SGRAメールマガジン バックナンバー
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KIM Kyongtae “Report of the Fifth Dialogue of National Histories”
2021年2月25日 14:51:52
*********************************************** SGRAかわらばん859号(2021年2月19日) 【1】金キョンテ「感染症時代に感染症の歴史を振り返る―第5回国史たちの対話報告」 【2】第15回SGRA-Vカフェへのお誘い(再送) 「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」(3月20日オンライン) *********************************************** 【1】金キョンテ「感染症時代に感染症の歴史を振り返る―第5回国史たちの対話報告」 2021年1月9日、「第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」が開催された。今回のテーマは「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」だった。前年2020年1月にフィリピンで開かれた「第4回国史たちの対話」の際に、いやCOVID-19の感染が広がってからでも、この危機が今年まで続くとは予想できなかった。第4回の対話で三谷先生が、19世紀の東アジアの感染症に関するテーマに言及されたが、先見の明を示されたと思う。この時代にふさわしい議論のテーマだった。 対話はオンラインで行われた。技術の発展によって私たちは今のような危機の中でも対話できる方法を見出したのだ。しかし、この便利さの裏には、新しい方法を皆が円滑に使えるように準備した事務局方々がいたことを忘れてはならないだろう。事前に数多くのリハーサルがあり、当日も午前から準備が行われていた。 これまでは、多くの発表者と討論者を招待して、2日から3日間の会議の形で対話を実施してきた。しかし今回は、各国から招く発表者と討論者を1人ずつにすることで、効率的に参加者が集中できる環境を作り出すことができた。時間により変化したが、参加者は発表者・討論者(パネリスト)が38名、一般参加者が93名、同時通訳を含むサポートが20名で計151名だった。 対話は2つのセッションに分けて行われた。第1セッションでは村和明先生の司会で3つの発表と指定討論があり、第2セッションでは南基正先生の司会で自由討論が行われた。すべてのセッションの後に、発表者やパネリストが自由に会話できる懇親会も行われた。 第1セッションでは今西淳子渥美財団常務理事の歓迎挨拶と、趙珖韓国国史編纂委員会委員長の開会挨拶があった。趙珖委員長は、19世紀的なパンデミックに関する問題の研究は21世紀の今日、Post-COVID19で展開されている新しい「インターナショナル」な問題解決の一つの規範を与えるとして、国史たちの対話の意義が継続されることを望むと述べた。 最初の発表は朴漢珉先生(東北亜歴史財団)の「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」だった。朝鮮初期の開港地である釜山、仁川、元山では典型的な感染症であるコレラの流行で検疫問題に悩まされた。3ヵ所の港では、いずれも各国の自国民保護と経済的な利害関係が相反する様相を見せた。朝鮮政府は経験を蓄積し、1887年に朝鮮政府検疫章を制定し、それは1893年まで続いた。 2番目の市川智生先生(沖縄国際大学)の発表は「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」だった。市川先生は、朴先生の発表と似た主題および問題意識を持って研究を進めていたことに驚いたと述べ、互いに研究に役立てることに期待を表明した。今回の発表では、日本の開港場である横浜、長崎、神戸を対象とし、日本人社会と外国人社会の関係に注目した。混乱した時代を経て、1890年代以降日本政府の感染症対策の一元化が行われていった。 3番目は余新忠先生(南開大学)の「中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格」だった。前二者と異なり、中国で衛生が持つ意味と実態、そして近代以降の変化を巨視的な眼目から見た研究だった。また、現在の状況との比較を通じて、国や地域、個人の役割についても共に考えるテーマを提示した。 続いて、3つの発表に対する指定討論が行われた。指定討論者も3国の研究者で構成された。(金賢善先生:明知大学、塩出浩之先生:京都大学、秦方先生:首都師範大学)。指定討論では討論の対象となる発表を「指定」せず、全テーマを対象にする討論を要請、より幅広い議論が展開された。伝統的な衛生防疫の意味、近代以降の国家が防疫を主導するようになる過程、感染症がもたらした近代化に伴って出現した「区分」の無形化とともに、衛生と防疫をどの国家が主導するかをめぐる競争もあったことが指摘された。一方、植民地での衛生や防疫問題、国家より下位の単位、国家と底辺をつなぐ共同体への関心も必要だという提言もあった。 第2セッションは自由討論だった。自由討論に先立ち、劉傑先生(早稲田大学)による論点整理があった。発表の内容とともに、事前に提出されたパネリストからの質問で共通に提起された問題についても整理をした。国境を越える人々によって広がる感染症に対応するための優先的な方法は国家の国境封鎖であり、これは主権の問題であったこと、しかし、情報の共有と国境を越えた対応が重要な課題として浮上したこと、予防と治療には国家-地域-個人ネットワーク、コミュニティの役割が重要であること、それに内包される共存性と対立性をどのように理解するかについて、アプローチする余地があるだろうなどと指摘された。 続いてパネリストによるコメントと質問。直接発言だけでなく、チャット機能を利用して質問してくださった方もいた。感染症は昔から権力者に対する不信感を呼び起こし、したがって近代以降も感染症は国民の政治意識およびその変化と密接な関連を持つようになったこと、主権と感染症の間の力関係、各国の民衆意識および民族主義の高揚との関係、感染症流行時の3国の情報共有と共同対応の様相などについての質問が寄せられた。これに対しては、発表者から丁寧な回答があり、指定討論者とパネリストの補足コメントが相次ぎ、時間が足りないほどであった。 自由討論の名残惜しさを残し、宋志勇先生(南開大学)の総括、明石康先生のコメントが続いた。歴史の1ページに残すに値する時期に適切なテーマの「対話」であり、グローバル化の中での各国の社会的責任、発信すべき社会的メッセージを考えさせる時間であった。各国がより自由に互いに学ぶ立場でグローバルな解決策を模索することができるので、互いの視点を比較して分析することがこの集まりの問題意識であるということは、未来的かつ地球的に重要だと思う、という言葉を残した。 三谷博先生(跡見学園女子大学)は閉会挨拶で、(1)パンデミックという事態によって再び分断が生じたり拡大したりしてはいけないという事実が明らかになった(2)この会議が国家-民衆-学者間の協力関係を開いていく重要な契機になると期待する(3)「国史たちの対話」の趣旨は国家間の葛藤をどのように克服するかにあり、オンラインの限界にかかわらず、重要なことを成し遂げた(4)歴史学が持つ限界を乗り越えるのに今回の対話が出発点になれば嬉しい、と語った。最後に翻訳と同時通訳をしてくれた方々、そして渥美財団の元奨学生たちに感謝の言葉を述べた。また、今日集まった方々が個人的にもこれからもずっと交流してほしいという希望を述べた。 会議が終了してから、非公式の、自由な「対話」が懇親会という形で行われた。フィリピンで開催された「第4回国史たちの対話」で会った方々は、1年ぶりの「再会」で和気あいあいと会話を交わした。「第5回対話」に初めて参加した方々もすぐに親しくなった。たまに硬くない共通テーマで、飲み物とおつまみを用意してこんな風にオンラインで会うのも良いのではないかと思う。紙幅の制限により参加された方々の発言内容を十分に紹介できなかったことを残念に思う。 当日の写真 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/02/J-Kokushi5_photos.pdf アンケート結果 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/02/Kokushi5-Questuinaire-Report.pdf ■ 金キョンテ KIM_Kyongtae 韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文) ※本エッセイは「国史たちの対話の可能性」メールマガジン第27号で配信したものを、より多くの方に読んでいただくために再送します。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第15回SGRA-Vカフェ「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」へのお誘い(再送) 下記の通り第15回SGRA-Vカフェをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。今回は日本語⇒中国語、日本語⇒韓国語への同時通訳がありますので、中国語、韓国語話者の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 テーマ:「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」 日 時:2021年3月20 日(土)午後3時~4時30分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語: 日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 申 込:下記リンクよりお申し込みください https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zvTNvUl4T1CsaZmXgj6CSA お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■ 趣旨 昨年の長編アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットは、日本の現代文化におけるアニメの強さをあらためて印象づけた。一方でアニメは大衆文化の中でも日陰の存在だった時期は長く、決して順調に発展してきたわけではない。そんなアニメが現在に至る歴史、世界的視野からみた独自性の確立、これまでにヒット・注目された作品の特徴、そしてアニメがこれからも発展し、日本を代表する大衆文化としての力を持続するための課題、展望について解説する。 ■ プログラム 司会:陳えん(京都精華大学マンガ学部専任講師) 【第1部】 講演「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」 津堅信之(アニメーション研究家、日本大学藝術学部映画学科講師) 【第2部】 対談/インタビュー:津堅信之×陳えん 【第3部】 質疑応答(会場+オンライン) ■登壇者略歴 講演者:津堅信之(Tsugata_Nobuyuki) アニメーション研究家/日本大学藝術学部映画学科講師。1968年生まれ。近畿大学農学部卒業。専門はアニメーション史だが、近年は映画史、大衆文化など、アニメーションを広い領域で研究する。 主な著書: 『日本アニメーションの力』(NTT出版/中国・韓国語でも出版) 『日本のアニメは何がすごいのか』(祥伝社新書/韓国語でも出版) 『ディズニーを目指した男 大川博』(日本評論社) 『新版アニメーション学入門』『京アニ事件』(ともに平凡社新書)など 司会者:陳えん(Chen_Yan/ちん・えん) 京都精華大学マンガ学部専任講師/2017年度渥美奨学生。北京大学学士、東京大学大学院総合文化研究科修士・博士課程単位取得満期退学。 研究領域:アニメーション史/日中アニメ・マンガ交流史/「動漫」「IP」の概念史など。研究以外、マルチクリエイター・プロデューサーとして日中コンテンツ業界にて活躍中。 ◇プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/02/J_SGRA-VCafe15_Program.pdf ◇中国語ウェブページ http://www.aisf.or.jp/sgra/chinese/2021/02/12/sgra_cafe_15/ ◇韓国語ウェブページ http://www.aisf.or.jp/sgra/korean/2021/02/11/sgra_cafe_15/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Invitation to SGRA Virtual Cafe #15
2021年2月18日 13:18:38
*********************************************** SGRAかわらばん858号(2021年2月18日) *********************************************** ◆第15回SGRA-Vカフェ「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」へのお誘い 下記の通り第15回SGRA-Vカフェをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。今回は日本語⇒中国語、日本語⇒韓国語への同時通訳がありますので、中国語、韓国語話者の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 テーマ:「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」 日 時:2021年3月20 日(土)午後3時~4時30分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語: 日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 申 込:下記リンクよりお申し込みください https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zvTNvUl4T1CsaZmXgj6CSA お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■ 趣旨 昨年の長編アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットは、日本の現代文化におけるアニメの強さをあらためて印象づけた。一方でアニメは大衆文化の中でも日陰の存在だった時期は長く、決して順調に発展してきたわけではない。そんなアニメが現在に至る歴史、世界的視野からみた独自性の確立、これまでにヒット・注目された作品の特徴、そしてアニメがこれからも発展し、日本を代表する大衆文化としての力を持続するための課題、展望について解説する。 ■ プログラム 司会:陳えん(京都精華大学マンガ学部専任講師) 【第1部】 講演「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」 津堅信之(アニメーション研究家、日本大学藝術学部映画学科講師) 【第2部】 対談/インタビュー:津堅信之×陳えん 【第3部】 質疑応答(会場+オンライン) ■登壇者略歴 講演者:津堅信之(Tsugata_Nobuyuki) アニメーション研究家/日本大学藝術学部映画学科講師。1968年生まれ。近畿大学農学部卒業。専門はアニメーション史だが、近年は映画史、大衆文化など、アニメーションを広い領域で研究する。 主な著書: 『日本アニメーションの力』(NTT出版/中国・韓国語でも出版) 『日本のアニメは何がすごいのか』(祥伝社新書/韓国語でも出版) 『ディズニーを目指した男 大川博』(日本評論社) 『新版アニメーション学入門』『京アニ事件』(ともに平凡社新書)など 司会者:陳えん(Chen_Yan/ちん・えん) 京都精華大学マンガ学部専任講師/2017年度渥美奨学生。北京大学学士、東京大学大学院総合文化研究科修士・博士課程単位取得満期退学。 研究領域:アニメーション史/日中アニメ・マンガ交流史/「動漫」「IP」の概念史など。研究以外、マルチクリエイター・プロデューサーとして日中コンテンツ業界にて活躍中。 ◇プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/02/J_SGRA-VCafe15_Program.pdf ◇中国語ウェブページ http://www.aisf.or.jp/sgra/chinese/2021/02/12/sgra_cafe_15/ ◇韓国語ウェブページ http://www.aisf.or.jp/sgra/korean/2021/02/11/sgra_cafe_15/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
TANG Rui “My Job Hunting Experience”
2021年2月11日 17:38:46
*********************************************** SGRAかわらばん857号(2021年2月11日) 【1】エッセイ:唐睿「私の就職活動」 【2】催事紹介(参加者募集):シンポジウム「女性は世界を変える」(2月20日、オンライン) 【3】催事紹介(論文募集):「ガバナンスと開発」国際会議(論文募集締切2月26日) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#660 ◆唐睿「私の就職活動」 2019年4月、私は博士課程の最後の1年を迎えました。博士論文の審査に向けて準備を始めるとともに、卒業後のことも考えなければならなくなりました。それまではまじめに勉強と研究をすれば良かったのですが、今後のことについて考えたことが少なく、明確な目標も持っていなかったため、迷っていました。博士を取得した学生にとっては卒業後大学で「ポスドク」をやって、数年後助教か講師になって、一生懸命研究成果を上げて教授への昇進に向けて頑張るというシナリオが一番有り得そうな道です。20年間頑張れば、私もいつか教授になれるかもしれません。 しかし、現実問題として、今の中国も日本も大学教員採用の競争は非常に激しくなっています。特に中国の大学で理工学系の教員職に応募する場合『Nature』『Science』系の論文を持っていないと、良い大学で助教以上の職に採用されるのはとても難しいです。研究は非常に面白いことですが、科研費が足りないことと、テニュア(終身雇用)取得まで定期的に論文を出さないと首になることを常に心配しながら研究するのは好きではないため、民間企業に就職することを決めました。 しかし、どの国で就職するか、どのような企業に応募するかについて新たな悩みが出てきました。国に関して特にこだわりはありませんが、どの国の企業に応募してもそれぞれの問題があります。日本では、私の研究テーマ「光集積回路」に関連する業務がある企業は非常に少ないです。そして、多くの日本企業はエントリーの締め切りが3月中で、2019年3月末に米国留学を終えて日本に帰ってきた私は、すでに日本での就職活動のタイミングを逃していました。残る選択肢は博士課程の学生を通年採用しているわずか一部の企業だけでした。 米国では研究テーマと関連性の高い企業が多いですが、私は米国の大学の学位を持っていないため、卒業後すぐには米国で勤務できません。就労ビザを取れない可能性も高いし、取れたとしても勤務が始まるまで時間がかかるため、面接のチャンスももらえない可能性が高いです。 中国に帰る選択肢もありますが、正直近年の中国の通信とIT企業にはあまり就職したくないです。中国の通信とIT業界にはブラック企業が非常に多く、社会問題になっているからです。2019年に中国のIT企業の社員から「996,ICU」という有名な言葉が作られました。朝9時から夜9時まで週6日の労働を続けていくと、いつか病院の集中治療室(ICU)に運ばれるという意味です。ほとんどの中国IT企業では、こういった996労働が暗黙のルールになっています。明らかに中国の労働法に違反するものですが、政府が積極的に企業の違法行為を取り締まる気配は見られません。その理由は、中国の経済成長はITと通信企業に大きく依存し、残業を制限すると中国の経済成長に大きく影響するからだと思っています。 さまざまな問題があると言っても行動しなければならないので、とりあえず米国と中国、日本の企業にたくさん応募しました。最初に応募したのはたまたま見つけたAIチップを開発している日本のベンチャー企業です。やっていることが面白く、持っている技術も凄そうなので、ホームページに新卒の募集が出されていないにも関わらず、むりやりに応募して数回の面接を受けてから内定をもらいました。中国の企業には5社応募し、3社から内定をもらいました。一番驚いたのは、博士過程の研究と関連性の高い米国企業に10社以上応募しましたが、ほとんど電話面接の機会も与えてくれなかったことです。唯一面接のチャンスと内定をくれたのは、米国留学時にお世話になった先生がコンサルタントとして勤めているベンチャー企業でした。米国の学位を持っていない人にとって、就職活動をする際にコネクションがどれほど大事かを実感しました。 内定の中には、大手企業とベンチャー企業が両方ありました。大手企業に入れば安定した生活が過ごせるかもしれませんが、私は安定した生活よりも仕事のやりがいと面白さを重視しています。給料なども総合的に考えた結果、やはり量子コンピュータを開発している米国のベンチャー企業が一番魅力的だと思い、その企業の内定を受諾しました。 私の就職活動は終わりましたが、人生についていろいろ考えさせられました。もちろん不安はありますが、今後は新しい目標を立てて頑張っていきたいと思います。 追記: 残念ながら米国就労ビザの抽選に落ちました。2020年に米国に行くのは無理なので、とりあえず中国に帰って就職しました。深せんにあるディスプレイメーカーです。6月末に中国に帰る予定でしたが、コロナウイルス感染症の防疫のため予約した便が2回キャンセルされて、8月9日にやっと帰国できました。専用ホテルで2週間の隔離と帰省を経て、9月から深せんで仕事を始めました。ちょうど今「996」の部署で研修しているので、その大変さを痛感しています。サステナブルな働き方ではないので、この部署は毎年仕事を辞める人がたくさんいます。中国でも働き方改革がいつか必須となると考えています。 <唐睿(たん・るい)TANG Rui> 渥美国際交流財団2019年度奨学生。中国安徽省出身。2013年南京航空航天大学情報工学専攻学士課程卒業、2015年(日本)東北大学通信工学専攻修士課程修了、2020年東京大学電気系工学専攻博士課程修了。現在中国深せん市の企業でディスプレイの開発に携わる。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介(参加者募集):第4回シンポジウム「女性は世界を変える」 SGRA会員で昭和女子大学准教授のシム・チュンキャットさんから、非常にタイムリーなシンポジウムの案内をいただきましたのでご紹介します。シムさんが司会を務めるそうです。参加ご希望の方は直接お申込みください。 第4回シンポジウム「女性は世界を変える」 ◆テーマ:「女性の高等教育と女子大学の将来」 開催日時:2月20日(土)16:00~17:30 開催方法:オンライン 言語:英語 共催:昭和女子大学:女性文化研究所、国際交流センター、現代ビジネス研究所 申込:https://forms.gle/hbmNSvxPzaarMeqM9 プログラム: ・ファシリテーター 昭和女子大学 坂東眞理子理事長・総長 ・パネリスト ケンブリッジ大学ニューナムカレッジ アリソン・ローズ学長 誠信女子大学校 楊普景総長 駐日ラトビア大使館 ダツェ・トレイヤ=マスィ特命全権大使 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://univ.swu.ac.jp/news/プレスリリース/2021/02/08/41780/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】催事紹介(論文募集):第2回「ガバナンスと開発」国際会議 SGRA会員でフィリピン大学ロスバニョス校准教授のフェルディナンド・マキトさんより、シンポジウムの論文・パネル提案の募集のお知らせがありましたのでご紹介します。ご興味のある方は直接応募してください。 第2回「ガバナンスと開発」国際会議 ◆テーマ:「パンデミック後の共同社会におけるガバナンスと開発」 開催日時:2021年3月23日(火)~25日(木) 開催方法:オンライン 言語:英語 主催:フィリピン大学ロスバニョス校公共政策・開発大学院 ※論文・パネルの提案を募集中。締め切りは2月26日(金)です。 https://www.facebook.com/uplb.cpaf/posts/3119307274962900 国際会議の詳細は下記リンクをご覧ください。 http://bit.ly/icgd2poster ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
JIN Hongyuan “From Academia to Industry”
2021年2月4日 20:16:40
*********************************************** SGRAかわらばん856号(2021年2月4日) 【1】エッセイ:金弘渊「アカデミアからインダストリーへ」 【2】国史対話メルマガ#26を配信:塩出浩之「国籍はいかに人の国際移動を左右するか」 *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#659 ◆金弘渊「アカデミアからインダストリーへ」 私は博士課程で基礎生物学の研究をしていた。主にチョウの色素の合成と紋様形成のメカニズムについて、研究生から修士、さらに博士まで6年間研究してきた。博士2年生の頃、将来の進路を真剣に考えはじめた。単純に研究室の先輩たちの進路を参考にしてみると、自分の業績で大学に残れるものであるかを懸念し始めた。研究室で1日を過ごして疲れてようやく家についてから、もし、自分がこのまま社会に出て仕事に就くと、何かできるだろうかと自分に聞いてみた。 答えはすぐには出てこなかった。そもそも社会経験が少ない院生の自分に対し、社会はどのような人材を求めているかがわからなかった。製造販売業のような自分の日常生活に近い業界は、実際に商品を使用したり、売買をしたりするので、製品を設計、製造、販売する人が必要であることをイメージしやすいが、モノを作らない業界(例えばIT、保険、コンサルティングなど)についてはよく知らなかった。 自己勉強のつもりもあるので、「業界地図」などの就職ガイドを購読し、ネットで新卒向けの業界説明サイトから、まず各業界に関わる基礎知識と特徴及び規模などを調査した。その結果、自分の専門にぴったり合う業界はないけれど、逆に色々試すことができると考えた。 2ヶ月後、当時の考えは甘かったと振り返った。その2ヶ月間、新卒で就職する学部生たちと一緒にリクルートスーツを着て、企業の説明会に参加するために東京に行って、履歴書の提出とウェブテストを受けて面接まで行った。一般的な企業においては、博士の学生は必要とされていないと感じた。自分が考えた理由として、その1つは新卒の博士は年齢的に30歳に近く、かつ現場の実務経験がないから、実務的に働けるまでトレーニングに必要なコストが高いということ。 例えば、商品の研究開発職に応募した同じ30代の候補者が3人いたとして、Aさんは大卒で8年の業界経験と現場での開発経験があり、課長代理と同等の管理能力が認められる;Bさんは修士卒で社会人歴6年、その内4年は日本の本社で勤務した後、2年間ドイツの支社に出向し、ビジネスレベルの英語力がある;Cさんは博士の新卒で、在学期間の成績が優秀で、良い論文も数本発表した。もし自分が人事担当だったら、短期間で商品の研究開発をするため、候補者が会社に入ってから、会社に価値が提供できるようになるまでの時間を計算し、又その期間内に生じる全ての人件費(給料、トレーニング費)を合算し、即戦力があるAかBのどちらかを選ぶと思う。社会に出たら、仕事の経験が学歴より重要だと認識した。 もちろん大卒の学生と一緒に入社し同じ仕事をすることは、自分にとっても会社にとってももったいないと考えて、新卒博士向けの職務にもたくさん応募した。そもそも博士向けのポジションは少なかったから、自分の研究から離れる業界にも応募してみた。企業は応募者の過去の研究業績より研究分野を重視すると感じた。特に自分の研究は生物の基礎研究で、医学的若しくは薬学的な研究ではなく、会社にとって最優先の人選ではないと言われた。 自分では、生物研究と医学的な基礎研究は、研究対象の違いに過ぎないと認識しており、数ヶ月の勉強さえあれば、同様の仕事ができない訳がないと考えていた。でもそれは違うらしくて、面接がうまくいったにもかかわらず、最終面接に落ちたケースは少なくなかった。その理由はいまだにわかってない。就活は面接が終わった時点で会社との連絡が不可能になり、フィードバックなどがほとんどもらえない状態だ。自分が後から考えた理由の1つは、日本の企業は、例えば海外の市場の進出のためというような特別な戦略上の必要がなければ、外国人の社員は特に必要ないということだ。それ以外は多分、「ご縁」しか考えられない。 1年間で2回も就職活動を経験し疲れた。最後の結論としては、特に国全体の経済が厳しい時には、求職者が受動的に会社側の要望に応じることが多いということだった。去年の年末(編者注:2019年末)に新しい仕事に就くことできた。それはコロナ禍で就職が大変になる前の不幸中の幸いだった。 <金弘渊(きん・こうえん)JIN_Hongyuan> 渥美国際財団2019年度奨学生。中国杭州出身。2019年東京大学大学院新領域創成科学研究科で先端生命科学を専攻し博士号(生命科学)を取得。専門は進化発生学、遺伝学。現在大阪で医薬品の臨床開発に携わる。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第26号を配信 ◆塩出 浩之「国籍はいかに人の国際移動を左右するか」 私は学生時代から最近まで、近代のアジア太平洋地域における日本人移民の歴史について研究してきた。その私にとって、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが人の国際移動に全世界的な遮断をもたらしたことは、虚を衝かれたような衝撃であった。 確かに第二次世界大戦直後のように、人の国際移動が極度に制限された時期はある。日本の敗北に伴い、旧植民地にいた日本人は日本に強制送還され、日本からの出国は主権回復まで不可能となった。しかし、そのように人の移動が制限される事態は、このグローバル化の時代には起こらないと思い込んでいたのである。 私は時間が経つにつれて、今日の事態は、第二次世界大戦後の状況と同じように、近代世界におけるグローバルな人の移動の歴史の一部として説明されるべきだと考えるようになった。しかし、人の国際移動こそがコロナ・パンデミックをもたらした要因であり、それゆえに全世界で遮断されたことについては、いまさら論ずる必要はない。 ここで考えたいのは、人の国際移動において国籍がもつ意味である。コロナ・パンデミックのもと、世界各国は国境管理を著しく厳格化したが、共通して顕著にみられたのは、自国民と外国人との処遇の違いであった。自国民に関しては帰国を原則的に認めた上で、帰国後の防疫策が課題となった一方、外国人に関しては逆に入国の禁止・制限が基本とされ、事情に応じて入国を許可するという方針が採られたのである。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2021ShiodeHiroyukiEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
LI Kotetsu “Freedom of Speech and Control, Self-restraint, Sontaku of Media”
2021年1月28日 15:43:14
*********************************************** SGRAかわらばん855号(2021年1月28日) *********************************************** SGRAエッセイ#658 ◆李鋼哲「言論の自由とマスコミ統制・自粛・忖度」 最近、新型コロナ禍の中で言論の自由とマスコミ統制問題がクローズアップされている。 共同通信によると、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は2020年4月21日、2020年の世界各国の報道自由度ランキングを発表した。対象の180カ国・地域のうち、日本は前年から1つ順位を上げ66位となったが、メディアの編集方針が経済的利益に左右されると改めて指摘された、と報道された。新型コロナウイルスの大流行に絡み、オルバン政権が強権的な姿勢を強めるハンガリーは順位を2つ下げ89位。情報統制を敷く中国は177位のままだった。感染者はいないと主張する北朝鮮は179位から再び最下位へ1つ落ちた。1位は4年連続ノルウェーで、フィンランド、デンマークがそれに続く。米国の順位は48位から45位に上がったという。 以上のランキングと関連して言論の自由が各国でどのように保証されているのか、または統制されているのか、筆者の関心はそこにある。 そもそも、現代のほとんどの国家では憲法により「言論の自由」が保証されている。自由度が一番低い共産党の独裁国家である北朝鮮や中国でも憲法では「言論の自由」や「出版の自由」、「集会の自由」などが保証されているはずだが、実態は甚だ「違憲」状態ではないだろうか?しかし、権力が憲法を踏みにじることができる権力構造の国であるため、「違憲状態」をチェックできるはずがない。 だからといって民主主義諸国ではどうであろうか?日本は先進国であり民主主義国とは言え「言論の自由」が保証されているとは言い切れない。筆者はゼミ生に課題を出して日本の「報道の自由度」を調べさせた結果、66番目であることが分かった。ただし、調べる前に何人かの学生からは「先生、ランキングは後ろから数えた方が早いんじゃないですか?」と冗談めいて言ってきたので、ちょっとびっくりした。普段は新聞をあまり読んでいない若い学生でさえそう感じるのだから。 最近、コロナ禍に関する情報に対しても民衆からの疑心暗鬼の声が聞こえる。ある事件をきっかけに筆者はそのような不信感には裏付けがあると確信した。 先月、北陸大学の隣の金沢大学(国立大学)の准教授がコロナ禍で死亡したと、本大学の職員から立ち話で聞いた。「えー、そんなこともあるの?」とびっくりし、すぐインターネットで調べてみたら、このような記事が見つかった。42歳の若い教員で、11月中旬ころに体調を崩し病院でインフルエンザと診断され、薬をもらって自宅療養していた。熱は多少下がったが治らなかったので、保健所に2回電話をしてPCR検査を希望したが、医師の診断なしでは検査を受けられないと、同じ回答を得たという。単身赴任だったので、奥さんがSNSで連絡しても返事がなく、大学の職員に連絡して確認を依頼したところ、死亡していることが見つかった。もともと喘息があったが、死亡後のPCR検査で新型コロナと判定されたという。 このような事件は重要な報道の種になるはずだ。ところが、新聞にもテレビにもほとんど報道されず、事件発生10日後に北陸中日新聞に次のような短い記事が載っただけであった。 ---------- 【2020年12月5日:北陸中日新聞】 インフルエンザとの同時流行に備え、石川県内では先月、新型コロナウイルスと双方の検査に対応できる指定医療機関が180カ所まで拡充されていた。先月26日の死亡確認後に新型コロナ感染が分かった金沢大准教授の高橋広夫さん=享年42=は、整備されたはずの新たな体制の中で、検査を受けられなかった。 ---------- 全国的には同じ系列の東京新聞に掲載されているものの、これだけでは、地元の多くの人にさえ知らされていない。大きく報道されなかったのは大学側の隠蔽なのか、行政側の忖度なのか、その裏のことは知るすべがない。このような事件はマスコミが取り上げ、行政側に対して責任を追及するのが民主主義国家のメディアではなかろうか?同じような隠し事や過小報告が他の地域にもあるのではないか?知り合いの有識者たちの話を聞くと、政府が意図的に隠しているのではないかと疑心暗鬼だ。報道の自由が制限されているのか、あるいはメディア側が自粛や忖度をしているのか、それとも両方なのか?報道の自由度ランキングが66番目の実態が実証できる一つの事例である。 では、報道の自由度が45番目のアメリカはどうだろうか?今度の大統領選挙を通じて、筆者の民主主義に対する信奉は完全に崩れてしまった。筆者は多言語の優位を生かして、今度の選挙戦に深い関心を持ってYouTubeなどに頼り、台湾のメディア、韓国のメディア、アメリカの華人系メディアなどを通じて、一般の主流メディアでは取り上げていない「裏の情報」を毎日のように目の当たりにして、選挙過程の実態が客観的に報道されていないことにがっかりした。 結論的に言うとアメリカの民主主義はもう崩壊している。なぜなら主流メディアは真実の一面しか報道しないからだ。「不正選挙」で「権力がもぎ取られている」ことには目をつむっており、エスタブリッシュメント勢力がアメリカ憲法や民主主義を踏みにじっていることについては、ほとんど報道されていない。SNSやネットメディアは政治的に主張が違う人々のメディアへのアクセスを封殺、ツイッターがトランプ大統領を封殺したのが典型的で、世界最大の民主主義国家の大統領がメディアの自主判断によって発言が封印されるという前代未聞の事態が発生しているのだ。ツイッターだけではない、FACEBOOKなど他の主流ソーシャルメディアは、自分たちの判断基準(ファクトチェック)に則って国民の声を封殺しており、これは国家権力ではないメディアの言語道断であろう。メディアが偏向の報道しかしないとき、国民は政治判断の材料としての真実を手にすることができず、そうなったら民主主義の実行手段である選挙の公正性・公平性はゆがんでしまい、民主主義はもはや崩壊したと言っても過言ではないだろう。 公正、公平に真実を国民に知らせる使命を背負っているはずのメディア(筆者の価値判断基準で)が中立性を失い、政治に介入する時、公正、公平、自由な報道はもはや望めないのではないか?筆者が信奉し追求してきた民主主義の価値観、哲学や理念はもはや心の中で崩れていくような気がしてたまらない。筆者は今後独裁政権を批判する根拠を失いかねない。 独裁政権でメディアが厳しくコントロールされていることは誰もがわかっている事実だ。しかし、民主主義国家では言論統制は「論外」だと思われる民衆が多いのではないか?いずれも国民が真実を知る権利を奪われている点では「五十歩百歩」ではなかろうか?独裁国家の「リーダー」や「知性人」は今度のアメリカ選挙戦を見て、民主主義総本山の米国をあざ笑っている。「ほら、やはり民主主義も偽善ではないか?言論の自由も嘘ではないか?」、「やはり我々の体制が優越だ」と。かれらは新型コロナ禍への対応についても「制度的優越性」を強調する。 だからと言って、言論の自由を無慈悲に弾圧する独裁政権が自分たちを正当化できるとは到底思えない。いつかは国民から見捨てられるに違いない。かの国は主権在民の「人民共和国」であり、封建王朝ではないのだから。かつて「無産階級(プロレタリア)の独裁」を掲げて百姓のために造った政権は、今や「有産階級(ブルジョア)とエリート階級の独裁」に変質したように思われてならない。 どこの国でも、いつの時代でも、国民の民意をくみ取り真に国民のための政治を行わない政権は、安定して長続きすることができないと筆者は考えている。中国の古典にも「水能載舟、亦能覆舟」《荀子哀公》という名言がある。その意味は、為政者は船の如く、民は水の如し;水は船を乗せて安全に航行することもできるが、船を倒して沈没させることもできる。為政者に対する戒めの諺である。 <李鋼哲(り・こうてつ)LI_Kotetsu> 中国延辺朝鮮族自治州生まれの朝鮮族。1985年中央民族大学(中国)哲学科卒業後、中共北京市委党校大学院で共産党研究、その後中華全国総工会傘下の中国労働関係大学で専任講師。91年来日、立教大学大学院経済学研究科博士課程単位修得済み中退後、2001年より東京財団研究員、名古屋大学研究員、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、06年より北陸大学教授。2020年10月、一般社団法人東北亜未来構想研究所を有志たちと創設、所長に就任。日中韓+朝露蒙など東北アジアを檜の舞台に研究・交流活動を行う。SGRA研究員および「構想アジア」チーム代表。近著に『アジア共同体の創成プロセス』(編著、2015年、日本僑報社)、その他論文やコラム多数。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
XIE Zhihai “What We Find from the Delayed Vaccine Development in Japan”
2021年1月21日 15:49:37
*********************************************** SGRAかわらばん854号(2021年1月21日) *********************************************** SGRAエッセイ#657 ◆謝志海「遅れる日本のワクチン開発から見えてくるもの」 新型コロナウイルスという世界的大案件を持ち越したまま2021年を迎えてしまった地球。年末年始に「コロナ疲れ」を癒すどころか、日本では特に東京の感染者が急増したことが目立ち、気をつけながらのお正月を過ごした方が多かったことだろう。年末年始の感染者増加に、二度目の緊急事態宣言、コロナ関連においては相変わらず話題に事欠かない。医療従事者は慢性のコロナ疲れであることは間違いない。彼らの精神面はコロナと同様に心配である。最近では、欧州やアメリカで増えつつあるワクチン接種のニュースよりも、日々の感染者数の話が目立つ。 しかし、もし世界に先駆けてコロナワクチンを開発したのが日本の製薬会社だったら、きっともっと話題になっていただろうし、日本人はすでにワクチン接種をしていたかもしれない。なぜこんなことを思ったのかと言うと、昨年12月に米ファイザー製薬が開発したワクチンがロンドンで解禁になり、大きな話題を呼んだ。ドイツの製薬会社もほぼ同時にワクチン開発を発表した。その時私は、日本もすぐに大手製薬会社がワクチンを開発したと発表するのだろうと漠然と思っていた。日本が、米国のワクチンを取り入れるのか、ドイツのワクチンを取り入れるのか、そんなことより、日本は日本ですぐに製品化までするのだろうと思っていた。しかし年が明けてもそのような話は一向に聞かない。 ものづくりの国、技術先進国、おまけに世界に名の知れる大手製薬会社がいくつもある日本、何かがおかしい。どうした日本?そう考えると、最近の日本のプレゼンスが低くなっていることに気がついた。新進気鋭のスタートアップもさほど目立たなければ、世界的に有名な若きカリスマ社長などもいない。(個人的には気になる起業家は何人かいるが)業界問わず、そういうカリスマ的存在というものが、国をも引っ張り、国民の士気も上がるのでは?と思いはじめた。 もちろん日本にも起業し、現在も国際的に活躍する社長はいる。例えばソフトバンク・グループ孫正義、楽天を立ち上げた三木谷浩史など。しかし起業家の国際的知名度がぐっと上がるのは、海外に多い。中国ならアリババを作ったジャック・マー。イギリスならヴァージン・グループのリチャード・ブランソン。アメリカなら故人になってもスティーブ・ジョブスと、彼の遺したアップルは今でも存在感を放つ。同じくアメリカで今、一番目立つ社長といえば、テスラ・モーターズのイーロン・マスクだろう。このテスラで2年近く働いたという元パナソニックの副社長、山田善彦氏は、東洋経済の「テスラvs.トヨタ」特集で日本人にはちょっと耳の痛い指摘をした。「パナソニックに限らず、今の日本の企業はこのテスラのスピード感についていけない。よほどのカリスマ経営者がいるか、創業者が経営に関わっていない限り無理だ」そう、スピード感だ!今の日本に足りないものは。 日本に足りないものについて話す前に、日本の素晴らしいところも伝えておきたい。まずはなにより、マスク・手洗いをちゃんとする国。公共の場所がとても綺麗なところも日本の魅力だ。現に世界に比べたら、日本のコロナ感染者数は騒ぐほど多くはないのではないか。だからなおさら思う。今の日本には全体的にスピード感がないと。コロナで様々なことが停滞するのはわかる。感染者をたくさん出すが、ワクチン開発はものすごいスピードのアメリカとヨーロッパ諸国。中国は徹底した感染対策に加えて、いち早くワクチンを開発した。ここに日本が入れていないのが非常に残念なのだ。 製薬業界に全く詳しくない私が検索で見つけた、日本のワクチン開発が遅れている理由の一つとして「大規模な臨床試験をできない日本の弱点が新型コロナで明らかになった」と日経・FT感染症会議(主催・日本経済新聞社、共催・英フィナンシャル・タイムズ)で医薬品医療機器総合機構理事長の藤原康弘氏が言っている。どうやら制度の問題が大きいようだ。確かに日本の新薬の認証は元来とても慎重で時間がかかるとされている。しかし、コロナは未曾有のパンデミックで、従来どおりの慣習にのっとって開発していたら、間に合わないのは当然だ。コロナに対しては、特例を設け、迅速に優先的に感染者の情報を手に入れたりする方法を見つけたりして、なんとか国内での開発をあきらめたり、スピードを緩めたりはしないでほしい。 日本がポストコロナで輝くために必要なのは、危機管理をしながらの新しいことへの挑戦精神をあきらめないことだろうか。最後に、元駐中国大使、元伊藤忠商事株式会社会長を務めた丹羽宇一郎氏の著書からの言葉を引用したいと思う。「いままでの日本ではあり得なかったことが、これからは当たり前のように起こります。だからこそ、何歳になっても努力を怠ってはいけないのです。」当然至極のことを言っているようだが、これはコロナ前の2019年に出版された「仕事と心の流儀」という本の「「ドングリの背比べ」を続けていたら仕事を奪われる」の項からの一節である。今とても心に沁みる言葉ではないか。世界が混沌としたまま年を越したが、努力の先に明るい未来が待っているかもしれない。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
WANG Wenlu “Minority in Time of Emergency”
2021年1月14日 16:36:41
*********************************************** SGRAかわらばん853号(2021年1月14日) *********************************************** SGRAエッセイ#656 ◆王ブンロ「有事のマイノリティー」 早いもので、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めて一年が経ち、人々の日常生活を完全に変えた。寒い季節に入って、再び世界中で感染者数が急増している。最近、我々日本在住の外国人の多くが、ある一つのニュースに心を痛めたのではないだろうか。日本政府は、新型コロナウイルスの変異種が確認されたことを受けて、全世界からの外国人の新規入国を停止した。2020年8月中旬以降、外国人の入国が緩和されて、職場では新しい外国人研究者を受け入れてきたので、私も近いうちに、実家に帰ったり、海外調査に出かけたりすることができると期待していたさなかのことであった。 2020年3月初旬に私は研究調査と学会参加のため、アメリカへ渡航した。すでに中国をはじめとするアジア地域(そしてイタリア)で感染が拡大していた頃であったが、アメリカではまだ特に入国禁止措置が取られている状態ではなく、学会も中止されていなかったため、渡航を決行した。アメリカに着いた一週間目は図書館などに問題なくアクセスできたが、3月15日頃から各大学が閉鎖となり、外出自粛の要請も出された。その後、私は毎日、日本の外務省のホームページで入国制限の最新情報を注視しつつ、航空会社に予定より早い便に変更してもらえないか、連絡し続けていた。幸か不幸か、入国制限がかけられるまでには帰れたが、公共交通の利用禁止や14日間の自宅隔離が求められ始めた当日に日本に着いた。帰国前の不安や焦りに満ちた日々をいまだに鮮明に覚えている。日本に自宅があるのに、外国人だから家に帰れない、家族と会えないということが、自分の友人に大きく影響を与えたためである。 「何かある時、日本で一番早く見捨てられるのは外国人だよね」 「それはどこの国でもそうでしょう」 最近のニュースを見て家族に愚痴を言った時に、このように返された。確かに、現代社会は国民国家の枠によって形成されて、その中の一人ひとりは基本的には特定の集団に属して、その所属によって色々と規定されてしまうのだ。もちろん、どの国にも所属しない難民や複数の集団に所属する多国籍者も存在して、実像はさらに複雑だ。多くの人にとっては、自国を離れ他国に行くと、通常は人口的なマイノリティーとならざるを得ない。肌の色や話す言葉などでマジョリティーとの明確な違いがある場合、さらに目立つこととなる。これによって、誤解されたり、差別を受けたりすることがありがちだ。特に、昨今のコロナ禍のような有事の際は、マイノリティーが置かれる厳しい環境がさらに浮き彫りになる。 3月にアメリカにいた際、私は感染拡大していることが分かっていても、外出時にマスクを付けなかった。現地でのトラブルを回避するためだった。その頃、世界中でアジア系の人がマスクを付けていることで、ウイルスだと言われたり、時に暴力を振われたりしたことが、しばしばニュースで報じられた。 カリフォルニアの民間団体や大学関係者が立ち上げた、アジア系アメリカ人や太平洋諸島出身の人々に対する暴力事件を申告するプラットフォームSTOP_AAPI_HATEには、3月中旬のオープンから8週間で1843件ものコロナ関係の差別事件の申告が寄せられた。中には身体的暴力が8.1%を占めている。差別の理由として、17.5%の回答者はマスクまたは服装と述べている。このような世界中のアジア系に対する差別を情報収集、分析、発信しているプラットフォームとして、他に、海外在住の中国系研究者が運営するSinophonia_Trackerやオーストラリアの民間団体が進めるI_Am_Not_a_Virusキャンペーン等々がある。SNS上でもJeNeSuisPasUnVirusのハッシュタグに注目が集まっている。 ◇STOP_AAPI_HATE https://stopaapihate.org/about/ ◇Sinophonia_Tracker https://sites.google.com/view/sinophobia-tracker/home ◇I_Am_Not_a_Virus http://diversityarts.org.au/not-virus-report-story/ これらは全て中国系をはじめとするアジア系の人々の処遇に目を配るものである。一方、同時期に、中国の広東省に居住するアフリカ系移民が大家に強制的に退居され、感染してないのに隔離されたことが報道された。もう少し調べたところ、インドでも例えば北東部出身で肌の色が中国人に近いモンゴロイド系の人、そして社会的に少数派であるムスリムへ差別や暴力が向けられている。いずれも社会のマイノリティーである。しかし、差別は感染症によって作り出されたものではなく、既存の差別問題が感染症によってさらに露呈されたのだ。危機時に自分の集団に所属しないと思われる人々を排除し攻撃することは、歴史的によくあることである。関東大震災後の朝鮮人殺傷事件や、9.11アメリカ同時多発テロ事件後の非イスラム教国での人口的少数であるイスラム教徒に向けられた敵意が想起される。 しかし、マジョリティーやマイノリティーとは、実は非常に流動的で、時間や空間が変わると入れ替わるものだと思う。日本社会に暮らしている自分は外国人として確かにマイノリティーだが、日本在住の外国人のなかでは中国人はマジョリティーである。日本人とは外見のみではほぼ見分けられないため、日本語を上手に話せば、うまくマジョリティーである日本人にカモフラージュすることもできる。もしかすると、日本国籍を持っているハーフの日本人よりも日本人と思われやすく、疎外感を感じにくいかもしれない。そう考えると、国籍や肌色といった一見明確そうなカテゴリー付けも実は非常に恣意的なものだと感じる。 新型コロナが世界中で広がっている中、最近ではあまり特定グループを敵視することが報道されなくなった。しかし程度の差はあれ、どの国や地域でも起こっていた他人化(othering)の現実を簡単に忘れてはならない。世界規模のパンデミックはいずれまた発生するかもしれないし、人類は色々な災害に直面するだろう。その時、今回のコロナの経験を振り返った上で、人々がより寛容でいられるようになればと願う。 <王ブンロ WANG_Wenlu> 渥美国際交流財団2019年度奨学生。東京大学国際高等研究所東京カレッジ特任研究員。2011年北京外国語大学中国語言文学学科卒業。2014年同大学大学院比較文学専攻修了、修士号取得。2020年3月東京大学人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。専門分野は東アジアとヨーロッパの交渉史、東アジアにおけるキリスト教の布教史。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Invitation to SGRA Webinar “The 5th Dialogue of National Histories” (Final Announcement)
2021年1月7日 13:27:38
*********************************************** SGRAかわらばん852号(2021年1月7日) ・-・-・-・-・-・-・-・ あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いいたします ・-・-・-・-・-・-・-・ 【1】SGRAウェビナー「第5回国史たちの対話の可能性『19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応』」へのお誘い(2021年1月9日、オンライン)(最終案内) 【2】催事紹介:東京カレッジ_オンライン討論シリーズ『グローバルヒストリーの対話』 *********************************************** 【1】SGRAウェビナー「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」へのお誘い(最終案内) 下記の通り第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 ◆第65回SGRAフォーラム/第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 テーマ:「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日 時:2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本時間) 方 法:Zoom_Webinarによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ※参加申込(下記リンクより参加登録をお願いします) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_qneDSQLgS4GWpaC1tLzuoQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■概要 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)では、2016年以来「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を4回実施してきたが、今回は初めて試みとしてオンラインで半日のプログラムを開催する。今回のフォーラムでは、3カ国の歴史研究者が近代史の中の感染症についての研究を発表し、東アジア地域の交流史としての可能性を議論する。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を発行し、参加者によるエッセイ等をメルマガ等で広く社会に発信する。 ■テーマ「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。 ■プログラム 第1セッション(14:00-15:40)座長:村和明(東京大学) 【発 表】 韓国:朴漢珉(東北亜歴史財団)「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」 日本:市川智生(沖縄国際大学)「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」 中国:余新忠(南開大学)「中国防疫メカニズムの近代的発展と性格」 【指定討論】 韓国:金賢善(明知大学) 日本:塩出浩之(京都大学) 中国:秦方(首都師範大学) 第2セッション(15:45-17:15)座長:南基正(ソウル大学) 【論点整理】劉傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 【総 括】宋志勇(南開大学) 【閉会挨拶】三谷博(跡見学園女子大学) ※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_Kokushi4_ProjectPlan.pdf ・プロジェクト資料 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/kokushi/2020/15892/ ・チラシ http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J-Kokushi5-Poster-light.jpg -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介 SGRA会員で東京大学東京カレッジ研究員の王Wenluさんよりオンライン討論シリーズのご案内をいただきましたのでご紹介します。 ◆東京カレッジ_オンライン討論シリーズ「グローバルヒストリーの対話」のご案内 2019年東京大学に新しく設立された東京カレッジでは、国内外の卓越した研究者や知識人が分野横断型の共同研究を行い、そこで生まれた独創的・先端的知と学問の魅力を世界に向けて発信しています。5つの研究テーマ――デジタル革命と人類の未来、学際的アプローチによる地球の限界への挑戦、内から見た日本と外から見た日本、2050年の人文学、生・命(いのち)の未来――を掲げ、地球と人類社会の未来を貢献する「知の協創の世界拠点」を目指します。 このたび、東京カレッジは「グローバルヒストリーの対話」と題するオンライン討論のシリーズを企画しました。歴史研究の新しい潮流「グローバルヒストリー」とは何か?その方法、テーマと意義は?研究者の立ち位置と研究成果の関係は?海外研究者と東京カレッジの若手研究者が同分野の歴史・現在・未来を語らいます。What_Is_Global_Historyの著者であるセバスチャン・コンラート教授や、中国の人気ポッドキャスト番組「中国発のグローバルヒストリー」の主宰者である葛兆光教授をはじめとする世界の第一線で活躍するグローバルヒストリーの研究者10名が登壇します。私も東京カレッジ側の対談者として登場します。 13話からなる全シリーズは、1月15日より下記にて順次公開されます。 ・東京カレッジのウェブサイト https://www.tc.u-tokyo.ac.jp ・東京カレッジYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCGI2NUAxXMyN8-Up3n4piaQ 登壇者や公開日程の詳細は下記よりご確認ください。 https://www.tc.u-tokyo.ac.jp/ai1ec_event/3131/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Important Announcement from the 6th Asia Future Conference
2020年12月24日 13:56:07
*********************************************** SGRAかわらばん851号(2020年12月24日) -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 新型コロナウイルスまん延で大変な1年間でしたが、 SGRAかわらばんをお読みいただき、ありがとうございました。 新年は1月7日から始めます。 みなさまどうぞ良いお年をお迎えください。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【1】第6回アジア未来会議の開催を1年延期します 【2】国史対話メルマガ#25を配信:李命美「私の高麗-モンゴル関係研究、『民主的市民の養成教育』についての断想」 【3】催事紹介:国際シンポジウム「近代日本の中国学の光と影」(2021年1月11日、オンライン) 【4】SGRAウェビナー「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」へのお誘い(2021年1月9日、オンライン)(再送) *********************************************** 【1】アジア未来会議より重要なお知らせ 新型コロナウイルスの流行により、第6回アジア未来会議(AFC#6)の開催を1年延期します。感染が抑えられている台湾で会議を開催することはできますが、海外からの参加者が入国できるようになることを願って延期を決定しました。 ◆第6回アジア未来会議の新しいスケジュール 日時:2022年8月26日(金)~8月30日(火)(到着・出発日を含む) 会場:中国文化大学(台北市) プログラム:基調講演、シンポジウム、分科会(論文の口頭発表)、見学ツアー、ウェルカムパーティー、クロージングパーティー、優秀論文賞(AFC#6B)授賞式 他 ◇延期に伴い下記の通り前年祭(プレカンファランス)を開催します。 日時:2021年8月26日(木) 会場:中国文化大学(台北市)を拠点にハイブリット式(対面、オンライン併用)で実施 会場におけるプログラム:基調講演、シンポジウム、台湾地区優秀論文の口頭発表 オンラインプログラム:優秀論文賞(AFC#6A)授賞式、優秀論文(AFC#6A)の口頭発表 ◇論文の投稿、奨学金と優秀論文の選考について 2022年の開催までに、論文の発表要旨の審査、および奨学金と優秀論文の選考を2回繰り返して実施します(AFC#6AとAFC#6B)。 2021年に実施予定だった会議に向けて2020年9月20日までに投稿され、審査に合格した論文発表要旨を対象としたAFC#6A奨学金と優秀論文の選考は現在進行中です。選考結果は当初の予定通り発表します。 2020年9月21日から2021年8月31日までに投稿される論文発表要旨は、AFC#6B奨学金と優秀論文の審査対象となります。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/important-announcement/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第25号を配信 ◆李命美「私の高麗-モンゴル関係研究、『民主的市民の養成教育』についての断想」 COVID-19の世界的な流行が長期化し、私たちの生活や価値観にもたらした、そしてもたらすであろう変化に関する考察が活発に行われている。そうした分析を重く、また興味深く受け止めているが、それと関連して書くことは筆者の知識と力量を超える。このエッセイでは、筆者の専攻ともっと直接的な関連のある、もう一つの「流行」について、簡単に話してみることにしたい。 韓国の教育学界では近年「民主的市民の養成教育」が強調されている。このような動きは韓国だけの問題ではないはずであり、また最近始まったことでもないが、「人文大学」で学位を取った筆者は、最近「師範大学」に所属し教師を夢見る学生たちを教えながらこのような熱風を文字通り体感している。教育部の支援を受け、大学では既存の講義を「民主的市民の養成教育」の趣旨に合わせて改善したり、関連する新しい講義を設け教員に支援金を支給したりしている。 中等教育を受けた学生たちに民主的市民としての資質を備えさせる教育という趣旨には同意するが、具体的に「どうやって?」という問題、特に筆者とこのエッセイを読む研究者たちの専攻領域である歴史教育においてこの問題をどう扱うべきかという問題は、やや複雑である。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2020LeeMyungmiEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】催事紹介 SGRA会員で東北大学国際文化研究科の朱琳さんから下記オンライン会議のお知らせをいただきましたのでご案内します。参加ご希望の方は、主催者に直接お申込みください。 ◆国際シンポジウム「近代日本の中国学の光と影」 日時:2021年1月11日(月・祝)13:00~18:00 開催方法:Zoomによるオンライン開催(事前申込制) 参加定員:100名まで ※参加者多数の場合、先着順となります。 申込・お問合せ: お名前、所属、メールアドレスをご記入の上、下記へご連絡ください。 [email protected] 申込締切:2021年1月9日(土)17:00 主催:東北大学大学院国際文化研究科 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://asnet-utokyo.jp/news/external/6703 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【4】SGRAウェビナー「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」へのお誘い(再送) 下記の通り第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 ◆第65回SGRAフォーラム/第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 テーマ:「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日 時:2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本時間) 方 法:Zoom_Webinarによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ※参加申込(下記リンクより参加登録をお願いします) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_qneDSQLgS4GWpaC1tLzuoQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■概要 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)では、2016年以来「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を4回実施してきたが、今回は初めて試みとしてオンラインで半日のプログラムを開催する。今回のフォーラムでは、3カ国の歴史研究者が近代史の中の感染症についての研究を発表し、東アジア地域の交流史としての可能性を議論する。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を発行し、参加者によるエッセイ等をメルマガ等で広く社会に発信する。 ■テーマ「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。 ■プログラム 第1セッション(14:00-15:40)座長:村和明(東京大学) 【発 表】 韓国:朴漢珉(東国大学)「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」 日本:市川智生(沖縄国際大学)「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」 中国:余新忠(南開大学)「中国防疫メカニズムの近代的発展と性格」 【指定討論】 韓国:金賢善(明知大学) 日本:塩出浩之(京都大学) 中国:秦方(首都師範大学) 第2セッション(15:45-17:15)座長:南基正(ソウル大学) 【論点整理】劉傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 【総 括】宋志勇(南開大学) 【閉会挨拶】三谷博(跡見学園女子大学) ※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_Kokushi4_ProjectPlan.pdf ・プロジェクト資料 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/kokushi/2020/15892/ ・チラシ http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J-Kokushi5-Poster-light.jpg ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
XIE Zhihai “Go To School rather than Go To Travel”
2020年12月17日 13:31:46
*********************************************** SGRAかわらばん850号(2020年12月17日) 【1】エッセイ:謝志海「GoToトラベルよりもGoToスクール」 【2】寄贈書紹介:田尾陽一『飯舘村からの挑戦―自然との共生をめざして』 【3】「国史たちの対話の可能性」オンライン会議へのお誘い(再送) 「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」(2021年1月9日) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#655 ◆謝志海「GoToトラベルよりもGoToスクール」 少し前のことだが、大学1年生のお子さんを持つ母親が書いたと思われるブログに遭遇した。全く知らない方のある日のつぶやきだが、私の心に重くのしかかり色々と考えることになってしまった。その大学生の娘さんはこの春に入学して、まだ一度もキャンパスの門をくぐったことがないという。そしてそのまま後期が始まり、大学に行かないことが当たり前のように過ごす娘。そんな中、家に届いたのは来年度の学費の振込票だった。お母さんは「GoToトラベルもいいけど、GoToスクールもなんとかしてほしいものだ」と締めくくっていた。 きっとこれが学校に通えないお子さんを持つ親のリアルな叫びなのだろう。私はなんとも言えない苦い気持ちになった。以前「かわらばん」で、「大学はなにがあっても学生に学びの機会を提供できる場でなければいけない」と書いたが、去年の今頃と今を比べて、学生の勉強時間は減っていないかと心配になる。全国の大学教員は、講義を前もって録画してシステムにアップロードするなど、むしろ去年より授業の準備に手間がかかっている方も多いだろう。しかし保護者をはじめとする、学費を払う者と、学ぶ学生にそれが伝わらなければ意味がない。オンライン授業の早期普及は助かるが、それでも限界がある。早稲田大学の田中愛治総長が2020年10月13日の「週刊エコノミスト」で「社会が求めている人材はたくましい知性としなやかな感性を兼ね備えた人物だ。たくましい知性はオンラインで7割ぐらい身につけることができるが、しなやかな感性はオンラインでは無理だ」と語っていた。 登校できないこと、勉強時間の損失は大学生に限ったことではない。義務教育の学生、高校生、そして世界中全ての学生にとって、今年の学習環境と勉強時間は憂慮される。英エコノミスト誌(2020年7月18日)でも、新型コロナウイルスによって子どもたちが学校に通えないことは、世界中の生徒に大きなダメージを生むことを憂いていた。例えば、(家庭で)虐待を被る可能性があること、栄養不良、心の健康の低下などに陥りやすいと警笛を鳴らしている。また学習機会の損失が未来の経済にどのように影響するかも指摘しており、同記事では「世界銀行によると(コロナウイルスの影響で)学校が5ヶ月間閉鎖した場合、生徒たちの生涯収入は現在の額で10兆ドルの減少になるだろう」と予測している。 この世界銀行の試算を聞いて真っ先に思い出されるのが、冒頭のお母さんのブログの最後「GoToトラベルよりもGoToスクール」だ。目先の経済をまかなうより、将来を見越して持続可能な経済政策を打ち立てなければならない。特に日本は少子化が止まらないというのに。今いる子どもたちの将来の年収が減ったら、誰でも容易にいくつもの心配事が浮かぶだろう。今年の春先、「GoToトラベル」なんて存在していなかった。それがいまでは、日本国民でこの言葉を知らない人は皆無に等しい。ならば同じぐらいのスピードで全ての学生の学びの機会が追いつく施策も作れるはずだ。 もちろん、文部科学省が大学生の支援策として学生支援緊急給付金を交付したり、大学が個別に支援金を配布したりしている。例えば東京大学と早稲田大学は、経済的に困窮した学生に対し、前者は1人5万円、後者は10万円を支給し学生の退学を防ごうとしている。経済的な理由で大学を離れるのを防ぐのは大事だが、登校する機会が減り、オンライン授業ばかりになっても、学生たちが退屈することのない授業やプログラムを提供し、このコロナ禍でも自身の大学を選んでよかったと思えれば、「退学」の2文字はよぎらないはずだ。これもまた経済の話になるが、大学卒と高校卒の年収は100万円ぐらい違うという調査もある。そういうことを考慮し、大学生が金銭を理由に退学して大学を去ったとしても、休学システムを寛容化させる、もしくは復学のチャンスを与えてあげる対策も必要であろう。 GoToトラベルと同じぐらいのスピードと熱量で学生の学びを停滞させない政策を作るべきだ。厳しい冬の到来は目の前だが、この冬コロナが増えようが減ろうが、来年度は2019年に戻るか追い越すぐらい、学校に通う全ての子どもたちに学びのチャンスが到来することを願うばかりだ。これからも身を引き締めて、教育現場の活性化に努めたい。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈書紹介 残念ながら今年は中止になりましたが、毎年SGRAが開催している「ふくしまスタディツアー」を共催していただいている「ふくしま再生の会」の田尾陽一理事長より、近刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。SGRAかわらばんでご紹介したSGRA会員による報告文も掲載されています。 ◆田尾陽一『飯舘村からの挑戦―自然との共生をめざして』 学生時代に東大大学院で高エネルギー加速器物理学を研究していた著者は、福島第一原発事故に際して「被災地の放射線量はどうなっているのか」と疑問をもち、福島県飯舘村の農民と協働して再生への活動を始めた。ボランティアと研究者を結集して「ふくしま再生の会」を結成し、飯舘村で自然と人間の共生を訴える著者が、震災から十年の節目にこれまでの活動を振り返り、都市から地方への流れが進むポストコロナの時代に不可欠な、自然との共生理念とその実践の道を提示する。 発行:筑摩書房 シリーズ:ちくま新書 定価:本体940円+税 刊行日: 2020/12/07 判型:新書判 ページ数:320 ISBN:978-4-480-07363-1 JANコード:9784480073631 詳細は、下記リンクよりご覧ください。 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073631/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】オンライン会議「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」へのお誘い(再送) 下記の通り第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 ◆第65回SGRAフォーラム/第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 テーマ:「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日 時:2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本時間) 方 法:Zoom_Webinarによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ※参加申込(下記リンクより参加登録をお願いします) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_qneDSQLgS4GWpaC1tLzuoQ お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■概要 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)では、2016年以来「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を4回実施してきたが、今回は初めて試みとしてオンラインで半日のプログラムを開催する。今回のフォーラムでは、3カ国の歴史研究者が近代史の中の感染症についての研究を発表し、東アジア地域の交流史としての可能性を議論する。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメルマガ等で広く社会に発信する。 ■テーマ「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。 ■プログラム 第1セッション(14:00-15:40) 座長:村和明(東京大学) 【歓迎挨拶】今西淳子(渥美国際交流財団) 【開会挨拶】趙珖(韓国国史編纂委員会) 【発 表】 韓国:朴漢珉(東国大学)「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」 日本:市川智生(沖縄国際大学)「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」 中国:余新忠(南開大学)「中国防疫メカニズムの近代的発展と性格」 【指定討論】 韓国:金賢善(明知大学) 日本:塩出浩之(京都大学) 中国:秦方(首都師範大学) 第2セッション(15:45-17:15) 座長:南基正(ソウル大学) 【論点整理】劉傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) ・韓国: 李命美(慶尚大学)、金甫桄(嘉泉大学)、許泰玖(カトリック大学)、崔ジョヒ(徳成女子大学)、韓承勲(韓国芸術総合学校)、韓成敏(大田大学)、金キョンテ(全南大学) ・日本: 向正樹(同志社大学)、四日市康博(立教大学)、八百啓介(北九州市立大学)、大川真(中央大学)、大久保健晴(慶応義塾大学)、青山治世(亜細亜大学)、平山昇(神奈川大学) ・中国: 鄭潔西(寧波大学)、孫衛国(南開大学)、孫青(復旦大学)、彭浩(大阪市立大学)、李恩民(桜美林大学) ・ゲスト: 明石康(元国連事務次長)、楊彪(華東師範大学)、王文隆(南開大学)、段瑞聡(慶応義塾大学) ・オブザーバー: 葛兆光(復旦大学)、祁美琴(中国人民大学) 【総 括】宋志勇(南開大学) 【閉会挨拶】三谷博(跡見学園女子大学) ※同時通訳 韓国語⇔日本語:李ヘリ(韓国外国語大学)、安ヨンヒ(韓国外国語大学) 日本語⇔中国語:丁莉(北京大学)、宋剛(北京外国語大学) 中国語⇔韓国語:金丹実(フリーランス)、朴賢(京都大学) ※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J_Kokushi4_ProjectPlan.pdf ・プロジェクト資料 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/kokushi/2020/15892/ ・チラシ http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/10/J-Kokushi5-Poster-light.jpg ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ 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