SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Invitation to SGRA Webinar “The 5th Dialogue of National Histories”

    *********************************************** SGRAかわらばん849号(2020年12月10日) *********************************************** ◆第65回SGRAフォーラム/第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 オンライン会議「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」へのお誘い 下記の通り第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日 時:2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本時間) 方 法:Zoom_Webinarによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ※参加申込(下記リンクより参加登録をお願いします) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_qneDSQLgS4GWpaC1tLzuoQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■概要 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)では、2016年以来「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を4回実施してきたが、今回は初めて試みとしてオンラインで半日のプログラムを開催する。今回のフォーラムでは、3カ国の歴史研究者が近代史の中の感染症についての研究を発表し、東アジア地域の交流史としての可能性を議論する。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメルマガ等で広く社会に発信する。 ■テーマ「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。 ■プログラム 第1セッション(14:00-15:40) 座長:村和明(東京大学) 【歓迎挨拶】今西淳子(渥美国際交流財団) 【開会挨拶】趙珖(韓国国史編纂委員会) 【発  表】 韓国:朴漢珉(東国大学)「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」 日本:市川智生(沖縄国際大学)「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」 中国:余新忠(南開大学)「中国防疫メカニズムの近代的発展と性格」 【指定討論】 韓国:金賢善(明知大学) 日本:塩出浩之(京都大学) 中国:秦方(首都師範大学) 第2セッション(15:45-17:15) 座長:南基正(ソウル大学) 【論点整理】劉傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) ・韓国: 李命美(慶尚大学)、金甫桄(嘉泉大学)、許泰玖(カトリック大学)、崔ジョヒ(徳成女子大学)、韓承勲(韓国芸術総合学校)、韓成敏(大田大学)、金キョンテ(全南大学) ・日本: 向正樹(同志社大学)、四日市康博(立教大学)、八百啓介(北九州市立大学)、大川真(中央大学)、大久保健晴(慶応義塾大学)、青山治世(亜細亜大学)、平山昇(神奈川大学) ・中国: 鄭潔西(寧波大学)、孫衛国(南開大学)、孫青(復旦大学)、彭浩(大阪市立大学)、李恩民(桜美林大学) ・ゲスト: 明石康(元国連事務次長)、楊彪(華東師範大学)、王文隆(国立政治大学)、段瑞聡(慶応義塾大学) ・オブザーバー: 葛兆光(復旦大学)、祁美琴(中国人民大学) 【総  括】宋志勇(南開大学) 【閉会挨拶】三谷博(跡見学園女子大学) ※同時通訳 韓国語⇔日本語:李ヘリ(韓国外国語大学)、安ヨンヒ(韓国外国語大学) 日本語⇔中国語:丁莉(北京大学)、宋剛(北京外国語大学) 中国語⇔韓国語:金丹実(フリーランス)、朴賢(京都大学) ※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_Kokushi4_ProjectPlan.pdf ・プロジェクト資料 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/kokushi/2020/15892/ ・チラシ http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/11/J-Kokushi5-Poster-light.jpg ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • SGRA China Forum #14 Report

    *********************************************** SGRAかわらばん848号(2020年12月3日) 【1】チャイナフォーラム「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」報告 【2】寄贈本紹介:ナーヘド・アルメリ『金子みすゞの童謡を読む』 *********************************************** 【1】孫建軍「第14回SGRAチャイナフォーラム『東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考』報告」 2020年11月1日午後、第14回SGRAチャイナフォーラム『東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考』がオンラインのウェビナー形式で開催された。北京大学民主楼(燕京大学の教会だった場所)の講堂には大学院生30名近くが集まり、ささやかな会場が設けられていた。 日本時間の午後4時、北京時間の午後3時の定刻より、フォーラムが始まった。今西淳子常務理事に続き、国際交流基金北京日本文化センターの高橋耕一郎所長が開会の挨拶をして、滑り出しは順調だった。 国際日本文化研究センター稲賀繁美教授の講演テーマは「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」。近代にさしかかった時代から、時には新型コロナウイルスのように恐れられていた西洋文明が東アジアに影響を及ぼすようになった。絵画の世界においても、日本、中国、ヨーロッパといった3者の往来、交錯が顕著に見られた。稲賀先生は美しい絵を見せながら、「気韻生動」、「感情移入」等の美学の概念、そしてそれらを一身に背負う画家にスポットを当て、解説を行った。ところが、大変残念なことに、機械の音声トラブルが生じ、先生の声が途切れたりした。 講演に続き、清華大学歴史系の劉暁峰先生、東京大学東洋文化研究所の塚本麿充先生、清華大学中文系の王中忱先生(公務のため当日は参加できず、中国社会科学院文学研究所の高華シン先生が代読)、香港城市大学中文及び歴史学科の林少陽先生よりそれぞれの専門的知見に基づいたコメントが述べられた。 その後の質疑応答の時間も音声トラブルで稲賀先生とのやりとりに困難が続いたが、先生ご自身をはじめ、通訳者、渥美財団のスタッフの懸命なご尽力がスクリーンを通して目に焼き付いた。 2020年はコロナへの恐怖から始まったといっても過言ではない。今年のチャイナフォーラムの開催は難しいと半分諦めていたが、8月頃から急ピッチで準備が進められた。形式、日時、テーマ、講演者、コメンテーター、ポスターなど、多くの方々に支えられながら開催に至った。参加者の理解を促すために、講演内容に関連する数々の論文が事前に紹介されたのも印象的だった。300名近い当日の参加者数もチャイナフォーラム開催以来、最大の数字を誇る。深く御礼を申し上げたい。 どんなに素晴らしい美術品にも欠点が存在するように、今回のフォーラムでは音声トラブルにより講演内容を十分堪能できなかったとのご指摘を真摯に受け止めたい。フォーラムの全容は、日本語版と中国語版の合冊レポートにまとめ、2021年春に冊子とPDFで発行する予定である。改めて当日の機械の不具合についてお詫びし、お聞き苦しかった点はレポートで補っていただきたい。 当日の写真 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/12/14thChinaForum_Photos.pdf アンケート集計 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/12/14thChinaForum_Survey.pdf <孫建軍(そん・けんぐん)SUN Jianjun> 1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。専攻は近代日中語彙交流史。著書『近代日本語の起源―幕末明治初期につくられた新漢語』(早稲田大学出版部)。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員のナーヘド・アルメリさんよりご著書をご寄贈いただきましたので紹介します。 ◆ナーヘド・アルメリ『金子みすゞの童謡を読む:西條八十と北原白秋の受容と展開』 シリア人の日本文学研究者が、日本語と格闘しながら、独創的な金子みすゞ童謡論を完成させた。 「みんなちがって、みんないい」というフレーズで有名な金子みすゞの童謡のイメージは、〈やさしさ〉が強調されてきた。はたしてみすゞの童謡の本質は〈やさしさ〉だけなのだろうか。本書の著者、シリア人の日本文学研究者は、この〈やさしさ〉という童謡の本質に疑問符を突きつけ、〈やさしさ〉を超えた、みすゞ童謡の実像に迫り、画期的なみすゞ童謡論を生み出した。従来の研究では、みすゞ童謡に影響を与えた存在として西條八十が挙げられ、北原白秋については言及されてこなかった。著者は、八十と白秋の詩や童謡、両者が発表した翻訳詩などの緻密な分析を通して、みすゞが八十と白秋の両者からそれぞれに作品の特長や創作上の方法論を吸収しつつ、一生懸命にオリジナルの作品世界に昇華させたことを解明した。 巻末の「金子みすゞと私」は、日本語を学び、みすゞの魅力を発見した著者が、みすゞ童謡の普遍性について述べる。 発行:港の人 四六判/並製本/本文240頁 2000円(本体価格・税別) 2020年11月6日 ISBN978-4-89629-381-4 詳細は下記リンクご参照ください。 https://www.minatonohito.jp/book/381/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • KIM Sinhye ” Exchange Activities in Social Welfare”

    *********************************************** SGRAかわらばん847号(2020年11月26日) 【1】エッセイ:金信慧「社会福祉における交流活動」 【2】国史対話メルマガ#24を配信:彭浩「ヘルス・パスの誕生」 *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#654 ◆金信慧「社会福祉における交流活動―山形県高畠町での経験を通して」 私が所属している立教大学コミュニティ福祉学部(コミュニティ福祉学研究科)と山形県高畠町では、2001年4月から地域連携プログラムのひとつである「高畠プロジェクト」を始めた。2010年11月には相互友好協定を結び、さまざまな形での連携交流を続けている。具体的には実習や演習、農業体験や調査研究など、毎年双方からの提案による活動が繰り広げられている。 高畠町は山形県の南東にある人口約2万3千人の町で、ぶどう「デラウエア生産量日本一」など、農業の盛んな町として知られる。この町は「まほろばの里」と呼ばれている。「まほろば」とは、「周囲を山々で囲まれた、実り豊かな土地で美しく住みよいところ」という意味の古語である。山形新幹線高畠駅を降りると、南に飯豊連山、西に朝日連峰、東を蔵王山に囲まれ、米、野菜、果物の豊かな土地を目にすることができる。 立教大学と高畠高校の高大連携交流事業として11年目を迎えた2019年6月19、20日の2日間、私は立教大学の大学院生講師として派遣され、福祉を選択している生徒を対象にした講義とディスカッション形式の特別授業を行った。このプロジェクトは高等教育を受講させることで高校生の知的欲求を開発し、山形県内各市町村の未来の地域コミュニティを担う人材を育てることを目的としている。 1日目の「社会福祉基礎」では、4月から初めて社会福祉を学ぶ2・3年次生徒約50名を対象に社会福祉を学ぶ面白さを中心に、私が社会福祉の道に進んだきっかけや、韓国と日本の社会状況、両国における福祉の今後の課題などについて講義をした。 2日目は、1年間を通して自ら設定した課題を研究する「社会福祉研究」のクラスで、私が大学院で行っている研究の内容について講義をした後、3年生6名が課題研究の発表を行った。生徒がそれぞれ取り組んでいる課題研究のテーマは、孤独死や無理心中、高齢者の介護問題、高畠町の観光案内、地域再生の方法など多様で興味深く、議論を深めることができた。 生徒からは、私が講義の中で取り上げた少子高齢化、人口減少社会、消滅可能性都市の事例について「今までは少子高齢化という問題について深く考えたことがなかったけど、他人事ではなく、私達1人1人がこれらの課題について考えて行かなければならないと思いました。今の世代からできることを少しずつ積み重ねていこうと思います。この問題をより多くの人に知ってもらい、危機感を感じてもらうことが大きな第一歩だと思いました。」などの感想が寄せられ、私が高校生に一番伝えたかったこと―「社会福祉」は単なる高齢者やしょうがい者の介護問題ではなく、われわれの生活と密接に関連した「自分事」として捉えること―をしっかりと受け止めてくれたことに感動した。 また、「金さんは現在韓国と日本をまたにかけて自殺の問題の解決法を研究していて、現在の問題に背を向けないで、まっすぐに向き合って生きている金さんがとてもかっこよく感じました。私も社会問題に背を向けないで、社会のために貢献できる人間になりたいです。」というある生徒の感想文は特に胸に響いた。自分が取り組んでいる研究―韓国と日本の自殺問題と予防対策―の意義を改めて考えるよい機会となった。 高畠高校での特別講義だけでなく、1泊2日の間、高畠高校の評議員(元高畠町役場の職員)の方のお宅にホームステイをして得たこともたくさんある。たとえば、日本の茶道や着物の体験、ぶどう農園の作業など、普段はできない大変貴重な経験が出来た。また、奈良県桜井市の安倍文殊院、京都府宮津市の智恩寺(切戸の文殊)とともに、日本三文殊の一つに数えられる亀岡文殊(大聖寺)をはじめとして、高畠ワイナリー、瓜割石庭公園、安久津八幡神社など、高畠町の観光スポットを案内していただいたこともとても楽しかった。 これからも私の研究領域である「社会福祉」を媒介として、日本と韓国さらには世界における交流活動を続けていきたいと強く思っている。 <金信慧(キム・シンヘ)KIM Sinhye> 渥美国際交流財団2019年度奨学生。東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科修士課程修了(社会福祉学の学位授与)。立教大学大学院コミュニティ福祉学博士課程修了(単位取得満期退学)。韓国社会福祉士(国家資格取得)。日本社会福祉士(国家資格取得)。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】国史対話」メールマガジン第24号を配信しました。 ◆彭浩「ヘルス・パスの誕生」 コロナの話が毎日、脳神経を刺激し続け、ストレスがたまりやすい状況。現実から目をそらして一休みしたい時もある。人はそれぞれリラックスの方法があるが、昔話を聞くのも癒しになる。歴史にはロマンがあるのだから。最近、人の移動をコントロールするためのパス、いわば通行証に関心を持つようになってきた。その歴史は、現在の問題、つまりウイルスの感染防止と接点があることに気づいた。これをみんなと共有したいと思い筆を執った。みなさんの気分転換の一助になれば幸いである。 人類史上、大規模な疫病の流行は何度もあった。たとえば、14世紀中ごろの数年間、ペストによりヨーロッパの人口の3分の1が失われ、ペストはその後も長きにわたって断続的に発生した。「黒死病」(Black_Death)という名が歴史書に残っていること自体が、当時の人びとにいかに大きな恐怖を与えたか語ってくれる。しかし、疫病対策と公衆衛生の観点から見れば、画期的な新たな制度を生み出した時代でもあった。 今の新型コロナ感染症と同じで、「黒死病」の時代も、パンデミックが起こると、村落や都市は、ウイルスから地域の安全を守るため、さまざまなレベルの移動制限を敷いた。中世ヨーロッパの経済基盤は自給自足の荘園経済であったため、広範囲の移動がなくてもなんとかなる状況だったが、ヒト・モノの行き来に頼る商業の町の状況は異なった。移動制限は商人そして雇用労働者などにとって、生計を直撃する問題である一方、食品の供給難を伴うことで都市の存立危機をもたらした。それらの商業都市では、いちはやく経済の再開に取り組む必要性が生まれ、感染のリスクを最大限に抑える上で、人の移動を認めるための対策づくりに必死だった。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2020PengHaoEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • SHIN Hyewon “Appropriate Sense of Distance”

    *********************************************** SGRAかわらばん846号(2020年11月19日) 【1】エッセイ:申惠媛「適切な距離感の測り方」 【2】寄贈書紹介:『はじめての論理学:伝わるロジカル・ライティング入門』 *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#653 ◆申惠媛「適切な距離感の測り方」 中学生のとき、なにかの宿題だっただろうか、自分のことについて作文を書いたことがある。詳細はまったく思い出せないものの、日本に暮らす韓国人としての自分のことを振り返りながら、「私は私」という、今にして思えば小説等の影響を多分に受けていて、背伸びしてはなかろうか?と勘繰りたくなるような、しかし実に素直な結論で、担任の先生に気に入ってもらえたことが嬉しかった、そんな思い出がある。 今の自分と比べると、当時の私は常にアンテナを張っていて、ちょっとしたことで尖り、自分の考えを晒すことに躊躇しない、こわいもの知らずの十代だった。振り返れば眩しく、空恐ろしくもある。当時の私にとって、自分とはまわりに「日本に住む外国人」を認識してもらうためのこの上ない媒体であったし、日本語の拙さを指摘されなくなってからは、まわりの人々が持つなにかしらの固定観念を見つめ直してもらうために小さな発信を続けていた。社会学者の岸政彦は、著作『同化と他者化』において、マイノリティであることは果てしなく自己に問いかける「アイデンティティの状態」に置かれることであり、マジョリティであることはこのような問いかけから免除されていることであると述べたが、当時の私は(もちろんこのことは知る由もないが)まさにこうした問いかけを自分のみならずまわりに対しても投げ続けることに強く意味を感じていたように思う。 翻って今、日本に暮らす「外国人」をめぐる研究を選び取り、長い時間をかけて進めてきた私は、もう少し慎重で、当時の私からすれば不必要におどおどしているように見えるかもしれない。何かを発言する前に、立ち止まり、深呼吸して、推敲しようとする私は、良くも悪くも少しばかり「大人になった」のかもしれないが、どちらかといえば、当事者としての自分と、(まだまだ若葉マークではあれ)研究者としての自分のちょうど良い距離感を測り続けているからではないか、と感じている。 私は今でも変わらず、日常生活で覚えた小さな違和感をひっそりと拾い集め、積み上げている。入学式を控えたこの季節になると聞こえてくる、「桜をきれいだと感じるのは日本人ならではだよね」「日本に生まれてよかった」といった、なんてことはない言葉に対して、その度に引っかかりを覚える。特段何の悪意もない、「やっぱり韓国人だね」や「もう完全に日本人だよね」のどちらに対しても曖昧に笑ってうなずくことしかできない。淀みなく会話していたはずの相手に、名前を明かした途端にゆっくりとしたスピードになる日本語に、配慮を感じ取るよりももどかしさを覚えることも、依然として多々ある。 それでも、これらの思いは、私が研究を進める上での強烈な動機や基本的なスタンスにこそなれ、実際に議論を展開する際に挟み込まれることはないように、可能な限り注意を払って進めているつもりである。誰にとってもそうかもしれないが、少なくとも私にとって、論文を書くことは、いくつも厳しい批判を想定し、なんとか答えようとする作業の連続のように思える。私が思いつく程度のことはすでにとうの昔に答えられていて、より細かく、より新しい説明が求められる。先人の積み重ねた考察を読み進めるほど、新たな言葉を獲得すると同時に、自分が付け加えられる部分の小ささを思い知り、この圧倒的な営為の前では度々口をつぐむことになる。 それに、当然のことながら当事者としての私は決して誰かの代弁者になれるはずもなく、先行研究に当たることはもちろん、実際にフィールドに出かけて調査を進めていると、このことをより強く実感する。私が日本で暮らすことで見聞きし、感じてきたことは、あくまでもひとつの軌跡に過ぎず、同様に「日本で暮らす外国人」であっても、その経験や感性は千差万別である。そういった瞬間に遭遇する度に、当事者としての私は戸惑い、ときには落ち込み、傷つくこともある。調査は必ずしも「望ましい」答えを与えてくれないし、自己の一般化はただの驕りでしかない。 そうやって振り返れば、長い大学院生活を経て手に入れたのは、先人への敬意と、自分とは異なる他者への気付き、そしてそれゆえの慎重さであるように思われる。いまだに当事者としての自分と研究者としての自分の「ちょうど良い」距離感はうまく測れないことが多く、時に場面にそぐわず慎重すぎたり、感情的になりすぎたりすることもあるものの、おそらく他の多くの研究者もそれぞれの距離の取り方に悩み、試行錯誤しているのだろう、そんなふうに思って自分を奮い立たせる。「私は私」と言ってのけた遠い日の稚い勇気を少しばかり借りるならば、「私らしく」距離感を測り続けることにも意味があると思いながら、これからの研究生活を進めていければと願う。 <申惠媛(シン・ヒェウォン)SHIN_Hyewon> 渥美国際交流財団2019年度奨学生。東京大学教養学部附属教養教育高度化機構・特任助教。2013年東京大学教養学部卒、2015年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了、2020年同博士課程単位取得満期退学。専門は社会学、移民・エスニシティ研究。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈書紹介 SGRA会員の文景楠さんより共著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆篠澤和久、松浦明宏、信太光郎、文景楠著 『はじめての論理学:伝わるロジカル・ライティング入門』 いつでも・どこでも・誰にでも思いを伝えるための言葉のマナー、それが論理です。「わかりやすく書くこと」を軸に論理学の基礎を学べる入門テキスト。接続表現の使い方からさまざまな論法の組み立て方、記号を用いて議論の構成を明瞭にする方法まで、豊富な事例で解説。建設的な議論に欠かせない論理学の要点を身につけましょう。 有斐閣ストゥディア 2020年10月発売 A5判並製カバー付、206ページ 定価:1,980円(本体:1,800円) ISBN:978-4-641-15081-2 ※詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641150812 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • GUO Chiyang “A Stranger in his Hometown”

    *********************************************** SGRAかわらばん845号(2020年11月12日) 【1】エッセイ:郭馳洋「故郷の異邦人」 【2】寄贈書紹介:HONG_Yunshin_"Comfort_Stations" *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#652 ◆郭馳洋「故郷の異邦人」 桜が咲き始めた3月の下旬、東京のアパートで窓の外を眺めると、暖冬最後の冬らしさを主張するかのように雪が降っている。僕にとって雪が見られるのは日本にいる時に限る。冬でも軽々と20度を超える日が多い故郷では雪なんか降らないからだ。 大学3年生の頃は、交換留学生として筑波大学に1年間在学していた。初めて日本に来たのがその時だった。交換留学の申請は地元で入学した大学2年の後半に始まったが、ようやく大学生活に馴染みはじめた僕は留学なんかに乗り気ではなかった。留学を熱望した「意識高い系」のルームメートに付き合う形で申請書を提出したものの、早くも煩雑な手続きに頭を抱えた。とはいえ、「こんないいチャンスはめったにないんだよ。今のうち行かないと後悔するぞ」と先生方から何度も言われたし、どうせ1年だけだから、人生に1度ぐらい非日常的な異国体験ができるのも悪くないと思い、逡巡しながらもなんとか手続きを最後まで完了させ、留学に旅立った。そして留学先での勉強生活を通じて学問の世界に興味を抱き、研究したいことも見つかり、結果的に日本の大学院への進学が決まった。 大学院は甘くない、けれど数年辛抱すれば学位を取って帰国し、元の日常生活に戻れるはずだ。そう思っていた僕は地元の大学を卒業したあと再び日本に渡り、修士課程を修了し博士課程にあがり、気づいたら6年半の歳月が流れた。ところがいつからか、自分のなかで「日常」と「非日常」が逆転しはじめたようだ。狭いアパートでの1人暮らしと大学院の研究生活が日常になってきて、カレンダーは大学や学会の行事で埋まっている。一時帰国は年に1回か2回程度で、帰ったあとも相変わらずレポートや論文で忙殺されていた。いったん街に出ると、かつて見慣れた故郷の景色をどこかよそよそしいと感じてしまい、近所の市場で買い物する際にぎこちない方言を操っている自分がいた。町並みに関する記憶も、地図で確認しないと同窓会が開かれる有名な店の場所すら分からないくらい薄れている。どうやら僕は、自分の故郷の異邦人になったみたいだ。 そこでふと思った。故郷とはなにか、と。そもそも、中国の南の沿岸部に位置するこの都市は僕にとって果たして故郷といえるだろうか。たしかにここに両親が住んでいる。その意味で実家というのは間違いない。だが故郷はたぶん実家以上の何かである気がする。それは、明確な輪郭を持たないにせよ、「家」を取り巻く1個1個の原風景を?き集めたようなものではないか。しかしいま、心のアルバムをめくっても、思い出の写真はそれほど出てこない。 というのも、この都市に住んでいたのは中学3年から高校3年まで、せいぜい4年間なのだ。1つの場所を故郷として胸に焼き付けるには4年という時間は短すぎたかもしれない。それ以前はずっと都市部からやや離れた小さな町(行政区画では同じ「市」の管轄下にあるが)で暮らしていた。中学2年の夏、親の転勤で引っ越しと転校を余儀なくされた。そのとき、仲間との別れや新しい環境への不安にさいなまれ、大きな抵抗感を覚えた。引っ越し先のすべては新参者の僕にとって疎ましい存在だ。毎日のように元の町に帰りたいと駄々をこねて、実際何回か戻ったこともある。そしてあそここそ真の故郷だと思っていた。 しかし、やがてインフラ整備や大規模の改築工事が次々と行われ、町の雰囲気はすっかり変わり、昔の知人たちも相次いで引っ越してしまった。あの故郷に帰ったところで、親しみのある人も物ももはや見当たらない。少し大人になったためか、単に15歳の自分を裏切った結果か、僕はあるときからあの町に帰ることを口にしなくなった。かといって、高校を卒業し大学に行ったあとも、ついに「新しい故郷」に馴染むこともできなかった。なるほど、現実の物理的な空間を占めた故郷には大した思い入れがなく、思い入れのある故郷は過去の時間にしか存在しない。帰郷という言葉さえ空しくなるほど、故郷という存在が抜け殻のようになっている。僕は期せずして故郷の喪失といういかにも現代人らしい宿命を自分なりに体験することになった。 窓を開けてみると、雪が止んだ。季節は移ろうとしている。もう少し、淡い郷愁を誘うこの移ろいを味わいたいものだ。 <郭馳洋(かく・ちよう)GUO_Chiyang> 2019年度渥美国際交流財団奨学生。2011-2012年、筑波大学に交換留学。2013年、廈門大学日本言語文学学科を卒業。2016年、東京大学大学院修士課程を修了、修士号を取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程に在学。日本学術振興会特別研究員(2016-2019)、東京大学東アジア藝文書院リサーチアシスタント(2019-2020)。日本近代思想史を専攻。訳書に『中国近代思想的“連鎖”』上海人民出版社、2020(原著:坂元ひろ子『連鎖する中国近代の“知”』研文出版、2009)。ほかに研究論文多数。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈書紹介 SGRA会員の洪ユンシンさんよりご著書『沖縄戦場の記憶と「慰安所」』の英語版をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆HONG_Yunshin(Translated_and_Edited_by_Robert_Ricketts) “Comfort_Stations”_as_Rememberd_by_Okinawans_during_World_WarII 出版社:Brill ◇書籍 ISBN:978-90-04-33866-1/出版日:2020年2月2日 ◇電子版 ISBN:978-90-04-41951-3/出版日:2020年3月2日 英語版の詳細は下記サイトをご覧ください。 https://brill.com/view/title/34321 【参考】洪ユンシン『沖縄戦場の記憶と「慰安所」』 http://impact-shuppankai.com/products/detail/249 沖縄の130カ所の「慰安所」、住民は何を見たのか沖縄諸島・大東諸島・先島諸島に日本軍が設置した「慰安所」の成立から解体まで ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • XIE Zhihai “Is Corona Pandemic a Chance for Regional Revitalization?”

    *********************************************** SGRAかわらばん844号(2020年11月5日) *********************************************** SGRAエッセイ#651 ◆謝志海「コロナ禍は地方創生のチャンスとなるか?」 新型コロナウイルスの到来によって、我々の暮らしが一変してしまった2020年。まずは人口密度の高い都心の住民から生活習慣の変更が余儀なくされたのではないだろうか?通勤ラッシュを避けるべく企業が次々と打ち出す在宅勤務は主に大企業が始めたが、在宅勤務のインフラが整っていない会社や、サービス業など在宅勤務が成り立たない人は、どこに浮遊しているかもわからないコロナウイルスに怯えながら通勤していたのだろう。外出すればどこへ行っても「密」を避けられない都会の暮らしがこんなにもネガティブな目で見られるとは。 その間、東京から100キロ離れた私の住む北関東の地方はというと、車社会なので「密」になることはないと呑気なものだった。連日のテレビの報道でコロナコロナと大騒ぎなのが嘘のように、ラーメン屋の行列は道路にはみ出さないようにするため、相変わらず密な行列だった。そして人々は綺麗に真っ直ぐな線を描いていた。こういう時も日本人は日本人だなぁと思った次第である。スーパーやドラッグストアに行けば、コロナ前となんら変わりない人出で、レジもまた密着して並んでいる。(現在は距離を置いた立ち位置を示すシールが床に貼ってあるようになった。) 同じテレビ報道を都会と地方問わず日本全国でしていても、こんなにも受け止め方の差があるように思うのだ。 では、地方の暮らしや生活の実態を、都会に暮らす人はどのくらい把握しているのだろうか?「リモート○○」が定着するかしないかの頃から言われ始めた、都心から地方への移住。これは在宅勤務、あるいは週に一、二度の出勤で残りは在宅勤務で良いのなら狭くて家賃の高い都会ではなく、地方の広い家に住み、用事がある時だけ都心に行けばいいじゃないかという考えで、これにより地方が活性化することも期待されている。今年7月に発売された「週刊東洋経済」のコラムでも1ページを使い「郊外や地方に引っ越して、より広々とした住環境の中で、仕事や子育てを」することについてのメリットをたくさん紹介していた。しかし今地方に住んでいる私としては、地方への移住はそんなにたやすいものではないと思うのだ。 以下にまとめるのは、私の住む市と私の勤務地のある隣の市を実際に見て回ったり、車窓から観察してみたりした今の地方の現状と、コロナ禍において地方移住を考慮するときに知っておくべきことを伝えたいと思う。まず、コロナの影響かどうかわからないが、お店の閉店が止まらない。6月に久しぶりに街を歩き回って大変驚いた。主に個人が開いていた飲食店以外でも、雑貨や衣料品のお店の閉店が多い。しかしそれだけではない。日本の誰もが知っている居酒屋チェーンやファーストフード店もまたどんどん撤退している。撤退時に看板を外していかないので、車でしか移動しない人は閉店したことに気づいていないと思う。 また、「週刊東洋経済」の同じコラムには、都会の人々が地方に移住することにより「例えば副業が認められるのであれば、都市部の会社に対してはテレワークを行いつつ、地元企業にアドバイスをしたり勤務したりする人も出てくるだろう。そうすれば、地方の企業活動の活性化や産業育成という観点でも、プラスの効果が得られる」とあった。これが実現すればなんとも素晴らしいことだが、これは都会に住む人だから言えることではないだろうか?東京から新幹線で1時間足らずのこの土地は、東京と同じようには暮らせないのだ。これは大げさではなく、例えば、仕事終わりに家路に着くまでの間、郵便ポストに手紙を入れ、ATMで現金をおろし、スーパーやコンビニで買い物、その後ドラッグストアにも寄る。こういったことを都会に暮らす人々は特に深く段取りを考えずとも日常的にやっていることだろう。 しかしこの土地はそれぞれの全てが離れている。車でしか辿り着けない所が多いだけでなく、用事を済ませたい場所と場所の距離が離れている上、その間に公共交通機関がない。車でしか移動できないのだ。移ってきたら、まず地元の銀行口座を開き、車を購入しなければならない。なぜなら、この県はメガバンクの支店とそのATMが無いに等しいぐらい少ない。幅をきかすのは地元の地方銀行で、それならどこにでもある。私もとうとう数年前に必要に迫られ、地元の銀行に口座を持った。車も移住後、結局3年以内に購入を余儀なくされた。 転勤/転職ではなく、今回のテーマであるコロナ禍においての地方移住を目的として、想定される現実をシュミレーションしてみよう。例えば、本職は東京にオフィスがあるテレワークで、その合間に地元の企業に貢献すべく担当者と会うとなれば、車が必要であり、そこへ辿り着くまでの時間もかかる。全ての地元企業が駅前にオフィスを構えているとは限らない。ではその地元企業の近くに住まいを構えればいいではないか?とすると、例えば本職の方のオフィスで会議があるなどで出社しないといけない時、最寄りの電車の駅まで家族に車で送ってもらう必要があるだろう。ではせっかく手に入れた車で東京オフィスまで乗り付ければいいと言うかもしれないが、ご存知の通り、高速代がかかるし、都心は駐車料金が高い。 同じく車がらみの話になるが、子育て世代が家族で地方に移住となると、奥さんが車を運転できなければならないし、大半が夫婦で1台ずつ車を持たなければならないだろう。なぜなら子どもの送迎はだいたいがお母さんの役目だ。私の家の最寄り駅の駅前ロータリーは毎朝車から降りてくる制服を着た学生、なかには私服の大学生らしき人も多いが、そうした家族を送るためのちょっとした渋滞がおきている。中高生となるとこれに塾の送迎も加わる。都会でバリバリ働くお母さんが、毎日子どもの送迎に時間を奪われることなど、想像できるのだろうか? そしてもっと小さい子世代の「子育て」というのもまた都会とは違う。公園というものが住宅地とリンクしていないのもこの土地の特徴で、公園の近くに居を構えていない人以外は、しっかりした公園で遊ばせようとなると、車を出す必要がある。都内によくある、住宅地にぽつんとあるブランコしかない公園、というのがあまりないので、子どもを短時間でも近所の小さな公園で遊ばせる、もしくは小学校高学年ぐらいの子たちが自分たちで近所の公園で遊ぶという光景も、東京とは違い住宅街では見かけない。 また、都会の生活で多く利用されているアマゾンフレッシュやスーパーによる生鮮食品の宅配はほとんど無い。食品の宅配は生協の一択となる。コロナ禍で大層注目を集めたUber_Eatsや出前館は存在すらしていなかった。今年9月中旬からやっと市内でUber_Eatsが始まった。しかし、Uber_Eats がさかんになる前に飲食店がどんどんお店を閉めてしまったら、どうなるのだろう。 そして実はお店だけでなく、家も空いたままのものが多い。昨年、まさに新幹線が停まる駅前にタワーマンションができた。マンション建設と平行して駅からのペデストリアンデッキも延伸させ、駅直結マンションをうたい、建つ前から完売御礼だった。しかし入居が始まっても空き部屋が目立っていた。コロナウイルス感染拡大で様々なメディアでリモートワークや地方移住が話題になり、あのタワーマンションもいよいよ入居者が増えるかと思いきや、家に投函されるチラシにそのマンション広告が部屋タイプも様々に何戸も紹介されていた。「投資用マンション」「投機目的にどうぞ」とうたい文句も添えられていた。現在も相変わらず広告チラシは届いている。 ここまで、地方の現実ばかり書いたが、きっと元々地方出身者にとっては車社会なことなど百も承知だろう。そういう人々にとっては地方移住も抵抗ないだろう。メディアに取り上げられるのは都心の人々がたくさん行き交う映像ばかり、観光地でもないような地方の市町村の実態が見えてこない。気楽に地方移住を高く評価するような事を言う人に限って、都心に住んでいるのではないかと思う程、東京と地方の暮らしは違う。もちろん東京のような大都市に住むのが一番であり「無敵の暮らし」とは言えず、都会で暮らすことの落とし穴のようなものもあるだろう。 たとえコロナウイルスがなかったとしても、地方創生はこの国の重要な課題の一つである。わたしの住む市はこれまで、観光地と特産物の広報活動には力を入れている。これからは住みやすい地、自然災害の少ないエリア等、アピールできるものはどんどん発信して、地方側から都会の人間を呼び込むことも必要であろう。同時に、路線バスの本数を増やすなど、移住者がすぐに町になじめるようなインフラ整備も行うべきだろう。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • LEE Taekjin “Owner of the Goose that Laid the Golden Eggs”

    ********************************************* SGRAかわらばん843号(2020年10月29日) 【1】エッセイ:李澤珍「『金の卵を産む鵞鳥』の飼主」 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い(最終案内) 「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」(11月1日オンライン) ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#650 ◆李澤珍「『金の卵を産む鵞鳥』の飼主」 ある人が、毎日1個ずつ金の卵を産む鵞鳥を飼っていた。その飼主は、鵞鳥の腹の中に大きな金の塊があるのだと考え、その腹を切り裂いた。が、中は他の鵞鳥たちと同じであった。 余りにも有名で多くを語る必要はないだろうが、この話は古代から伝わるイソップ寓話中の一篇である。紀元前6世紀頃のアイソーポス、英語読みのイソップという人によって語られたとされるイソップ寓話は、主として動物を主人公とする短い物語と、それに添える教訓・啓蒙的な言辞から構成されるのが一般的である。 後世のイソップ寓話編訳者および再録者たちは、この「金の卵を産む鵞鳥」の話について「今もっているものに満足し、むやみに欲張ってはならない」という趣旨の教訓を伝えるものと捉え、欲望に耐えきれず鵞鳥の腹を切り裂いた飼主の行動を愚かなものとする評言を付しているのがほとんどである。3世紀頃のバブリウス版から、現代日本でも最も広く読まれているシャンブリ版にいたるまで、欲望への戒めの伝統は忠実に受け継がれてきたのである。すなわち、金の卵を産む鵞鳥の飼主は2千年近くも世のそしりを免れることができなかったといえよう。 なるほど、確かにこの話の展開から見る限り、飼主を擁護する余地はなさそうだ。しかし、もしも鵞鳥の腹を切り裂いて原作の寓話とは異なる結果が出たらどうだろうか。仮定の話だが、飼主の思った通りに金の塊でも出てきたとしたら、あるいはせめて金の卵を産む仕掛けが見つかったとしたら…。いやいや、鵞鳥の腹から金の塊が出るなんて常識的にとうてい考えられない、と仮定の前提そのものが否定されるかもしれない。しかし、そう言い切れるだけの十分な科学的な根拠はあるのだろうか。 もし金の卵を産む鵞鳥が存在するならば、その鵞鳥の体内では何が起きているのか。これを科学的に解明しようと試みた人がいた。アメリカの生化学者で(SF)作家のアイザック・アシモフは、SF雑誌『アスタウンディング』1956年9月号に「金の卵を産む鵞鳥」という短編を発表した。その筋書きはこうである。1955年、テキサスのある農園主が飼っている一羽の鵞鳥が金の卵を産んだ。それを知った農務省は研究チームを立ち上げ、金の卵とそれを産んだ鵞鳥に対する科学調査に乗り出した。その結果、鵞鳥の肝臓の中で酸素18が金197へと転換されるという推論が提示された。 鵞鳥が金の卵を産むという寓話の世界の出来事を科学的に解明しようとしたバカ真面目なところも含めて非常に興味深い発想のあふれるフィクションであるが、特に私が注目したいのは、結局鵞鳥の腹を目の前で裂きひろげることができなかった研究者たちの次の言葉である。「わたしたちは、《金の卵を産む鵞鳥》を殺す勇気はなかった」。推論を立証し、鵞鳥の体内で金が作られるメカニズムを明らかにするために、鵞鳥の腹の中を直接見て調べるのは絶対欠かせない作業である。しかし、研究者たちは、だった1羽しかいない鵞鳥を解剖することはできなかったのである。この言葉に対する解釈は色々あるだろうが、古代から非難されてきた飼主のためのある種の弁護として受け止めることも可能ではなかろうか。 よく考えてみると、飼主の行動を「欲望」と結び付けて問題とする共通理解の背後には、鵞鳥の腹の中に金の塊なんか詰まっているはずがないという観念が大きく影響しているような気がする。言い換えれば、鵞鳥の腹に金の塊は存在しないと考えるのが常識的で理性的な判断だから、彼の行動は反常識的で反理性的なものになるわけで非難されるべく、彼がそのような行動をとったのはやっぱり欲望に負けたからだ、という論理が、古代から飼主の行動を戒める見方を支えてきたように思うのである。しかし皮肉なことに、欲望を諷刺しながらも、結局毎日一個ずつ金が得られるという、安定した金の入手による幸福追求を正しい選択として奨励している。果たして飼主の行動は、欲望にくらんで犯した反常識的・反理性的なものとして非難ばかりされるべきものなのか、疑問を拭いきれない。 今一度問い直してみよう。鵞鳥の腹の中から金の塊が出てきたとしたら、あるいは金の卵を産む仕掛けが見つかったとしたら、飼主への見方はどうなるだろうか。おそらく鵞鳥を切り裂かせた原因として戒められた「欲望」は、ふと思いついたことをすぐ実行に移した「実践力」として、また勇気のある行動をもたらした「原動力」として称賛されるかもしれない。 <李澤珍 LEE_Taekjin> 東京大学大学院総合文化研究科博士課程在学中。専門は日本近世・近代文学、特に日本におけるイソップ寓話受容の歴史について研究している。主な論文に、「古活字版『伊曽保物語』の出版年代再考」(『国語国文』87―7、2018年)、「『伊曽保物語』版本系統の再検討―B系統古活字本の本文異同を中心に―」(『近世文芸』106、2017年)、「明治初期のイソップ寓話受容における『伊曽保物語』の影響について―渡部温編訳『通俗伊蘇普物語』を中心に―」(『超域文化科学紀要』21、2016年)等がある。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンライン(Zoom)で開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。今回は、聴講者はご自分のカメラとマイクはオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください テーマ:「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 時間:2020年11月1日(日)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(東京時間) 方法:Zoom_Webinarによる 主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共催:清華東亜文化講座、北京大学日本文化研究所 後援:国際交流基金北京日本文化センター ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_bAKs7Yo7QYu1Kj9DBaQqMQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。 ■プログラム 【講演】稲賀繁美(国際日本文化研究センター) 「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 渡邊崋山から橋本関雪までの画人がいかに中国の美術理論を西洋理論と対峙するなかで咀嚼したかを検討する。とりわけ「気韻生動」の概念がいかに西洋の美学理論に影響を与えたかをホイスラーからアーサ・ダウに至る系譜に確認するとともに、それが大正期の表現主義の流行のなかで、いかに日本近代で再評価され、「感情移入」美学と融合をとげ、更にそれが、豊子愷らによって中国近代に伝播したかを鳥瞰する。この文脈でセザンヌを中国美学に照らして評価する風潮が成長し、またそれと呼応するように、石濤が西欧のキリスト教神秘主義と混線し、東洋研究者のあいだで評価されるに至った経緯も明らかにする。 【討論】 劉暁峰(清華大学歴史系) 塚本麿充(東京大学東洋文化研究所) 王中忱(清華大学中文系)/高華シン(中国社会科学院文学研究所)代読 林少陽(香港城市大学中文及歴史学科) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 日本語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_SGRAChinaVForum14.pdf 中国語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/C_SGRAChinaVForum14.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • XIE Zhihai “Let’s Think about Global Environment Now ー Decarbonization”

    ********************************************* SGRAかわらばん842号(2020年10月22日) 【1】エッセイ:謝志海「いまこそ環境問題を考える(脱炭素編)」 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い(再送) 「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」(11月1日オンライン) ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#649 ◆謝志海「いまこそ環境問題を考える(脱炭素編)」 コロナから何か一つでも良いことがもたらされたとすれば、経済活動の休止による二酸化炭素の排出量の激減ではないだろうか。しかし、知っての通り一時的なもので、これは長く続かない。地球温暖化対策とは、持続可能な経済発展をしながら取り組まなければならない。その一つはエネルギー政策だ。石炭や石油などの化石燃料の使用を減らしてゆき、再生可能エネルギーへの代替を加速させる「脱炭素社会」を目指すことが地球温暖化対策の近道となる。 2015年にパリ協定で定められた「世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という目標を実現するため、多くの国々は「脱炭素」に向けて動き出している。脱炭素と言うと、まずは石炭の利用を減らす、あるいはやめることだ。石炭火力発電は二酸化炭素排出量が、天然ガスを使う同規模の火力発電と比べ約2倍になる。先進国のうちイギリスは2025年、フランスは2021年、カナダは2030年までに石炭発電を「やめる」と宣言している。そして2016年に、これらの国々が率先して脱炭素連盟(PPCA)を立ちあげ、すでに33ヶ国と29の自治体が参加している。 では、日本はどうだろう。現在稼働中の石炭火力発電所は約140基ある。また、東南アジア等の途上国、例えば、ベトナムで2024年の稼働を目指す「ブンアン2」という大規模な石炭火力発電所を手がけている。日本はG7の中では、いまだ海外で石炭火力発電所を新設している唯一の国だ。パリ協定に参加している日本は、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年よりも26%削減する目標を設定したが、他の先進国と比べると、脱炭素に関してはあまり積極的ではなかったことで批判を浴びている。現に2019年12月国連気候変動サミットCOP25の開催期間中、環境NGOの「気候行動ネットワーク(CAN)」から不名誉な賞「化石賞」を受賞した。しかも2度目の受賞である。これを受け、小泉環境相がCOP25のスピーチで「我々は脱炭素化に完全にコミットしているし、必ず実現する」と誓った。 それ以来、日本の石炭火力発電政策は少しずつ変化が起きはじめた。まず注目されるべき点として、2020年7月3日、経済産業省は稼働中の石炭火力発電所140基のうち、旧式で二酸化炭素の排出量が多い約100基を2030年までに休廃止すると発表した。これと同時に、日本政府は石炭火力発電所の輸出支援条件を厳格化する方針を決めた。これは脱炭素への大きな一歩を踏み出したともとれるが、完全に石炭をやめるまでには踏み込んでいないということでもある。 なぜ日本はまだ石炭発電を止められないのだろうか。それには、国内と海外の二つの要因が考えられる。国内では、3.11以降、原子力発電所はほとんど止まったため、いわばなし崩し的にコストが最も低い石炭火力発電の割合が増えた。現在、日本の電力供給は、石炭火力発電が30%以上を占めているため、そう簡単にはすべての石炭火力発電所を廃止することはできない。また、東南アジア等の途上国で今もなお石炭火力発電所の開発を進めており、日本が参入し続けないと、中国、インド等の新興国が入ってきてしまい、石炭火力発電所建設という大きな海外市場を失うことを恐れているのだろう。 これらの要因にとらわれず、国連のグテレス事務総長が指摘した「石炭中毒」の状態から脱却するには、再生可能エネルギーへの再認識が必要だ。例えば、石炭火力発電のコストが低く、再生可能エネルギーのコストが高いという認識はもはや正しくない。2010年からここ十年、太陽光発電のコストは80%も下がった。Bloomberg_New_Energy_Financeによると、2030年までに、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電のコストが石炭発電のコストを下回る見込みだという。また、海外市場について、石炭発電所よりむしろ再生可能エネルギー技術を輸出した方が、経済的利益も国際社会からの評価もはるかに上がるだろう。 脱炭素への実現には、やはり再生可能エネルギーの普及が欠かせない。政府が掲げた目標は、2030年まで再生可能エネルギーを22~24%まで上げる、同時に石炭火力はわずか数パーセント減で26%としている。この目標は見直すべきだろう。例えば、経済同友会は2030年の再生可能エネルギーの割合目標を40%にすべきだと主張している。3.11後に孫正義氏が設立した「自然エネルギー財団」(東京)は目標を45%にすべきだと提言している。日本政府は真に再生可能エネルギーを主力電力化とすることを目指しているならば、より大胆に再生可能エネルギーの導入をすべきだ。そうすれば、「脱炭素社会」の実現もそう遠くないだろう。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い 下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンライン(Zoom)で開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。今回は、聴講者はご自分のカメラとマイクはオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください テーマ:「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 時間:2020年11月1日(日)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(東京時間) 方法:Zoom_Webinarによる 主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共催:清華東亜文化講座、北京大学日本文化研究所 後援:国際交流基金北京日本文化センター ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_bAKs7Yo7QYu1Kj9DBaQqMQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。 ■プログラム 【講演】稲賀繁美(国際日本文化研究センター) 「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 渡邊崋山から橋本関雪までの画人がいかに中国の美術理論を西洋理論と対峙するなかで咀嚼したかを検討する。とりわけ「気韻生動」の概念がいかに西洋の美学理論に影響を与えたかをホイスラーからアーサ・ダウに至る系譜に確認するとともに、それが大正期の表現主義の流行のなかで、いかに日本近代で再評価され、「感情移入」美学と融合をとげ、更にそれが、豊子愷らによって中国近代に伝播したかを鳥瞰する。この文脈でセザンヌを中国美学に照らして評価する風潮が成長し、またそれと呼応するように、石濤が西欧のキリスト教神秘主義と混線し、東洋研究者のあいだで評価されるに至った経緯も明らかにする。 【討論】 劉暁峰(清華大学歴史系) 塚本麿充(東京大学東洋文化研究所) 王中忱(清華大学中文系)/高華シン(中国社会科学院文学研究所)代読 林少陽(香港城市大学中文及歴史学科) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 日本語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_SGRAChinaVForum14.pdf 中国語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/C_SGRAChinaVForum14.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • BAO Lianqun “Language Measures in China during COVID-19 Pandemic”

    ********************************************* SGRAかわらばん841号(2020年10月15日) 【1】エッセイ:包聯群「コロナ流行期の中国の言語対応」 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い(再送) 「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」(11月1日オンライン) 【3】寄贈本紹介:岡本真希子『殖民地官僚政治史』(中国語版) ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#648 ◆包聯群「コロナ流行期の中国の言語対応」 新型コロナウイルス感染症が発見されて間もなく、中国政府は軍の医療チームを含む延べ4万2千人以上の医療関係者を、全国各地から武漢市をはじめとする湖北省の16都市に派遣した。その際、「抗疫」、「援鄂(鄂は湖北省の別名)」、「最前線」、「出征」という中国語語彙がメディアをはじめ、各医療チームのスローガンにも多く見られるようになった。医療関係者はコロナと「戦う」覚悟で湖北省(最前線)に出向かっている(出征)というニュースがメディアによって繰り返し報道され、全国的に「緊張」が走っていった。実はこの時、医療現場では「コロナ」以外にもう一つの「戦い」が始まっていた。それは人々の日常生活や社会活動に欠かすことができない重要な「武器」である「言葉」との「戦い」であった。というのは、湖北省に派遣された医療関係者を困らせることが起きたからである。つまり、患者の中に年配者が大勢いたため、まず「言葉」が通じないという問題が出てきたのである。方言の障害によってコミュニケーションがうまくとれず、治療に支障が出たのだ。 皆さんご存知のように、中国には56の民族がいて、その分言語も多いと思われがちであるが、ここで指摘したいのは、少数言語は別として、中国語の方言間の差異も大きいという点である。中国では、昔は「山を一つ越えれば、言葉が通じない」と言われるほどであった。標準語がすでに普及している日本からみると、この「言葉」が通じないという状況は考えられない光景だろう。しかし、現時点においても中国では、標準中国語(普通話Putonghuaとも言う)が標準日本語のようにすべての地域に普及しているわけではない。学校で教育を受けられなかった人々は標準中国語を話すことができるとは限らない。特に今回のような場合、学校教育をきちんと受けられなかった年配者、あるいは地元の方言しか話せない人々は、外部の人との意思疎通に問題が起こりかねない。 中国湖北省の方言は大きく3つに分けられる。即ち、西南官話、江淮官話とGan方言である。これらの方言はさらに細かい方言に分けられる。湖北省に派遣された医療チームは主に西南官話の武漢、荊州、宜昌、襄陽の各方言、江淮官話の孝感、黄石、鄂州、黄岡方言およびGan方言の咸寧方言などを話す9つの地域で治療に当たっていた。これらの方言を全国から応援に来た医療関係者が知らないか、または標準語をあまり知らない患者さんが医療関係者の問いに答えられないか、方言で返してくるということが起こり、何を話しているかをお互いに理解できず、聞き取れないことがあったので治療にまで影響を及ぼしはじめていた。 最初に派遣された中国山東大学斎魯病院の医療チームが湖北省黄岡市に着いた時、現場で働く医療関係者が言葉の違いにいち早く気づいた。医療関係者と患者との意思疎通に障害が起き、治療の有効性に影響を及ぼしはじめたため、看護師のZ氏が自ら対策を考え「自救」に乗り出した。最初の『看護師と患者とのコミュニケーションブック』(『護患溝通本』)を2月1日までは作成し終え、職場である大別山地域の医療センターで実用化しはじめた。その後、山東省から第5次で派遣され、2月9日に武漢に到着した同大学医療チームのG氏も言葉の問題に気付き、現地の医師や大学の関係者に協力してもらい、武漢に到着してからわずか48時間以内に『湖北省を支援する国家医療チーム武漢方言実用ハンドブック』(『国家援鄂医療隊武漢方言実用手册』)を作成し、現場で使用しはじめた。 北京語言大学言語資源先端イノベーションセンター(語言資源高精尖創新中心)の李宇明氏は、中国山東大学斎魯病院の医療チームが自ら『武漢方言実用ハンドブック』を編集したことを報道によって知り、すぐに多数の大学や研究機関及び企業などと連携を取り、「戦疫言語サービスチーム」(戦疫語言服務団)を立ち上げ、わずか3日間で『コロナ感染対策湖北方言通』(『抗撃疫情湖北方言通』)という「製品」を作り、「最前線」の医療関係者や患者らに湖北省の9つの方言と標準中国語の対応語彙や会話などを提供した。『湖北方言通』には感染対策や治療のためによく使われる156の語彙と75の文が選定されている。 現場への言語対策としての「製品」の形式は多種多様である。ウェブサイトネットバージョン、オンライン電話相談サービス及びネット上のテキストなどがあり、音声データとマイクロビデオも継続的に再生できるようになっている。またウィーチャット(WeChat)バージョンもある。標準中国語と方言の文と語彙が対応しているため、QRコードをスキャンすれば音声再生システムが起動され、音声放送ができる。そして『融合媒体ポケットブック』も手帳の形で印刷され、さらにTikTok(抖音)バージョンも作られた。それ以外に、方言翻訳ソフトも使用され、インテリジェントによる音声発信システムや医療アシスタント電話ロボット、そして日本ではあまり知られていないが、噂であるか否かを確認できる「奇虎360」会社の検索サイトまで登場した。湖北省や武漢市政府からビデオ同時通訳サービスも提供された。こうして「言葉」の壁を乗り越えていったのである。 後にこれを活かし、『コロナ感染対策外国語通』(『疫情防控外語通』)、『コロナ感染対策「やさしい中国語」』(『疫情防控“簡明漢語”』)なども短期間で作成され、現場や外国人に提供された。「やさしい中国語」は日本の言語サービスとして、在日外国人に提供されている「やさしい日本語」からヒントを得て作られたという。「戦疫語言服務団」の「災害言語サービス」対応に参加した機関や業種は多く、500人以上の人々が参加していた。医療関係者だけではなく、他の分野からもこうした膨大な規模の人々が動きだして言語対策を取り、「災害言語サービス」を提供していたことがわかった。 <包聯群(ボウ・レンチュン)BAO_Lianqun> 中国黒龍江省出身。東京大学から博士号取得。大分大学経済学部・教授。中国言語戦略研究センター(南京大学)研究員。TOAFAEC『東アジア社会教育研究』編集委員。SGRA会員。専門は社会言語学、中国北方少数言語。『言語接触と言語変異』、『現代中国における言語政策と言語継承』(1-4巻)などの著編書多数。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い 下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンライン(Zoom)で開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。今回は、聴講者はご自分のカメラとマイクはオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください テーマ:「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 時間:2020年11月1日(日)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(東京時間) 方法:Zoom_Webinarによる 主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共催:清華東亜文化講座、北京大学日本文化研究所 後援:国際交流基金北京日本文化センター ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_bAKs7Yo7QYu1Kj9DBaQqMQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学外国語学院日本言語文化系) 開会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団) 【講演】稲賀繁美(国際日本文化研究センター) 「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 渡邊崋山から橋本関雪までの画人がいかに中国の美術理論を西洋理論と対峙するなかで咀嚼したかを検討する。とりわけ「気韻生動」の概念がいかに西洋の美学理論に影響を与えたかをホイスラーからアーサ・ダウに至る系譜に確認するとともに、それが大正期の表現主義の流行のなかで、いかに日本近代で再評価され、「感情移入」美学と融合をとげ、更にそれが、豊子愷らによって中国近代に伝播したかを鳥瞰する。この文脈でセザンヌを中国美学に照らして評価する風潮が成長し、またそれと呼応するように、石濤が西欧のキリスト教神秘主義と混線し、東洋研究者のあいだで評価されるに至った経緯も明らかにする。 【討論】王中忱(清華大学中国文学科)、塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)、林少陽(香港城市大学中文及歴史学科)他 ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 日本語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_SGRAChinaVForum14.pdf 中国語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/C_SGRAChinaVForum14.pdf -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員の江永博さんより翻訳本をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 -------------------------- 原作: 岡本真希子『植民地官僚の政治史-朝鮮・台湾総督府と帝国日本-』三元社、2008年2月。 訳本: ◆岡本真希子著 郭(女+亭)玉、江永博、王敬翔訳『植民地官僚政治史:朝鮮、台湾総督府与日本帝国』上(制度編)・中(人材編)・下巻(構造編)、台大出版中心、2019年10月。 概要: 1895年から半世紀、「帝国日本」は台湾・朝鮮などの植民地統治のために、膨大な植民地官僚群を生みだしてきた。本書は、これら植民地官僚群に関わるさまざまな制度、高級官僚の人材や異動の動態を明らかにしながら、民族問題と植民地官僚制の複雑な相関関係、そして本国―植民地を架橋する50年の政治史を論ずる。全巻は3部10章で構成され、制度(第1部)・人材(第2部)・構造(第3部)の角度より植民地を「官僚王国」にした膨大な植民地官僚群について検討する。 三元社『植民地官僚の政治史』【電子書籍版】URL: http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/220.htm 台大出版中心『植民地官僚政治史:朝鮮、台湾総督府与日本帝国』URL: http://www.press.ntu.edu.tw/index.php?act=book&refer=ntup_book01114 ネットショップ(博客来)『植民地官僚政治史:朝鮮、台湾総督府与日本帝国』URL: https://www.books.com.tw/products/0010836585 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA China V Forum #14

    ********************************************* SGRAかわらばん840号(2020年10月8日) 【1】第14回SGRAチャイナVフォーラムへのお誘い(11月1日オンライン) 「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 【2】SGRAレポート紹介 レポート第76号「日中200年―文化史からの再検討」 レポート第88号「日中映画交流の可能性」 ********************************************* 【1】第14回SGRAチャイナVフォーラム「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」へのお誘い 下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンライン(Zoom)で開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。今回は、聴講者はご自分のカメラとマイクはオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください テーマ:「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 時間:2020年11月1日(日)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(東京時間) 方法:Zoomによる 主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共催:清華東亜文化講座(予定)、北京大学日本文化研究所 ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_bAKs7Yo7QYu1Kj9DBaQqMQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学外国語学院日本言語文化系) 開会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団) 【講演】稲賀繁美(国際日本文化研究センター) 「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 【討論】塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)、林少陽(香港城市大学中文及歴史学科)他 閉会挨拶:董炳月(中国社会科学院文学研究所)(予定) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 日本語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_SGRAChinaVForum14.pdf 中国語プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/C_SGRAChinaVForum14.pdf ■発表要旨 渡邊崋山から橋本関雪までの画人がいかに中国の美術理論を西洋理論と対峙するなかで咀嚼したかを検討する。とりわけ「気韻生動」の概念がいかに西洋の美学理論に影響を与えたかをホイスラーからアーサ・ダウに至る系譜に確認するとともに、それが大正期の表現主義の流行のなかで、いかに日本近代で再評価され、「感情移入」美学と融合をとげ、更にそれが、豊子愷らによって中国近代に伝播したかを鳥瞰する。この文脈でセザンヌを中国美学に照らして評価する風潮が成長し、またそれと呼応するように、石濤が西欧のキリスト教神秘主義と混線し、東洋研究者のあいだで評価されるに至った経緯も明らかにする。 ※なお、本フォーラムでは講演を契機とした活発な議論が展開されることを期待し、事前に講演内容に関連する以下の論文を紹介する。 ◆「岡倉天心」関係: 稲賀繁美「天心・岡倉覚三と五浦―イギリス・ロマン主義特輯号の余白に―」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/170925hikaku.pdf 稲賀繁美「岡倉天心とインド―越境する近代国民意識と汎アジア・イデオロギーの帰趨」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/Okakura0411.pdf ◆橋本関雪の周辺: 稲賀繁美「表現主義と気韻生動―北清事変から大正年末に至る橋本関雪の軌跡と京都支那学の周辺―」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/150331nihonkenkyu.pdf ◆近代の南画復興と日中交流: 稲賀繁美著 王振平訳「論豊子愷《中国美術在現代芸術上勝利》与日訳作品在接受西方思想時的媒介作用」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/0910kawamotosensei.pdf ◆サン・ディエゴでの中日美術交流に関する会議の報告: 稲賀繁美「日本美術と中国美術の<あいだ>(上)石橋財団国際シンポジウム(2018年11月2-4日)に出席して」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/aida244.pdf 稲賀繁美「日本美術と中国美術の<あいだ>(下)石橋財団国際シンポジウム(2018年11月2-4日)に出席して」 https://inagashigemi.jpn.org/uploads/pdf/aida245.pdf [講師略歴] 稲賀繁美(いなが・しげみ) 国際日本文化研究センター教授。1988年東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得退学、1988年パリ第七大学(新課程)博士課程修了。博士(文学)。東京大学教養学部助手、三重大学人文学部助教授を経て、1997年国際日本文化研究センター助教授、2004年より国際日本文化研究センター教授。専門は比較文学比較文化、文化交流史。 主な単著書に『絵画の臨界:近代東アジア美術史の桎梏と命運』、名古屋大学出版会、2014年1月、『絵画の東方 オリエンタリズムからジャポニスムへ』、名古屋大学出版会、480頁、1999年、『絵画の黄昏:エドゥアール・マネ没後の闘争』、名古屋大学出版会、467頁、1997年、共著書に(編著)『東洋意識:夢想と現実のあいだ 1894-1953』、ミネルヴァ書房、京都、2012年4月20日、『東洋美学と東洋的思惟を問う:植民地帝国下の葛藤するアジア像--国際シンポジウム 第38集--』国際研究集会報告書38、国際日本文化研究センター、京都、2011年3月31日(本文は英語)、(編著)『異文化理解の倫理にむけて』、名古屋大学出版会、名古屋、2000年がある。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】SGRAレポート紹介 過去のチャイナ・フォーラムの講演録をSGRAレポートとして発行いたしましたのでお知らせします。PDF版は下記リンクからダウンロードしていただけます。冊子本についてはSGRA賛助会員と特別会員へ第76号は6月に送付済、第88号は11月に送付予定です。会員以外の方でも冊子本をご希望の方はSGRA事務局までご連絡ください。 ◆レポート第76号「日中200年―文化史からの再検討」(日中合冊版) http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/china/2016/15575/ 劉建輝(国際日本文化研究センター教授) 第9回SGRAチャイナ・フォーラム「日中200年―文化史からの再検討」講演録 2020年6月18 日発行 従来、東アジアの歴史を語る時、ほとんどの識者が古代の交流史と対比して、近代の抗争史を強調し、両者の間に一つの断絶を見出そうとしてきた。たしかに政治、外交だけに目を向ければ、日中、日韓などの間に戦争も含む数多くの対抗や対立が頻発し、ほとんど正常な隣国関係を築くことができなかった。しかし、もしこの間の三国間の文化的交流、往来の足跡を精査すれば、そこには近代以前とは比べられないほど多彩多様な事実、事象が存在していることに気付くだろう。そしてその多くはいずれも西洋という強烈な「他者」を相手に、互いの成果、経験、また教訓を利用しながら、その文化、文明的諸要素の吸収、受容に励む努力の跡にほかならない。その意味で、東アジア、とりわけ日中韓三国はまぎれもなく古来の文化圏と違う形で西洋受容を中心とする一つの近代文化圏を形成していたのである。 ◆レポート第88号「日中映画交流の可能性」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/china/2019/15787/ 第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」講演録 2020年9月25日発行 いまや中国は世界第1位のスクリーン数と第2の映画製作本数を誇る映画の一大市場であり、日本も世界第4位の映画製作本数を維持している。世界の映画産業のひとつの中心は、まさに東アジアにあると言ってもよいだろう。本フォーラムでは、この映画大国である日本と中国の40年にわたる映画交流を、日本と中国の側からそれぞれ総括を行い、意見交換を行い、今後の展望を検討することを目的としている。 刈間文俊氏は、1977年の中国映画祭から字幕翻訳に携わり、これまで100本に近い中国映画の字幕を翻訳し、中国映画回顧展のプロデュースを行うなど、日本での中国映画の紹介に携わってきた。王衆一氏は、日本映画に精通し、「人民中国」編集長として多くの日本の映画人と交友を持ち、「日本映画の110年」を翻訳し北京で出版している。日中の映画交流の歩みを現場で知る二人の発表をもとに、日中双方の識者による討論を行う。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************