SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “The Problem of Japans Declining Population”

*************************************************************
SGRAかわらばん554号(2015年2月4日)

【1】エッセイ:謝 志海「日本の人口減少問題」

【2】催事紹介:ランジャナ・ムコバディヤーヤ(2月10日京都)
   講演「仏教と平和主義:日本仏教の挑戦」

【3】SGRAフォーラムへのお誘い(2月7日 東京)[再送]
  「アジア経済のダイナミズム—物流を中心に」
   〜当日参加も歓迎です〜

【4】日比共有型成長セミナーへのお誘い(2月10日マニラ)[再送]
  「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
*************************************************************

【1】SGRAエッセイ#447

■ 謝 志海「日本の人口減少問題」

昨年末の日本経済新聞で、厚生労働省による2014年の人口動態統計の推計が発表され
ていた。それによると、死亡数は、戦後最多の126万9千人、出生数は100万1千人で出
生数が死亡数を下回る人口の自然減は26万8千人で過去最大となった。2011年以降こ
の自然減は毎年20万人を超えているという。出生数が増えないことには人口の自然減
は食い止められないということだ。今は元気な団塊の世代が減りはじめたら、日本は
どうなってしまうのだろう。政府として何か策は練っているのか?

政府の中位人口推計では、このままだと2020年代初めには、60万人減、40年代は年に
100万人と減少速度が加速、2050年を前に総人口が1億人を割る見通しだそうだ。私の
母国である中国の人口13億人を思うと、国際社会において政治、経済のいずれの面か
らも見ても大国である日本は人口が1億人を下回る国になるのは想像し難い。このま
ま人口が減って行くと、日本の国力と国際発信力にも大きな影響を及ぼすのだろう。
日本政府はどうにか人口1億人を維持したいようだが、実現性は不透明という気がす
る。内閣府に設置された、「選択する未来」委員会が2014年に中間報告として示した
「人口減少数の将来推計」によると、2030年に出生率2.07となれば、2060年以降も1
億人程度の人口を維持できるとの推計を示した。しかし2013年の出生率(合計特殊出
生率)は1.43人であり、1975年以来ずっと出生率2人を割っている。この現状を見る
と、内閣府の将来推計は現実味に欠ける。

減りゆく人口に嘆いてもしょうがないので、始まったばかりの2015年が人口減少問題
の解決に大きく1歩踏み出す年になると良いなあと思う。幸い日本は民間企業が社会
問題に向き合い、福祉を考慮しながら従業員を守っているので、改善の余地はあるは
ずだ。そして、日本が官民一体で立ち向かう人口減少問題は、今後追随するであろう
アジア全体の高齢化の手本になるはずだと期待している。例えば、ソフトバンクは社
員に子どもが産まれる度に出産祝い金なるものを支給していて、第二子、第三子と増
えるにつれて、祝い金の額が上がる。たくさん産めばたくさんもらえる仕組みだ。ま
た、大和ハウス工業では、子供1人の出生につき100万円を支給する制度(次世代育成
一時金)がある。このように、日本では政府の対策を待たずに、企業が知恵を絞り、
国の問題解決に積極的に関わる様はとても美しいし、大きな意味がある。

しかしながら、民間企業にばかり頼っていても、日本の人口減少は歯止めが利かない
であろう。何しろ毎年20万人以上もの自然減が起きている国だ。地方自治体も自分の
街から人が減るのを食い止め、かつ積極的に呼び込むことに早急に対処した方がい
い。地方創生に関しては、頑張っている自治体とそうでないところの差がとても大き
い。東京から遠い市町村の方が、移住者の呼び込みや、地元の活性化が盛んで、実は
東京へのアクセスが良い市町村から若者がどんどん減っていたりする。切れ目の無い
地方創生が実現すれば、日本全体が活気づいて、人口減少によりさびれる街も減り、
人口の底上げにもつながるのではないだろうか?客観的な意見だが、日本は面積の狭
い国ではあるが、砂漠のような住めない場所というのはそれほど無いのだから、人口
減少と地方創生を一緒に解決出来るポテンシャルがあると思う。事実、日本のどんな
に小さな町でも意外と外国人が住んでいたりするものなのだ。その辺りをヒントに住
みやすい日本で人口維持に向けて全国的に取組んだ方が良い。

———————————————————
<謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai>
共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ
ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期
課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交
流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年
4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい
る。
———————————————————

【2】イベント紹介

SGRA会員のランジャナ・ムコバディヤーヤさんから、講演会のお知らせをいただきま
したのでご紹介します。

第286回日文研フォーラム

■ R.ムコバディヤーヤ「仏教と平和主義:日本仏教の挑戦」

仏教は平和主義を唱える宗教であると考えられています。しかし、日本をはじめ、ア
ジア諸国における仏教の歴史を通観すれば、仏教徒の思想や行動が必ずしも平和主義
的であったとは言えません。仏教の平和思想とは、仏教者の時代認識及び社会観、そ
してそれにもとづく仏典の解釈をあらわすものです。本講演では日本仏教の事例を取
り上げ、仏教と平和の問題について考えてみたいと思います。

開催日:平成27年2月10日(火)
時 間:14:00〜16:00 (開場 13:40)
会 場:ハートピア京都大会議室(3階)
    http://heartpia-kyoto.jp/access/access.html
入場料:無料
定 員:先着 180名
申込み:不要

*詳細は、下記リンクをご覧ください
http://events.nichibun.ac.jp/ja/archives/cal/2015/02/10/index.html

【3】SGRAフォーラムへのお誘い(再送)〜当日参加も歓迎です〜

■「アジア経済のダイナミズム—物流を中心に」

下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。
参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ
い。

日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室
http://nyc.niye.go.jp/category/access/

申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612
Email:[email protected]

<プログラム>

【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」
榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授)

【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」
安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長)

【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワー
クの現状と課題」
ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授)

【休  憩】 

【自由討論】
進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究
者)、一般参加者

ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」
  李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授)

*詳細は、下記リンクをご覧ください。
ちらし
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf
プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf

【4】第19 回日比共有型成長セミナーへのお誘い(再送)

■「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
“The Urban-Rural Gap and Sustainable Shared Growth ”

下記の通り第19回日比共有型成長セミナーをマニラ市で開催します。
参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ
い。

日時:2015年2月10日(火)午前8時30分〜午後5時30分

会場: マニラ市フィリピン大学都市・地方計画研究科
    http://surp.ph/

言語:英語

申込み・問合せ:SGRAフィリピン Ms. Lenie M. Miro
        Email:[email protected]

*詳細は、下記リンクをご覧ください。
プログラム(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Program.pdf
インフォグラフィック(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Infographic.pdf
申込用紙(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19ApplicationForm.doc
ポスター(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Poster.pdf

**************************************************
● SGRAカレンダー
○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php
○第19回日比共有型成長セミナー
「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
(2015年2月10日マニラ)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/19.php
○第5回日台アジア未来フォーラム
「日本研究から見た日台交流120年」
(2015年5月8日台北)<ご予定ください>

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く
ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03−3943−7612
FAX:03−3943−1512
Email: [email protected]
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
**************************************************