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Maquito “Manila Report 2016@Asia Future Conference”
2016年10月20日 15:49:12
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SGRAかわらばん643号(2016年10月20日)
【1】エッセイ:マキト「マニラ・レポート2016@アジア未来会議」
【2】耳よりな情報:JASSO「帰国外国人留学生短期研究制度」「帰国外国人留学生研究指導事業」募集開始
【3】催事案内:「WISE_FORUM_2016_にっぽんの未来を考える3日間」
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【1】SGRAエッセイ#508(第3回アジア未来会議「環境と共生」報告#3)
◆マックス・マキト「マニラ・レポート2016@アジア未来会議」
当初、日本の風景をゆっくり楽しもうと考えて、東京から鈍行列車で北九州まで行きたいと思っていたのだが、結局、仕事の関係で1日遅れて第3回アジア未来会議(AFC)に参加した。今回、フィリピンからの参加者は30人で、その4割ぐらいは何等かの参加補助をいただき、残りは自費でやってきた。意外にも、毎回自費参加者の割合が増しているようで嬉しく思っている。フィリピン人の中でAFCの評判が高まっている証拠といえよう。
僕は、10月1日(土)に発表者、座長、討論者として参加した。と同時に、できるだけフィリピンからの参加者の世話をした。このエッセイでは、討論者としての役目を中心に話したい。
それは、国士舘大学の平川均教授と北陸大学の李鋼哲教授が座長を務める自主セッション「アジア型開発協力」で、「東アジアを中心にして過去半世紀以上にわたって経済成長を実現してきたこの地域は、欧米とは異なる形の開発協力や地域協力の枠組みを創り上げてきたように思われる。しかし、そうした地域における協力や開発の在り方が欧米とはどう異なるのか、また独自の協力の在り方をどのように整理し、ひとつの理念あるいは哲学に育て上げるかは依然として課題である」という問題意識に基づくものであった。
午後の2セッションを使う長丁場であったが、僕は、午後2時から他のセッションで座長の仕事があったので、後半しか出られなかった。参加者の積極的な議論が続き、セッションが終わろうとしていた時、わざわざ会場まできた今西SGRA代表からフィリピンの参加者に関する事務的手続きについて連絡があったので、部屋から静かに出ようとしたところ、座長の平川先生から討論のご指名をいただき、逃げ道は塞がれてしまった。普段の研究や授業では日本語をあまり使わないので、学会などではできるだけ発言を控えているのだが、しかたなく、一生懸命書いておいた日本語のメモを思い出しながら、以下のような感想を述べた。
後半の最初の上海財経大学の範建亭先生の発表では、中国の国際政治関係が経済関係に影響を与える因果関係を特定する試みを興味深く拝聴した。因果関係をもっと突き止めるために、範先生は別の経済学モデルを取り入れると言われたが、今の方法論でもう十分ではないかとコメントした。ただ、心配な点もある。それは、範先生の分析にはさまざまな国が入っているのに、僕の母国のフィリピンが入っていないことである。単にデータがないのか、それともフィリピンと中国の外交関係が問題なのか。
残念ながら、時間切れで回答を聞けなかったが、その時に思い浮かんだのは、最近、領土問題でフィリピンと中国の外交関係が膠着状態に陥っていることである。仮に政治関係が経済関係に影響するという分析が正しいとしても、その背後にある考え方は危険ではないだろうか。つまり、国際政治関係が悪化したら、経済関係も悪化するという状況は好ましくない。両国の関係が悪くなった時にこそ、なんらかの形で両国の繋がりを保つのが賢明な方策であろう。
後半の最後の報告は、李鋼哲先生のアジア的モデルの提唱だった。欧米の援助や開発の考え方とアジア的なものとの区別を明確にするということは、大変意義があると最初にコメントした。援助理念を明確化するのは重要な作業だ。李先生の発表にも取り上げられた、世界銀行が1993年に発行した「東アジアの奇跡」報告は、実は、被援助国の自助努力を尊重する日本が欧米の援助や経済開発に対抗した結果であると指摘した。
僕の目から見ると、当時の日本は輝いていたのだが、その後の受身姿勢に対してはがっかりしている。最近のDAC(開発援助委員会:OECDの委員会のひとつ)の査読(ピア・レビュー)を読むと、日本が提唱してきた「被援助国の自助努力を支援する」という理念が、欧米でも認められるようになっていることがわかるのだが、その合理性がまだ十分に説明されていないという課題が、20年以上経っても残っている。日本人は曖昧さを好んでいるが、やはり国際的な場では、もっと明確に説明しないといけない。それは他国と違ったやり方をしている時にこそますます重要であるといえよう。
以上のように「政治外交関係が経済関係に影響を与えること」と「開発援助理念の曖昧さ」の2点を指摘したが、実は、これが今の南シナ海の緊張に不安材料を与えている。本来、被援助国の経済発展のために使うべきODAが別な目的のために使われかねないからである。具体的な例として、日本のODAがフィリピンの軍備に使われていることを取り上げた。すぐに会場から「まさか!」という反論を浴びた。「日本のODAにはそれを防ぐための装置があるはずだ」と。僕は一歩も譲らずに、平和憲法があっても武器輸出が始まっていると反論した。最後に座長の平川先生の「鶴の一声」によって、どちらかというと、僕の側が優勢で議論が終わった。
その夜、ホテルに戻ってオンラインで調べたら、下記の記事を見つけたので、「会場から『信じられない』という反応があんなにあって驚いた」と書き添えて、その記事のリンクを平川先生にメールした。
Japan to Start Delivery of 10 Brand New Patrol Vessels to PH Next Year
2015年6月5日のフィリピンの新聞の記事で、「日本は来年から新哨戒船10隻をフィリピンに引き渡す」という題名である。駐日フィリピン大使が、「これらの船はODAの一貫として引き渡される。今までのインフラ整備中心の方針と違う」と語っている。領土問題になっている西フィリピン海(南シナ海)で活動させるという。2020年まで、日本、韓国、米国、イスラエルからの武器輸入でフィリピンは自国の防衛体制を充実させる構えである。
翌日の打ち上げ夕食会でも議論が続いた。同じような意見を述べ、同じような結論に辿り着いた。僕の主張は正しかったわけだが、全然嬉しくない。むしろ、これからどうなるか非常に心配である。
酒の勢いで陽気になったあらゆる国から来た狸たち(註:元渥美奨学生)は、僕の心配を少し晴らしてくれた。「あなたの国の大統領が大好きだ!」と、ミャンマー、内モンゴル、韓国の狸たちからエールが送られた。僕も暴れん坊の大統領を支持しているが、最近の行動は心配の種になっている。これからの難しいかじ取りを上手くしてくれるよう祈っている。
<マックス・マキト ☆ Max Maquito>
SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表。フィリピン大学機械工学部学士、Center_for_Research_and_Communication(CRC:現アジア太平洋大学)産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧問。テンプル大学ジャパン講師。
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【2】耳よりな情報:JASSO「帰国外国人留学生短期研究制度」募集開始
参加申込み、お問い合わせは主催者へ直接連絡してください。
(1)(12/9締切・必着)「平成29年度帰国外国人留学生短期研究制度」募集開始
日本での留学を終え、現在、自国において教育、学術研究又は行政の分野で活躍している元留学生に、日本の大学で短期研究を行う機会を提供する制度です。
■元留学生を招へいしたいと考えておられる先生及び日本で学んだ元留学生の皆さんにご案内ください。
【支援内容】
外国人研究者:往復渡航旅費、滞在費 (日額11,000円)
受入研究者:受入協力費(定額50,000円)
【募集要項】※募集を開始しております。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/exchange/tanken/boshu.html
○帰国外国人留学生短期研究制度を活用した研究者の声○
http://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/exchange/tanken/report/tanken_r_h27.html
(2)(12/9締切・必着)「平成29年度帰国外国人留学生研究指導事業」募集開始
日本の大学の教員を現地に派遣し、日本留学を終えて自国の大学等で教育、研究活動を行う元留学生の研究を指導する場を提供する制度です。
■元留学生を訪問したいと考えておられる先生及び日本で学んだ元留学生の皆さんにご案内ください。
【支援内容】
往復渡航旅費
滞在費(現地滞在日額16,000円)
研究指導経費(上限100,000円)
【募集要項】※募集を開始しております。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/exchange/shidou/boshu.html
○帰国外国人留学生研究指導事業を活用した研究者の声○
http://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/exchange/shidou/report/shidou_r_h27.html
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【3】催事案内:「WISE_FORUM_2016_にっぽんの未来を考える3日間」
SGRA会員で埼玉大学名誉教授の外岡豊先生より下記フォーラムをご案内いただきましたのでご紹介します。参加申込み、お問い合わせは主催者へ直接連絡してください。
◆「WISE_FORUM_2016_にっぽんの未来を考える3日間」
日程:2016年10月26日(水)・27日(木)・28日(金)の3日間、15:00~19:00 (懇親会19:00~21:00)
場所:日本看護協会ビル (表参道ヒルズ向かい)
参加費:各日/シンポジウム3000円、懇親会1000円
▼WISE_FORUM_2016_特設ページ
http://wisewise.com/event/wise-forum/wiseforum2016_annai/
▼アクセスマップ
https://goo.gl/maps/2xUZY8mDkqH2
【第一日10月26日(水)】
テーマ:「環境・フェアウッド」
多様な生物の命を育む森林、人と自然が織り成す美しい里山、先祖代々の技と知恵を受け継ぐ木の文化。この豊かな森林木文化を次世代に継ぐために、分野や立場の違いを超え、皆で考え、語り合います。
基調講演:■沖 修司(林野庁次長)
講演:●大場隆博(株式会社くりこまくんえん、NPO法人_日本の森バイオマスネットワーク_副理事長、NPO法人_しんりん理事長)
●今村篤(岩手県岩泉町林業水産室室長)
●宮原元美(株式会社ミヤケン取締役、宅地建物取引士、ミドリムシ不動産ディレクター)
ファシリテーター:●坂本有希(フェアウッド・パートナーズ、一般財団法人地球・人間環境フォーラム企画調査部長・理事)
【第二日10月27日(木)】
テーマ:「生活・教育」
子どもたちが夢と希望を持って成長していける教育、そして地域社会とは。教育現場で、そして地域社会で日々奮闘する各界のリーダーにその取り組みと思いを披露頂きながら、皆さんと広くディスカッションしたいと思います。
基調講演:■柳沢幸雄(開成高等学校・中学校校長、東京大学名誉教授、工学博士)
講演:●油井元太郎(公益社団法人MORIUMIUS理事/フィールドディレクター)
●和田賢治(岐阜県立森林文化アカデミー講師)
●田中寿幸(諸塚村立荒谷小学校教諭)
ファシリテーター:●渡邊智惠子(株式会社アバンティ代表取締役社長、NPO法人オーガニックコットン協会(JOCA)副理事長、一般財団法人森から海へ代表理事)
【第三日10月28日(金)】
テーマ:「社会・経済」
経済的な豊かさだけでは人は決して幸せになることは出来ない。ともに生きる社会、結び合いや関係性の中に、本当の幸せがあるのではないか。この考えを考察し、行動を起こす人々の事例を参考に皆さんと一緒に日本の未来について考えてみたいと思います。
基調講演:■内山節(哲学者、元立教大学大学院教授)
講演:●野老真理子(大里総合管理株式会社代表取締役)
●山口美知子(東近江市市民環境部森と水政策課課長補佐)
ファシリテーター:●吉澤保幸(一般社団法人場所文化フォーラム名誉理事、LLC場所文化機構副代表、ローカルサミット事務総長)
【お申込み】
▼WISE_FORUM_2016_お申込みフォームより
https://wisewise.com/contact/wise-forum-2016/
【お問合わせ】
株式会社ワイス・ワイス
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-12-7
メール:[email protected]
お電話:03-5467-7003(担当/広報 野村)
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