SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Max Maquito “Manila Report 2015 Spring”

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SGRAかわらばん563号(2015年4月9日)

【1】エッセイ:マキト「マニラ・レポート2015年春」

【2】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い
  「日本研究から見た日台交流120年」
  (2015年5月8日台北)

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【1】SGRAエッセイ#455

■ マックス・マキト「マニラ・レポート2015年春」

「格差と成長のバランス」をテーマに、毎年1〜2回、マニラで開催しているSGRAの
「日比共有型成長セミナー」は19回目を迎えた。

今回はフィリピンの3つの大学が会場を提供してくれたが、準備の都合や企画委員の
多い、フィリピン大学で再度開催することが決定した。次回は、このセミナーをさら
に広げるために、別の大学で開催する予定である。今回のセッションで座長を務めた
のは、昨年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議に参加した先生方で、引き続
きSGRAフィリピンの活動にご協力いただいている。

このセミナーは6つのセッションに分かれていたが、これは学際的な交流を促すため
に、同時進行のセッションを意図的に避けたことによものだった。

第1セッション「開会の趣旨と問題提起」
座長:F. マキト(SGRAフィリピン代表/テンプル大学)

第2セッション「持続可能農業について」
座長:J. トリビオ(フィリピン土地改革省)

第3セッション「農業と製造業に関して」
座長:J. ダナカイ(フィリピン アジア太平洋大学)

第4セッション「再生可能エネルギーに関して」
座長:G. サプアイ(フィリピン 廃棄物管理協会)

第5・6セッション「被災地における計画や設計の構想」
座長:S. ギッレス、M. トメルダン(フィリピン大学建築学部)

総合司会:A. ラセリス(フィリピン大学経営学部)

各座長がセミナーの前に各自のセッションの発表者と連絡をとりあい、当日はどの
セッションでも活発な質疑応答が行われた。

セミナーの翌日、マニラの北の山岳地方に行き、一泊して、次の日の午前中にフィリ
ピンの地方都市で初めての共有型成長セミナーを開催した。これは会場となった大学
の学長でもあるSGRAセミナー企画委員のジュン・アンダル先生のお招きによるもので
ある。参加者はマニラのセミナーと同じく約50人であった。この地方で活動してい
る、SGRAセミナー企画委員のジェーン・トリビオ先生のチームも参加し、マニラでは
報告されなかった興味深い側面を話してくださった。どちらかというと、マニラで
は、彼女の地域の素晴らしいところが中心であったが、現地のセミナーでは、この地
域が抱えている問題がより多く語られた。

これらのセミナーを通じて考えさせられたことが二つある。

一つは、アンダル先生の誘いもあって、次回の共有型成長セミナーは首都マニラでは
なく、地方で開催したほうが効果的かもしれない。フィリピンでSGRAの活動の可能性
を探るために、今西淳子SGRA代表と一緒に母校のアジア太平洋大学を訪ねてからもう
10年が過ぎた。マニラで数件の研究・調査を実施し、企業や大学や政府や非営利団体
ともネットワークを一所懸命作ってみた。これらの活動はある程度成功したと思う
が、フィリピンにおけるSGRAの活動をより効果的にするために、そろそろ方向転換が
必要ではなかと思う。

もうひとつ考えているのは、環境的に持続可能というのは、共有型成長の自然な延長
線にあるものではないかということである。共有型成長という概念は下記の二つの解
釈を促すと思う。まず、世代間の解釈であり、それは、ある世代が成長を実現し、か
つ次世代の成長を犠牲にせず、世代間で成長を共有するということである。たとえ
ば、今の世代が大地の恵みを大切に扱い、次世代まで残す、ということ。そして、も
うひとつの解釈は、ネットワーク的に成長を共有することである。中央集権型ではな
く、地方分権型のネットワークのほうが、気候変動や環境破壊などに強いということ
である。

ヴァチカンの教皇様は、今年の1月にアジアで唯一のカトリック国であるフィリピン
を訪問なさった。今回のふたつのセミナーでは、僕の発表の最後に、フィリピン訪問
中の教皇様のお言葉を引用させていただいた。

「私が伝えたいことの中心は貧しい人たち、前に進みたい貧しい人たち、2013年の台
風ハイヤンで被災した、そして今でも苦しんでいる貧しい人たちです。」(フランシ
ス教皇、2015年1月マニラにて)

引用してから、会場にこう問いかけた。「皆さんが、この教皇様のお言葉をどう理解
なさっているかはわかりませんが、これは私たちが目指している持続可能な共有型成
長へのご賛同ではないでしょうか」と。

セミナーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。
http://www.aisf.or.jp/information/Seminar19Report.pdf

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<マックス・マキト ☆ Max Maquito>
SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表。フィリピン大学機械
工学部学士、Center for Research and Communication(CRC:現アジア太平洋大学)
産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧
問。テンプル大学ジャパン講師。
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【2】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い

下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前
にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。

■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」

日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分

会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室

お申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612
Email:[email protected]

● フォーラムの趣旨

日清戦争の帰結としての「下関条約」によって台湾が日本に割譲されるまで、台湾と
日本の関係は薄かった。しかしそれ以降「最初の植民地」としての台湾と宗主国の日
本との関係は急に緊密になった。戦前50年間の植民地の歴史は台湾社会のみならず、
日本と台湾の文壇や文学創作方向、また日本語教育にも多大な影響を与えた。戦後に
なると、台湾は中華民国に復帰し新たな時代を経験してきた。中華民国政府は1972年
まで日本と近い友好国の関係を維持し、またその後国交はないものの、互いに親近感
の濃厚な「民間交流」関係が築かれ、今日に至っている。

そうした日台関係の「大還暦」を迎える2015年という大きな節目に、日台交流の諸相
に言及する際、さまざまな視点より語ることができる。戦前の経験はいかなる遺産と
していかに再認識すべきか、また戦後東アジアが新たな秩序を模索する中、台湾と日
本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されるプロセスにおいて如何なる特徴を
有しているのか。一方、日本文学研究や日本語學・日本語教育の研究は日台交流の状
況につれ、如何に変わってきたかなどの問題も見つめ直さねばならない。
さらに、120年の経験を踏まえ、次の120年の日台関係を展望するには如何なるキー
ワードを念頭にいれる必要があるのか。本フォーラムはこのような問題意識をもって
議論を展開し「日台関係120年」の実像に迫る。

フォーラムは「語学と文学」、「国際関係」そして「社会変容」という三つのセッ
ションから構成され、台湾、日本、中国などからの第一線で活躍されている学者を招
き、斬新な視点より鋭い議論を通して新たな「日台関係論」の構築に資したい。
今回も、過去の実績を踏まえ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会と国立台湾大
学が共催する。日中同時通訳付き。

■プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/TaiwanForum5_Program.pdf

【開会の辞】范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長)(09:00−09:05)

【基調講演】「日本と台湾の120年〜「二重構造」の特徴と変遷〜」(09:30−
10:30)
座 長:陳弱水(国立台灣大学文学院院長)
講演者:松田康博(東京大学東洋文化研究所教授)

【休  憩】(10:30−10:50)

【第一セッション】政治環境・国際関係の変容から見た日台関係(10:50−12:20)
座長:呉密察(国立台湾大学歴史学科兼任教授)

【報告1】「「植民母国」から「国際関係」へ〜台湾社会における「国際観」の変容
と日台関係120年〜」
李承機(国立成功大学台湾文学科副教授)
討論者:周婉窈(国立台湾大学歴史学科教授)

【報告2】「戦後初期台湾の日本研究/日本の台湾研究」川島真(東京大学総合文化
研究科教授)
討論者:何義麟(国立台北教育大学台湾文化研究所副教授)

【報告3】「中国の視点から見た台日関係120年」王鍵(中国社会科学院近代史研究
所研究員)
代読:洪?誠(国立台湾大学政治学研究科修士課程)
討論者:石之瑜(国立台湾大学政治学科教授)

【昼  食】(12:20−13:20)

【第二セッション】日本研究の回顧と展望〜言語と文学〜(13:20−14:50)

A .文学・文化

座長:范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長)
【報告1】「台湾における日本近代文学研究」黄翠娥(輔仁大学外国語学院副院長)

討論者:林水福(南台科技大学応用日本語学科教授)

【報告2】「台湾における日本古典文学研究の過去、現在と未来」
曹景惠(国立台湾大学日本語文学科副教授)
討論者:陳明姿(国立台湾大学日本語文学科教授)

【報告3】「台湾における日本研究〜思想、文化、歴史をめぐって〜」藍弘岳(国立
交通大学副教授)
討論者:辻本雅史(国立台湾大学日本語文学科教授)

B.言語・語学

座長:林立萍(台湾大学日本語文学科教授)
【報告1】「データから見た台湾における日本語学研究」頼錦雀(東?大学外国語学
院院長)
討論者:林慧君(国立台湾大学日本語文学科教授)

【報告2】「朝鮮資料の成長性〜諸本『隣語大方』から考える〜」申忠均(韓国全北
大学教授)
討論者:?瓊慧(輔仁大学日本語文学科学科長)          

【報告3】「台湾における日本語教育研究の現状と展望〜国際シンポジウムを中心に
〜」
葉淑華(高雄第一科技大学外国語学院院長)
討論者:林長河(銘傳大学応用日本語学科学科長)

【休  憩】(14:50−15:10)

【第三セッション】日台社会の変容と交流の諸相(15:10—16:40)
座長:張啓雄(中央研究院近代史研究所研究員)
【報告1】「日台企業間の信頼と協力の再生産」佐藤幸夫(アジア経済研究所新領域
研究センター長)
討論者:任耀庭(淡江大学アジア研究所所長)

【報告2】「根を下ろせし異郷、故郷となれり」鍾淑敏(中央研究院台湾史研究所副
研究員)
討論者:傅琪貽(国立政治大学教授)

【報告3】「反記憶政治論〜日台関係の再構築に関する歴史学主義の一考察〜」
呉叡人(中央研究院台湾史研究所副研究員)
討論者:張隆志(国立清華大学人文社会学部学士班副教授・主任)

【休  憩】(16:40−16:50)

【総合討論】 21世紀の日台関係を展望する(16:50—17:50)
座   長:徐興慶(国立台湾大学日本語文学科教授、日本研究センター長)
パネリスト:范淑文、辻本雅史、甘懐真、松田康博、川島真、呉叡人、林泉忠(敬称
略)  

【閉会の辞】 今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表)(17:50—
18:00)

○日台アジア未来フォーラムとは

第一回「国際日本学研究の最前線に向けて」は、台湾に見られる「哈日族」の現象に
注目しつつ、日本の流行文化を取り上げた。第二回は「東アジアにおける企業法制の
継受及びグローバル化の影響」をテーマとして、法学の問題について議論を深めた。
第三回「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」は、政治思想とナ
ショナリズムとの関係について、また第四回フォーラムでは、「東アジアにおけるト
ランスナショナルな文化の伝播・交流−思想、文学、言語−」をテーマとした。
このように、関口グローバル研究会(SGRA)は、日本、台湾さらにはアジアの未来に
向けて、アジア各国の相互受容や影響関係に焦点を当て、文化、文学、言語、法学、
政治思想などの議題について考えている。

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● SGRAカレンダー
○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北)
「日本研究から見た日台交流120年」
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php
○第4回SGRAワークショップin蓼科
(2015年7月3日〜5日)
○第49回SGRAフォーラム
「日本研究の新しいパラダイム」
(2015年7月18日東京)<ご予定ください>

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● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
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http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

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