広い世界・自分の世界
こう えんくん
侯 延くん
出身国:中国
在籍大学:東京工業大学大学院総合理工学研究科
博士論文テーマ:生理活性を指向する複素環化合物の高選択的電解フッ素化
「人生は旅をすることである」と言うことわざが中国にあります。今までの人生の中で一番大きな旅は日本に留学したことです。留学が決まった時、昔から憧れた聖地にいく前のように喜び、楽しみ、期待で胸がいっぱいでした。確かに数多くの不安もありましたが、それ以上の夢を抱くことができました。
自分の目で日本を見てみたいと考えるようになったのは中学生の頃で、父親からの影響によるものでした。日本で生活したことがある父が日本で撮った写真を見せられ、現代風のテクノロジービルだけではなく、のどかな田舎の風景もある美しい国だと思いました。また父の日本人の友人と会食をした時に、日本語が全くできなかったものの、簡単な英語、あるいは動作、表情などでコミュニケーションがとれたことがとても楽しかったです。80年代初頭父は初めての中国海外派遣留学生として日本に留学しました。4年後、博士号を取得して帰国してから、日本で習得した知識を生かし、科学研究者及び生産現場の技術指導者として社会に貢献しています。そのほか、留学中に育んだ人脈を生かして、化学、経済、文化などの日中交流に務めています。私は父のように留学を通じて、社会により大きな貢献していくことができる、そんな人生を送りたいと考えています。
高校卒業して上海復旦大学の化学科に入学した私は世界で起こっている事柄に触れる機会が多くなったとともに、日本へ留学することについて様々な点から深く考えました。物質生活の豊かな現在において医薬品原料の開発は最も重要な課題の一つでありました。世界的に見ても医薬品関連の研究分野は驚くべきスピードで進歩しているにもかかわらず、さらなる発展が急務となっております。その中、フッ素を含む医薬品関連の研究が注目され、この研究分野では日本が世界をリードしていることを知りました。そのような医薬品の開発に興味を持っている私は、日本で学ぶことにより、世界中の人々の健康を維持することができると思いました。特に、現在著しい成長を見せている医薬品の開発技術を日本で学び、帰国後、自分の研究グループを作って、それを中心に、中国の研究開発技術を世界水準まで高めたいと思いました。そして、今の日本の研究のように、21世紀には世界をリードする国としての中国を築き上げていきたいと考えております。
また、第二次大戦後、日本がどのように世界の中で重要な地位を築くことができたのか謎のようです。私は世代を通して受け継がれた強い信念が日本は世界で最も優れた国だということの裏付けであると思います。この精神に感動した私は、実際に日本を見て、日本人と触れ合いたいと強く思うようになりました。それに、経済発展と伝統文化の間で衝突し始めた今の中国にとって、進歩と伝統のバランスを上手にコントロールしてきた日本はとても良い参考になると思いました。
それらのことを考えて私は日本に留学する決意をしました。日本に来て3年間で、私は大学の内外に関わらず、日本人や他の国籍の人々と深く交流することにより、人に影響を及ぼし、人から影響を受けることができたと考えています。そして研究を行ってきて、日本の研究技術を吸収できたと考えています。この留学の機会を与えられたことにより、研究者としての能力はもちろん、人間的な幅も膨らませることができたと考えています。中国に帰国してから研究者として教育、科学の発展に貢献するだけでなく、広く世界と中国を結びつけるような活動に貢献していきたいと今は考えています。