SGRAメールマガジン バックナンバー
Emanuele Giglio “Aiming for the Good Composite of Italy and Japan”
2016年12月8日 17:37:20
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SGRAかわらばん650号(2016年12月8日)
【1】エッセイ:ジッリォ「イタリアと日本との『良き合成体』を目指して」
【2】第21回日比持続可能な共有型成長セミナーへのお誘い(1月6日、フィリピン)
「開発研究・指導の進歩と効果を持続させるために」
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【1】SGRAエッセイ#513
◆ジッリォ エマヌエーレ・ダヴィデ「イタリアと日本との『良き合成体』を目指して:日本に来て8年目に思いついた、ちょっとした雑感」
小さい時から日本に憧れていた。日本に初めて来るとき、「日本文化こそ人類文明の最高頂点であり、私も人間として進化するためにぜひ日本の文化を吸収したい」という心構えでやってきた。今年で東京にきて8年目になる。この8年間にはもちろん、「日本文化の『闇』の部分」と思われるところにも直面した。しかし、それで「もう日本なんて嫌いだ」とか、「もう帰りたい」とかは、少しも思わない。今思っているのは、「日本は非常に民度が高い;非常に民度が高いからこそ、その分「『悪』の部分がより特定し辛く、しかも鋭い」ということだ。そこで、私がずっと目指しているあり方はだいたい次のようなものである。
まずイタリア人として、イタリア人にしかできない観点から、イタリア文化の悪いところに気づき、乗り越え、いいところだけを残す。そして、日本の文化を少しずつ吸収することで、今度は日本人に限りなく近いあり方にもなり、日本人と同じような観点から、日本文化の「悪い」と思われるところを理解し、乗り越え、いいところだけを身につけていく、というような、イタリア人と日本人との「良き合成体」と呼ぶべきあり方だ。
なぜ「日本人に限りなく近いあり方にもなり、日本人と同じような観点から」と言うか。「そこまでする必要があるのかな」と考える人もいるかもしれないが、私の場合は「西洋人だから日本なんて簡単に吸収し、超えられるんだ」と最初から思っていたからではない。日本のことを「下手に」馬鹿にしている外国人とか、もしくは―8年前の私にはそういうところもあったかもしれないが―日本に「下手に」憧れているような外国人もまだいるだろうが、「いや、私はできれば、そうなりたくはない」と心から願っているからなのだ。
「でも私はあくまでも『なになに人』だよ」とか「私はまず『なになに人』だよ」と言う人がいる。例えば『イタリア人』『フランス人』『アメリカ人』『韓国人』『日本人』とか。それでもいいと思う。ただ、私個人は、実験的に「私はまず人間だよ」という立場に立ってみたい。この実験は、今この世界に存在している色々なアイデンティティを危険にさらしてしまうかもしれない。しかし、「でも私はあくまでもイタリア人だよ」とか、「私はまずイタリア人だよ」というあり方は、私個人には、本質であるはずの部分(=人間)と、属性であるはずの部分(=『なになに人』)とを逆転させてしまう危うさを持っているとしか思えない。
よく考えれば、属性を本質と間違えてしまうというのも、危ないのではないか。ならば、どちらにしろ危ないのなら、私は自分の一番好きなあり方を選んでみたい。つまり、心さえ広げれば、誰だってどの文化も理解し、いつだって何人にでもなれるではないかという、良き地球市民のようなあり方だ。決して楽な道ではないと思う。しかし、異文化をどれだけ受け入れ吸収できるのか、というようなことを日々問われるという、「考え方のグローバル化」がこれから始まろうとしていると考えると、なおさら今言ったようなあり方を選択してみたい。
<エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ☆Giglio,_Emanuele_Davide>
渥美国際交流財団2015年度奨学生。トリノ大学外国語学部・東洋言語学科を経て、2008年4月から東京大学大学院インド哲学仏教学研究室に在籍。2012年3月に修士号を取得。現在は博士後期課程に在籍中。身延山大学・東洋文化研究所研究員。
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【2】第21回日比持続可能な共有型成長セミナーへのお誘い
台風のために延期になっていた第21回日比共有型成長セミナーを、下記のとおりフィリピンのベンゲット州で開催します。参加ご希望の方は、SGRAフィリピンに英語でご連絡ください。
◆第21回日比持続可能な共有型成長セミナー
テーマ:「開発研究・指導の進歩と効果を持続させるために」
“Sustaining_the_Growth_and_Gains_of_Development_Research_and_Extension”
日時:2017年1月6日(金)~7日(土)
場所:ベンゲット州コルディリェラ行政地域
1日目:ベンゲット国立大学農業研修所にて円卓会議
2日目:農場の現場視察
言語:英語
申込み・問合せ:SGRAフィリピン_([email protected]_)
〇セミナーの概要
SGRAフィリピンが開催する21回目の持続可能な共有型成長セミナー。今回は、アジア未来会議から習った新しい形式で開催する。SGRAフィリピンの運営委員でもある、フィリピン政府農業省のJane_Toribio博士の研究調査の現場である、ベンゲット州(マニラ市から北へ車で約6時間の山岳地帯)を会場とし、1日目は関係者の円卓会議を、2日目は現場視察を予定している。
これからのマニラ・セミナーは、今まで続けてきた「持続可能な共有型成長」というテーマにさらに集中し、効率・公平・環境の3側面(3K)を重視している委員たちの研究・アドボカシーのみを扱いたい。従来は絨毯爆撃(carpet_bombing)方式の「なんでもあり」というやり方で、課題に命中しないことが多かったが、今後は精密打撃(surgical_strike)方式で展開する。今回は、持続可能な農業という3Kの研究・アドボカシーである。お時間のある方、ぜひご参加ください。
〇プログラム
1日目:1月6日(金)
発表1(09:45~10:15)「ベンゲット州における有機農業の実践と経験」
発表者:Jeffrey_Sotero
発表2(10:15~10:45)「ベンゲット州における苺農業」
発表者:Felicitas_Dosdos
発表3(10:45~11:15)「ベンゲット州における被災のリスク低減や管理」
発表者:Atty._Roberto_Canuto、Winston_Palaez、Erick_Abangley
発表4(11:15~11:45)未定
質疑応答
円卓会議(13:30~17:00)
モデレーター:Dr. Max Maquito
討論者:午前の発表者
2日目:1月7日(土)
08:00:バギオ市のR. Salda市長へ挨拶
08:30:Bahongの花畑と農園の視察
10:00:苺農園の視察
12:00:有機農業の食事
13:30: マニラへ向かいながら観光
英文の案内は下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/12/KKK21InviteJan2017.pdf
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