SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Nakanishi “Noli_Me_Tangere”

    *********************************************************************** SGRAかわらばん666号(2017年3月30日) 【1】SGRAエッセイ: 中西徹「Noli_Me_Tangere(我に触るな)」 【2】SGRAレポート紹介「今、再び平和について」 *********************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#528 ◆中西徹「Noli_Me_Tangere(我に触るな):ドゥテルテ流民族主義的外交政策の背景」 ロドリゴ・ドゥテルテ氏は、2016年6月末、一部の現地マスコミの「期待」を裏切り、しかし、大方の予想通り、第16代フィリピン大統領に就任した。選挙における得票率は4割程度だったが、現在の支持率は80%を優に超える。私の周りでは、選挙時には、極貧層から富裕層まで、ドゥテルテ氏を嫌う者は少なくなかったが、その後、彼の統治によって、マニラでは凶悪犯罪や収賄は激減したとし、ドゥテルテ氏に対する評価を変えた者も少なくない。たしかに、その感覚は実感できる。 ドゥテルテ人気の理由の一つは、しばしば指摘される彼の家父長的力強さだけでなく、その来歴にもあるように思われる。彼は、東ビサヤ地方のレイテ島で生まれたが、マラナオ族系と中国系の血筋を引き、身をもってマイノリティの立場を理解している。子どもにはイスラム教徒と結婚しているものもおり、イスラム社会、華人社会との接点を有する。これらのマイノリティ社会の人々の多くは、大統領選でドゥテルテ氏を支持した。彼の地盤はイスラム問題を抱えるミンダナオ島のダバオ市だ。左翼思想に触れた大学時代を除き、首都マニラとは無縁であり、中央の経験がない。法科試験合格後は、ダバオ市において、検察官を10年、ダバオ市長を22年間務めた。さらに、父も弁護士だったとはいえ、旧エスタブリッシュメントとは接点はなく、その生活は質素である。70歳を超えた彼には、フィリピンを再建した英雄になるという名誉欲はあったとしても、歴代の大統領にありがちだった「物欲」は感じられない。彼は、大学時代の恩師である共産党設立者のホセ・マリア・シソンの支持を受け、複数の左派系の人材を閣僚に任命した。 しかし、このような高い国民的支持にもかかわらず、欧米における評価は芳しくない。彼の悪名を国際的に轟かせたのは、公約「麻薬撲滅戦争」における,いわゆる「超法規的殺害」(extrajudicial_killings)である。売買関与しているとされる公職者のリストを公表し、自首しなければ命はないものと思えと呼びかける。警察だけでなく、自警団までもが常習者のリストを用いて摘発に精を出し、投降しなければ売人を銃殺する。新聞報道によれば、十分な取り調べのないまま殺された者も少なくない。大統領就任後3ヵ月の間に、3千人を超える「麻薬犯罪者」が道端などで超法規的に処刑された。フィリピンでは死刑が廃止されているが、麻薬犯罪については大統領のお墨付きなのだ。こうした実態が欧米の非難を浴びた。タイム誌はドゥテルテ氏のことを「処刑人」と呼び、人権NGO団体だけでなく、アメリカもEU諸国も、その「非人道的行為」を厳しく批判した。しかし、ドゥテルテ氏は、全ての批判者に悪口雑言の限りを尽くし、決して政策を変えようとはしない。 たしかに、欧米の価値基準からすれば、このような振る舞いは、デュー・プロセスを踏まない非人道的で野蛮な行為としかうつらないであろう。だが、フィリピンには、現在推定400万人以上の麻薬中毒者がいると報道されている。そして、その売買で甘い汁を吸っている者は、ギャングやゴロツキだけではない。警察や政官界にも「闇の組織」は蔓延しており、そのネットワークは巨大である。超法規的手段を執らない限り、麻薬撲滅はありえないというのが彼の立場だ。 東アジアにおいては麻薬犯罪には死刑が適用される国が多い。中南米の例を引き合いに出すまでもなく、麻薬は現在も発展途上国において最も深刻な問題の一つだからである。しかし、歴史をひもとけば、麻薬を植民地インドで生産し、中国に持ち込み戦争を起こしたのは英国である。他方、フィリピン革命の後、米西戦争に勝利したアメリカは、フィリピンの独立を約束したにもかかわらず、多くのフィリピン人を虐殺し植民地とした。それは、ドゥテルテ氏の故郷レイテ島でも悲惨を極め、彼はその生き残りの子孫だと自認している。アメリカによって、発展途上国の罪のない市井の人々がどれほど殺害されてきたのか、彼の憤りはこうした歴史からも来ていることは間違いないであろう。 ドゥテルテ氏の外交を考えるとき、彼が独特な民族主義者であることを理解するのは重要である。彼は、相手が欧米の価値観で頭ごなしに批判しない限り、口汚く罵ることはない。忌むべきは未だに宗主国のように振る舞いたがる大国による内政干渉だからだ。彼は、これまでの麻薬政策を批判した、エスタブリッシュメントを基盤とする民主党オバマ政権を徹底的に嫌い、CIAによる暗殺の可能性にしばしば言及しアメリカを牽制してきた。その外交は一見すると、個人的感情丸出しの素人に見えるが、中国、日本への訪問からもわかるように、領土問題の先鋭化を巧みに抑え、中国とアメリカという2大大国から微妙な外交的距離を置きつつ、日中両国から大型援助を引き出すという成果を出した。麻薬中毒者の更生施設に加え、クラーク基地跡地の開発事業が喫緊の課題だからである。言いたい放題の後の後始末もそつなくこなしており、彼のスタンスはそれなりに計算されたものだ。ドゥテルテ氏は、共和党トランプ氏がアメリカ大統領に選ばれるや否や、いち早く祝福を送った。今後はアメリカとの関係にも新しい変化が起こるかもしれない。 *本稿の中国語版は台湾の自由時報(2016-12-12)に掲載された。 http://talk.ltn.com.tw/article/paper/1060987 <中西徹(なかにし・とおる)Toru_Nakanishi> 東京大学・大学院総合文化研究科・教授(地域研究・開発経済)。1989年東京大学大学院修了(経済学博士)。国際大学助手。1991年北海道大学助教授。1993年東京大学助教授。2001年東京大学教授(現在に至る)。主要著書に『スラムの経済学』(単著:東京大学出版会、1991年)、『開発と貧困』(共著:アジア経済研究所1998年)、『人間の安全保障』(共著:東京大学出版会、2008年)、『現代社会と人間への問い』(共著:せりか書房、2016年)。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【2】SGRAレポート紹介 SGRAレポート第78号のデジタル版をSGRAホームページに掲載しましたのでご紹介します。下記リンクよりどなたでも無料でダウンロードしていただけます。冊子本は6月になりますがSGRA賛助会員と特別会員の皆様にお送りいたします。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/report/2017/8259/ 第51回SGRAフォーラム講演録 ◆「『今、再び平和について』― 平和のための東アジア知識人連帯を考える」 2017年3月27日発行 <もくじ> はじめに:南基正(ソウル大学日本研究所副教授) 【問題提起1】「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」  南基正(ソウル大学日本研究所副教授) 【問題提起2】「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」  木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) 【報告1】「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」  朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) 【報告2】「中国知識人の平和認識」  宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) 【報告3】「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」  林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) 【報告4】「日本の知識人と平和の問題」  都築 勉(信州大学経済学部教授) パネルディスカッション 討論者:劉傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)他、上記発表者 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Kim Yullee “Looking Back on My Life in Japan”

    *********************************************************************** SGRAかわらばん666号(2017年3月30日) 【1】SGRAエッセイ: 金律里「日本での生活をふりかえって」 【2】新刊紹介:ブレンサイン「THE_AGRICULTURAL_MONGOLS」 *********************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#527(『私の日本留学シリーズ#8』) ◆金律里「日本での生活をふりかえって」 ・きっかけ 学部時代に読んだ日本人学者の本が、私が日本留学に興味を持ったきっかけであった。ずっと「宗教」と「死」に興味を持っていて、学部卒業後はどこかの大学院に進学して本格的に研究をしてみたいと考えていた時に、日本の学者はこんなに面白いことを考えるんだと思い、留学先を日本に決めた。それから、日本語の勉強を始め、日本の大学についても調べた。 ・弟とともに日本留学生活を始める しかし日本留学の情報は十分ではなくアドバイスをもらえる人もいなかったため、留学準備をして日本に来るまでは本当に大変だった。日本語で書かれた本が少し読める日本語のレベルだったが、日常会話がままならなかった。それでも心強かったのは、弟も同時期に日本の大学に入学して、兄弟2人で助け合いながら留学生活を始められたことだ。また、日本人と結婚した親戚のおばさんにもいろいろ面倒を見てもらえたし、良い助言者の留学生先輩もいた。 ・修士課程では 紆余曲折の研究生生活を経て修士課程に入り、決めた論文のテーマは『水子供養』だった。死、お墓、葬送儀礼などに漠然と興味を持っていると先生に話したら、「水子供養について研究してみると面白いかもしれない」という助言をもらった。偶然に決めた、あるいは決めさせられた(?)研究テーマを現在も続けていることは不思議に思える。 ・アルバイト 奨学金が無かった修士課程では、研究とアルバイトを両立する日々を過ごした。今考えると修士の時が最も頑張った時期だった。無事修士論文を提出して博士課程に進学した1年目までは奨学金がなく、アルバイトに時間をたくさん使った。韓国語講師や通訳のアルバイトがほとんどで、韓国語講師の経験は、人前で上手くしゃべれないことを克服するのに少し役立った。また、通訳の仕事は、臓器移植や遺伝子研究など自分の研究と関わりがなくもない分野もあったけれども、貿易や起業、発電といった普段触れることもない分野もあって、楽しい経験ができたと思う。 ・女子寮生活 修士に入ってから民間の女子寮に入寮し、ずっと住んでいた。寮は7割くらいが日本人の学部生で高校生も何人かいる。残り3割程度が留学生で、入寮当時は韓国人と中国人がほとんどであったが、ここ数年、インド、ベルギー、ノルウェイ、ウズベキスタン、アメリカ、インドネシア等々国籍が豊かになった。週末はみんなで一緒に料理を作って食べたりもするし、お互いの国の文化や言葉について話し合ったりもする。寮では朝食と夕食が提供されるが、豚肉を食べないイスラームの人たち、牛肉を食べないヒンドゥの人、そして肉食をしないベジタリアンもいるので、食事を用意する寮母さんは大変だろうが、宗教文化に興味のある私としては食事の時間も楽しかった。 ・博士進学後と現在 博士2年目からやっと奨学金を受給することになり、以前のように朝から晩までアルバイトをしなくても生活ができるようになった。また、奨学金の関係で年に数回関西地方に行くことになったが、そのおかげで旅行もできて楽しい時間を過ごせた。経済的精神的に余裕はできたものの、研究に費やす時間をそれほど増やさなかったことを、いまだに後悔している。「理系の人は博士3年で大体卒業するが、文系は3年以内に博士論文を提出することはそれほど多くはない」と聞いてきたが、自分も博士5年目となってしまった。運よく渥美奨学金もいただくことになったが、途中で所属大学の研究員に採用されたことで奨学金を辞退することになってしまった。昨年9月ソウルで結婚式を挙げてから日本に戻って博士論文を執筆し続け今年3月に論文を提出した。そして8年間生活した日本を離れ、現在はソウルに住んでいる。 <金律里(キム・ユリ)Kim Yullee> 東京大学死生学・応用倫理センター特任研究員。渥美国際交流財団2015年度奨学生。韓国梨花女子大学を卒業してから来日、2015年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を退学。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【3】新刊紹介 SGRA会員のボルジギン・ブレンサインさんより、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 メッセージ:「2003年に出版した日本語版、その後に出された中国語版、そしてその後の研究成果を纏めたものです。欧米に向かって発信しようという活動の一部です。学術振興会の出版助成をいただき、本書を出すことができました。」 ◆Burensain_Borjigin “THE_AGRICULTURAL_MONGOLS: Land_Reclamation_and_the_Formation_of_Mongolian_Village_Society_in_Modern_China” 激動の近代を経て、多様化の時代を迎えた現代モンゴル人世界。内モンゴル東部における農耕モンゴル人村落社会の形成を、文献史料とフィールド調査を結合させて描き出す。※本文英語 ・Borjigin_Burensain(著)、Thomas_White(訳)、Uradyn_E._Bulag(校閲) ・発行:春風社/2017年2月 ・6000円(本体)/A5判並製400頁 ・ISBN:9784861105432 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://shumpu.com/archives/9078 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Frank Feltens “Flower Country”

    *********************************************** SGRAかわらばん665号(2017年3月23日) *********************************************** SGRAエッセイ#526 ◆フランク・フェルテンズ「花国」 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という文章で始まる川端康成の『雪国』は日本海にある。毎年冬になると白雪に沈む地方をごくポエティックに表現している。しかしながら、私にとっては、日本といえば雪国ではなく「花国」だ。私には日本人より「日本は四季がある」という大ニュースがよく伝わってくるのではないかと思う。言うまでもなく、四季はドイツ、アメリカ、北半球の大半にもあるが、日本の四季は特別で不思議だ。もちろん花は世界のどこにでもあるが、花国の日本では、花が驚くほど大きな役割を果たしていると気づいた。まず、どんな季節でも花が咲いている。どんな時でも自然の美しさが溢れる。冬は梅、春は桜、夏は桔梗、秋は菊、など。 出身のドイツや、学校のあるアメリカと比べたら、日本では季節の変わり目はあまりなく、温度の差もあまり激しくない。高校生の頃にしばらく住んでいたカナダでは、本当に季節の違いが感じられた。感じてしまったと言ってもよい。カナダでは、冬が終わって雪が溶けると、熊が冬眠から目覚めたごとく、みんなが家から出て、目を擦る。「あったかい〜!!」と叫びたいぐらいの嬉しさが溢れる時期だ。 季節の差が激しくない日本でも、同じような気持ちを感じる。日本在住の4年間、毎年春分になると、信じられないぐらいの嬉しさが体を包んでわくわくする。何故だろうと自問してきた。今年初めて、その答えがわかった。花だ。温度や日差しではなく、花で嬉しさを感じるのだと。今年の最も重要な発見だった。気温に関係なく、周りに花が咲くと、より気分が良く幸せに溢れるようになる。花国の日本は、暖かくなる間もなく花が咲き始める。枯れた枝に我慢して待っていた蕾は、春の最初の日差しで出てきて挨拶する。暖かい季節の到着を現す若葉よりも、花が祝われている。日本の春は緑ではなくピンクだ。 冬と春の境に梅の花が咲く。梅もまた不思議な花だ。何百年もそのままであったような、節くれだつ枝から咲いている梅の花は奇妙な美しさがある。梅の花といえば、初めて日本に留学した時に行った京都の北野天満宮をいつも思い出す。ただ、見るよりも匂うことで思い出す。2007年2月にふらっと北野天満宮に行ったら、天国に生まれ変わったような香りに飲み込まれた。「うめのはな、こすゑをなへて、ふくかせに、そらさへにほふ、はるのあけほの」という藤原定家が詠んだ和歌と同じように、風が運んだ香りが鼻に潜り込んだ。この経験から、私にとって日本は梅の香りの花国となった。今年の2月、駅のホームで電車を待っていた。突然、梅の親しい香りが飛び込んできた。梅の木はどこにも見当たらなかったが、贈り物としてその香りをもらったような気がした。 春は桜、という感覚が一般的かもしれないが、私には冬と春を結びつけている梅が季節の魅力を形にしている。日本の代表である桜は梅と違う。梅が春を開くのに対して、桜の、軽く、細雪のように渦を巻いて散る花は、雪国の冬を春にひっくり返し、季節を取り替える。桜吹雪で春と冬をスイッチする日本は、やはり不思議な四季の感覚だ。 花国のもう1つの不思議さは季節のタイミングだ。毎年春は定期的にやってくるが、この頃に桜が咲くぞという予報は、確かにその通りになる。梅はこのように注目されず、一人で頑張って、綺麗なものを産み出してくれる。梅こそ日本の本当の代表ではないだろうかと私は思う。ただ、日本は桜が優先されてしまうため、それぞれの季節の貴重さがたまに失われてしまう。平安時代から「花」といえば「桜」のことを指していたそうだが、各季節に違う花々に彩られているのが、日本という花国の最もアピールするところではなかろうか。地球温暖化のため、日本の季節も変わってくるかもしれないが、日本の心にはずっと花があることは変わらないだろう。 <フランク・フェルテンズ☆Frank_Feltens> 米国フリーア美術館特別研究員。ドイツのフンボルト大学で日本文学を学んだ後、米国コロンビア大学大学院で日本美術を学び、尾形光琳と江戸中期の美術をテーマにして2016年博士号を取得。学習院大学に文部科学省国費留学生として留学し、その後、客員研究員、立教大学非常勤講師等を務める。2016年夏より現職。。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Juliana Buritica Alzate “I Came to Japan as a Girl, then Became a Mother.”

    ************************************************* SGRAかわらばん664号(2017年3月16日) ************************************************* SGRAエッセイ#525(『私の日本留学』シリーズ#7) ◆フリアナ・ブリティカ・アルサテ「娘として来て、母になった」 このエッセイでは、「私の日本」について考えてみたい。広い課題だが、「私の日本」というのは、日本における私の個人的な経験になるだろう。日本で生活することによって、どのように自分自身の人生が変わってきたかを考えてみたい。特に、「娘として来て、母になった」という個人的な道のりについて書いてみよう。そのことによって、私の視点から「日本」を見られるのではないかと思う。 日本に来てからそろそろ7年になる。日本に来る前の私はコロンビアのボゴタで両親と一緒に住んでいた。ロス・アンデス大学で言語哲学および社会文化研究を主専攻、哲学を副専攻として学士号を取得した。大学生のときには、6つのレベルの日本語クラスを終了し、文化、歴史、現代思想、文学、映画、アジアのルーツや地域研究など、開講されている日本に関するすべてのクラスを受講した。また、大学の文化祭の企画に積極的に関わり、生け花や折り紙のワークショップや日本からコロンビアへの移民に関する会議なども企画した。時には、家に持ち帰ってお寿司を作ったり、書道をしたり、日本映画を見たりもした。私はとても楽しかったのだが、母から見るとそれはおかしな行為だったようだ。「大学も時代が変わってきたよね」、「これは何のため?どういう仕事ができる?」「卒業したらどうするの?」とよく言われた。 日本に来る前から日本のイメージを持っていた。日本のことや日本語を知っていると思ってはいたが、さらに自分の知識を広め深めようと日本の大学院に行くことを決めた。夢が今や現実のものとなり興奮していた私だったが、成田空港に到着した時は、電車のチケットを買おうとしてもどうしたらいいか分からなかった。それで最初の会話は英語になってしまった。意外ではないかもしれないが、私に日本語で話してくれる人は少なかった。7年経った今でも、まだ最初から日本語で話してくれる人と会うのは珍しい。外国人が日本語を話せるということを期待している人は少ないようだ。日本に来てから「外国人の大学院生」としてさらに日本語の勉強を進め、日本文学を研究しながら夢中に過ごしたが、それによってどのように人生が変わるかを想像するのは難しかった。 私は22歳から東京で生活しているので、日本で「大人」になっている。母が初めて来日した時、私が2年間で様々なことを乗り越え、十分に成長したという印象を持ったそうだ。2回目は私が日本に来てから5年目、結婚式のために来た。その時は「もう大人になった」と言われた。私は自立し、新しい家族を作った。3回目は孫の世話をするために来た。私は「娘として来て、母になった」のだ。これは大きな人生の変化だ。 そして、母からは「あなたはだんだん日本人になっている」と何回も言われた。どういう意味かを考えてみたい。それは日本文化、価値観や態度を自分の性格の一部として受け入れるようになってきたということだと思う。例えば、約束の時間に間に合うように頑張ることで「日本人みたい」と評価してくれる。確かに私は時間を守る人になったが、私にとってそれは「日本人になっている」より、「日本で(大)人になっている」の方が、自分の人生にとってより大きな意味があると思う。言い換えれば、人生を変えるような出来事が日本で起こったのだ。そして自分の職業や人間関係、考え方は日本が背景になっているのだと思う。 日本で初めて自立した生活をし、修士号を取得し、結婚し、母になった。そして、今は博士号の取得に向けて取組んでいる。東京では保育園が不足しているという社会問題があるのに、ラッキーなことに子どもを保育園に入れて、これからは子育てをしながら研究者として活動しようとしている。本当にありがたいことである。 博士論文では日本の現代女性作家の作品における女性の身体表象について研究している。自尊心や自己受容に基づき、自分の体とポジティブな関係を築く手段として文学を用いたい。私が選んだのは川上未映子の『乳と卵』、桐野夏生の『東京島』、伊藤比呂美の「カノ子殺し」である。この研究が私の生活にも繋がっている。とりわけ、この研究は間違いなく、私が母親になるという個人的な道のりを助け、導いてくれていると感じる。これらの作家たちは妊娠、出産、授乳、子育てをする体について新しい見方を与えてくれた。まず、人生の変化は身体の変化であるということを理解できた。私が研究している日本文学に出てくる子育ては、皆あいまいで、矛盾し、もろく、完璧な、あるいは理想の母親は存在しないということを示している。 最後に、私にとって日本は、つまり「私の日本」は、母親になるために素晴らしい国だと思う。日本で「娘として来て、母になった」という個人的な道のりによって成長できる機会が与えられていることに日々感謝している。 <フリアナ・ブリティカ・アルサテ☆Juliana_Buritica_Alzate> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。2010年4月に来日。国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科比較文化専攻で修士号を取得。現在、同研究科博士後期課程在学中。専門は比較文学およびジェンダー研究。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie Zhihai “The Self-Defense Technique Against Texting While Walking”

    *********************************************** SGRAかわらばん663号(2017年3月9日) *********************************************** SGRAエッセイ#524 ◆謝志海「歩きスマホの護身術」 スマートフォンが世にでる前から、私は歩きながら携帯電話を操作しないようにしている。私の友人の友人が、仕事帰りに最寄り駅から自宅までの夜道で携帯電話を見ながら歩いていて、たまたま工事中でロープが張られていたことに気付かず、それに引っかかり転倒し、膝を大きく切り11針を縫うことになったという。翌日から沖縄旅行を控えていたが、医者に海に入るどころか飛行機に乗ることも禁じられ、旅行はキャンセル。当日のキャンセルで代金は全額戻らず。私はこの惨事を被った方とは全く面識はないが、話を聞いた時「この出来事は私へのメッセージ、明日は我が身、今後携帯電話を見ながら歩かない」と決心した。それ以来、私はスマホを見ながらずんずん向こうから突進してくる人々にもなぜか寛容になれた。私が気をつけていれば大丈夫だと。しかしスマートフォンの急速な普及、そして様々な使われ方で、歩きスマホは社会問題、いや世界の課題のようだ。 ある日の日本経済新聞の見出しに「歩きスマホ万国共通」とあり、この記事には様々な国の歩きスマホ対策が紹介されていた。どの国でも事故があり問題視されているが、これといった解決策は見出されていないことまで共通している。中国湖南省で、母親の歩きスマホが原因でその子どもが交通事故死となった例が冒頭に紹介されていたが、中国の歩きスマホは深刻だ。死亡事故まで多発している。 例えば、2013年10月北京市で、17歳の女子高生が深い溝があることに気付かずに転落死。2016年8月には浙江省の男性が信号のない横断歩道をスマホを見ながら横断中に車に跳ねられ死亡。2015年11月、江蘇省の男性が階段に気付かず転落死。このように、歩きスマホの事故はキリがないほど出てくる。死に至るケースも多い。一方で歩きスマホに対する対策や危険の周知に関しては、これといって出てこないこともまた驚きだ。中国のスマートフォンユーザーは9.2億人と言われている。そのうち歩きスマホをする人は何億人いるのだろう?想像するだけでゾッとする。 歩きスマホが怖いのは中国だけではない。日本にもたくさんの歩きスマホ者がいる。日本で生活していて、歩きスマホに関して特に怖いと感じるのは、都心の混み合った駅のプラットホームで歩きスマホをする人たちと遭遇する時だ。スマホを凝視しながら足早に向かって来る人に何度もぶつかりそうになり、また歩きスマホ同士が接触している様も何度も目撃した。プラットホームで彼らにぶつかって、線路に落ちたらと思うととても怖い。最近私はホームの端っこに近づかないようにしている。日本のような先進国でもホームドアの設置が遅れている。 前述の新聞記事の結論は「結局は一人一人の意識改革が必要になる」であった。私がいつもしていることは、「混雑している場所でのスマホの操作は、道の端、柱の陰に速やかに移動して立ち止まって行う」である。迷惑にならないようにということと、衝突などから我が身を守るためである。実は私は歩きながら携帯を操作するというマルチタスクが苦手という自認もあるのだが。当分の間はこのように、自分で歩きスマホの人々から身を守るしかなさそうだ、どの国にいても。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • SGRA Forum #56 Report

    *********************************************** SGRAかわらばん662号(2017年3月2日) *********************************************** ◆瀬戸文美「第56回SGRAフォーラム『人を幸せにするロボット』報告」 あなたは、ロボットが人間に反乱を起こす日が来ると思うだろうか? 近年、日本のみならず世界中でヒト型ロボットの開発が行われており、また車両の自動運転などロボット技術の社会応用も進んでいる。その一方で人工知能の進化によるシンギュラリティ(技術的特異点)、人工知能やロボットが人間の能力を超え人間の仕事を奪うという将来への不安も取り沙汰されている。果たしてロボットは人間を幸せにするのか、ロボットが「こころ」を持つ日は来るのか、そもそもロボットとは何なのか。日本のロボット研究の第一人者である東大の稲葉雅幸教授を始めとする工学者と新進気鋭の哲学者が「人を幸せにするロボット」について自説を延べ、ディスカッションを行った第56回SGRAフォーラムをレポートする。 東京大学大学院情報理工学系研究科の教授である稲葉雅幸氏は『夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み』と題して、稲葉研究室で行われているヒト型ロボットを中心とした研究とその教育効果について基調講演を行った。 稲葉氏は学部生の頃から現在まで、一貫して情報システム工学研究室に所属しロボットの研究開発を行ってきた。1993年に16個のモータを有する小型ヒト型ロボット、2000年には人間と同等のサイズのヒト型ロボット研究プラットフォームを開発。折しも福島第一原発事故を背景として米国国防省による災害救助ロボットのコンテスト『DARPAロボティクスチャレンジ』が世界全体の課題として行われ、それへの挑戦のためにベンチャー企業『SCHAFT』を創業したのが、稲葉研究室の卒業生である中西雄飛氏と浦田順一氏である。その後Googleに買収された同社には20名以上の稲葉研究室の卒業生が集まりロボット開発を行っている。 その一方で稲葉研究室でも「これまでできていなかったことを、誰もこれまでやったことのない方式でできるようにする」という方針のもと電磁モータ駆動・水冷気化熱利用により高出力を実現するヒト型ロボット『JAXSON』が開発された。稲葉氏によればロボットとは「感覚と行動の知的な接続法の研究」であり、「先端技術の総合芸術」であり、「工学分野における複数の技術の融合・統合体」であるという。稲葉研では学生がめいめい小型のヒト型ロボットを作り動かすことで、多様な技術を広く体験して研究テーマとなる問題を自分自身で発見し、それを深めていくというスキームを経験することができる。そのようなロボット研究開発について「『苦労』と感じるかもしれないけど、同時に『幸せ』なことでもある」という考えを示した。 立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科・教授の李周浩氏は『ロボットが描く未来』と題し、SF作品などを通じて描かれるロボットとその未来技術、そして社会におけるロボット技術の在り方について話題提供を行った。 李氏は韓国出身で、幼少の頃に観たロボットアニメ『マジンガーZ』に魅了されロボット科学者の道を志した。1920年に『ロボット』という言葉が生み出されて以来、人間の理想を映すものや友達、従順な僕などとして現在までさまざまなロボットが描かれ、『ロボット』というものへの印象を人々の中で構築している。そこではロボットは、単に人間のために労働力を提供する機械としてだけではなく、人間が全知全能の創造主として自らの夢や希望を投影できる対象であり、人間を理想として発展している唯一技術として人々に夢を与えるものとして描かれている。また現実のものとしてのロボット技術は「期待のピーク」の直前に位置しているが(2016年ガートナー社ハイプ・サイクルより)、その一方で労働者階層・中間層の雇用がロボットや人工知能に代替されることを危ぶむ声も少なからず耳にする。明暗あれど現在ロボットは脚光を浴びていることは事実であり、この現状を踏まえてロボットが描く未来はどうなるのかという問いを後半のフリーディスカッションに投げかけ、李氏は講演を締めくくった。 3人目の講演者である東京大学教養学部助教の文景楠氏は、古代ギリシャ・アリストテレスを専門とする哲学者である。本フォーラムでは『ロボットの心、人間の心』と題して、「ロボットは心を持つのか?」という問いへのアプローチを示した。 この問いに答えるためには「心とは何か」、そして「心を持つ・持たないということをどうすれば判定できるのか」という2つの問いに先に答える必要がある。第1の問いに対して、心とは「痛みを感じるような何か」というように曖昧に定義し、その上で第2の問いに対しての「人間らしいそぶりを示す」という答えについて考察する。あなたのことを「心を持っていないロボット」と信じ込んでいる人がいた場合、あなたはどうやって自分が心を持っていることを示すだろうか。自身を殴らせることで痛みを感じている表情や様子を示しても、殴られた結果生じる身体のあざを示しても、それはただの「ふり」で巧妙なつくりのロボットだと言われれば反証はできない。 このように「『人間らしいそぶりを示す』ことで心の有無を判定する」ということ自体に嫌疑をかけると、ロボットはもとよりほとんどすべての人間に対して相手が心を持っていない可能性を考慮しなければならなくなるため、人間らしいそぶりを示すものは心を有していると考えるべきである。しかしこの「人間らしい」という基準が曖昧である以上、先の結論は「ロボットは心を持たないと断定すべき根拠はない(どういうロボットが心を持つロボットかはさらなる議論が必要)」と弱めた形で受け入れられることとなる。講演の最後に文氏は、「ロボットが心を持つか」という問いは「心を持つとはどういうことか」という問いを経由し人間の自己理解を問い直すものとして重要であるという考えを示した。 最後の講演では物書きエンジニアの瀬戸文美が「(絵でわかる)ロボットのしくみ」と題して、ロボットや科学技術を一般に広め身近なものとするにはどうしたらよいのか、自身の著書である「絵でわかるロボットのしくみ」を例としてその方法論を示した。ことロボットにおいては見た目や構造が人間と似ているため、技術的に困難であるなしに関わらず人間が行っていることはロボットも当然できるはずというバイアスが見る側にはかかってくる。姿形や派手な動きといった表面的なことだけではなく、その裏に存在する技術や技術者・研究者を伝えることがロボット技術の発展に重要であるという考えを述べた。また写真を並べたカタログ的な紹介冊子か専門的な教科書かという二極化していた従来のロボット書籍と異なり、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行いロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すことを目的としたという著書のアプローチを示した。 その後のフリーディスカッションでは「人間と同様のロボットが誕生した場合にどんな法的整備が必要になるのか」「心の1つの要素として、ロボットは自由意志を持てるのか」といった会場からの問いに、4名の講演者がそれぞれの見解を述べ活発な議論が行われた。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2017/8023/ <瀬戸文美(せと・ふみ)Fumi_SETO> 2008年東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻博士後期課程修了 工学博士 大学院修了後、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)主任研究員などを経て、現在は「物書きエンジニア」として研究や執筆活動を行う。その間、人間協調型ロボットの研究をしながら、科学の魅力や研究の面白さを伝える『東北大学サイエンス・エンジェル』の第一期生として、サイエンスコミュニケーション活動を行う。主な著作:『私のとなりのロボットなヒト:理系女子がロボット系男子に聞く』近代科学社(2012)、『絵でわかるロボットのしくみ(KS絵でわかるシリーズ)』平田泰久(監修)、講談社(2014)。  ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Cakir Murat “What I have learned in Japan”

    ******************************************************************** SGRAかわらばん661号(2017年2月23日) 【1】エッセイ:チャクル・ムラット「私が日本留学で学んできたこと」 【2】新刊紹介:包聯群編著「現代中国における言語制作と言語継承」 ******************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#523(『私の日本留学』シリーズ#7) ◆チャクル・ムラット「私が日本留学で学んできたこと―特に女性のすごさについて」 2006年に運よく日本留学の夢が叶い、今年で9年目になった。振り返ってみればあっという間に過ぎた時間であったが、日本留学をきっかけに「良き市民」になる学びのプロセスが始まったと思う。日本に来た当時と今を比べると、想像以上の成果があり、学んだことは計り知れない。専門的な知識や研究でのノウハウはその1つである。たとえば、問題意識をはっきりさせること、適切な課題や方法を設定すること、そして、研究者だけが理解するような研究では意味がないから、子どもにも分かるように研究のデザインを常に映画監督のごとく考えていくことなど、ここに書ききれない多くの学びがあった。 この9年間は、研究だけをやってきたわけではない。日本人や様々な国の人々との交流のおかげで、研究以上の学びがあった。研究だけの人生というのはつまらないと思ったことも多々あるから、その時にはできるだけ日本人の研究者と交流した。また研究者だけの人間関係では狭いから、子どもや一般の人ともできるだけ多く接したいと思うようにもなった。 特に、小中学校でのトルコの紹介といった形での国際交流活動を通して児童や生徒から学んだことは、私の人生観や世界観を変えるほど刺激的なものだった。子どもたち(子どもといってもみんな立派な「大人」たちだと思うが)に接して思い知らされたことは主に2つある。1つは、私が自分のことや自国のことをいかに知らないのかということだった。もう1つは、教えること、つまり、子どもたちの成長・学びを最大限に助けて導くことがどれほど難しいことなのかをよく理解したことである。 研究について苦しんでいるとき、子どもに関係する活動を行い、そこで得ている学びを自分で実感できるようになり、研究上の新たな気付きや達成感を味わった。だが、当時焦りや心配がいっぱいあった昔の私に、今の自分は、「まだまだ伸びしろがあるよ、先のことを考え過ぎたり、小さなことで悩んだりするよりもっと行動しなさい。その時にやるべきことをやりなさい」と言いたい。なかなか物事がうまくいかず達成感を味わうことができなくても、「それはそれでまた学びだよ」と言いたい。 こうした考えを強めたのは、自分の子どもが生まれた時と、その時から実感し始めた「女性のすごさ」のおかげである。 自分の育ってきた社会において、女性の社会的地位や女性に対する考え方というものにいつも疑問を感じて、どうやったらもっと女性が生き生きする社会にして行けるのだろうかということを考えたりしていた。しかし、今考えてみると、当時は本当の意味で「女性のすごさ」を理解していなかったとはっきりいえる。トルコ社会でも経済的に恵まれている女性たちは生き生きして、積極的で活発に動く人が多い。しかし、日本の女性と比べると、大きく違うところは「日本人女性のしたたかさ」である。 出産前と、出産後の子育ての長い過程が始まってからの妻の変化に対する自分の発見・驚きと戸惑いを忘れることができない。まず、女性が「子どもを産む」ということ自体がすご過ぎる。男性は女性より体力があるにしても、出産の痛みなどには絶対に耐えられない精神的に弱い生き物だと思う。また、子育てをし始めてからのたくましさ・したたかさが出産前より何十倍も強くなっている妻の姿を見たときに、一方で、子どもが産まれてもあまり変わらない、また変わろうとしているがなかなか思うように変えられない自分がそこにいて、今まで感じたことがない無力感に襲われた。その後、妻のペースにどんどん巻き込まれていくのだが、自分は何とかしてついていかなければいけないと思い、いろいろ学び始めた。このように女性が秘めている底なしのしたたかさと、守り・包み込むような優しさを身近に見て感じ、そこから自分は初めて女性を本当の意味で理解し始めた気がした。 一方、晴れて渥美財団のメンバーになれて、異なる側面から女性のすごさを発見することができた。それは、男性と違う女性にしかできないリーダーシップである。男性のリーダーシップはどちらかというと、持っている権力を通して人々が動くように働きかけ、影響を与えることが中心になっているといえる。しかし女性は、影響力を与えるというより、まずその組織の一員としての居場所を与え、一人ぼっちと感じないように大きな家族のあたたかさで包み込む。そこから大きなネットワークに「ダイナミックにつないで」個々人にアイデンティティを与える。そうすると、抵抗感を感じることなくいつの間にか各自は女性のリーダーシップに引っ張られていることに気付く。このような学びを経て、自分がもしリーダーの立場に立った時にどうすればいいのか、相手をどのようにつなぐか、その相互関係性を理解したといえよう。 よく考えてみると、この世の中はそもそも女性が作っているといっても過言ではない。我々男性は仕事や研究という狭いところでちまちましているのではなく、もっと多様な能力を持っている女性に学んで、世の中をよくしていかなければならない。私はどれほど狭い世界でしか考えていないのかを思い知らされ、もっと思考を広くしなければならないと感じた。 これらは私のこれまでの留学経験で得た貴重な体験であるが、良き市民になるための自分の人生の新たな段階での新たな学びは始まったばかりなのだ、と私は思う。 <チャクル・ムラット☆Cakir_Murat> 渥美国際交流財団2014年度奨学生。2015年度に関西外国語大学特任助教。2015年筑波大学人間総合科学研究科教育基礎学専攻博士後期課程単位取得退学(教育学)。獨協大学、文京学院大学、早稲田大学、筑波大学非常勤講師、トルコ大使館文化部/ユヌス・エムレ・インスティトゥート派遣講師。 -------------------------------------------------------------------------- 【2】新刊紹介 SGRA会員の包聯群さんより新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆包聯群編著「現代中国における言語制作と言語継承 第三巻」 本書は、2014年9月15日に学習院大学、2015年11月28日に東京大学東洋文化研究所にて実施された第四・第五回日中ワークショップで行われた口頭発表の内容を論文集としてまとめたものである。主に中国国内におけるモンゴル系言語を中心としているが、その他の言語も含まれている。 第一部「言語政策とバイリンガル教育」 第二部「モンゴル系諸語のダグル語・東部ユグル語」 第三部「モンゴル系言語について」 1)使用と変化、2)文法特徴、3)中国東北地区ホルチンモンゴル語の変化と教育状況、4)中国黒龍江省におけるモンゴル語教育と言語の実態 発行日:2016年10月28日 編著者:包聯群 発行所:株式会社 三元社 ISBN978-4-88303-410-9 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Laila Cassim “Unconventional Returning Home”

    ********************************************************************************* SGRAかわらばん660号(2017年2月16日) 【1】エッセイ:ライラ・カセム「一風変わった里帰り」 【2】新刊紹介:「Innovative_ICT_Industrial_Architecture_in_East_Asia」        (Hirakawa・Takahashi・Maquito・Tokumaru_Eds.) 【3】催事紹介:公開シンポジウム    「世界の中の日本、日本の中の世界:「国内で実施する国際研修」の挑戦」 ********************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#522(『私の日本留学』シリーズ#6) ◆ライラ・カセム「一風変わった里帰り」 私には故郷(ふるさと)が2つあります。留学生同士の親が出会い、兄と私が生まれ、13歳まで過ごした日本と、その後大学卒業まで過ごしたイギリスです。美術大学を卒業し、数年間アルバイトやインターンを転々としていたころ、大学院へ進学したい気持ちが芽生えてきました。どこへ行こうかと迷っていた時、両親が「私達が日本に留学した時の文部科学省の奨学金に申請してみれば?」と提案してくれました。成長するにつれ、「自分のような日本で生まれ育った外国人にとって、日本はどのような場所で、自分は何ができるのだろう」という疑問への回答も得られるのではないかと考え、日本への留学を決意しました。運良く試験に受かり、2010年4月に東京藝術大学大学院のデザイン科に入学しました。 一風変わった里帰り。そんな中、2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。日本全国、そして世界中の皆が、自然の偉大さ、命の尊さ、人間の強さなど、様々なことを考えさせられた出来事でした。自分も何か手助けしたいと思った人は沢山いたことでしょう。また何かしたいが何をすればいいかわからないと、歯がゆく感じた人もいたでしょう。特にデザインをやっている身としては、この歯がゆさを今まで以上に感じました。「きれいなものだけをつくれば人は幸せになれるのか?」「人のための真のデザインとは何か?」等々と。 震災の甚大な被害を思えば悲観的な考えばかりになりがちな中で、私にはこれからの日本が良い方向へ変わるのではないかと楽観的に考える部分がありました。それは、これまで商業目的で活動していた多くのデザイナーが社会に目を向け始め、人のため、コミュニティーのためにどのように自分の技術・スキルを活用できるのかと考え始めたからです。私もその1人として、(震災前に)もともと興味のあった福祉の世界で人とともにデザインをしていくことを決意しました。そして、障がい者施設で知的障がいの成人にアートを教え、そのアートが施設の収入源となるデザイン商品へと転換する活動を始め、現在まで続いています。 しかし、震災から5年経った現在は、東京オリンピックの招致が決まったことで、2011年当初の震災復興ではなく、オリンピックを目的として行政と企業がともに社会的活動を実施する傾向が窺えます。震災以降には社会貢献活動を「震災があったからこういうことは大事ですよね」と言われましたが、今は私自身の活動を説明すると「オリンピックがあるから、このような障害者の活動は大事ですよね」と言われるのです。たしかに震災とオリンピック開催は多くのデザイナー、企業そして行政が社会に目を向けるための良いきっかけとなったことは事実ですが、物事をやる「きっかけ」と「理由」は別ものであり混同してはいけません。 社会貢献を目的とした活動をする人々が、今、答えなければいけない事は「なぜこのような活動をやりたいか」ではなく、「なぜこのような活動をやらなければならないのか」ではないでしょうか。震災後は復興、オリンピックでは「多様性とソーシャルインクルージョン(社会包括)」が課題として掲げられていますが、なぜこの課題が重要なのかという議論がそもそもなされていないのが現実です。復興とは何か、多様性、ソーシャルインクルージョンとは何か、これらの言葉が秘めている根本に答えることが理由となり、真の解決策を導く手段となるのです。その根本こそが、「故郷」という言葉に秘められていると思います。 私が障がい者福祉施設との協働活動でたびたび感じることは、社会の有力な人材となるためには、個人が様々な人と交流し共有できる「居場所」が必要であるということです。障がいや貧困など様々な背景を理由に社会から孤立している、忘れられていると感じている人は少なくないでしょう。障がい者施設に通う重度の障害をもつ多くの人々は、家と施設を往復する生活しかしていません。このような生活が本当にソーシャルインクルージョンといえるのでしょうか? 復興でも同じことです。巨大な防波堤を作り、高台に住宅を作ることが被災地の復興に繋がるのかと考えると、そうでないと言えるでしょう。一度自分の居場所をなくした人々は、物質的なものだけでは「故郷」を構築できないからです。英語では故郷を「Home_is_where_the_heart_is(故郷とは心の集うところ)」と表現します。社会とコミュニティーは様々な背景を持つ十人十色の人間から成り立つものです。その多様な人々の心が集える場をつくることで、協力し合い、調和して生きる世の中を築いていけるのだと思います。より多様な人々が理解し合い、共存できる「故郷」をつくることが、現在の日本や世界各国が掲げている様々な社会課題に取り組む理由、そして解決するヒントの1つになるのではないでしょうか。 私は生涯、デザイナーとして、そして多様な故郷を持つ人間として、社会に居場所がないと感じている人々の心が集える場をつくることに尽くしたいと考えています。 <ライラ・カセム☆Laila_France_Cassim> グラフィックデザイナー。東京大学先端科学技術研究センター特任助教。社会から取り残されたグループのエンパワメントにインクルーシブデザインのプロセスとグラフィックデザインのスキルをツールとして利用することに力を入れ、作品制作と研究に取り組んでいる。現在は足立区の障がい福祉施設「綾瀬ひまわり園」で定期的に講師をし、そのアートを活用し、施設の支援スタッフとともに利用者の社会参加と経済自立につながるアート作品の制作と商品づくりの開発に取り組んでいる。また、東京大学先端研では、突出した能力はあるものの既存の教育環境に馴染めず、不登校傾向にある小・中・高生の継続的な学習保障と生活のサポートを提供するプログラム「異才発掘プロジェクト_ROCKET 」にも関わっている。 -------------------------------------------------------------------------- 【2】新刊紹介 SGRA会員のマキトさんより新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆Hirakawa・Takahashi・Maquito・Tokumaru_Editors  “Innovative_ICT_Industrial_Architecture_in_East_Asia:   Offshoring_of_Japanese_Firms_and_Challenges_Faced_by_East_Asian_Economies” Springer_Japan_2017 New_Frontiers_in_Regional_Science:Asian_Perspectives_17 ISBN:978-4-431-55629-9  ISBN:978-4-431-55630-5(e-Book) http://www.springer.com/us/book/9784431556299 -------------------------------------------------------------------------- 【3】催事紹介 SGRA会員の文景楠さんよりイベントのご案内をいただきましたのでご紹介します。参加申込み・問い合わせは直接主催者へご連絡ください。 ◆公開シンポジウム「世界の中の日本、日本の中の世界:「国内で実施する国際研修」の挑戦」 日時:2017年3月18日 13:00~17:00 会場:東京大学駒場キャンパス_21KOMCEE_East_K011 主催:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属国際交流センターグローバリゼーションオフィス 東京大学では近年、学部生を海外に派遣する従来型の国際研修プログラムに加えて、海外の学生を日本に呼び本学の学生と一緒に学ばせる短期型国際研修プログラムを実施してきました。このシンポジウムでは、このような新しい国際研修プログラムの成果を、類似したプログラムを提供している北海道大学及び韓国西江大学校の事例とともに共有し、こういった試みをさらに広げていくための課題を考えます。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/employment/20170213093055.html ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • CHO Guk “Between Prejudice, Actual Feeling, and Generalization”

    ********************************************************************************* SGRAかわらばん659号(2017年2月9日) 【1】エッセイ:趙国「先入観、実感、一般化の間に」 【2】SGRAフォーラム「人を幸せにするロボット」へのお誘い(2月11日東京)(最終案内)     ※当日参加も歓迎ですが、準備の都合上できるだけ事前にご連絡ください。 ********************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#521(『私の日本留学』シリーズ#5) ◆趙国「先入観、実感、一般化の間に」 まだ留学生活が終わったわけではありませんが、約4年間の留学生活について、反省を込めて顧みたいと思います。私は2012年度に早稲田大学の日本史学コース博士課程に入って留学生活を始めました。日本に来る前に、先輩留学生からいろいろな話を聞き、私は日本(人)に関するある種の先入観を持つようになりました。たとえば、学校生活と日本人学生についてです。同じゼミ所属の日本人学生でも仲良くなるまで非常に時間がかかるということです。日本人は他人への配慮心が高すぎる、また人間関係に用心深いという側面があり、特に外国人(留学生)については親切とはいえ、このような側面がもっと強く反映されているようです。自分が積極的に日本人学生たちの中に溶け込もうとしないかぎり、いくら時間が経っても決して仲良くできないという先輩留学生のアドバイスでした。 私はもともとそれほど社交的な性格ではありませんので、以上のような話を聞いて、ある程度の覚悟を持ってゼミに参加することになりましたが、想像した「日本人イメージ」とは相当違う学生たちと出会って半分驚き、半分安心しました。先に声をかけてくれたり、食事に誘ってくれたりする学生がたくさんいたのです。もちろん、中には予想通り(?)、非常に用心深く、私から声をかけることすら難しそうな人もいましたが、それは韓国でも同じでしょう。 またゼミは、韓国で経験したことよりむしろ自由な雰囲気でした。歴史という多少堅い学問的な雰囲気はあるものの、先生と学生、学生同士の活発な議論が行われ、あるゼミでは史料の選定からゼミのやり方まで、すべてを学生自らが決めるほどの自由度がありました。教室外での雰囲気も、私としては馴染みな風景でした。学校周辺の戸山公園では、酔っ払って乱暴ともいえるくらいの学生たちがたまには目にとまり、韓国での大学の風景とさほど違いはありませんでした。 このような経験から、私は、「いつも遠慮がちで、静かな日本人」という先入観を改めることができました。ただし、私の経験は、主に学校の生活、しかも「学問の独立」を学風とする自由な雰囲気の早稲田大学であるからこそ得たものかもしれません。つまり、私の限られた経験を一般化して、ほとんどの日本人がそうであるとは決して言えないのです。 当然ですが、社会の中には様々な人々がいます。私の限られた経験の中でも、憲法修正の反対集会や慰安婦問題に関するシンポジウムで大勢の人々を目の前にした一方で、長い行列の右翼宣伝車やヘイトスピーチをも目撃しました。ただし、その多様性をあまり強調すると、確かに存在する日韓の相違が逆に見えなくなると思います。その相違を理解するためにも、いわゆる「国民性」を定義・解明する、一般化の過程が不可欠でしょう。 日本にも早くから紹介されている、韓国の学者、李御寧氏の『「縮み」志向の日本人』という本もこの試みの一つだと言えます。盆栽からウォークマンまで、説得力をもって分析がなされた本ですが、他方では、世界最大級といえる日本の古墳や、東大寺のような巨大な建築物はどう説明するのかという疑問も残ります。つまり、一般化の作業には、再び先入観を作り出してしまう恐れもあります。 これは非常に難しい問題で、私も常に悩んでいるところです。たとえば、韓国には日本に対する先入観を持っている人がいますが、これらの人々に私は自らの経験に基づいて「実はそうではないこともある」と語る一方で、「一般化はできないけれど」という条件を付けないといけないのです。しかし同時に、社会全般における日韓の相違を理解するための、一般化した説明もまた必要であると思います。先入観、実感、そして一般化の間にバランスをとっていくことが重要です。歴史に限っても、日韓の間には、相手を理解しながら解決すべき問題が依然として残っています。互いの理解を高めるためには、なにより相手国へ関心を持つことが重要ですが、それと同時に、自分が得た知識、体験と距離を置き、相対化する必要もある、というのが私の留学生活を通じて得た貴重な教訓です。 <趙 国(チョ・グック)CHO_Guk> 歴史学専攻。早稲田大学大学院文学研究科博士課程在学中。研究分野は日本近現代史で、現在は日本の居留地における清国人管理問題について博士論文を執筆している。 -------------------------------------------------------------------------- 【2】第56回SGRAフォーラム「人を幸せにするロボット」へのお誘い(最終案内) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も歓迎ですが、準備の都合上、できるだけ事前にご連絡くださいますようお願いします。 ◆テーマ:「人を幸せにするロボット(人とロボットの共生社会をめざして第2回)」 日 時:2017年2月11日(土・休)午後1時30分~4時30分 会 場:東京国際フォーラムガラス棟 G501号室 参加費:フォーラムは無料 懇親会は賛助会員・学生1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected], 03-3943-7612) 〇フォーラムの趣旨 近年、ニュースや様々なイベントなどで人型ロボットを見かける機会も多くなってきました。今、私たちの日々の生活をサポートしてくれる「より人間らしいロボット ヒューマノイド」の開発が急ピッチに進んでいます。 一方で、私たちの日常生活の中では、既に多種多様なロボットが入り込んでいる、といわれています。例えば「お掃除ロボット」、「全自動洗濯機」、「自動運転自動車」などなど。ロボット研究者によれば、これらもロボットなのだそうです。では、ロボットとは何なのでしょうか? そして、未来に向けて「こころを持ったロボット」の開発がA.I.(Artificial_Intelligence)の研究をベースに進められています。「こころを持ったロボット」は可能なのでしょうか?「ロボットのこころ」とは何なのでしょうか?この問題を突き詰めて行くと、「こころ」とは何か?という哲学の永遠の命題に行きあたります。 今回のフォーラムでは、第一線で活躍中のロボット研究者と気鋭の哲学者が、人を幸せにするロボットとは何か?人とロボットが共生する社会とは?など、皆さまの興味や疑問にわかり易くお答えします。 〇プログラム 【基調講演】「夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み」 稲葉雅幸(Masayuki_Inaba)東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授 ロボットの研究開発は数十年の歴史があり、工場内から社会生活のさまざまな分野への活躍が期待されています。ロボットで社会貢献の夢を抱く若者が集い、社会へ飛び立ってゆく大学におけるロボット研究開発の取り組みについてご紹介します。 【プレゼンテーション1】「ロボットが描く未来」 李周浩(Joo-Ho_Lee)立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科教授 SF映画、SF小説、SF漫画、未来の社会を描く物語には必ずと言っても過言ではないくらいロボットが出てきます。本講演では予測可能な未来を実現させる技術としてのロボットについて、また、そのロボットが現在の社会に与える影響に関する内容を中心に話題を提供します。 【プレゼンテーション2】「ロボットの心、人間の心」 文景楠(Kyungnam_Moon)東京大学教養学部助教(哲学) ロボットは人間のような心をもつことができるのでしょうか。それ以前に、心を「もつ」や「もたない」といったことはそもそも何を意味しているのでしょうか。私のプレゼンテーションでは、こういった問題を哲学的な観点から一緒に考えます。 【プレゼンテーション3】「(絵でわかる)ロボットのしくみ」 瀬戸文美(Fumi_Seto)物書きエンジニア 「絵でわかるロボットのしくみ」はロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すためのガイドブックとして、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行うことを目的とした書籍です。この本ができるまでの紆余曲折をお話しし、ロボットや科学技術を身近なものとするにはどうしたらよいか、皆さんと考えたいと思います。 【フリーディスカッション】-フロアとの質疑応答- 〇プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/12/SGRA_Forum_56_Program_rev2.pdf 〇ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/12/59thSGRAforumposterlight.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第56回SGRAフォーラム(2月11日東京) 「人を幸せにするロボット」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/research/ca04/2016/7741/ ◇第22回日比共有型成長セミナー(2月13日フィリピン・ロスバニョス) 「地方分権と持続可能な共有型成長」(言語は英語)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/network/2017/7812/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie Zhihai “How to Deal with New Year’s Resolution”

    ********************************************************************************* SGRAかわらばん658号(2017年2月2日) 【1】エッセイ:謝志海「新年の抱負との付き合い方」 【2】日比共有型成長セミナーへのお誘い(2月13日フィリピン・ロスバニョス) 【3】SGRAフォーラム「人を幸せにするロボット」へのお誘い(2月11日東京)(再送) ********************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#520 ◆謝志海「新年の抱負との付き合い方」 新年早々、日本人から面白い質問をされた。「中国には新年の抱負ってあるの?(もしあれば)それは新年、それとも春節どちらに目標を立てるの?」とても日本人らしい質問だと思った。というのは中国では新年の抱負というものが一般的ではないからだ。誰も全くしないとは言わないが、年明けや春節に挨拶代わりのように「今年の抱負は?」と聞き合うことはない。 日本では正月を迎える前から「来年の抱負は?」という質問が飛び交っている。テレビを観ていても、芸能人だけでなく、政治家までもがこの質問をされている。また聞かれた側も普通に回答している。新年を新たな区切り、スタート地点として捉え目標設定することはとても良いことだと思い、とても興味深い。 では年の瀬、どのくらいの人が年初にたてた目標を達成できているのだろう。私に質問をしてきた日本人に「年末には今年の抱負をどのくらい達成できたか聞きあったりするの?」と聞いてみた。相手は「うーん、ないかなあ」と言葉に詰まってしまった。「その時期は師走でそれどころじゃないんじゃない。」というのが答えだった。そうか、日本では掲げた目標の達成度をレビューする機会があまりないのかもしれない。年末年始には抱負は?抱負は?とどこでも話題になるのに抱負を振り返るチャンスはシェアされていない。これもまた興味深いことである。 調べてみると、「新年の抱負に掲げるのは何か」というランキングは出てきたが、結果や、達成度についてのデータは出てこなかった。代わりにアメリカでの調査結果があった。アメリカのスクラントン大学の「新年の抱負」についての調査によると、2016年に立てた新年の抱負を達成出来たと感じられた人はたったの9.2%。日本で調査しても、案外似たようなものかもしれない。マクロミル社が2016年1月に日本で行った調査によると、過去に新年の抱負を立てたことがある人に挫折したことがあるかと聞いたところ、「挫折したことがある」と答えた人が87.6%と9割近い数になっている。目標を掲げることは簡単でもそれを実行するのは難しいということか。 日本の書店に行くとビジネス書のセクションには目標の実行の仕方、夢の叶え方等の自己啓発本がたくさん並んでいる。ということは日本人はやはり目標を掲げ、達成する為に日々奔走しているのではないだろうか。しかも海外からの自己啓発たぐいの本も日本語に翻訳され同じくビジネス書のコーナーにたくさん並んでいる。海外のメソッドまで取り入れようとしているのか、と感心する。 例えば、米国スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガル教授の著書「スタンフォードの自分を変える教室」では実践的で誰もがすぐに取り入れやすいように、目標達成へのステップを指南している。この教授の専門は健康心理学で、目標を叶えるプロなどではないのだが、彼女がよく提案するのは、大雑把に言うと自己分析や自分を振り返る時間が大切だということ。ということは目標を立てるだけではダメで随所に振り返りの作業を取り込むべきなのだろう。自己分析、すなわち自分を客観的に見ることは、難しいけれど目標を叶えるためには不可避なのだろうと感じさせられる。 日本には新年に抱負を掲げるチャンスがあり、それを実行する為の指南書も溢れている。日本に住んでいる私はこれらを活用しなくてはと思い始めた。新年の抱負としてではないが、私が立てた目標は実は数年前からずっと同じだ。ということは大多数の、新年の抱負を達成できていない人、挫折した人と同じになっている。年内に必ず自身の目標に対して振り返る機会を作ろうと思う。自己分析が上手になれば目標達成への近道となるはず。まずはそれが私の今年の抱負だ。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -------------------------------------------------------------------------- 【2】日比共有型成長セミナー「地方分権と持続可能な共有型成長」へのお誘い 下記の通り第22回日比共有型成長セミナーをフィリピンのラグナ州ロスバニョス市で開催します。参加ご希望の方は、SGRAフィリピンに事前に申し込んでください。 ◆テーマ:「地方分権と持続可能な共有型成長」 日 時:2017年2月13日(月)9:30~15:30 会 場:フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)公共政策と開発学部 言 語:英語 申込み・問合せ:SGRAフィリピン ( [email protected] ) ●セミナーの趣旨 SGRAフィリピンが開催する22回目の持続可能な共有型成長セミナー。 第二次世界大戦後フィリピンは東南アジアでトップの発展を遂げていたのに、残念ながら今では同級生に遅れをとってしまっている。フィリピンの持続可能な共有型成長を妨げる3つの問題は、鈍い成長、格差、環境である。一方、戦後の開発の大半は、首都に集中する経済や政治的決断に依存していたが、この20年間には地方分権を目指す様々な努力が行われている。この努力を「持続可能な共有型成長」という観点から理解し、地方分権によって上述の問題が解決できるか検討するのが今回のセミナーの基本的な目的である。 ●プログラム 09:00-09:30 登録 司会:メルリン・M・パウンァラギ(Dr._Merlyne_M._Paunlagui)、      ロウェナ・DT・バコンギス(Dr._Rowena_DT_Baconguis) 09:30-10:00 開会挨拶 ヴィルジニア・カルデナス(Dean_Virginia_Cardenas)UPLB公共政策と開発学部学部長  今西淳子(Ms._Junko_Imanishi)渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表  10:00-11:00 発表1「連邦制と地方自治」   ダニ・レイエス(Dr._Danny_Reyes)UPLB行政ガバナンス学部教授 11:00-11:30 発表2「再建と復興の戦略の再検討:ジョージスムからの観点」 ジョッフレ・バルセ(Mr._Joffre_Balce)良き政府協会研究員 11:30-12:00 発表3「フィリピン農業の現状」     エリセオ・ポンセ(Dr._Eliseo_Ponce)国際コンサルタント、ヴィサヤス大学名誉教授 12:00-13:00 ランチ休憩 13:00-15:00 円卓会議 モデレーター:マックス・マキト(Dr._Max_Maquito)SGRAフィリピン代表 15:00-15:30 ミリエンダ休憩 セミナー終了後 UPLBキャンパス見学 ※詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/network/2017/7812/ -------------------------------------------------------------------------- 【3】第56回SGRAフォーラム「人を幸せにするロボット」へのお誘い(再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ◇テーマ:「人を幸せにするロボット(人とロボットの共生社会をめざして第2回)」 日 時:2017年2月11日(土・休)午後1時30分~4時30分 会 場:東京国際フォーラムガラス棟 G501号室 参加費:フォーラムは無料 懇親会は賛助会員・学生1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected], 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 近年、ニュースや様々なイベントなどで人型ロボットを見かける機会も多くなってきました。今、私たちの日々の生活をサポートしてくれる「より人間らしいロボット ヒューマノイド」の開発が急ピッチに進んでいます。 一方で、私たちの日常生活の中では、既に多種多様なロボットが入り込んでいる、といわれています。例えば「お掃除ロボット」、「全自動洗濯機」、「自動運転自動車」などなど。ロボット研究者によれば、これらもロボットなのだそうです。では、ロボットとは何なのでしょうか? そして、未来に向けて「こころを持ったロボット」の開発がA.I.(Artificial Intelligence)の研究をベースに進められています。「こころを持ったロボット」は可能なのでしょうか?「ロボットのこころ」とは何なのでしょうか?この問題を突き詰めて行くと、「こころ」とは何か?という哲学の永遠の命題に行きあたります。 今回のフォーラムでは、第一線で活躍中のロボット研究者と気鋭の哲学者が、人を幸せにするロボットとは何か?人とロボットが共生する社会とは?など、皆さまの興味や疑問にわかり易くお答えします。 ◇プログラム 【基調講演】「夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み」 稲葉雅幸(Masayuki_Inaba)東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授 ロボットの研究開発は数十年の歴史があり、工場内から社会生活のさまざまな分野への活躍が期待されています。ロボットで社会貢献の夢を抱く若者が集い、社会へ飛び立ってゆく大学におけるロボット研究開発の取り組みについてご紹介します。 【プレゼンテーション1】「ロボットが描く未来」 李周浩(Joo-Ho_Lee)立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科教授 SF映画、SF小説、SF漫画、未来の社会を描く物語には必ずと言っても過言ではないくらいロボットが出てきます。本講演では予測可能な未来を実現させる技術としてのロボットについて、また、そのロボットが現在の社会に与える影響に関する内容を中心に話題を提供します。 【プレゼンテーション2】「ロボットの心、人間の心」 文景楠(Kyungnam_Moon)東京大学教養学部助教(哲学) ロボットは人間のような心をもつことができるのでしょうか。それ以前に、心を「もつ」や「もたない」といったことはそもそも何を意味しているのでしょうか。私のプレゼンテーションでは、こういった問題を哲学的な観点から一緒に考えます。 【プレゼンテーション3】「(絵でわかる)ロボットのしくみ」 瀬戸文美(Fumi_Seto)物書きエンジニア 「絵でわかるロボットのしくみ」はロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すためのガイドブックとして、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行うことを目的とした書籍です。この本ができるまでの紆余曲折をお話しし、ロボットや科学技術を身近なものとするにはどうしたらよいか、皆さんと考えたいと思います。 【フリーディスカッション】-フロアとの質疑応答- 〇プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/12/SGRA_Forum_56_Program_rev.pdf 〇ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/12/59thSGRAforumposterlight.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第56回SGRAフォーラム(2月11日東京) 「人を幸せにするロボット」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/research/ca04/2016/7741/ ◇第22回日比共有型成長セミナー(2月13日フィリピン・ロスバニョス) 「地方分権と持続可能な共有型成長」(言語は英語)<参加者募集中> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************