのようだった。庭を駆け回る子供たちに、大声で笑う大人たち、そして飛び散る火花。ちなみに、私のお気に入りは「チョー地味な」線香花火で、人々と競って何回もそれを楽しんだ。
花火の余韻を漂わせながら再開したパネル・ディスカッションは1時間半ほどで幕を閉じ、その後、再びロビーに流れ込んだ人々は、用意された冷たいビールを飲みながら、それぞれのテーブルを囲んで話しはじめた。軽井沢の夜は、いくつかの国境を何回も越えたかのような意気込んだ話し合いであっという間に過ぎてしまった。遠くから朝が訪れることに気付いて、部屋に戻り、眠れたかどうか。
朝食に行く人々の足音に目覚め、急いで朝食を済ましてからは、?彩鳳さん、李垠庚さん、金?淑さんと一緒に軽井沢巡りに出かけた。研修センターの南側にある塩沢湖を散策しながら写真を撮ったりペイネ美術館の可愛らしさに騒いだりした後、一行は、20世紀美術のコレクションを誇るセゾン現代美術館に向った。立派な正門と彫刻庭園の奥に位置する美術館で、普段はなかなか見られない作品たちに出会い、随分興奮して展示室を駆け回った。そして、軽井沢旅行の3日目のイヴェントとなるバーベーキュー・パーティに期待を膨らませながら、理事長の別荘に足を運んだ。
軽井沢の淡くてきれいな緑に囲まれ、すでにバーベーキューは始まっていた。アブドシュクル・メジデさんのウィグル式バーベーキューとにんじんライスに、原嘉男さんのおでん、韓国人の先輩たちが用意した焼肉、そしてテーブルの上にずらりと並んだ各種のサラダとキムチ等等は、きっと皆を幸せにしてくれただろう。それにスイカ割りと井上ウィマラさんの素敵な歌。もちろん、最後は、谷原さんのカメラの前で記念撮影!だった。
これが私のあまりにも不完全な旅行報告であるが、最後にもう一つ告白。こんなに楽しいとは思わなかった。また、多様な人々の世界に接し改めて自分をかえりみることができた、ダイナミックで充実な時間だった。理事長をはじめ渥美財団のみなさん、そしてこんなに貴重な旅行を一緒に楽しんだみなさんに、ありがとうございます!と申し上げたい。
文責:朴昭?
軽井沢の写真は、アルバムをご覧ください。5つのフォルダーがあります