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Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 3)
2019年10月24日 12:25:07
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SGRAかわらばん794号(2019年10月24日)
【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北)
SGRA参加パネル#3「日本における女性ムスリムの現状」
【2】催事紹介:日韓連帯文学フォーラム
「文化・文学でつながる、韓国と日本」(11月29日、東京)
【3】新刊紹介『映しと移ろい:文化伝播の器と蝕変の実相』
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【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い
◆SGRAパネル#3「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」
東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足しました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。
【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】
日時:2019年11月1日(金)~3日(日)
会場:福華国際文教会館、台湾大学
主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター
詳細は下記リンクをご覧ください。
http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html
全体プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/pdf/program.pdf?v=1001
◆SGRA参加パネル#3「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」
分科会H3(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館304号室
パネル趣旨:
最新の推計結果(2013年)によると日本におけるムスリム人口は約18万5千人、日本人口の0.1%を占めており、外国人人口の増加とともに今後も増える見込みである。そこで在日ムスリムの現状を把握することを目的に調査が実施され、信仰活動や仕事・交友関係などの生活状況が明らかにされたのだが、その対象は男性のみであった(店田2006,2013)。他にもムスリム留学生へのインタビュー調査などが行われているが、どれも男性を対象にしているものが多く、日本に在留する女性ムスリムは依然としてヴェールに包まれているといっても過言ではない。しかしながら、ムスリム女性は、意図せずして、彼女らの宗教や文化の象徴的な存在として昨今の国際社会におけるディスコースの中心となっている。そこで本研究は、日本に留学するムスリム女性に着目し、彼女たちの「可視性が日常生活に及ぼす影響」と異文化しかも非ムスリム的環境における「ムスリム女性としてのアイデンティティ構築に結びつく内なる葛藤」を明らかにすることを試みた。
本パネルでは、5人の在日ムスリム女性へのインタビュー調査結果の報告を踏まえ、討論者らの女性ムスリム留学生としての実体験を交えながら、現在の日本社会が抱える異文化共生の問題を議論し、今後の多文化共生社会のあり方を模索する。
(参考文献:「在日ムスリム調査 関東大都市圏調査 第一次報告書」2006年、店田廣文「世界と日本のムスリム人口 2011年」2013年)
パネリスト:
司会者 張桂娥(東呉大学)
発表者1 沈雨香(早稲田大学)
発表者2 アキバリ・フーリエ(白百合女子大学)
討論者3 ショリナ ダリヤグル(明渓日本語学校)
討論者4 ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)
発表要旨:
【発表1】沈雨香(早稲田大学)
「在日ムスリム女性の困難ー彼女らの可視性から」
文化庁の2015年の報告書によると日本における包括宗教法人の数は390程で、信者数の総数は1億人を上回る。しかしながら、我々は日常生活で個々人の宗教・信仰を意識することはあまりない。それは、ほとんどの場合、信仰は「目に見えない」からである。例えば教会でお祈りをしたり、神社で参拝する姿でも見ない限り日常生活の中で個々人がどの宗教を信仰しているかを知ることは難しい。ただし、ムスリム女性は例外である。
ヒジャブ(スカーフ)は女性が髪や顔を覆うもので、その素材や色、覆う方法などは様々であるが、ムスリム女性は宗教的慣習や文化に基づき日常的にヒジャブを着用している。つまり、ヒジャブはムスリム女性の宗教への信仰を「可視化」しているのである。その宗教的可視性の故、ムスリムの女性は他から存在的にそして認識的に区別されており、彼女らならではの生活世界を経験していると考えられる。しかも、非ムスリム文化圏であればより顕著であるだろう。
そこで本研究では、ムスリム女性が持つ可視性に着目し、日本に滞在するヒジャブを着用する女性と非着用の女性計5人を対象にした半構造化インタビューを通して、その可視性がもたらす影響を明らかにすることを試みた。その結果、ヒジャブ着用者と非着用者の間で交友関係や日常生活における経験に差があることはもちろん、属するコミュニティも異なっていることが明らかになった。また、ヒジャブが持つ宗教の可視性は彼女らの生活のあらゆる場面における経験を決定する一つの要因であるとともに、彼女らの意識や行動規範を示す一つの明確な指標として機能していることも示唆された。これらの知見を踏まえ、近年ムスリム人口が増加する日本における異文化共生や、今後の多文化共生社会のあり方を模索する。
【報告2】アキバリ・フーリエ(白百合女子大学)
「在日ムスリム女性留学生の内なる葛藤」
80年代以降、留学や就労働目的で来日するムスリムが増加している。「宗務時報No119」では、2010年末の滞日ムスリム人口は約11万人としている。着実に日本社会でも「ムスリム・コミュニティ」が根付きつつあると指摘できる。大学においても、中近東諸国からの政府派遣受け入れに伴い、ムスリム留学生の在籍数が増加している。一方で、21世紀のムスリム諸国においても、ムスリム女性の社会進出が目立つようになった。これまでのムスリム女性に対する、控えめで従順なステレオタイプのイメージとは一線を画して、キャリア重視の女性が増加している。その変化に伴い、日本においても女性ムスリム留学生が近頃見られるようになった。確かに日本は、アジアの国々と友好な関係であることと、安全な国であることから、女性ムスリムの留学先の優先国として適している。
そこで、在日ムスリムの宗教的価値観の違いによるストレスや、異文化葛藤の問題も考慮すべき課題となる。本発表では、在日ムスリム女性としてのアイデンティティの構築と日本社会の一員として、多文化社会においてどのような内なる葛藤があるのかに焦点を当てた。日本で留学経験がある5人のムスリム女性を対象に半構造化インタビューを通して、彼女らの内なる葛藤を観察した。
葛藤の要因は、日本社会からのみではなく、同じ一神教のイスラム教徒であるムスリム・コミュニティの中からも発生していることが明らかとなった。それは、従来の女性像を基準に両者からの評価と判断の対象となっていることに起因している。社会が彼女らへ期待するムスリムとしての在り方の偏りがアイデンティティの揺らぎを含めた内なる葛藤へと結びついている。今後日本が多様性を包摂する多文化共生社会に移行するためには、ムスリムアイデンティティも含め、個々人の多様なアイデンティティを受け入れる姿勢が求められる。
【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】
北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。
◇協議会趣旨
一、日本研究の質的な向上。
一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。
一、東アジアの安定と平和への寄与。
◇国際学術大会の歩み
第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。
第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。
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【2】催事紹介
SGRA会員で青山大学准教授の韓京子さんより、フォーラムのご案内をいただきましたのでご紹介します。参加申し込み・お問合せは主宰者へ直接ご連絡ください。
◆日韓連帯文学フォーラム「文化・文学でつながる、韓国と日本」
日時:11月30日(土)10:00~17:10(予定)
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート2階 G201教室
主催:法政大学国際日本学研究所
後援:日本近世文学会
趣旨:ユーラシア大陸の東の端、海をはさんで向かい合う韓国と日本。中華文明の影響のもと、ともに東アジアの文明・文化を支えつつ発展してきた両国は、二千年の長きにわたって密接な関係にありました。
その両国の関係が、昨今、さまざまな変化に直面しています。こうした時期こそ、表面的な現象にとらわれずに、両国が古くから培ってきた文化・文学の歴史に目を向けたいと考えます。東アジアを視野に入れつつ、韓国と日本の過去・現在・未来を、文化・文学という側面から、多角的かつ内省的に考える企画です。
詳細は下記リンクよりご覧ください。
https://hijas.hosei.ac.jp/news/20191129-30info.html
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【2】新刊紹介
SGRA会員で国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美先生から、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。
◆「映しと移ろい:文化伝播の器と蝕変の実相」
既存の学問領域の垣根を乗り越えた先にあるものは何か。
43名の執筆陣が、多文化間の文化伝播における接触と変成の実相を、「うつし」「うつわ」「うつろい」のキーワードを頼りに学際的かつ多角的に分析。
従来の思考法の限界をあぶりだし、これまでの比較言語学、比較文化論にとどまらない、次世代の表象文化論、情報理論のモデル構築を目指す!
編著:稲賀繁美
発行:花鳥社
定価:本体12,800円+税
A5判・上製・792頁
ISBN:978-4-909832-12-2
発行:2019年9月25日
詳細は下記リンクよりご覧ください。
http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5046.html
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★☆★SGRAカレンダー
◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北)
SGRA参加パネル
(1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」
(2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」
(3)「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」
◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊)
「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」
※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。
http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/
アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。
★☆★お知らせ
◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始!
SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。
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