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Invitation to the 75th SGRA Forum/45th Sustainable Shared Growth Seminar “East Asia Citizens Dialogue”
2025年3月6日 17:06:05
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SGRAかわらばん1053号(2025年3月6日)
【1】第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナーへのお誘い
「東アジア地域市民の対話:国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」
【2】催事紹介:INAF第30回研究会(政策セミナー)のご案内
「日朝国交正常化に向けた戦略および政策提言」
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【1】第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナーへのお誘い
下記の通り第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナー「東アジア地域市民の対話」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「東アジア地域市民の対話 国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」
日 時:2025年4月12 日(土)午後2時~午後5時(日本時間)
方 法:会場参加とオンライン参加(Zoomウェビナーによる)のハイブリット開催
会 場:桜美林大学新宿キャンパス創新館(南館)JS302号室
https://www.obirin.ac.jp/access/shinjuku/
言 語:日本語・英語(同時通訳)
申 込:参加申込(参加には事前登録が必要です)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6rSMRrVaRw-wmMhl6Cc3RQ#/registration
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected])
■フォーラムの趣旨
地理学的にいえば、「東アジア」は、北東アジア(日本、中国、韓国)と東南アジア(ASEAN加盟国)の双方から構成され、「多様性の中の調和」原則の現出ともいえる「東アジア統合」というASEAN+3(日中韓)のビジョンを共有している。東アジアはこのビジョンに向けて大きな前進を遂げたが、近年中国が関わる出来事がビジョンに向けた地域の進歩を頓挫させていることも否定できない。
国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(Local-to-Local-Across-Border-Schemes、以下LLABS)は、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)経営開発学部(CPAf)のさまざまなコラボレーションとして、フェルディナンド・C・マキト博士が主導する「持続可能な共有成長セミナー」を通じて生まれた。UPLBチームは、フィリピン内務省の地方政府アカデミーと地方自治省のために LLABS研究プロジェクトを実施した。
本フォーラムでは、桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群とSGRAの協力によって、これまで主にフィリピンで検討されてきたLLABS構想について、北東アジアの研究者と一緒に議論し、実現の可能性について探る。
会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、共催のフィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)を通じて広くオンライン参加者を募る。
◆プログラム
◇基調講演
「国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の概要と意義」
フェルディナンド・マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)講師)
LLABS構想の背景には、東アジア全体に広がる2大潮流がある。一つは東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(日中韓)に代表される”地域統合”の思想で、もう一つは政治的および財政的決定権を地方政府に委ねる”地方分権”の思想である。果たしてこれらの潮流は互いに代替し合うか、あるいは補完し合うかという疑問が本フォーラムの出発点である。
地域統合の戦略が状況次第で機能しないことは、西フィリピン海や南シナ海で紛争が続いていることなどからみても明らかだ。しかしながら、行き詰まりの状況を打開する策をLLABS構想が提供できると期待されている。またその他のケースでも、LLABS構想がこの2大潮流を前進させる補助的メカニズムとして機能し、地域統合と地方分権が補完的な関係になる可能性が示唆されている。事例研究として、フィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)が神奈川県相模原市藤野とフィリピンのラグナ州バニョスで進めている2つの取り組みを紹介しながらLLABS構想の意義を考察する。
◇討論1<ASEAN+3と日本。LLABSの可能性>
「コミュニティ連携:成長のトライアングル、中華街、「カレー移民」に見る教訓」
佐藤考一(桜美林大学リベラルアーツ学群教授)
国境を超える地方自治体・地域コミュニティの連携構想(LLABS)というのは、夢のある話であるが、難しい話でもある。ASEANの成長のトライアングル構想については、成功の条件として、新興工業国・地域(NIES)のような先進地域と発展途上地域の垂直分業関係、良港の存在、近接性、インフラ整備の度合いと資金源、治安問題がないことなどが必要で、さらに世界的な供給連鎖管理(SCM)の流れに乗れることも必要である。現在までのところ、3つのトライアングルのうち、成功したとはっきり言えるのは南のトライアングルだけである。日本国内の小さなコミュニティ連携について言えば、中華街、「カレー移民」について成功例と失敗例がある。
外国人労働者が言語や宗教、文化の問題を乗り超えて日本社会に溶け込めるか、日本側が彼らの受け入れにどれだけ努力しているか、移民の子供の教育機会が充実しているかなどが問題になる。互いに歩み寄りながら、相互理解と共益を目指す事が必要である。なお、日本の中華街には、中国文化を売り込んで観光名所として成功するしたたかさもある。
◇討論2<ASEAN+3と中国。LLABSの可能性>
「中国および東北アジア地域における越境開発協力と地方自治体国際協力の枠組み」
李鋼哲(INAF研究所代表理事・所長)
東北アジアにおける地域主義は1990年代前後から冷戦崩壊の頃、国境を超える地域開発の活性化とともに台頭する。様々な越境的地域開発のプロジェクトが立ち上がり、極地経済圏(サブ・リージョン・エコノミック・ゾーン)形成の動きが出現し、それがこの地域の経済成長の大きな原動力となった。
(1)環日本海国際経済圏構想(1980~90年代)
(2)図們江地域開発構想と計画(TRADP)(1991~)
(3)環黄海・渤海経済圏構想(1990年代~)
(4)両岸四地経済圏構想:中国の広東省・福建省と台湾、香港、マカオ(1990年代~)
(5)メコン川流域経済圏構想GMS(1991年~、中国広西チワン族自治区と東南アジア5ヵ国)
そのような流れの中で「北東アジア地域自治体連合」(国際機構)が1996年に成立、その他にも様々な地方間国際交流の枠組みが形成された。中国の地方政府(自治体)が国境を越えた地方間の経済・文化交流のプラットフォームの活性化により、地域経済成長と中国の高度経済成長を支えてきた軌跡を考察する。
◇討論3<ASEAN+3と韓国。LLABSの可能性>
「韓国地方政府の国際レジーム形成の取り組み:日中韓地方政府交流会議を事例として」
南基正(ソウル大学日本研究所所長)
韓日中地方政府交流会議(以下、日本語での報告であることを考慮し「韓日中」は「日中韓」と表記)は韓国、日本、中国の地方政府が実質的な交流を進めることを目標に、大韓民国市道知事協議会、日本自治体国際化協会、中国人民対外友好協会など3つの機関が共同で開催する地方政府間協力の枠組みである。1999年にソウルで最初の会議が開催され、以来2024年に25回目の会議が韓国光州で開催されるまで、輪番制で毎年開催されている。ただ一度、20年に新型コロナウイルス感染症の影響で延期になったが、これも非政治的な理由での「延期」であり、中断したことはなかった。25年は中国・江蘇省塩城市での開催が決まっている。
報告では、日中韓地方政府交流会議に対する大韓民国市道知事協議会の取り組みを事例に、北東アジアにおいて地方政府が主導する国際レジームの特徴と意味を確認する。具体的には次の2点である。第1はASEAN+3との相関性の究明。日中韓地方政府交流会議が始まったのはASEAN+3発足2年後の1999年で、韓国がASEANとの連携を大きく意識し始めた時であった。そして金大中政権になりASEANへの接近も見られた。韓国の地方政府が地方外交を開始し、ASEAN方式に注目したのがこの頃であった。それが継続の力になっていたと考えられる。そこで、第2に試みるのは日中韓首脳会談との比較である。日中韓首脳会談は2008年の初開催以来、24年に9回目の会談が開催されたが、13年と14年、16年と17年、20年から23年まで、3度の中断があった。それぞれ政治的な状況が大きな影響を与えていた。一方で、日中韓地方政府交流会議はこの時期も継続され、背景にどのような努力があったのかを確認することは、この地域の平和共存のための知恵を与えてくれるだろう。
◇討論4<ASEAN+3と台湾。LLABSの可能性>
「政治的制約を超える台湾と東南アジアの「非政府間」の強い結びつき」
林泉忠(東京大学東洋文化研究所特任研究員)
台湾とASEAN10カ国とは、正式の外交関係を有しておらず、また「ASEAN+3」にも入っていないが、両者の関係は実に微妙で密接な状況にある。戦後の台湾は、かつて東南アジア8カ国とそれぞれ国交を樹立したが、1970年代における両岸(中台)の国際地位の逆転で次々と断交していく。だが、やがて台湾は韓国、香港、シンガポールと共に「アジアNIES」の一員として経済発展を遂げ、東南アジアへの経済進出も目立つようになった。
2016年、蔡英文民進党政権は中国への経済依存を減らし、「新南向政策」を打ち出した。それによって、台湾と東南アジアの結びつきはさらに深まり、人的・経済的な国境を超えたつながりが強化されている。今後、特にデジタル経済・医療・教育・労働者受け入れの分野での協力が引き続き重要視されるだろう。他方、「星光計画」としてシンガポール軍が台湾で軍事訓練を実施したり、台湾が南沙諸島にある自然形成された陸地面積が最大の太平島を実効支配したりしている。
全体として、台湾とASEANの関係は、中国の圧力や自由貿易協定(FTA)の未締結といった課題もあるが、政治的な制約を超えて実質的な相互依存関係を深めており、今後も国境を超えた交流が広がっていくと思われる。
◇自由討論
フィリピン市民の意見 … ジョアン・セラノ(フィリピン大学オープンユニバーシティ教授)
インドネシア市民の意見 … ジャクファル・イドルス(国士舘大学21世紀学部専任講師)
タイ市民の意見 … モトキ・ラクスミワタナ(早稲田大学アジア太平洋研究科)
◇総括 平川均(名古屋大学名誉教授)
プログラム
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2025/01/SGRAForum75Program.pdf
英語版プログラム
75th SGRA Forum/45th Sustainable Shared Growth Seminar “East Asia Citizens Dialogue”
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【2】催事紹介:INAF第30回研究会(政策セミナー)のご案内
SGRA会員で一般社団法人東北亞未来構想研究所(INAF)所長の李鋼哲さんから研究会のお知らせをいただきましたのでご紹介します。興味のある方は直接お申込みください。
<李さんからのメッセージ>
私が創設し所長を務める東北亜未来構想研究所INAFの第30回研究会のご案内です。ご興味をお持ちの方は奮ってご参加ください。オンラインご参加を希望する方、現地参加をご希望の方は、いずれもINAF事務局にメールでご連絡ください。オンライン参加のご連絡をいただいた方にはZoomのURLをお送りします。
◆INAF第30回研究会(政策セミナー)
[テーマ] 日朝国交正常化に向けた戦略および政策提言
[日 時] 2025年3月21日(金)14:00~16:30
[会 場] アルカディア市ヶ谷私学会館4F鳳凰会議室
[趣 旨]
アメリカでは大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ氏が今年1月20日に大統領就任したが、第1期には米朝首脳会談を3回も行って世界を震撼させた。それを踏まえて、トランプ2.0では米朝関係正常化に邁進することが予測されよう。2002年9月に小泉純一郎首相が平壌を訪問して「日朝平壌宣言」を発表し、国交正常化交渉を開始していたが頓挫し、その後20年以上両国関係は断絶し懸案となっている。昨年石破茂政権が誕生し、日朝国交正常化交渉への意欲を示している。朝鮮半島課題の解決に向けての潮時、歴史的な転機が訪れることも予測されよう。 そこで、本セミナーでは日朝関係の実務家、専門家たちが集まり、両国関係の根本的な改善や国交正常化に向けた戦略および政策提言に向けて、ハイレベルの議論を展開し、政府への働きかけを試みることを目指す。
[プログラム]
ファシリテーター:李鋼哲(INAF所長)
基調講演:美根慶樹(平和外交研究所所長・元日朝国交正常化交渉日本政府代表・INAF最高顧問)
パネリスト:
和田春樹(東京大学名誉教授・元日朝国交正常化国民協議会事務局長)
三村光弘(INAF常任任理事・新潟県立大学北東アジア研究所教授)
河信基(INAF顧問・河信基グローバル平和戦略研究所(IGPS)所長)
川口智彦(INAF常任理事・日本大学国際関係学部准教授)
エマンニュエル・パストリッチ(アジアインスティチュート理事長)
矢嶌浩紀(INAF理事・元NHK国際部副部長)
参加費:INAF会員1,000円、一般参加3,000円(会場の受付にて徴収、先着順50名)
INAFのHP:http://inaf.or.jp/にて関連情報の詳細が確認できます。
INAFメンバー以外の方は、3日前までに参加申し込み(名前、所属、連絡先メルアド)を送ること
事務局E-mail:[email protected]
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★☆★お知らせ
◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)
SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。
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