SGRAメールマガジン バックナンバー
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YANG Sung-Yun “Japanese Classical Literature and I: A Study of Saikaku’s Odd Tales”
2021年9月24日 12:15:01
*********************************************** SGRAかわらばん889号(2021年9月24日) *********************************************** SGRAエッセイ#681 ◆梁誠允「日本の古典文学と私―西鶴奇談を研究すること―」 留学生活の最後の1年であった2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大のただ中でした。日本の古典文学、特に井原西鶴(いはら・さいかく、1642-1693)の小説を中心に江戸時代の表現文化を研究している私にとって、本物の資料を参照することは必須作業です。ウイルス感染よりも資料調査への隘路こそが心配事でした。もちろん、翻刻・出版された文献もあり、古典籍の画像データベースが急速に進展しウェブサイトで閲覧可能な資料もありますが、私が取り扱う文献には未公開資料で各地の図書館・文庫に所蔵されている写本が多いのです。日本には大量の古典籍が沢山残っています。くずし字が読めれば江戸時代の生活文化史における重要な考究材料を自由に活用できるわけですが、コロナ渦では大学図書館の出入・閲覧制限がなされ、資料への接近そのものが難しくなっています。コロナの終息も資料閲覧の再開も、なお遼遠に見えます。 いつの間にか私は、日本の文学と文化について最も前衛的に探求しなければならないという使命感を持つようになりました。研究成果を早く公表しようとする焦りから生じたものでもなければ、元禄時代の文豪〈西鶴〉を再び特権化しようとする意図から生じたものでもありません。一つの大きな問題意識に由来するものです。 韓国の高麗大学で日本文学を学んでいた頃、私は「時を超越して〈今・ここ〉を思うことは可能なのか」という、極めて抽象的な問いを抱いていました。また、現代の我々の姿や社会の有り方を見つめ直すためには、それらと距離を取りながら眺めることが必要であり、場合によっては積極的で反省的に関与する知の態度も必要ではないか、と思っていました。一見、相反する思いですが、ひとまず大学院に進学して、近代以前の人々の表現文化について研究することに決めました。その時、特に注目したのが、江戸時代の人々が巷談巷説の記録に熱心であったという事実です。日本の近世人が奇怪な話題を好み、世間話を好んだ実情は想像を超えるものがあります。諸国話・雑話物・説話物と称される作品群をはじめ、随筆・日記・見聞譚などの記録には、様々な異事奇聞・世間話がたくさん残されています。このような報道説話・世間話は、近世社会の自画像とでも言うべき資料であり、近世人にとっては見知らぬ世界についての、いわば情報交換としての意味あいも持っていました。 そこで私は同時代の人間の姿や心のあり方、世態風俗に深く心を傾け、それらを鋭く描き出した西鶴の作品の中で『西鶴諸国はなし』(1685年刊)、『懐硯』(1687年刊)という奇談集を研究対象と定めました。西鶴は奇談集の中で、同時代の人情世態を形象化するに当たり、実際に起こった事件を用いる場合においても、素材の元の面影をほとんど留めない形で改変しており、数多くの奇異・怪異現象を盛り込んだ先行の説話、あるいは民話・伝説のような口承文芸を利用しています。西鶴の奇談には、新奇な社会現象や事件、噂の出来事を伝えようとする姿勢を建前としながら(事実を踏まえてはいるものの)、実態としては作り物が多いのです。 そのため西鶴の奇談には〈同時代の人情世態〉が素直に表れていません。言い換えれば普段、読者が特定の話に感動を覚えた時、その表現がどうして可能であったのだろうかという問いが、現代の我々には容易に生じないという難点があります。この難点こそ、実は先に言いました「時を超越して〈今・ここ〉を思うこと」の難しさであり、この難点に立ち向かうことが、「時を超越して〈今・ここ〉を思うこと」はどのようにして可能なのか、という問いに答えるための重要な契機ではないかと考えました。ここ10年間、私の研究は西鶴の創作のあり方を解明しながら、当時の人々が西鶴の奇談を読んで覚えた感動を、現代の我々が共有できるように語り直すことだったと思います。 この問題意識を背景に、博士学位論文「西鶴奇談研究」では、西鶴奇談の一話一話を詳細に考察して、作品の中の不可思議で説明できないものを可能なかぎり明確に説明し、西鶴奇談の備えている遂行力(表現の挑発力)を再び活動させることに努めました。研究の方法は分析対象となる作品によって様々でしたが、通底しているのは〈注釈〉という方法です。〈注釈〉という言葉には固いイメージがありますが、先人達が使っていた一つ一つの言葉を吟味し、その意味や典拠などを探る作業です。往時の用例を調べ、作品が成立した時代に作品を戻して解釈していく作業の基礎が〈注釈〉です。現代を生きる我々は気付いてはいませんが、制度的思考や感性に縛られています。そうした時空の制約から解き放ち、別のより豊かな解釈を示して別の時代や空間に誘ってくれるのが〈注釈〉という手続きです。〈注釈〉とは現代の言語表現に対して距離をとって眺める行為であると同時に、現代の表現文化に対するより積極的で反省的な知の態度であると言えます。おそらく〈古典〉と呼ばれる作品の魅力も、今の世の中を新しく語り直すための道具として、我々の社会的想像力をより豊かにするための契機を与えてくれるところにあると思います。 ただし、古典と言っても人々に受け止めてもらえない限り、いつか忘れ去られてしまうかもしれません。西鶴の奇談には従来の歴史の表舞台に現れず、捉え切れなかった町人達・武士達の生々しい情念と生活様態が巧みに描き込まれており、江戸時代人の人間性とは何か、という新たな問いを提起しています。西鶴奇談について研究しながら、日本の表現文化史についての新たな知見を公表してきた私は、西鶴の文学が私達の生き様と社会の有り方とを見つめ直すための格好の材料であり、〈反射鏡〉としての性格を持っていると考えます。このことを、私が一般の人々にどのように示し、近代以前の人々の経験を我々にとっての新たな経験としてどのように紡ぎ出していくかが重要な課題です。この課題を今後も渥美国際交流財団と交流しながら、ともに考えていきたいのです。 <梁誠允(ヤン・ソンユン)YANG Sung-Yun> 2020年度渥美国際交流財団奨学生。韓国高麗大学を卒業後、2011年度に文部科学省招請奨学生として来日。2021年7月に東京大学大学院人文社会系研究科で博士号取得。日本デジタルハリウッド(DHU)大学招請講師を経て、現在、高麗大学文科大学日語日文学科講師。主要論文に「『懐硯』巻五之二「明て悔しき養子が銀筥」の虚偽―フィクションとしての西鶴説話―」(「日本文学」第68巻第12号、日本文学協会,2019年12月)、「『西鶴名残の友』「人にすぐれての早道」と狐飛脚伝承」(「国語と国文学」第95巻第6号、東京大学国語国文学会、2018年6月) 。共著に『〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典』(文学通信、2019年5月)があり、韓国詩人・金永郎を日本に紹介した寄稿文「手を結ぶ世界の詩人たち―永郎の人生と詩、そして私達」(『詩と思想』No398、2020年9月)がある。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Junko Imanishi “The 6th Asia Future Conference Preconference Report”
2021年9月16日 13:30:21
*********************************************** SGRAかわらばん888号(2021年9月16日) 【1】今西淳子「第6回アジア未来会議プレカンファランス報告」 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 【2】第67回SGRAフォーラムへのお誘い(9月23日、オンライン)(最終案内) 「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか」 *********************************************** 【1】今西淳子「第6回アジア未来会議プレカンファランス『ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア』報告」 前回の第5回アジア未来会議は、2020年1月9日から13日の4日間、21ヵ国から294名の登録参加者を得てフィリピンで開催されました。12日午後、スタディツアーの1グループがタガイタイ観光を楽しんでいたまさにその時タール火山が噴火し、火山灰は会議場となったマニラ市南郊のアラバンにも達しました。帰国日、マニラ国際空港では欠航や遅れが相次ぎ、200名以上の参加者に影響を及ぼし、70名以上が会議場のホテルで延泊、それ以上が空港ターミナルや市内のホテルで長時間の待機を余儀なくされました。当時は大変な災難に遭遇したと思っていましたが、全世界を震撼させた新型コロナウイルスまん延防止のための武漢都市封鎖が1月23日でしたらから、今から思えば、この時に国際会議を開催できたのは運が良かったというべきでしょう。 第6回アジア未来会議は、当初、2021年8月に台北市で開催する予定でした。テーマは「アジアを創る、未来へ繋ぐ―みんなの問題、みんなで解決」と決まり、共催の中国文化大学の徐興慶学長がマニラ会議の閉会式で台湾開催を宣言、2020年2月24日には渥美財団の担当チームが訪台し、会場、宿泊所、宴会場を視察して文化大学で最初の会議を開催しました。その頃には殆どの人がマスクを着用し、有名な台湾のマスク販売管理システムも実施されていましたが、まさかその後台湾と日本の往来が全くできなくなり、それが1年半以上も続き、未だ終息の目途もたたない状況に陥るとは誰も予想だにしませんでした。 その後、コロナ禍中で発達したオンライン会議により、中国文化大学と渥美財団は定期的に連絡を取り合い、文化大学だけでなく他大学の先生方にもご協力いただく台湾実行委員会が立ち上がり、準備が始まりました。感染防止優等生の台湾では、300人規模の会議開催に問題はないと思われましたが、2021年8月に海外の参加者が入国するのは難しいことが予想され、1年延期を12月の実行委員会で決定し、ホームページや一斉メールなどで参加者に伝えました。既に優秀論文賞と奨学金の選考対象となる論文募集(AFC#6A)が締め切られていたので、その選考は予定通りに進め、2021年には再度、論文募集と選考(AFC#6B)を実施することにしました。優秀論文集も2回発行することになります。また、台湾実行委員会による台湾特別優秀論文賞も設立されました。 さらに、2021年8月にプレカンファランスを開催することを決めました。第6回アジア未来会議の会場となる中国文化大学で、午前中は500人規模の基調講演とシンポジウムを開催し、台湾の会場と世界各地からの参加者をオンラインで結ぶというハイブリッド形式です。午後は台湾特別優秀論文口頭発表は対面で、AFC優秀論文口頭発表はオンラインで計画されました。しかしながら、2021年5月に台湾でも感染が急拡大、1日の新規感染者数が500人を超える日もあり、5月19日から台湾全域で感染警戒レベルの厳しい感染措置が取られ、住民の生活は一変しました。台湾の大学では夏休みの間に外部者を招待するイベントの開催が難しくなりました。 そこで、プレカンファランスは完全オンライン形式へ変更することにしました。諸々検討した結果、東京で渥美財団がホストするZoomのプラットフォームで開催し、午前中の基調講演とシンポジウムは同時通訳設備機能のあるZoomウェビナー、午後の優秀論文の口頭発表はブレイクアウトルーム機能を利用できるZoom会議を利用することに決めました。渥美財団では2020年6月以来、全ての交流事業をオンラインあるいはハイブリッド形式で進めてきたので、失敗も含めてかなりの経験を積んでいましたが、このような規模の企画は初めてです。 接続テストは、ご挨拶いただく先生方、講師と討論者5名、同時通訳の会場となる中国文化大学、中英、中日の同時通訳者4名、AFC優秀論文口頭発表者20名、台湾特別優秀論文口頭発表者5名と4日間かけて実施しました。当日、先生方には1時間前には接続していただきました。午前10時から午後4時30分までの6時間半の間、大きな技術的トラブルがなかったことが一番安堵したことです。 * * * * * * * * 2021年8月26日(木)台湾時間午前10時、第6回アジア未来会議プレカンファランスが定刻通りに中国文化大学の林孟蓉先生の司会で始まりました。台湾実行委員会によるプロモーションのおかげで、Zoomウェビナーへの参加登録は15カ国から669名、その半数が台湾居住者です。最初にアジア未来会議の明石康会長から開会の挨拶をいただきました。 基調講演は中央研究院の呉玉山院士による「アジアは何処に向かうのか?:疾病管理が政治に巻き込まれた時」というタイトルの非常に時宜を得た刺激的なお話でした。呉先生は「流行性疾病を管理することは国際的な協力行動を刺激するはずだったのに、新型コロナウイルスのパンデミックでは、疾病の起源を巡る責任のなすり合い、ワクチン・ナショナリズム、ワクチン外交など一連の国際紛争を経験した。紛争によって協力関係が抑制される現象は、パンデミック前から存在した国際システムの中の新冷戦と関係している。新冷戦は国際間における大国の権力の移り変わりと経済危機に起因する右派ポピュリズムの台頭に根源があり、その勢いは既に根深く、紛争の渦に吸収されてしまっている」と分析しました。 そして「どうすればこの局面の一層の悪化を阻止できるのか。まず防疫を国際政治競争から切り離して独立した領域とし、新たな冷戦に感染させないこと、第2に防疫とその他の協力可能なセクターが一致して、政治的対立の融和をはかること、第3は抜本的措置で、新たな冷戦が深化し続けるのを阻止することである。これらがうまくいかなければ、深刻な結果となるだろう」と警鐘を鳴らしました。 第2部のシンポジウムでは、徐興慶・文化大学学長がモデレーターを務め、松田康博・東京大学教授、李明・政治大学教授、ケヴィン・ヴィラノバ・フィリピン大学准教授、徐遵慈・中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター主任がコメントし、ワクチンパスポートの難しさ、感染抑え込みに成功した台湾のユニークな立場、東南アジア諸国連合(ASEAN)が中心となった対策の必要性、本当の負け組は発展途上国であることなどが提起されました。講演概要と発表資料は、下記リンクよりプロシーディングスをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/wp-content/themes/afc2021/AFC6Pre-ConferenceProceedingsLite.pdf 昼食後、台湾時間午後1時から第3部の優秀論文賞授与式と口頭発表が始まりました。授与式の司会は元渥美奨学生のソンヤ・デールさんです。同時通訳はなく英語だけで進められましたが、チャットでの「おしゃべり」が奨励され、午前中とは一変して和やかな雰囲気になりました。明石会長に再びお出ましいただき、受賞者への祝辞が述べられ、平川均・アジア未来会議学術委員長から選考の方針と経緯についての説明がありました。 その後、3つの分科会室(ブレイクアウトルーム)で6セッションに分かれて20本のAFC#6A優秀論文と5本の台湾特別優秀論文の口頭発表が行われました。各セッションでは2人の座長が進行を務め、4人の発表(台湾特別優秀論文のセッションは5人)が行われました。アジア未来会議は国際的かつ学際的なアプローチを目指しており、各セッションは発表者が投稿時に選んだ「環境」「イノベーション」「平和」「教育」などのトピックに基づいて調整され、学術学会とは趣を異にした多角的で活発な議論が展開されました。どの部屋にも20~30名が参加し、全体で100名を超える盛況でした。 優秀論文は学術委員会によって事前に選考されています。2020年9月20日までに発表要旨、2021年3月31日までにフルペーパーがオンライン投稿された112本の論文を12のグループに分け、55名の審査員によって査読しました。ひとつのグループを5名の審査員が、次の7つの指針に沿って審査しました。投稿規定に反するものはマイナス点をつけました。(1)論文のテーマが会議のテーマ「アジアを創る、未来へ繋ぐ-みんなの問題、みんなで解決」と適合しているか(2)論文の構成が分かりやすいか(3)明確に説明され説得力があるか(4)独自性(5)国際性(6)学際性(7)総合的にみて推薦するか。各審査員はグループの中の9~10本の論文から2本を推薦し、集計の結果、上位20本を優秀論文と決定しました。AFC#6A優秀論文リストは下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/06/AFC6A-Best-Paper.pdf 台湾実行委員会による台湾特別優秀論文も同じプロセスで選考されました。リストは下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/06/AFC6A-Taiwan-Best-Paper.pdf 台湾時間午後4時20分に閉会式が始まりました。今西淳子・アジア未来会議実行委員長の簡単な報告のあと、陳姿菁・開南大学准教授が台湾ラクーン(渥美奨学生同窓会)を代表して、渥美財団とアジア未来会議の紹介をした後、2022年8月26日から30日にかけて台北市で開催する第6回アジア未来会議へ招待しました。残念ながらオンライン会議なので懇親会はできませんでしたが、参加者は来年台北市での再会を誓って、初めてオンラインで開催した第6回アジア未来会議プレカンファランスは成功裡に終了しました。 第6回アジア未来会議プレカンファランス「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」は、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)主催、中国文化大学の共催、(公財)日本台湾交流協会の後援、(公財)高橋産業経済研究財団の助成、台湾大学日本研究センターと台中科技大学日本研究センターの協力、中鹿営造(股)と日商良基注入営造(股)の協賛をいただきました。 運営にあたっては、台湾実行委員会と協力しながら、台湾出身の元渥美奨学生が中心となったAFC実行委員会と、世界各地の元渥美奨学生とフィリピンSGRAのメンバーによるAFC学術審査委員会が組織され、企画・実施、優秀賞の選考、写真撮影まであらゆる業務を担当しました。午前中の基調講演とシンポジウムは台湾実行委員会、午後の優秀論文の口頭発表と閉会式はAFC実行委員会が担当しました。 500名を超える参加者の皆さん、開催のためにご支援くださった皆さん、さまざまな面でボランティアで協力くださった皆さんのおかげで、第6回アジア未来会議プレカンファランスを成功裡に実施することができましたことを、心より感謝申し上げます。 アジア未来会議は、国際的かつ学際的なアプローチを基本として、グローバル化に伴う様々な問題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化など、社会のあらゆる次元において多面的に検討する場を提供することを目指しています。SGRA会員だけでなく、日本に留学し世界各地の大学等で教鞭をとっている研究者、その学生、そして日本やアジアに興味のある若手・中堅の研究者が一堂に集まり、知識・情報・意見・文化等の交流・発表の場を提供するために、趣旨に賛同してくださる諸機関のご支援とご協力を得て開催するものです。 第6回アジア未来会議は、2022年8月26日(金)から30日(火)まで、台湾の中国文化大学と共催で、台北市で開催します。皆様のご支援、ご協力、そして何よりもご参加をお待ちしています。 第6回アジア未来会議の写真(ハイライト) http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/09/AFC6PreConferencePhotos.pdf 第6回アジア未来会議のフィードバック集計 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/09/AFC6PreConferenceFeedback.pdf 第6回アジア未来会議プレカンファランスチラシ http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/6thAFC_PreConference_Poster_light.png <今西淳子(いまにし・じゅんこ)Junko_Imanishi> 学習院大学文学部卒。コロンビア大学人文科学大学院修士。1994年の設立時より(公財)渥美国際交流財団常務理事。留学生の経済的支援だけでなく国際的かつ学際的研究者ネットワーク構築を目指し、2000年に「関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)」を設立。2013年よりアジア未来会議を隔年で開催し実行委員長を務める。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第67回SGRAフォーラム「誰一人取り残さない」へのお誘い(最終案内) 下記の通り、第67回SGRAフォーラムをオンラインで開催します。一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、お気軽にご参加ください。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」 日時:2021年9月23 日(木・祝)午後2時~4時30分 方法: オンライン(Zoomウェビナー)開催 言語:日本語 申込:下記リンクよりお申し込みください https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_yju-0tGIRpygadlGG6YAKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 SDGs(Sustainable_Development_Goals持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで、国連加盟193カ国が採択した、2016年から30年までの15年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGsを通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17のゴール(なりたい姿)・169のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave_no_one_behind)」ことを誓っている。SDGsに取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGOなどの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。 2020年はSDGsの5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。本フォーラムは、SDGsの基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGsの実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGsに主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。 ◇プログラム: 総合司会:ロスティカ・ミヤ(大東文化大学/SGRA) 【第1部】基調報告(14:10~14:40): 佐渡友哲(さどとも・てつ:日本大学/INAF) テーマ「SDGs時代における私たちの意識改革」 (参考図書:『SDGs時代の平和学』法律文化社、2019.12) 【第2部】世界各地からの現状報告(14:40~15:30): 報告1:フィリピンにおけるSDGs:フェルディナンド・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校/SGRA) 報告2:ハンガリーにおけるSDGs:杜セキン(INAF研究員) 報告3:中東・北アフリカ地域におけるSDGs:ホサム・ダルウィッシュ(アジア研究所/SGRA) 報告4:朝鮮におけるSDGs:朴在勲(㈱コリア・メディア/INAF) 報告5:スーダンにおけるSDGs:モハメド・オマル・アブディン(参天製薬㈱/SGRA) 【第3部】自由討論・総括(15:40~16:30): モーデレーター:李鋼哲(北陸大学/SGRA/INAF) パネリスト:報告者全員 +羽場久美子(神奈川大学)、三村光弘(ERINA/北東アジア学会)その他数名 総括:平川均(名古屋大学名誉教授/SGRA/INAF) 下記リンクよりプログラムをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/09/SGRAForum67Program.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
XIE Zhihai “What We Can See From The Charge For Plastic Shopping Bags”
2021年9月9日 16:03:05
*********************************************** SGRAかわらばん887号(2021年9月9日) 【1】エッセイ:謝志海「レジ袋有料化から見えてきたプラスチック削減の新たなチャレンジ」 【2】第6回日本・中国・韓国における国史対話の可能性へのお誘い(最終案内) 「人の移動と境界・権力・民族」(9月11日、オンライン) 【3】第67回SGRAフォーラムへのお誘い(9月23日、オンライン)(再送) 「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか」 *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#680 ◆謝志海「レジ袋有料化から見えてきたプラスチック削減の新たなチャレンジ」 1年ほど前、日本でスーパーのレジ袋が有料化されたことについて書いたが、エコバッグ持参で買物する生活は定着してきたように思う。私が住む群馬県は車社会なので、エコバッグだけでなく、スーパーの買物かごと同じようなものを持参で来ている人も多数みかける。買ったものをポリ袋やエコバッグに移し替える必要がなく、エコと時短が同時にかなうものだ。スーパーの景色はこうして変わった。しかし、レジ袋有料化にともない家庭ゴミの排出量は減ったのだろうか?以前より週に2回のゴミ回収の山がひとまわり小さくなった、なんて変化はみられない。 雑誌「アエラ」でこんな記事をみつけた、「レジ袋断ってゴミ袋買う矛盾」(2021年6月14日号)。矛盾とは、これまでレジ袋を生ゴミ袋やゴミ袋として使っていた人々が、エコバッグを持つようになり、結局ゴミ捨て用のゴミ袋を買っているというものだ。確かに、日本のスーパーやコンビニのポリ袋は生ゴミ袋としても耐えられるしっかりとした作りになっている。レジ袋をゴミ袋に再利用していた人がいかに多かったかということか。エコバッグを使うようになり、生魚や肉のパックからの液もれでエコバッグを汚さないようにと、小さな透明ポリ袋(無料)を以前よりひんぱんに使うようになった、というコメントもあった。 エコバッグを持つようになって、なんらかの矛盾を抱きながら暮らしている人が多いのではないだろうか?私もゴミを出す量が減ったかという点においては、もやもやしたままだ。「アエラ」の記事によると、英国の環境庁が2011年に発表した調査では「地球温暖化の可能性」をレジ袋より少なくするにはエコバッグを131回使う必要があるという。こういう具体的な数字を出してもらえるのはありがたいが、それではポリ袋をもらってしまおうと思う人もいるだろうし、今ではエコバッグを複数枚持っている人が非常に多いという。我が家にも、買ってもいないのに気づけばサイズもさまざま何枚もある。 我々が感じるこの矛盾の理由は、お金を払ってレジ袋をもらうかエコバッグを持参するかのどちら派になるかでは、自分のしていることがエコかどうか明確に解決しないからだろう。そう、レジ袋だけがプラスチック製品ではないのだ。「アエラ」の記事はこの点においても疑問を呈し、最後にはすっきりと読み終わらせてくれた。「(レジ袋にかぎらず)トータルでエコを意識できているかが大事です」なるほどそういうことだ。レジ袋はもらうけれど、移動に自転車を使うならば、エコを意識しているといえるだろう。コンビニでお弁当とヨーグルトを買った知人が、レジ袋を断った後に、割箸とプラスチックのスプーンは当たり前のようにさっと取って出てきたことに違和感を持った。どちらも家に持ち帰るものだから、断わることができたはずだ。「レジ袋は有料だけど必要ですか?」という問いがなければ、ふたつとももらっていたかもしれない。 そう、レジ袋がゴミ削減に対するトリガーになるのであれば、それでいいと思う。実際のところ、プラスチックのスプーンやフォークを有料にする案も環境省と経済産業省が合同で具体化を進めている。食に関するものだけでなく、クリーニング店のハンガー、ホテルなどで提供される歯ブラシやヘアブラシなど12品目にもわたるという。この新制度の導入は、2022年4月を目指している。これが本格的に動き出したら、プラスチック使い捨て製品への意識はさらに高まると期待する。日々の生活で少しずつできることからやっていく、そうすれば、だれもがエコな活動に参加することになる。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第66回SGRA-Vフォーラム/第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い(最終案内) 下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) *参加申込(下記リンクから登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6j-ioNjbR86btwmocwljKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。 ■問題提起 ◇塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。 「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic_group)について概観する。 第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。 第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。 以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。 *プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/J_Kokushi6_ProjectPlan.pdf -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】第67回SGRAフォーラム「誰一人取り残さない」へのお誘い 下記の通り、第67回SGRAフォーラムをオンラインで開催します。一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、お気軽にご参加ください。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」 日時:2021年9月23 日(木・祝)午後2時~4時30分 方法: オンライン(Zoomウェビナー)開催 言語:日本語 申込:下記リンクよりお申し込みください https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_yju-0tGIRpygadlGG6YAKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 SDGs(Sustainable_Development_Goals持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで、国連加盟193カ国が採択した、2016年から30年までの15年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGsを通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17のゴール(なりたい姿)・169のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave_no_one_behind)」ことを誓っている。SDGsに取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGOなどの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。 2020年はSDGsの5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。本フォーラムは、SDGsの基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGsの実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGsに主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。 ◇プログラム: 総合司会:ロスティカ・ミヤ(大東文化大学/SGRA) 【第1部】基調報告(14:10~14:40): 佐渡友哲(さどとも・てつ:日本大学/INAF) テーマ「SDGs時代における私たちの意識改革」 (参考図書:『SDGs時代の平和学』法律文化社、2019.12) 【第2部】世界各地からの現状報告(14:40~15:30): 報告1:フィリピンにおけるSDGs:フェルディナンド・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校/SGRA) 報告2:ハンガリーにおけるSDGs:杜セキン(INAF研究員) 報告3:中東・北アフリカ地域におけるSDGs:ホサム・ダルウィッシュ(アジア研究所/SGRA) 報告4:朝鮮におけるSDGs:朴在勲(㈱コリア・メディア/INAF) 報告5:スーダンにおけるSDGs:モハメド・オマル・アブディン(参天製薬㈱/SGRA) 【第3部】自由討論・総括(15:40~16:30): モーデレーター:李鋼哲(北陸大学/SGRA/INAF) パネリスト:報告者全員 +羽場久美子(神奈川大学)、三村光弘(ERINA/北東アジア学会)その他数名 総括:平川均(名古屋大学名誉教授/SGRA/INAF) 下記リンクよりプログラムをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/09/SGRAForum67Program.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Invitation to SGRA Forum #67
2021年9月3日 11:16:59
*********************************************** SGRAかわらばん886号(2021年9月3日) 【1】第67回SGRAフォーラムへのお誘い(9月23日、オンライン) 「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか」 【2】催事紹介:国際ソーシャルワーク研究会(9月18日、オンライン) 「世界と日本の移民政策:日本社会の現在と今後の多文化共生に向けた課題」 【3】第6回日本・中国・韓国における国史対話の可能性へのお誘い(再送) 「人の移動と境界・権力・民族」(9月11日、オンライン) *********************************************** 【1】第67回SGRAフォーラム「誰一人取り残さない」へのお誘い 下記の通り、第67回SGRAフォーラムをオンラインで開催します。一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、お気軽にご参加ください。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」 日時:2021年9月23 日(木・祝)午後2時~4時30分 方法: オンライン(Zoomウェビナー)開催 言語:日本語 申込:下記リンクよりお申し込みください https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_yju-0tGIRpygadlGG6YAKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 SDGs(Sustainable_Development_Goals持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで、国連加盟193カ国が採択した、2016年から30年までの15年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGsを通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17のゴール(なりたい姿)・169のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave_no_one_behind)」ことを誓っている。SDGsに取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGOなどの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。 2020年はSDGsの5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。本フォーラムは、SDGsの基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGsの実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGsに主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。 ◇プログラム: 総合司会:ロスティカ・ミヤ(大東文化大学/SGRA) 【第1部】基調報告(14:10~14:40): 佐渡友哲(さどとも・てつ:日本大学/INAF) テーマ「SDGs時代における私たちの意識改革」 (参考図書:『SDGs時代の平和学』法律文化社、2019.12) 【第2部】世界各地からの現状報告(14:40~15:30): 報告1:フィリピンにおけるSDGs:フェルディナンド・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校/SGRA) 報告2:ハンガリーにおけるSDGs:杜セキン(INAF研究員) 報告3:中東・北アフリカ地域におけるSDGs:ホサム・ダルウィッシュ(アジア研究所/SGRA) 報告4:北朝鮮におけるSDGs:朴在勲(㈱コリア・メディア/INAF) 報告5:スーダンにおけるSDGs:モハメド・オマル・アブディン(参天製薬㈱/SGRA) 【第3部】自由討論・総括(15:40~16:30): モーデレーター:李鋼哲(北陸大学/SGRA/INAF) パネリスト:報告者全員 +羽場久美子(神奈川大学)、三村光弘(ERINA/北東アジア学会)その他数名 総括:平川均(名古屋大学名誉教授/SGRA/INAF) 下記リンクよりプログラムをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/09/SGRAForum67Program.pdf -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介 SGRA会員のヴィラーグ ヴィクトルさんから、研究会のお知らせをいただきましたのでご紹介します。SGRAで3回お話しいただいた宮島喬先生のご講演です。参加ご希望の方は直接お申込みください。 ----------------------------------- 第8回国際ソーシャルワーク研究会 「世界と日本の移民政策:日本社会の現在と今後の多文化共生に向けた課題」 日時:2021年9月18日(土)13:30-15:30 オンライン(Zoom)開催 第1部:報告「グローバルアジェンダについて」 報告者:木村真理子,Ph.D (IFSWアジア太平洋地域前会長) 第2部:講演「世界と日本の移民政策:日本社会の現在と今後の多文化共生に向けた課題」 講師:宮島喬(お茶の水女子大学名誉教授) 参加申込:国際ソーシャルワーク研究会事務局 [email protected] 申込締切:9月11日 チラシ https://drive.google.com/file/d/1Zdj4rJrNx6SHfhFxde4UIA_pgrx3oQV_/view?usp=sharing 研究会ウェブページ https://sites.google.com/site/asisw2016/ci-hui-yan-jiu-hui -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】第66回SGRA-Vフォーラム/第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い(再送) 下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) *参加申込(下記リンクから登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6j-ioNjbR86btwmocwljKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。 ■問題提起 ◇塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。 「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic_group)について概観する。 第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。 第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。 以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。 *プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/J_Kokushi6_ProjectPlan.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Laurence Newbery-Payton “Types of Comedy”
2021年8月27日 22:26:08
*********************************************** SGRAかわらばん885号(2021年8月27日) 【1】エッセイ:ニューベリーペイトン・ローレンス「お笑いの形」 【2】国史対話エッセイ:劉傑「『国史たちの対話』の先にあるもの」ご紹介 【3】第6回日本・中国・韓国における国史対話の可能性へのお誘い(再送) 「人の移動と境界・権力・民族」(9月11日、オンライン) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#679 ◆ニューベリーペイトン・ローレンス「お笑いの形」 嫌なことしかニュースにならないというが、2020年度は国内外を問わず、新型コロナウイルスの蔓延を始めとしてうっとうしいニュースばかりだった。2016年には国宝とされていた有名人が何人も亡くなったことで、英国では冗談半分で「史上最悪の1年」と呼ばれたりした。今振り返ると、よくその程度で騒いでいたなとつくづく考える。2021年8月現在、英国だけでも13万人以上がコロナで亡くなっている。また、欧州連合からの離脱により英国経済が甚大な打撃を受けている。そのような状況の中で、あえて楽しい(軽い?)ネタについて書いてみたい。研究分野でもなんでもないが、一人の留学生として感じた、日本のお笑いの特徴について述べる。 日本のお笑いはいくつかの点で欧米のコメディーの主流と大きく違う。1つ目は「意外性」の役割だ。欧米のコメディーでは原則として、予想外の展開を見せることで観客を笑わせる。同じギャグを繰り返すと意外性がなくなるから、話題を変えて次から次へと新しい冗談を言い続ける。日本のお笑いではむしろ反復が期待される。だからこそ、お笑い芸人が特定の言葉や動作と連想されるし、「あの有名なネタを久しぶりに見られてよかった」や「あのコントを生で見られてうれしい」といったコメントが成り立つ。 日本のお笑いは1つのネタの中でも、反復がよく使われる。私は今になっても、特に漫才では内容をもれなく聞き取れることが少ない。しかし、前半のせりふが後半に再び出るときや、その芸人特有のキャッチフレーズがあると、楽しく聞くことができる。サビだけよく知っていてつい口ずさむ歌のようだ。ただ、最初から半分ネタばらしなので、意外な展開にげらげら笑うことはない。 お笑いとコメディーの形態も違う。欧米ではコメディアンが一人でステージに立って観客に語りかけるのが一般的だが、お笑いでは多くの場合、2人で進行する。しかも、漫才では「ボケ」と「ツッコミ」という役割分担がほとんど鉄則になっている。「ツッコミ」の役割は多くの場合、「面白いところ」を観客に知らせる、あるいは「笑ってね」という合図をするガイドのような存在に見える。これもまた親切だが、「面白いところへの気づきこそが楽しい」という欧米の考え方からすると少し残念とも思える。コメディアンはどちらかというとさりげなくボケて、それを観客に気付かせる。エネルギッシュな漫才に比べゆっくりした流れが一般的だ。 日本のお笑いを批判していると思われるかもしれない。そうではなく、人類共通の「笑う」という現象が国や文化によってこんなに違うこと自体が面白いのだ。もちろん共通点もあり「ピコ太郎」の海外進出からわかるように、日本のお笑いは海外でも受ける。お笑いコンビの「サンドウィッチマン」も、近年はスペインで講演している。今後、国内外のお笑いの合流によって新型お笑いのさらなる発展を期待している。 次に、言語を研究している者として、日本語の特徴から生まれるお笑いの可能性について触れておきたい。日本語はいわゆるSOV(主語―目的語―動詞)型言語で、動詞が文の最後に来る。動詞が文の中心的な意味を表すことが多いので、最後まで聞かないと意味が確定しない。その動詞でさえ、「行きまー」と言って聞き手を待たせることが簡単だ。もちろん、それまでの内容から予想できるが、文末は予想を覆す最適のチャンスを与える。これは、英日や日英の同時通訳における難点でもあるが、お笑いの武器にもなれる。実際、「パンクブーブー」の2人のように、日本語の構造を生かして観客の予想を裏切る漫才もある。意外性が十分に生まれ、個人的にはとても面白い漫才ができあがる。 最後に、お笑いのネタにしてもよさそうな日本の日常的なエピソードを2点紹介したい。留学生であれば、どちらか疑問に思ったことはあるのではないだろうか。 1.天気予報:天気予報士が気温、気圧、湿度、紫外線、花粉などについてまくしたて、となりに立たされている女子アナウンサーはやがて堪忍袋が切れて「そうなんですね、では、明日の天気はどうでしょうか」と突っ込む。 2.商店街で外国人を取材:和食を試食した外国人が生半可なコメントをしても、日本語の吹き替え(なぜかアニメのような音質)では絶賛の声が後を絶たない。納豆を試食した1人が微妙な表情を浮かべるが、すぐにテロップで顔を隠される。 以上のエピソードを面白いと感じるかどうかはわからないが、暗い世界情勢からちょっとした面白さを見つけ出す喜びを日々感じるようにしたい。 <ニューベリーペイトン・ローレンス Newbery-Payton,_Laurence> 2020年度渥美国際交流財団奨学生。英国出身。東京外国語大学非常勤講師、国士舘大学非常勤講師。リーズ大学現代言語文化学部学士。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士前期課程修了。国費外国人留学生(2013~2019)。研究分野は対照言語学、第二言語習得、外国語教育。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】国史対話エッセイのご紹介 ◆劉傑「『国史たちの対話』の先にあるもの」 歴史認識問題は東アジアの難題である。「歴史」が国家間対立を引き起こすメカニズムは複雑だが、各国の歴史家が閉鎖的な「国史」を書き続けてきたことを理由の1つに挙げることに、異議を唱える人はいないだろう。太平洋戦争後の「国史」は、独立を獲得した国々にとって栄光と誇りを取り戻すための有効な武器であった。一方、戦争や植民地支配の加害国にとって「国史」は長期にわたって「自省」のツールとして活用された。歴史家が外国の「国史」に格別な関心を示さなかったため、「自負」と「自省」の歴史は、概ね一国内で完結し、外国から認知されることはなかった。しかし、80年代に入り、各国が門戸を大きく開いて外国の空気を取り入れるようになった結果、「自省」以外の歴史の語り方も国境を越えて伝わるようになった。他国の「国史」に衝撃を受けた人びとは、他国の歴史の語り方に違和感を覚え、反発した。いわゆる歴史認識問題の発生である。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2021LiuJieEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】第66回SGRA-Vフォーラム/第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い(再送) 下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) *参加申込(下記リンクから登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6j-ioNjbR86btwmocwljKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。 ■問題提起 ◇塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。 「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic_group)について概観する。 第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。 第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。 以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。 *プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/J_Kokushi6_ProjectPlan.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Borjigin Husel “What will Tokyo 2020 Leave in the World?”
2021年8月19日 17:46:08
*********************************************** SGRAかわらばん884号(2021年8月20日) 【1】エッセイ:ボルジギン・フスレ「東京五輪:世界に何を残すか」 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(最終) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」(8月26日、オンライン) 【3】第6回日本・中国・韓国における国史対話の可能性へのお誘い(再送) 「人の移動と境界・権力・民族」(9月11日、オンライン) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#678 ◆ボルジギン・フスレ「東京五輪:世界に何を残すか」 世界が注目するなか、新型コロナウイルス流行により1年延期となった第32回オリンピック競技大会(東京2020、以下「東京五輪」と略す)が2021年7月23日に東京で開幕し、17日間の熾烈で、輝かしい、感動的競技をへて8月8日に幕をおろした。 東京五輪の意義などについては、橋本聖子東京五輪・パラリンピック組織委員会会長とトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長の開会及び閉会のスピーチで述べられているので繰り返さない。一方、開会にいたるまで、そして、開催中、さらに閉会後、今日までも今回の五輪に対する批判の声が止まらない。「涙」「復興」「躍動」「努力」「挑戦」「感動」「最高」「偉業」「魅力」「希望」「感謝」「重圧」「逆境」「簡素」「地味」「困難」「過酷」「異例」「不安」「混乱」「励まし」「暑すぎ」「無観客」「手抜き」「嘘つき」「利己的」「難民選手」「前代未聞」「お金目当て」…など、賛成と反対の声が入り混じっていることが物語るように、東京五輪はさまざまな課題を抱え、葛藤とチャレンジに満ちた大会となった。 海外の報道をみると、東京五輪の背景・開催状況・日本国内の批判の声を紹介するものもあるが、称賛も非常に多い。しかし、不思議なことに日本のマスコミが海外報道を紹介する時、なぜか懸命に「マイナス評価」のみを探し出し、それを大いに紹介し、あらゆる手段をつかって東京五輪を批判する傾向がある。日本はどうしてこれほど自虐的に自己否定になったのだろうか。 五輪開催中の8月6日の午後4時すぎ、私はオリンピックスタジアム(国立競技場)を訪れた。風が穏やかで日ざしが明るく、うららかな日であった。偶然にもこの日は広島平和記念日(原爆の日)でもあった。スタジアム周辺には、たくさんの警察がいて、パトカーもあちこちで走っていた。その中には広島県警のパトカーや警察官の姿も見えた。オリンピックという祭典の雰囲気はあまりなく、何か「事件」が起きたような感じだった。 日本オリンピックミュージアムの前に設置されている五輪モニュメントを見学しようと思ったが、スタジアムとミュージアムの間の道路が閉鎖されていた。「出入口」となるところには多くの警察官が立ち並んで「本日16:00より、この先の入場はできません」という看板があった。なぜ入場できないかと警察官に確認したら、「デモがあるので」という答えだった。結局、五輪モニュメントは見学できなかった。なんのデモだろうと、私はスタジアム周辺を回って見たが、デモの様子はなかなか見えなかった。 午後6時になって、「やっと」デモが始まった。僅か十数人いるかという規模だ。一つの髑髏(どくろ)のような「人形」を高く掲げ、鍋と椀のようなものを打ち鳴らし、叫び始めた。スピーカーが数台あったので、その叫び声が響きわたる。何に抗議しているかと聞いてみた。東京五輪に対する「批判」であった。いや、批判というより日本政府、東京五輪実行委員会、IOC、参加選手、メダリストを罵り散らしている。ネットでも東京五輪を罵倒する乱暴な書き込みが話題になっているが、その書き込みを見る限り、論理どころか教養も何も感じられない。何より参加選手やメダリストを誹謗、中傷、侮辱する行為は理解できないどころか許せない。 この「デモ」は確かに効果があった。十数人のために、数百人もの警察官や十数台のパトカーが動員された。複数の道路が閉鎖され、日本オリンピックミュージアムや五輪モニュメントの見学が中止になった。さらに、複数の国内外の新聞社、テレビ局がこの「抗議」を取材し、報道した。現場を訪れていない者が、マスコミの「デモ」に対する報道だけをみたら、まるで「日本全体」が東京五輪を反対しているように「見えて」しまう。また、かれらは1時間以上も密の状態をつくり、1時間以上も続く騒音がスタジアムとミュージアム周辺の街にこだました。 「より速く(Faster)、より高く(Higher)、より強く(Stronger)」というオリンピックのモットーに、東京五輪では「一緒に(Together)」が加わった。残念ながら、多くの人がこのモットーを忘れたのかもしれない。東京五輪の賛成者であれ、反対者であれ、無視する者であれ、このモットーのもとで対話や議論ができないのだろうか。 今回の東京五輪組織委員会は受難の委員会であり、東京五輪は受難のオリンピックであったように見える。日本政府と東京五輪組織委員会、IOCがやたらに罵られるに止まらず、選手、メダリストも罵声などを浴びせられた。メダリストとその家族たちは喜びを控えさせられている。 スタジアムの周辺には、多くのボランティアの姿が見られた。よく知られているように、今回の東京五輪には多くの医療従事者やボランティアが参加した。教え子の一人も参加した。このような教え子がいることを、私は誇りに思う。 日本のマスコミは、よく「今回の東京五輪は日本に何を残すか」と問う。しかし、オリンピズムが目指しているのは、人間の尊厳の尊重、人類の調和的な成長であり、オリンピックは世界の平和の祭典である。 東京五輪を正しく評価するには時間がかかるだろう。世界は新型コロナウイルス感染拡大という不測の事態に見舞われ、世界を席捲したこのパンデミックが終息していないという状況のなか、東京五輪の開催はチャレンジであった。そして、無事に開催して世界に大きく貢献した。数年後には、みんながその貢献を理解し、東京五輪は栄光に輝くだろう。 <ボルジギン・フスレ Borjigin_Husel> 昭和女子大学国際学部教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員、ケンブリッジ大学モンゴル・内陸アジア研究所招聘研究者、昭和女子大学人間文化学部准教授などをへて、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945~49年)――民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、『モンゴル・ロシア・中国の新史料から読み解くハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2020年)、編著『国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2016年)、『日本人のモンゴル抑留とその背景』(三元社、2017年)、『ユーラシア草原を生きるモンゴル英雄叙事詩』(三元社、2019年)他。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(最終) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 新型コロナウイルスのパンデミックにより、第6回アジア未来会議(AFC#6)は延期され、2022年8月に台北市で開催することになりました。今年はプレカンファランスを下記の通りオンラインで開催します。日本語への同時通訳があり、一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、どなたでもお気軽にご参加ください。 日時:2021年8月26日(木)11:00~17:30(日本時間) 開催方式:オンライン(Zoomウェビナー) 使用言語:中国語・英語(基調講演とシンポジウムは中⇒英、中⇒日の同時通訳あり) ◆参加申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7Kz66tJdTn2__57Pn5GUeQ 基調講演とシンポジウムに参加ご希望の方は、上記リンクから参加登録をお願いします。 午後の優秀論文発表は事前の参加登録不要です。 ◆プログラム(日本時間) ◇開会式(11:00~11:10) ◇基調講演(11:10~12:00) 講師:呉玉山 中央研究院院士(国際関係、政治学) 「アジアはどこに向かうのか?――疾病管理が政治に巻き込まれた時」 ◇シンポジウム(12:00~13:00) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 モデレーター:徐興慶(中国文化大学学長) パネリスト: 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 李明(政治大学国際事務学院兼任教授) Kevin_Villanueva(フィリピン大学准教授/中興大学特任副研究員) 徐遵慈(中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター副研究員兼主任) 呉玉山(中央研究院院士) ◇AFC優秀論文・台湾特別優秀論文の授与式と発表(14:00~17:20) ◇閉会式(17:20~17:30) ◆プログラムの詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/J_AFC-Preconference_Program.pdf お問合せ:AFC事務局 [email protected] テクニカルサポートが必要な場合にもご連絡ください。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】第66回SGRA-Vフォーラム/第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い(再送) 下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) *参加申込(下記リンクから登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6j-ioNjbR86btwmocwljKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。 ■問題提起 ◇塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。 「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic_group)について概観する。 第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。 第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。 以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。 *プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/J_Kokushi6_ProjectPlan.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ 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Invitation to Kokushi Dialogue #6
2021年8月13日 13:18:27
*********************************************** SGRAかわらばん883号(2021年8月13日) 【1】第6回日本・中国・韓国における国史対話の可能性へのお誘い 「人の移動と境界・権力・民族」(9月11日、オンライン) 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」(8月26日、オンライン) *********************************************** 【1】第66回SGRA-Vフォーラム/第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い 下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoomウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) *参加申込(下記リンクから登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6j-ioNjbR86btwmocwljKg お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。 ■問題提起 ◇塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。 「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic_group)について概観する。 第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。 第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。 以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。 ■プログラム 第1セッション(10:00-11:25)総合司会:李 恩民(桜美林大学) 【開会の趣旨】村和明(東京大学) 【問題提起】塩出浩之(京都大学)「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 【指定討論】 韓国:趙阮(釜山大学) 中国:張佳(復旦大学) 日本:榎本渉(国際日本文化研究センター) 第2セッション(11:30-12:45) 司会:南基正(ソウル大学) 【指定討論】 韓国:韓成敏(大田大学) 中国:秦方(首都師範大学) 日本:大久保健晴(慶應義塾大学) 【コメント】塩出浩之(京都大学) 【自由討論】講師と指定討論者 第3セッション(13:30-14:45)司会:彭浩(大阪市立大学)、鄭淳一(高麗大学) 【論点整理】劉傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 第4セッション(14:50-16:20)司会:彭浩(大阪市立大学)、鄭淳一(高麗大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 【総括】宋志勇(南開大学)、三谷博(東京大学名誉教授) 【閉会挨拶】趙珖(高麗大学名誉教授) *同時通訳 韓国語⇔日本語:李ヘリ(韓国外国語大学)、安ヨンヒ(韓国外国語大学) 日本語⇔中国語:丁莉(北京大学)、宋剛(北京外国語大学) 中国語⇔韓国語:金丹実(フリーランス)、朴賢(京都大学) *プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/J_Kokushi6_ProjectPlan.pdf -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 新型コロナウイルスのパンデミックにより、第6回アジア未来会議(AFC#6)は延期され、2022年8月に台北市で開催することになりました。今年はプレカンファランスを下記の通りオンラインで開催します。日本語への同時通訳があり、一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、どなたでもお気軽にご参加ください。 日時:2021年8月26日(木)11:00~17:30(日本時間) 開催方式:オンライン(Zoomウェビナー) 使用言語:中国語・英語(基調講演とシンポジウムは中⇒英、中⇒日の同時通訳あり) ◆参加申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7Kz66tJdTn2__57Pn5GUeQ 基調講演とシンポジウムに参加ご希望の方は、上記リンクから参加登録をお願いします。 午後の優秀論文発表は事前の参加登録不要です。 ◆プログラム(日本時間) ◇開会式(11:00~11:10) ◇基調講演(11:10~12:00) 講師:呉玉山 中央研究院院士(国際関係、政治学) 「アジアはどこに向かうのか?――疾病管理が政治に巻き込まれた時」 ◇シンポジウム(12:00~13:00) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 モデレーター:徐興慶(中国文化大学学長) パネリスト: 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 李明(政治大学国際事務学院兼任教授) Kevin_Villanueva(フィリピン大学准教授/中興大学特任副研究員) 徐遵慈(中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター副研究員兼主任) 呉玉山(中央研究院院士) ◇AFC優秀論文・台湾特別優秀論文の授与式と発表(14:00~17:20) ◇閉会式(17:20~17:30) ◆プログラムの詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/J_AFC-Preconference_Program.pdf お問合せ:AFC事務局 [email protected] テクニカルサポートが必要な場合にもご連絡ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Sonja Dale “SGRA Cafe #16 Report”
2021年8月5日 17:05:16
*********************************************** SGRAかわらばん882号(2021年8月5日) 【1】ソンヤ・デール「第16回SGRAカフェ報告」 『安全であること―環境と感覚、ジェンダー、人種、セクシュアリティから考える―』 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」(8月26日、オンライン) *********************************************** 【1】ソンヤ・デール「第16回SGRAカフェ『安全であること―環境と感覚、ジェンダー、人種、セクシュアリティから考える―』報告」 2021年7月17日(土)、第16回SGRAカフェが開催された。今回のカフェはSGRA関西の初イベントで、会場(インパクトハブ京都)とZoomのハイブリッド形式で開催された。コロナ禍の中で「安全」についてのイベントをすることは少し皮肉に感じられたが、会場ではマスク着用、消毒、ソーシャル・ディスタンスや体温測定などを実施し、できるだけ安全な環境が提供できるよう努力した。Zoom配信のためにマイクやカメラの設置などもあり、ハイブリッド形式は普通のイベントの倍以上の準備が必要だと実感した。渥美財団とインパクトハブ京都のスタッフが、東京と京都で力強くサポートしてくださり、おかげさまで参加登録者は100名(会場:15名、オンライン:86名)を超えた。 イベントでは3名のパネリストからそれぞれの活動を短く紹介していただいた後、フリートークを行った。司会は私、ソンヤ・デール(2012年度渥美奨学生)、Q&Aサポート役はイザベル・ファスベンダー(2017年度渥美奨学生)。パネリストは中島幸子氏(NPO法人レジリエンス)、キナ・ジャクソン氏(BLM関西、Black_Women_in_Japan)とNPO法人いくの学園のスタッフのM氏だった。 NPO法人レジリエンスは性暴力やDV、虐待などの原因による心の傷やトラウマに焦点をあて、情報を広げる活動をし、支援者や被害者向けの研修や講演会を行っている。Black_Women_in_Japan(BWIJ)は日本在住3000人以上のアフリカ系女性のオンラインコミュニティで、メンバーは幅広くヨーロッパ、イギリス、北中南米、カリブ、アフリカと日本から集まっており、情報交換、ネットワーキング、異文化交流などを行っている。BLM関西(Black_Lives_Matter関西)は差別撤廃に対する意識向上を目的とした活動と反黒人差別に関する教育プログラムを提供しており、NPO法人いくの学園は暴力や虐待、性的搾取など生活上の困難を抱えた人への支援活動を行っている。女性やLGBTなど誰もが尊重され、安心して暮らせる社会の実現に寄与することが目的で、相談支援、非公開シェルターなども提供している。 今回のテーマのきっかけとなったのは、以前働いていた大学で企画した二つの講演会である。その一つの講師が今回のパネリストの中島幸子氏で、講演会でストレートに投げかけた質問は「あなたは安全ですか?安全というのはどういうことですか?」だった。それまでずっと安全だと思っていた自分が、本当はそうではないかもしれないと初めて実感した。もう一つの講師は、関東に住んでいる黒人系のアメリカ人の記者、ベイ・マクニール氏だった。氏は黒人として、米国と日本で経験している暴力について話した。米国の場合、暴力はわかりやすい形で感じる―実際に投げられたり、打たれたり、すぐ体で感じるものである。しかし、日本の場合は、毎日少しずつ体の違うところを紙で切られるような感覚で、最初はこれぐらいなら我慢できると思ってしまうが、少しずつ傷が溜まってきて、気づいたらなぜか精神的に壊れている、ボロボロになっているという「ずるい暴力」だそうだ。 その話から暴力と安全の多様な形について、いろいろ考えさせられ、このイベントを企画することになった。論理的に安全について話すのと、実践的に話すのとは違うと感じており、学者より、さまざまな現場で活動している方を招待し、トークイベントという形でこの話題について話す・考えることができればと思った。目的としては結論にいたるのではなく、安全について考え始める、安全という概念のさまざまな側面に気づく、さまざまな現実を知るということだった。 トークでは、以下の話題が取り上げられた。 ◇「安全」の概念について いくの学園のM氏が「安全」と「安心」の違いを指摘した。例えば安心を感じるために、自分が客観的に安全ではない行動をする、ということ。どのようなトラウマや経験があるのかを簡単に知ることはできないので、その人が行動する時にすぐ判断するのではなく、その行動が本人にとって必要なことであり、安心させることなのだという可能性を考える必要がある。中島氏によると「安全」と「安全感」は似ている事を指しているようだが、人が明らかに安全な環境にいるのに安全感がないという事例を挙げた。 ◇制度と社会的なバイアス 「安心」「安全感」は感情・精神的なことを指しているといえる。しかし、安全は身体的・社会的・法的な側面がある。ジャクソン氏がBWIJのメンバーの経験を紹介し、国籍によってビザの期間が異なる話をした。1年間のビザしか取得できない人はさまざまな社会的な問題を抱え、生活にも大きく影響する。外国人は法的にみんな一緒だと思っていた自分にとって、この情報は衝撃的だった。 警察と安全についてもふれた。警察は人の安全を守る役割であるはずだが、その役割を果たしていない場合もある。特に性暴力やストーカー事件に関して、担当者が研修を受けたかどうかによって対応が大きく変わる。被害者が警察に助けを求めたことで警察からの二次被害を受けることが多いという事実は残念ながらある。 ◇人に寄り添う社会をつくるため 多くの人は希望がない、と中島氏が指摘した。希望がないと生きる意味を感じるのが難しい。希望は人間にとって必須なものである。希望を見つける、与えることが重要だが、実は小さな行動から希望は少しでも与えることができる。その行動とは他人の存在に気づくことであり、他人とのつながりを少しでも作っていくことである。ジャクソン氏の提案は、人を素直にほめることだ。例えば、知り合いの靴がかわいいと思ったらその思いを言葉にし、「靴かわいいですね!」と本人に伝える。単純だと思われていることについて声をかけることで、相手の気持ちが少し明るくなるかもしれない。地域の人と交流し、周りにいる人たちとのつながりを作っていくことである。 安全でない環境にいる多くの場合、その理由を他人に伝達することは難しい。カナダにできたハンドサイン運動(あるしぐさをすることによって他人に「私は安全ではない」ということを伝える)や英国や米国にあるバーの注文暗号(ある飲み物を注文すると安全に感じていないとスタッフに伝わる)など、より安全な社会を作るための具体的な事例も紹介された。 一人の参加者からの質問は「被害に遭った人の力になりたい時、やりがちなミスや絶対にやめてほしいこと」だった。ジャクソン氏はその問題は自分の国・環境にはないと思わないでほしいと話した。「BLM運動は日本の問題ではない」ということをよく耳にするが、その意見を表している人は自分の周りをしっかり見ていないと指摘する。この問題はマイノリティに関してよくあり、例えばLGBTは周りにいないと思いがちの人もいる(絶対いるのに)。「人に寄り添う」ことは、人の存在を認めることでもある。なにかの理由で人や問題の存在を疑問視したい時、ひとまず自分の気持ちを探る必要があると思う。自分はなぜ人種差別は日本にないと思いたいのか、なぜLGBTは周りにいないと思いたいのか、と。素直に自分に向き合うことも大切である。 ◇終わりに 90分はあっという間に立ってしまい、話題の表面にしか触れずにイベントが終わってしまった。オンラインで参加した方からの質問について話し合う時間もなく、もっともっと話したいと思いながら閉会した。結論はなかったが、安全について考え、より安全な社会を作るために、小さな一歩を踏みだせたと感じている。 パネリストの話から、「安全」のカギは人に寄り添うことだと感じた。現在の社会は他人に無関心になりやりやすい。しかし、人に声をかけることによって、その人の気分も変わるかもしれない。自分が一人ではないと実感することがとても大切で、特に孤独感が強くなっているコロナ時代において、他人の存在を忘れない、大事にすることも必要だと考えている。 これからも安全についてもっと考えていきたい。課題は、マイノリティの可視化と男性の参加者を増やすことだと個人的には考えている。今回のイベントのアンケートで、「Xジェンダー・その他」と「男性」を選んだ回答者の数は同じだった。これからイベントでも、様々な人がいることを前提にし、様々な経験を共有しながら理解および共感を増やしていきたい。また、社会において権力をもつ立場にいる多くが男性であることが現実なのに、男性の参加者が非常に少ないことも残念に思っている。人に寄り添う社会は、やはりすべての人の協力が必要なので、男性もこの話題に関心を持つように、何ができるのか考えていきたい。 今回のイベントは本当に「始まり」として感じており、これからも皆さんと安全について、考えていきましょう! 当日の写真は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/Cafe16Photolight.pdf アンケート集計は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/08/Cafe16feedback.pdf <ソンヤ・デール Sonja_Dale> ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士を経て上智大学グローバル・スタディーズ 研究科にて博士号取得。一橋大学専任講師、上智大学・東海大学等非常勤講師を担当。ジェンダー・セクシュアリティ、クィア理論、社会的なマイノリティおよび社会的な排除のプロセスなどについて研究。2012年度渥美財団奨学生。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 新型コロナウイルスのパンデミックにより、第6回アジア未来会議(AFC#6)は延期され、2022年8月に台北市で開催することになりました。今年はプレカンファランスを下記の通りオンラインで開催します。日本語への同時通訳があり、一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、どなたでもお気軽にご参加ください。 日時:2021年8月26日(木)11:00~17:30(日本時間) 開催方式:オンライン(Zoomウェビナー) 使用言語:中国語・英語(基調講演とシンポジウムは中⇒英、中⇒日の同時通訳あり) ◆参加申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7Kz66tJdTn2__57Pn5GUeQ 基調講演とシンポジウムに参加ご希望の方は、上記リンクから参加登録をお願いします。 午後の優秀論文発表は事前の参加登録不要です。 ◆プログラム(日本時間) ◇開会式(11:00~11:10) ◇基調講演(11:10~12:00) 講師:呉玉山 中央研究院院士(国際関係、政治学) 「アジアはどこに向かうのか?――疾病管理が政治に巻き込まれた時」 ◇シンポジウム(12:00~13:00) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 モデレーター:徐興慶(中国文化大学学長) パネリスト: 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 李明(政治大学国際事務学院兼任教授) Kevin_Villanueva(フィリピン大学准教授/中興大学特任副研究員) 徐遵慈(中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター副研究員兼主任) 呉玉山(中央研究院院士) ◇AFC優秀論文・台湾特別優秀論文の授与式と発表(14:00~17:20) ◇閉会式(17:20~17:30) ◆プログラムの詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/J_AFC-Preconference_Program.pdf お問合せ:AFC事務局 [email protected] テクニカルサポートが必要な場合にもご連絡ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Koo Hye-won “Ozu Tour”
2021年7月29日 16:23:13
*********************************************** SGRAかわらばん881号(2021年7月29日) 【1】エッセイ:具慧原「小津めぐり」 【2】国史対話エッセイ「向正樹『疫病とナショナリズム』」のご紹介 【3】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」(8月26日、オンライン) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#677 ◆具慧原「小津めぐり」 数年前の夏、清澄白河にある、ずっと行ってみたかったカフェに向かう途中だった。ビルに書いてある住所をちらっと見た私はびっくりした。深川、と書いてあったためである。深川は私の研究対象である小津安二郎監督が生まれ、幼少期を過ごしたところである。彼の映画に現れる下町情緒の起源とも言える深川に偶然足を踏み入れたことは、私を非常に興奮させた。まだ東京の地理に詳しくなかった私の頭のなかでは、清澄白川と深川は全く異なる島のように浮かんでいたため、これは思わぬ発見だった。猛暑も忘れてすぐに地図アプリを開き、「小津安二郎誕生の地」に行ってみた。道路ができ、大きなマンションが立ち並んでいる風景は、小津の眼に映ったものとは随分違うはずなのにもかかわらず、夏の陽を照り返すアスファルトに立ってその風景を眺めていると、小津が歴史の中の人物というより、まるで私の身近な人であるかのような不思議な感じがした。そして私の研究も、根本的にはこの地から始まったんだ、という実感が湧いた。予期しなかった小津との出会いが、私を小津の方へ一歩近寄らせたのである。 それ以来、いわゆる小津めぐりは留学生活における一つの課題となった。上野公園の西郷隆盛銅像、鎌倉の大仏、京都の龍安寺、尾道の鉄道などから小津の足跡をたどった。ドイツの世界的な監督であるヴィム・ヴェンダース(Wim_Wenders)はドキュメンタリー映画『東京画』(1985)にて、東京にはもはや『東京物語』(1953)の様相がない、とがっかりしていた。しかし私は、すでに変わったもののなかで変わっていないものを見つける度に、つかの間ながら小津とつながっているような気がした。その時だけは、戦争を挟む歴史的な屈曲のなかで捉えていた白黒の小津が、私のなかで総天然色に染まった。だが、その直後にはいつも小津の不在が惻々として心を打った。『東京物語』から変わっていない尾道の穏やかな海は、いつかここに存在していた小津の眼差しを私に共有させると同時に、あっという間に過ぎ去った彼の生涯を浮き彫りにしたのである。 長谷正人は、小津の遺作『秋刀魚の味』(1962)で、娘が嫁に行った後に映される空になった2階の娘の部屋や階段のショットが、娘と父親が「ともに過ごした時間があっという間に過ぎ去ってしまった」ことを観客に感じさせると指摘する。長谷の言う「あっという間に過ぎ去った」時間感覚は、他の小津映画のみならず、私の小津めぐりにも当てはまる。この感覚は、小津映画のなかでは肝心な場面の意図的な省略によって強調されており、小津めぐりにおいては、今の私には知りようがない、小津の生涯におけるところどころの空白によって生じるのだろう。切ないとか、空しいとかでは表すことのできない複雑で奇妙な時間感覚が、尾道の煌(きら)めく波と共に私に絶えず流れ込んだ。小津めぐりは、小津との出会いと別れの繰り返しだった。 振り返れば、小津映画の謎に対する好奇心が研究の世界へ私を導き、その謎を自分なりに解いていくなかで目した小津の揺るがぬ強さが研究の指標になってくれた。そして小津めぐりは、留学生活の活力源として精神的な支えになった。研究で疲れた時にも、挫折した時にも、日本のどこかに残っている小津の軌跡を辿ることは、常に彼の存在/不在を生々しく喚起し、乱れた心を引き締めることができた。作品を見る経験と、監督の足跡を追う経験との共鳴は、私の小津像をカラフルに彩り、視野を拡張した。これは日本に留学したからこそ得られた貴重な経験だった。今考えてみると、研究だけでなく、足掛け8年の日本での生活それ自体が小津に導かれたようである。あっという間に過ぎ去る時間のなかで、私の見た小津の眼差しをどう継承していくべきか、未解決の、おそらく一生の課題となるこの問題を心に刻みつけ、その答えに少しでも近づける方向へと、次の一歩を踏み出したい。 <具慧原(グ・ヘウォン)Koo Hye-won> 2020年度渥美国際交流財団奨学生。韓国出身。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻(美学芸術学)。国立釜山大学芸術文化映像学科学士。東京大学大学院博士前期課程修了。大使館推薦による国費外国人留学生(2014~2019)。研究テーマは「小津安二郎の受容史・言説史」「1920~1960年代の日本映画史」。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】国史対話エッセイのご紹介 7月21日に配信した国史対話メールマガジン第32号のエッセイをご紹介します。 ◆向正樹(同志社大学)「疫病とナショナリズム」 本投稿では疫病と社会、とりわけナショナリズムとの間の不思議な関係について考えてみたい。 COVID-19(新型コロナウイルス)は人類史上最大規模のパンデミックをもたらした。先進国の医療体制をも麻痺させ、都市がロックダウンに追い込まれ、その影響が経済・政治・教育・都市生活・芸術文化などあらゆる方面に波及した。このウイルスの影響力は、通常の疾病が及ぼす範囲をはるかに超えている。それは社会的なアクターでもあるのだ。 2021年1月9日(土)、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のなか行われた第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」では、19世紀の東アジアのコレラ流行のなかでの各国の対応が紹介された。そのなかで、かつて東アジア共通の経験となった流行病であったコレラもまた社会的なアクターとなった事実が浮かびあがってきた。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2021MukaiMasakiEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(再送) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 新型コロナウイルスのパンデミックにより、第6回アジア未来会議(AFC#6)は延期され、2022年8月に台北市で開催することになりました。今年はプレカンファランスを下記の通りオンラインで開催します。日本語への同時通訳があり、一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、どなたでもお気軽にご参加ください。 日時:2021年8月26日(木)11:00~17:30(日本時間) 開催方式:オンライン(Zoomウェビナー) 使用言語:中国語・英語(基調講演とシンポジウムは中⇒英、中⇒日の同時通訳あり) ◆参加申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7Kz66tJdTn2__57Pn5GUeQ 基調講演とシンポジウムに参加ご希望の方は、上記リンクから参加登録をお願いします。 午後の優秀論文発表は事前の参加登録不要です。 ◆プログラム(日本時間) ◇開会式(11:00~11:10) ◇基調講演(11:10~12:00) 講師:呉玉山 中央研究院院士(国際関係、政治学) 「アジアはどこに向かうのか?――疾病管理が政治に巻き込まれた時」 ◇シンポジウム(12:00~13:00) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 モデレーター:徐興慶(中国文化大学学長) パネリスト: 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 李明(政治大学国際事務学院兼任教授) Kevin_Villanueva(フィリピン大学准教授/中興大学特任副研究員) 徐遵慈(中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター副研究員兼主任) 呉玉山(中央研究院院士) ◇AFC優秀論文・台湾特別優秀論文の授与式と発表(14:00~17:20) ◇閉会式(17:20~17:30) ◆プログラムの詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/J_AFC-Preconference_Program.pdf お問合せ:AFC事務局 [email protected] テクニカルサポートが必要な場合にもご連絡ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ ********************************************* -
Invitation to the 6th Asia Future Conference Pre-Conference
2021年7月22日 14:24:31
*********************************************** SGRAかわらばん880号(2021年7月22日) 【1】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い(8月26日、オンライン) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 【2】第29回持続可能な共有型成長セミナー「地域通貨の探求」へのお誘い (7月27日、オンライン) *********************************************** 【1】第6回アジア未来会議プレカンファランスへのお誘い 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 新型コロナウイルスのパンデミックにより、第6回アジア未来会議(AFC#6)は延期され、2022年8月に台北市で開催することになりました。今年はプレカンファランスを下記の通りオンラインで開催します。日本語への同時通訳があり、一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、どなたでもお気軽にご参加ください。 日時:2021年8月26日(木) ※下記は日本時間です 11:00~11:10:開会式 11:10~12:00:基調講演 12:00~13:00:シンポジウム 14:00~17:20:AFC優秀論文・台湾特別優秀論文の授与式と発表 17:20~17:30:閉会式 開催方式:オンライン(Zoomウェビナー) 使用言語:中国語・英語(基調講演とシンポジウムは中⇒英、中⇒日の同時通訳あり) ◇参加申込: 基調講演とシンポジウムに参加ご希望の方は、下記リンクから参加登録をお願いします。午後の優秀論文発表は事前の参加登録不要です。 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7Kz66tJdTn2__57Pn5GUeQ ◇プログラム 【開会式】(日本時間11:00~11:10) 開会挨拶:明石康(アジア未来会議大会会長) 司会:林孟蓉(第6回アジア未来会議台湾実行委員長) 【第1部:基調講演】(日本時間11:10~12:00) 「アジアはどこに向かうのか?:疾病管理が政治に巻き込まれた時」 講師:呉玉山 中央研究院院士(国際関係、政治学) [発表要旨] COVID-19は、20世紀初頭のスペイン風邪以来、世界が遭遇した最も深刻な流行性疾病である。これを管理することは、あらゆる国家の利益であり、間違いなく「すべての者が安全になるまで誰も安全ではない」ということで、国際的な協力行動を刺激するはずだったと思われる。しかし、2020年初頭のパンデミック以来、我々は疾病の起源を巡る責任のなすり合いに加え、「ワクチン・ナショナリズム」や「ワクチン外交」などの一連の国際紛争を経験した。紛争によって協力関係が抑制される現象は、パンデミック前から存在した国際システムの中の新冷戦と関係している。新冷戦は国際間における大国の権力の移り変わりと経済危機に起因する右派ポピュリズムの台頭に根源がある。新冷戦の勢いは既に根深く、COVID-19のような共通の危機があっても、意見の相違を解決して協力をもたらすことができずに、紛争の渦に吸収されてしまっている。このような状況で、アジアがどこに向かうのか、ということを考えなければならないだろう。 【第2部:シンポジウム】(日本時間12:00~13:00) 「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」 モデレーター:徐興慶(中国文化大学学長) パネリスト: 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 李明(政治大学国際事務学院兼任教授) Kevin_Villanueva(フィリピン大学准教授/中興大学特任副研究員) 徐遵慈(中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター副研究員兼主任) 呉玉山(中央研究院院士) 【第3部:優秀論文発表】(日本時間14:00~17:20) 優秀論文賞授与式と論文発表(Zoom分科会形式) AFC#6A優秀論文(20編) http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/06/AFC6A-Best-Paper.pdf 台湾特別優秀論文(5編) http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/06/AFC6A-Taiwan-Best-Paper.pdf 【閉会式】 閉会挨拶:今西淳子(アジア未来会議実行委員長) 第6回アジア未来会議(2022年8月、台北)へのお誘い ※第3部と閉会式は事前の参加登録不要です。 当日13:30(日本時間)以後、以下のリンクより直接ご参加ください。 https://us02web.zoom.us/j/84126398635?pwd=bFVIdlJVUTRCWWcxN3A5WnhzMUN1QT09 プログラムの詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2021/files/2021/07/J_AFC-Preconference_Program.pdf お問合せ:AFC事務局 [email protected] テクニカルサポートが必要な場合にもご連絡ください。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第29回持続可能な共有型成長セミナーへのお誘い SGRAフィリピン代表でフィリピン大学ロスバニョス校准教授のマキトさんから、オンラインセミナーのご案内をいただきましたのでご紹介します。 ◆「地域通貨の探求」 In_Search_of_Community_Currencies 日時:2021年7月27日(火) 午前9~12時(フィリピン時間)/午前10~13時(日本時間) 方法:Zoomウェビナーによる 言語:英語 申し込み:https://qr.paps.jp/LmclT ポスター:http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2021/07/KKK29flyer-rev.png 第29回の持続可能的共有型成長セミナーは、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)とフィリピン大学ロスバニョス(UPLB)公共政策大学院(CPAf)の共催により、オンラインで開催します。 最初の講演は「コミュニティ経済と地域通貨」の著者である栗田健一先生。その他の講演者は、地域通貨を紹介してくださった中西徹先生(東京大学)、UPLBの同僚であるホセフィナ・ディゾン先生と私です。地域通貨は持続可能な共有型成長のメカニズムであると認識して2018年から研究を続けていますが、未だにフィリピンでは事例が発見されていません。このセミナーを通して、地域通貨の可能性をより深く探ることができれば幸いです。言語は英語ですが奮ってご参加ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************