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Naheya “The 71st SGRA Forum Report: A special Space called GREEN UKRAINE”
2023年7月20日 22:05:28
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SGRAかわらばん978号(2023年7月20日)
【1】娜荷芽「第71回SGRAフォーラム報告」
「20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」
【2】第8回国史たちの対話へのお誘い(8月8~9日、東京・ハイブリッド)(再送)
「20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか――教育・メディア・研究」
【3】第10回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送)
「日台の酒造りと文化:日本酒と紹興酒」(10月21日、島根県松江市)
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【1】第71回SGRAフォーラム報告
◆娜荷芽「第71回SGRAフォーラム報告:20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」
2023年6月10日(土)日本時間午後2時より第71回SGRAフォーラム「20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」が開催された。コロナ禍以降初めて、登壇者全員が会場の渥美財団ホールに対面で参加。また、長野大学の塚瀬進先生以外、全員が元渥美奨学生という特筆すべきプログラムとなった。
開催にあたり司会のマグダレナ・コウオジェイ先生(東洋英和女学院大学)より、様々な民族や文化を内包して20世紀前半の北東アジアに出現した「緑のウクライナ」と呼ばれた特別な空間をテーマに取り上げた趣旨説明があった。その後、講演と話題提供が行われた。
最初はオリガ・ホメンコ先生(オックスフォード大学日産研究所)の講演「『緑のウクライナ』という特別な空間」。ロシア帝国は中国とのネルチンスク条約、アイグン条約、北京条約により極東の大きな領土を手に入れ、1861年の農奴解放令発布後、当時ロシア帝国に付属していたウクライナの「過剰」人口問題に対する方策として「極東に家族ごと移住すれば、巨大な農地がもらえる」と宣伝した。その結果、1870年からロシア革命までの間に大勢のウクライナ人が土地と自由な生活を求めて移り住んだ。1918年1月にキーウで独立共和国の宣言が行われた時、極東のウクライナ人は「緑のウクライナ」という国を作ろうとしていた。1920年代になるとソ連から逃れた100万人のウクライナ人がハルビンなどに移り住み、1945年まで留まっていた。講演ではウクライナ人がコミュニティを築き、協力しあって多様な活動を展開していた歴史を紹介した。
次は塚瀬進先生(長野大学)による「マンチュリアにおける民族の交錯」。「マンチュリア」はどのように形成され、変容したのか。そこに暮らした人々はどのように近代を迎え、現在に至ったのかを各時代の地図を用いて15世紀~17世紀半ばを萌芽期、17世紀~19世紀半ばを形成期、19世紀半ば以降を変容期と捉え、1949年の中華人民共和国建国までの歴史を考察し、国史と地域史の両方のまなざしによる歴史理解を追究した。
続いて娜荷芽(内蒙古大学)が「中国東北地域における近代的な空間の形成:東北蒙旗師範学校を事例に」を報告した。20世紀前半の瀋陽に創設された東北蒙旗師範学校を事例に、中華民国成立後の1912~1930年代の軍閥混戦期に、内モンゴルの有識者たちが各地方政権と取引を行わざるを得なかったこと、モンゴル人を主体とする文化及び教育団体は相互に連携し活発な活動を行なっていたこと、さらに漢語の著作や雑誌を通して漢族の有識者たちに自分の立場を訴えていたことなどについて考察した。
最後のグロリア・ヤンユー先生(九州大学)の報告「『マンチュリア』に行こう!」は視覚資料、小説、紀行文などを用いて20世紀前半の「マンチュリア」の生活空間の多様性を描き出し、この多様性に富む「越境する現場」空間の視覚表象は、日本帝国の拡張によって取捨され、単一化されつつあったことを説明した。講演と話題提供の90分間はあっという間に終わった。
自由討論は司会者が進行役となり、発表者4名が相互にコメントしあったり、会場からの質問に答えたりする形で進行した。会場の劉傑先生(早稲田大学)からの近代空間及び鉄道についての問題提起は、特に深く考えさせられた。松島芳彦様(共同通信社)、松谷基和先生(東北学院大学)、大野正美様(ネムロニュース)からも発表者へのコメントや質問があり活発な議論が展開した。総括で語られた塚瀬先生の「こうした議論の方向性は地域の歴史的要因の認識につながる」という話は興味深かった。会場とオンラインで参加してくださった皆様にもあらためて感謝を申し上げたい。
私にとってはコロナ後4年ぶりの日本で、雨中の東京を楽しんだ。十数年前の留学時代にお世話になった東京大学教務課国際交流支援チームの坪山様にもお会いでき、週末で賑わう人々の明るい笑顔に元気づけられた。世界中の人々が平和の中で安心して暮らしていけますように!
当日の写真
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2023/07/SGRAForum71PhotosLITE.pdf
アンケート集計
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2023/07/SGRAForum71Feedback.pdf
<娜荷芽 ナヒヤ Naheya>
2012年東京大学大学院地域文化研究科にて博士号取得。2011年度渥美奨学生。中国内蒙古大学蒙古学学院歴史系教授、研究分野は中国近現代史、近現代モンゴル史、日中関係史。著書『二十世紀三四十年代内蒙古東部地区文教発展史』内蒙古人民出版社、2018年。訳著『民俗学上所見之蒙古』(鳥居きみこ著)きなん大学出版社、2018年など。
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【2】第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性へのお誘い(再送)
下記の通り第8回国史たちの対話を会場参加とオンライン参加のハイブリッド方式で開催します。参加ご希望の方は必ず事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか――教育・メディア・研究」
日 時:2023年8月8日(火)9:00~17:50、9日(水)9:00~12:50(日本時間)
会 場:早稲田大学14号館8階及びオンライン(Zoomウェビナー)
言 語:日中韓3言語同時通訳付き
主 催:日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性実行委員会
共 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
共 催:早稲田大学先端社会科学研究所・東アジア国際関係研究所
助 成:高橋産業経済研究財団
※参加申込(参加費:無料)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Mc7ctZdQTRG2eCGPU7PFbA#/registration
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)
◆開催趣旨
2016年から始まった「国史たちの対話」の目的は、日中韓「国史」研究者の交流を深めることによって、知のプラットフォームを構築し、三国間に横たわっている歴史認識問題の克服に知恵を提供することである。
戦後の東アジアは冷戦、和解、日本主導の経済協力、中国の台頭など複数の局面と複雑な変動を経験した。各国は各自の政治、社会的環境のなかで、自国史のコンテクストに基づいて歴史観を形成し、国民に広げてきた。戦後各国の歴史観はなかば閉鎖的な歴史環境のなかで形成されたものである。各国の歴史認識の形成過程、内在する論理、政治との関係、国民に広がるプロセスなどについての情報は、東アジアの歴史家に共有されていない。歴史認識をめぐる対立は、このような情報の欠如と深く関わっているのである。
歴史認識をめぐる国家間の対立が発生すると、相手の歴史解釈と歴史認識の問題点を指摘することが多い。しかし、自国内に発生した政治、社会変動に誘発される歴史認識の対立の方がむしろ多い。相手の歴史認識を認識する過程は、自分の歴史認識を問い直す機会でもあろう。このような観点から、第8回の国史対話は、今までの対話をさらに深めることが期待される。
◆プログラム
8月8日(火)
【第1セッション 司会:村和明】
・開会挨拶:劉傑(早稲田大学)
・趣旨説明:三谷博(東京大学名誉教授)
【第2セッション サブテーマ:教育 司会:南基正】
・金泰雄(ソウル大学)「解放後における韓国人知識人層の脱植民地への議論と歴史叙述の構成の変化」
・唐小兵(華東師範大学)「歴史をめぐる記憶の戦争と著述の倫理―20世紀半ばの中国に関する『歴史の戦い』」
・塩出浩之(京都大学)「日本の歴史教育は戦争と植民地支配をどう伝えてきたか―教科書と教育現場から考える??」
【第3セッション サブテーマ:メディア 司会:李恩民】
・江沛(南開大学)「保身、愛国と屈服:ある偽満州国の『協力者』の心理状態に対する考察」
・福間良明(立命館大学)「戦後日本のメディア文化と『戦争の語り』の変容」
・李基勳(延世大学)「現代韓国メディアの植民地、戦争経験の形象化とその影響-映画、ドラマを中心に」
【第4セッションン サブテーマ:研究 司会:宋志勇】
・安岡健一(大阪大学)「『わたし』の歴史、『わたしたち』の歴史―色川大吉の『自分史』論を手がかりに」
・梁知恵(東北亜歴史財団)「『発展』を越える、新しい歴史叙述の可能性:韓国における植民地期経済史研究の行方」
・陳紅民(浙江大学)「民国期の中国人は『日本軍閥』という概念をどのように認識したか」
・論点整理:劉傑(早稲田大学)
8月9日(水)
【第5、6セッション:全体討議(指定討論)司会:彭浩、鄭淳一】
・議論を始めるに当たって:三谷博(東京大学名誉教授)
・全体討議:指定討論者(アルファベット順)
平山昇(神奈川大学、日本)、金ホ(ソウル大学、韓国)、金憲柱(国立ハンバット大学、韓国)、史博公(中国伝媒大学、中国)、吉井文美(国立歴史民俗博物館、日本)、袁慶豊(中国伝媒大学、中国)、張暁剛(長春師範大学、中国)
・閉会挨拶:趙珖(高麗大学名誉教授)
※詳細は下記リンクをご覧ください。
日本語ホームページ
第72回SGRAフォーラム 第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか ――教育・メディア・研究」へのお誘い
中国語ホームページ
第 72 届 SGRA 论坛第 8 届日本・中国・韩国国史对话的可能性「20 世纪的战争・殖民统治与和解的历史叙述―教育・媒介・研究」
韓国語ホームページ
제72회 SGRA 포럼/제8회 한국・일본・중국 간 국사들의 대화 가능성 「20 세기의 전쟁·식민지 지배와 화해는 어떻게 이야기되어 왔는가: 교육·미디어·연구」
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【3】第10回日台アジア未来フォーラム@島根へのお誘い(再送)
日台アジア未来フォーラムは、台湾出身のSGRAメンバーが中心となって企画し、2011年より毎年1回台湾の大学と共同で実施しています。コロナ禍で3年の空白期間がありましたが、今年は例外的に日本の島根県で開催することになりました。皆さんのご参加をお待ちしています。諸準備のため参加ご希望の方は早めにお申し込みいただけますと幸いです。
テーマ:「日台の酒造りと文化:日本酒と紹興酒」
日 時:2023年10月21日(土)14時~17時10分
会 場:JR松江駅前ビル・テルサ4階大会議室(島根県松江市朝日町478―18)
https://goo.gl/maps/2GB6p1bUwVAAkaiG8
言 語:日本語・中国語(同時通訳)
※参加申込(クリックして登録してください)
http://bit.ly/JTAFF10
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)
◆開催趣旨
東アジアの主食である米を発酵させた醸造酒は、各地でそれぞれ歴史を経て洗練されたが、原料が同じなだけに共通点も多い。代表的な醸造酒に日本では清酒(日本酒)、中国では黄酒(紹興酒)がある。島根は日本酒発祥の地とされ、日本最古の歴史書『古事記』にも登場する。一方、台湾では第二次世界大戦後に中国から来た紹興酒職人が、それまで清酒が作られていた埔里酒廠で紹興酒を開発し量産に成功した。台湾で酒の輸入が自由化されるまでは、国内でもっとも飲まれる醸造酒であった。中国の諺に「異中求同」(異なるものに共通点を見出す)があるが、今回は醸造酒をテーマに相互理解を深めたい。フォーラムでは島根の酒にまつわる漢詩を紹介していただいた後、日本と台湾の専門家からそれぞれの醸造技術と酒文化について、分かりやすく解説していただく。日中同時通訳付き。
◆プログラム
講演1:「近代山陰の酒と漢詩」要木純一(島根大学法文学部教授)
講演2:「島根県の日本酒について」土佐典照(島根県産業技術センター)
講演3:「台湾紹興酒のお話」江銘峻(台湾煙酒株式会社)
全体質疑応答
※詳細は下記リンクをご覧ください。
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