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Khin Maung Htwe “First Academic Conference in 20 Years”

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SGRAかわらばん946号(2022年11月24日)

【1】キン・マウン・トウエ「アジア未来会議参加報告:20年ぶりの学術会議」

【2】催事紹介:国際シンポジウム「近代日本の中国学の光と影Ⅲ」(11月26日、オンライン)
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【1】SGRAエッセイ#723

◆キン・マウン・トウエ「アジア未来会議参加報告:20年ぶりの学術会議」

第6回アジア未来会議に円卓会議II「コミュニティとグローバル資本主義:やはり世界は小さいのだ」の発表者として参加しました。学術研究の世界から離れて約20年たちましたが、渥美財団の今西常務理事とマキト先生のお誘いを受けて、学生時代に戻ったようでした。ホテル経営と観光業に力を入れてきたので、テーマは「ミャンマーの現状における観光業とそのコミュニティの発展」です。パンデミックや政権変動の後に立ち上がり始めたミャンマーの観光業の発展に関する報告をしました。

ミャンマーでは、コロナの影響によってお客様が来なくなって営業を止めたホテルがほとんどでしたが、再開し始めています。その際には国連世界観光機関(UNWTO)と世界保健機構(WHO)の基準に基づいて、厚生省と観光省が作成したSOP(Standard_Operating_Procedure)規則によって、HSP(Health_and_Safety_Protocol)認定が条件です。ホテル側は様々な準備や従業員へのコロナに関する教育指導、さらには観光業に関連するコミュニティ等への教育指導並びに準備も必要になりました。観光省の認定証は3つのレベル―地域レベル(Regional_Level_HSP)、国家レベル(National_Level_HSP)と国際レベル(International_Level_HSP)―があります。これから再開するホテルは国家レベルHSP認定証がないと営業は難しく、観光客からの信頼と信用を得られないでしょう。私も指導者の1人なので、教育と普及の責任を感じています。

現在、治安が良い観光地には国内観光客が増加しています。政府がオンラインビザ申請を再開したことによって、外国人観光客やビジネスの訪問者も増えていています。ただし、現状の物価急騰や国際的な燃料費の高騰、最も影響が大きい国内通貨の変動など問題は山積みです。このような課題があっても、「アジアのパラダイス」であるミャンマーの自然や歴史など、さまざまな観光資源を上手に開発して、今後の復興のために、観光に携わる人々の協力とそのコミュニティの発展を期待しながら、毎日一生懸命仕事をしていることを報告して発表を終えました。

その後、円卓会議座長のマキト先生の素晴しい進行によって、他の国際的な発表者たちと時間を忘れて楽しい議論をしました。最近、ミャンマーの観光業関係者の会議や打ち合わせが多くありますが、このような学術的な国際会議は約20年ぶりで大変興味深く、若返った気がしました。これからも平和な地球、より良いコミュニティを作るために頑張れるでしょう。

近年、ミャンマーではコロナの問題だけでなく、世界的に注目されている政権の変動によって人々の生活状況が大きく変わりました。ただ、治安の問題については、ミャンマーすべての場所でなく一部で起きていることです。治安が落ち着いている観光地では国内観光客が増加したことによって、経済も立ち直ってきたようです。政府が変わるのは国内の問題であり、毎日の生活のため、国民のひとりひとりが自ら実行できる対策を考えながら行動する必要があります。自由を求めることは、その人の考えに基づくものですし、レベルには差があると思いますが、まずは現状を見ながら生きることが最も重要・大切と思います。ミャンマーに自由がなければ、このようなオンラインの国際会議に私が参加することはできなかったでしょう。

<キン・マウン・トウエ Khin_Maung_Htwe>
ミャンマーで「小さな日本人村」と評価されている「ホテル秋籾(AKIMOMI)」の創設者、オーナー。マンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手、Ocean_Resources_Production社長を経て「ホテル秋籾」を創設。SGRA会員。

以下のエッセイもご参照ください。

キン・マウン・トウエ「物理学者からホテル経営者へ」

エッセイ590:キン・マウン・トウエ「物理学者からホテル経営者へ」

マックス・マキト「マニラレポート2002年夏」

エッセイ721:マックス・マキト「マニラレポート2022年夏」

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【2】催事紹介

SGRA会員で東北大学准教授の朱琳さんから国際シンポジウムのお知らせをいただきましたのでご紹介します。参加ご希望の方は直接お申込みください。

◆国際シンポジウム「近代日本の中国学の光と影 Ⅲ」

開催日時:11月26日(土) 東京時間13:00~18:00
開催方式:Zoomによるオンライン開催(事前申込制)
申込フォーム:https://forms.gle/3nKuw3woNs4XRd7U8

【プログラム】
趣旨説明/司会:朱 琳(東北大学大学院国際文化研究科・准教授)

基調講演:山室 信一(京都大学名誉教授)
「「シナ通」とはいかなる存在だったのか――「中国知」のポリフォニーを巡って」

セッションⅠ:
池澤 一郎(早稲田大学文学学術院・教授)「吉川幸次郎先生と日本漢学」
李 建華(北京理工大学外国語学院・准教授)「津田左右吉の中国観」

セッションⅡ:
戦 暁梅(国際日本文化研究センター・教授)「富岡鉄斎の晩年芸術と京大中国学の人々」
塚本 麿充(東京大学東洋文化研究所・教授)「美術史学(様式論)と中国学のはざまで――瀧精一と金原省吾」

総合討論:
苅部 直(東京大学法学部・教授)
稲賀 繁美(京都精華大学国際文化学部・教授)

詳細は下記リンクをご覧ください。

国際シンポジウム「近代日本の中国学の光と影 Ⅲ」

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