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[SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai ”How Cool Japan should be”

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SGRAかわらばん540号(2014年10月22日)

【1】エッセイ:謝 志海「クールジャパンのあり方」

【2】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い
  「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京)

【3】コラム紹介(AIJフォーラム):ボルジギン・フスレ
  「モンゴルと関係を強化する中国・ロシア」
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【1】SGRAエッセイ#427

■ 謝 志海「クールジャパンのあり方」

2020年に東京でオリンピックが開催される事が決まり、日本では一層「クールジャパ
ン」という言葉を耳にする。ここで強調したいのは、それが日本の中だけの話題だと
いうこと。クールジャパンの動きは海外ではどれほど浸透しているのだろうか。日本
ではクールジャパンという言葉ばかりが先走っている気さえしてくる。「具体的には
何をしているの?」と思っている人もいるかもしれない。そしてそれが日本政府主導
ということまで知っている日本人は案外少ないかもしれない。

日本に住む日本人にとって生活に関わるものほぼ全て、衣食住に限らず公共交通機関
をはじめとした安全で便利な暮らしが出来ていることは、当たり前のことだ。しかし
外国人にとっては快適便利な暮らしこそがクールなのである。日本政府が旗振り役に
なって世界に発信しているクールジャパンはアニメ、アイドル、日本食に傾倒し過ぎ
ているように感じる。しかしそれらは、日本通の外国人達にとっては、新しいもので
も何でもない。インターネットの普及により、彼らは見たいもの、欲しいものを自国
にいながらいつでも手に入れられるからだ。日本政府が民間企業と手を組みクール
ジャパンを促進するのなら、すでに海外に進出している民間企業が新規開拓に行き詰
まっていたりする場合の手助けをする方がよいのではないだろうか。

海外では日本車が走り回り、ポッキー(お菓子)もマルちゃんのインスタントラーメン
も手に入る。これらはクールジャパンという言葉が使われる前から、海外に果敢に販
路を求めてきた日本企業の努力の賜物だと思う。しかし時は過ぎ、韓国や中国の家電
メーカーの台頭により、昨今日本の存在は弱くなったと言われている。そして、その
ようにマスコミが煽るから、ますます日本国民の元気がなくなるのではないか。これ
は実にもったいないことである。中国人にとっては、自動車や家電以外にも売り込め
る魅力的な物を沢山持っている日本の企業たちは、なんてパワフルなんだ!と感心せ
ずにはいられないのに。

日本の民間企業はまだまだ底知れぬパワーを持っているのだ。日本で生活する外国人
からすると、日本はまだまだクールジャパンを活かしきれていないように思う。日本
の製品が海外で認知されているのは、ただ単に製品を輸出するだけでなく、便利さと
いう付加価値と現地のニーズに合わせたものづくりをしているからではないだろう
か?現地化というのは、欧米の企業も入念なマーケティング等の調査をしているはず
だが、使いやすさ、例えばパッケージの開けやすさ一つをとっても日本の技術は世界
のトップと言っても過言ではないだろう。これはもう細部にも手を抜かない日本の文
化だと思う。例えば、「よその国はインスタントラーメンの粉末スープやソースの
パッケージの開けやすさに、そこまでこだわらないし、期待してもいない」というス
タンスではなく、自分たち(日本人)が快適と思えるレベルまで掘り下げて商品開発し
ている。そしてどの国の人も結局は便利なものに手が伸びるのだ。いつしかこの便利
さが世界のスタンダードになるかもしれない。

その他の例では、日本人のドラマ、映画離れがあるかもしれない。日本人が熱狂しな
ければ、世界でも認知度は低いだろう。現在ドラマと映画のようなエンターテイメン
トはアメリカと韓国に大きく水をあけられている。クールジャパンとして、今は、す
でにおなじみの日本のアニメを海外で放映しているようだが、先述の通り、少しでも
興味があれば今はインターネットを通して何でも手に入れられる時代だ、新鮮さがな
い。「クールジャパン=漫画、ドラマ、アイドル」だと思うなら、さらに新しいもの
を生み出せる環境や資金を整えてあげる方が良いのではないか。

では今後どういった文化を売り込めるのか?サービスやホスピタリティではないだろ
うか。サービスというと先述のパッケージの開けやすさなどは、日本のお家芸とも言
えるだろう。同じく赤ちゃんのオムツや介護用品も企業が使いやすさを日々研究して
いて、すでに海外にもどんどん進出している。ホスピタリティというと、世界の先頭
をきって走っている高齢化と、流行語「お・も・て・な・し」にヒントがあるかもし
れない。日本中に星の数ほどあるかと思われる老人介護施設、それぞれが独自のサー
ビスを行っている。日本には老いも若きも安全で便利に暮らせるシステムがある。海
外ではなかなか同等の快適さは得られないのだ。

最後に、クールジャパンと言って表に出ることばかり考えているだけではいけないと
思う。まずは日本の若者に向けてクールジャパンをして、自分たちが今の日本文化を
作り上げ、牽引していく立場だという意識を持ってもらうのも近道かもしれない。

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<謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai>
共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ
ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期
課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交
流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年
4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい
る。
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【2】第8回SGRAチャイナ・フォーラム「近代日本美術史と近代中国」ご案内

下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北
京で開催します。参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局( [email protected]
)宛て、お名前と連絡先をお知らせください。

SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北
京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から
は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日
本の社会や文化の研究者を対象として開催します。

主催: 渥美国際交流奨学財団関口グローバル研究会(SGRA)
   中国社会科学院文学研究所、清華東亜文化講座
協力: 中国社会科学院日本研究所
助成: 国際交流基金北京日本文化センター、鹿島美術財団

○フォーラムの趣旨:

「美術」とその一部とみなされる「工芸」は、用語の誕生から「制度」としての「美
術」「工芸」の成立まで日本の「近代」と深い関係にあり、そして近代中国にも深い
影響を与えた。「美術」と「工芸」は、漢字圏文化と西洋文化との関係・葛藤を表し
ていると同時に、日中両国のナショナリズム、国民国家の展開・葛藤とも深い関係に
ある。一方、「美術」と「工芸」の展開の仕方や意味づけにおける日中の違いも無視
できない。この違いはほかならず日中の「近代」の違いでもある。

本フォーラムは、美術史学と文学史・文化史の視点から日中両国の「近代」に焦点を
当て、日本からの研究者の講演を中心に、中国の研究者の討論も交え、1日目は中国
社会科学院文学研究所、2日目は清華大学で開催し、従来活発であったとはいえない
日中近代美術・文化史研究交流のさきがけとなることを目指します。日中同時通訳付
き。

○プログラム

1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室
講演1:佐藤道信「近代の超克—東アジア美術史は可能か」
講演2:木田拓也「工芸家が夢みたアジア:<東洋>と<日本>のはざまで」
1日目プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf

2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:清華大学甲所第3会議室
講演1:佐藤道信「脱亜入欧のハイブリッド:「日本画」「西洋画」、過去・現在」
講演2:木田拓也「近代日本における<工芸>ジャンルの成立:工芸家がめざしたも
の」
2日目プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf

【3】コラム紹介(AIJフォーラム)

SGRA会員で昭和女子大学准教授のフスレさんよりAIJフォーラムに掲載されたコラム
をお知らせいただきましたので、ご紹介します。

■ボルジギン・フスレ「モンゴルと関係を強化する中国・ロシア」

今年4月、米国のヘーゲル国防長官がモンゴルを訪問、7月にはモンゴルのエルベグド
ルジ大統領が日本を訪問した。モンゴルの隣国、中国の習近平国家主席は、国交65
周年に際して8月24日から25日までモンゴルを訪問、ロシアのプーチン大統領も9月3
日に訪問した。モンゴルと大国との間で活発な外交が繰り広げられ、モンゴルの地政
学上また資源戦略上の重要性が注目を集めている。

冷戦後、モンゴルの対外政策の基本方針は「2大隣国である中国、ロシアのどちらに
も偏らず、バランスのとれた関係を構築するとともに、『第3の隣国』との関係を強
化するという多元的な外交を進め、いかなる軍事同盟にも加盟しない」というもの
だ。「第3の隣国」とは日本や欧米のことで、この方針は国際的に高く評価されてい
る。

しかし経済においては、隣国である中国やロシアの影響からは抜け出せないのが現実
だ。1999年から2013年まで、中国は連続15年間、モンゴル最大の貿易相手国であり投
資国である。ロシアも、モンゴルでのエネルギー資源の開発などあらゆる分野の権益
を回復しつづけている。中国とロシアは、投資、貿易額の6割以上を占めている。さ
らに政治、軍事においても、この2大パワーからのインパクトを受けざるを得なく
なっている。

続きは下記リンクよりお読みいただけます。

日本語版(10月20日掲載)
http://www.asahi.com/shimbun/aan/column/20141020.html

英語版(10月8日掲載)
http://ajw.asahi.com/article/forum/politics_and_economy/east_asia/AJ20141008
0045
http://www.asahi.com/shimbun/aan/english/column/

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● SGRAカレンダー
【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中>
「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22日北京)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php
【2】第6回SGRAカフェ<ご予定ください>
「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京)
【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<ご予定ください>

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局より著者へ転送いたします。
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http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

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