SGRAメールマガジン バックナンバー
CHEN Tzu-Ching “Reflection on the 6th Asian Future Conference”
2022年10月13日 13:42:22
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SGRAかわらばん940号(2022年10月13日)
【1】エッセイ:陳姿菁「第6回アジア未来会議を終えて」
【2】催事紹介:INAFと早稲田大学共同国際シンポジウム
「近現代日中関係への多角的な視点」(10月22日、東京)
【3】SGRAカフェへのお誘い(10月29日、オンライン)再送
「韓日米の美術史を繋ぐ金秉騏画伯」
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【1】SGRAエッセイ#718
◆陳姿菁「第6回アジア未来会議を終えて」
「来年、台湾台北で会いましょう!」
中国文化大学元学長の徐興慶先生、台湾のラクーン(元渥美奨学生)たちと一緒に、2020年1月にフィリピンで開催された第5回アジア未来会議のクロージングパーティーのステージに上がり、皆さんに呼びかける自分の声が耳元で響いていた光景が昨日の出来事のようです。
翌日のツアーで火山の噴火を目の当たりにし、そして火山灰で滑走路が閉鎖され、空港では長時間待たされ、混乱の中で帰国便の変更をしたことなど、皆さんは覚えているでしょうか。
帰国後、第6回アジア未来会議の準備が始まりました。いえ、準備はもっと前から始まっていました。火山見学の途中、噴火する直前の火山の横の展望台で、徐先生から「準備委員会の連絡グループを作りましょう」と指示を受けた時に始まっていました。
フィリピン大会から約1カ月後、日本から今西さんと角田さんの2人、タイからはアジア未来会議(AFC)事務局3人組が台湾で集合しました。
宿泊施設の視察、おもてなしの台湾料理の試食など朝から晩までぎっしりとスケジュールが詰まっていました。台湾の魅力をどのように皆さんに知ってもらうか、いろいろなアイディアが飛び交っていました。
101ビルはランドマークとして広く知られているかもしれません。では、圓山ホテル(ザ・グランドホテル)はご存知でしょうか。赤い柱と金の瓦の14階建て中国宮殿様式のホテルで、台湾では初めての5つ星ホテルです。歴史のある圓山ホテルの格式を味わってもらう宴会場を探しました。高さ11メートルの天井に、渦を巻いて空を飛ぶ龍が珠を吐き出すホールを見学し、ここでクロージングパーティーを開いたらきっと一層華やかな雰囲気を引き立てられるのではないか、視察チームは様々な想像を巡らせて、その会場を予約することにしました。
その頃は新型コロナが世界にこんなに大きな影響を与えるとは思いもよりませんでした。台湾ではすでに警戒態勢で、マスクは配給制になっていました。視察チームが帰国する際に、空港で今西さんが「マスクをあげようか」と言ってくれたのをまだ鮮明に覚えています。「いえいえ今西さん、ご自分に取っておいた方がいいですよ」と答えましたが、まさかその後日本でもしばらくマスクが不足するとは思いませんでした。
2020年3月19日、今西さんたちが帰国して間もなく台湾は国境を閉じ、新型コロナは火に油を注ぐような勢いで世界中に広まっていきました。
新型コロナの収束が見えない中、対面で会議が開けるか台湾の準備委員会では議論を重ねました。様々な国の学者と対面で議論し、学際的な交流をするのはアジア未来会議の醍醐味です。その醍醐味を最大限に保ちたいという思いを優先し、2021年8月に台湾で開催予定だった第6回アジア大会の延期を決めました。「1年延期すれば、なんとか光が見えてくるでしょう」と準備委員会で議論しました。そして本番の大会の宣伝を兼ねて、オンライン式の「プレカンファランス」を開くことになり、2021年8月26日(木)に実施しました。
「プレカンファランス」が大成功に終わり、いよいよ本番を目指します。しかし、新型コロナがベータからデルタ、オミクロンへと次から次へ変異し事態が思わぬ方向へと進んでいきました。オンラインかハイブリッドか対面か、どの形にするか最後の最後まで決めかねていました。準備委員会としてはアジア未来会議の醍醐味である対面会議での交流を大事にしたいと考えていましたが、ご存じの通り入国制限があり、最後はハイブリッド形式に決まりました。アジア未来会議が始まってから初めてのチャレンジです。
大会数日前にはパネリストや通訳などに続々と感染者が出て、臨時的措置を取らなければならない慌ただしい雰囲気が漂っていました。あと数分で日付が変わる25日の真夜中に、事務局から26日に公開する英語のお知らせの中国語への翻訳の依頼が入り、「間に合うか間に合うか」と秒単位で緊張しながらのやり取りです。さまざまなネットワークやチームメンバーが動員された大会がいよいよ開幕を迎えると実感しました。
8月27日当日、台北市北部の山に位置する中国文化大学で大会が始まりました。台湾ではまだ新型コロナ対策として「社交距離」、「マスク着用」など様々な規制があるにも関わらず、大会ホールには大勢の人が集まっていました。
シンポジウムでは基調講演者の前(第14代)中華民国副総統の陳健仁先生をはじめ、各国・各分野で活躍する先生方が新型コロナについて様々な視点から話をしてくれました。パネリストの一人である黄勝堅先生(台北市立聯合病院前総院長)の言葉を借りますと、基調講演とシンポジウムの話はまさに大会趣旨である「みんなの問題、みんなで解決」にぴったりだと、私も思わずうなずいていました。
開催会場の中国文化大学側の総動員、日本(+タイ)側のスタッフ、そして台湾の多数の学校をまたぐ準備委員会の委員たちが積極的に協力してくれたおかげで、3日間にわたった基調講演、シンポジウム、円卓会議、分科会などがスムーズに行われ、活発な議論が展開されました。大会が順調に行われた裏ではたくさんの方々の協力が欠かせませんでした。心から感謝を申し上げます。
私は準備委員の一員であるほか、コメンテーター、座長、共同発表、個人発表など数役を担い、日本語、中国語、慣れない英語を切り替えながら気を張り詰めて3日間を過ごしました。新しく取り入れた研究テーマが「ベストプレゼンテーション」という評価をいただき、とても励みになりました。新しい研究やチャレンジの成果をシェアできる場として、異なる分野、異なる国の学者が異なる視点で議論できる場として、大会の様子を見て「あー参加して良かった」とつくづく思いました。
第6回アジア未来会議は無事に閉幕しました。対面会議ではない形で開催され残念な気持ちはありますが、これからの時代はハイブリッド形式が普通になるのではという感想もあります。
第1回から第6回、コロナのない時代、コロナの時代、ポストコロナの時代、そしてウィズコロナの時代、これからはどんな時代になるのでしょうか。第7回アジア未来会議は最初の開催地であるバンコクに戻ります。どんな話題が繰り広げられるのか、とても楽しみです。
では、台湾の台北からタイのバンコクへバトンタッチします。
皆さん、2024年8月にバンコクで会いましょう。
<陳姿菁(ちん・しせい)Chen_Tzu-Ching>
SGRA会員。お茶の水女子大学人文科学博士。台湾教育部中国語教師資格、ACTFL(The_American_Council on_the_Teaching of_Foreign_Languages)のOPI(Oral_Proficiency_Interview)試験官(日本語)。台湾新学習指導要領(第二外国語)委員。開南大学副教授。専門は談話分析、日本語教育、中国語教育など。
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【2】催事紹介
SGRAが後援するシンポジウム「近現代日中関係への多角的な視点」をご紹介します。参加申込・お問合せは直接主催者へ連絡してください。
テーマ:「近現代日中関係への多角的な視点」
日時:2022年10月22日(土)13:00~18:10
場所:早稲田大学早稲田本部キャンパス14号館102教室
(基本は対面形式、個別的にzoom 使用)
主催:(一社)東北亜未来構想研究所(INAF)/早稲田大学東アジア国際関係研究所
開催の趣旨:今年(2022年)9月は日中国交正常化50周年、日本と中華民国の国交断絶・非政府間実務関係への転換50年目という重要な節目の年である。ところで、日中関係の変遷を50年から、近現代110年(1912年中華民国成立)のタイムスパンに拡大し、歴史的な視点で再検証することが必要不可欠であろう。それを通じて日中関係の過去・現在を再認識し、未来志向の関係構築に向けて叡智を模索することが、本国際シンポジウムの趣旨である。
◇基調講演
1)劉傑(早稲田大学教授)
テーマ:日中関係の50年、世界に貢献したもの
2)花田麿公(NAF顧問・元日本駐モンゴル国大使、元日本駐中国瀋陽領事館領事)
テーマ:北東アジアの展望で日中関係を考える―香港、瀋陽に勤務して―
◇第1セッション:近現代の中国のトップ・リーダーの対日認識と日中関係
司会:羽場久美子(INAF副理事長、神奈川大学教授)
【第1報告】陳柏宇(INAF理事・新潟県立大学)
テーマ:孫文時代から蔡英文時代までの変遷
【第2報告】李鋼哲(INAF所長・北陸大学)
テーマ:毛沢東時代から習近平時代までの変遷
討論者:佐渡友哲(INAF理事)/劉傑
◇第2セッション:若手研究者セッション
司会:川口智彦(INAF理事・日本大学)
【第1報告】王培路(早稲田大学大学院博士後期課程)
テーマ:天安門事件後日本の対中経済協力再開をめぐって
討論者:李鋼哲
【第2報告】金明花(INAF理事・神奈川大学)
テーマ:実証分析から見る日本の外国人技能実習
討論者:佐渡友哲
【第3報告】松本理可子(INAF理事・早稲田大学現代中国研究所)
テーマ:文化的再生産の萌芽―清朝後期の同仁堂にみる企業フィランソロピ―
討論者:朱永浩(INAF理事・福島大学)
詳細は下記リンクをご覧ください。
http://inaf.or.jp/
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【3】第18回SGRAカフェ「韓日米の美術史を繋ぐ金秉騏画伯」へのお誘い(再送)
第18回SGRAカフェをオンラインにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。参加者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「韓日米の美術史を繋ぐ金秉騏画伯」
日 時:2022年10月29日(土)11:00~12:30
方 法:Zoomウェビナーによる
言 語:日本語・韓国語(同時通訳付き)
主 催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
申 込:下記よりお申し込みください
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6qU0i7c1Q0mwQ5NfglX-0w
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)
【フォーラムの趣旨】
1916年に平壌に生まれた金秉騏(キム・ビョンギ)は1930年代に学生として東京で過ごし、1947年以降はソウルで教育者・評論家として活躍、1965年にアメリカに渡りました。晩年は韓国に戻り、今年2022年3月1日に105歳で亡くなるまで具象と抽象をさまよう魅力的な絵を描き続けました。韓国では、オーラルヒストリー・インタビューを多く受けて、韓国美術史における時代の重要な証人と見なされています。
金秉騏の長いキャリアを通してアートの世界的な動きをさかのぼることができる一方、どの国の美術史にも簡単には収まりきらない様々な活動の軌跡を見ることができます。この企画では金画伯の韓国・日本・アメリカ美術史における立ち位置を示し、それらの美術史上の接点、空白、そして限界について語り合い議論していきます。
【プログラム】
◇問題提起:金秉騏の人生と画業
コウオジェイ・マグダレナ(東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科講師)
2016年10月に東京で開かれていた小さな個展で初めて金秉騏画伯と出会った。それ以来、2019年12月まで数回にわたりオーラルヒストリー・インタビューを行った。本発表では、前半に最初の出会いを振り返り、その後の調査と先行研究に基づき、朝鮮半島・日本・アメリカで活躍した画伯の人生と芸術を紹介する。後半では、私たちのアイデンティティと深く結びついている「国史としての美術史」の特徴と、一方で、国家の枠組みで近現代美術史を語る困難について考察する。韓日米それぞれの美術史における画伯の立場についての私の分析をスタートとし、討論者に問いを投げかける。本カフェが従来の美術研究の偏りや見落としていたことに目を向け、研究者の対話の場となることを期待する。
◇討論:韓国の美術史における金画伯の立場とそこから見えてくる韓国美術史の特徴
朴慧聖(韓国国立現代美術館学芸員)
◇討論:日本の美術史における金画伯の立場とそこから見えてくる日本美術史の特徴
五十殿利治(筑波大学名誉教授)
◇討論:米国の美術史における金画伯の立場とそこから見えてくる米国美術史の特徴
山村みどり(ニューヨーク市立大学キングスボロー校准教授)
◇司会
ヤン・ユー グロリア(九州大学人文科学研究院広人文学コース講師)
プログラムの詳細は下記よりご覧いただけます。
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2022/09/J_SGRA-VCafe18Program.pdf
ポスター(日本語版)は下記よりご覧いただけます。
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2022/09/J_SGRA-Cafe18Poster.jpg
韓国語ウェブサイトは下記よりご覧いただけます。
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