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[SGRA_Kawaraban] Max Maquito “Manila Report 2014 Spring”
2014年3月26日 17:30:10
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SGRAかわらばん512号(2014年3月26日)
【1】エッセイ:マキト「マニラレポート2014春」
【2】レポート:「東アジアの市民社会と21世紀の課題」中国語版
【3】レポート:「日英戦後和解(1994-1998)」韓国語版
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【1】SGRAエッセイ#404
■マックス・マキト「マニラレポート2014年春」
第17回SGRAマニラ「持続可能共有型成長セミナー(Sustainable Shared Growth
Seminar)」は2014年2月11日にフィリピン大学工学部のMELCHOR Hallで開催された。
今回は「製造業と持続可能な共有型成長」というテーマで開催され、運営委員の努力
により約125人という多数の研究者、学生の参加を得ることができた。
セミナーはフィリピンと日本の国歌と国旗掲揚式に引き続き、今西淳子SGRA代表の代
理である渥美国際交流財団の角田英一理事と、在フィリピン日本大使館の天野哲郎公
使のスピーチによりスタートした。
セミナーのセッションは、下記の7つのブロックで構成され、午前9時半から午後5時
まで続いた。
第1ブロックは「革新(Innovation)」がテーマで、フィリピンでは「発明」が量的
にも(Tony Mateo先生)地理的にも(Arianne Dela Rosa Damayas博士)進んでいな
い現状と、その障害となっている要因が報告された。積極的な議論が展開され、結果
として「発明者と投資家との定期的な話し合いの場」の設置が提案された。
「ITと製造業」をテーマとした第2ブロックは、フィリピンのIT産業における早期非
産業化(early de-industrialization)と製品の罠(product trap)が指摘された
(マキト)が、それに対してインドのIT産業がこのような課題を乗り越え、産業化を
達成したプロセスが報告(徳丸紀夫先生)された。この報告では、エンジニアの長期
的雇用制度や人材管理が重要な要因である、との示唆に富む研究結果が取り上げられ
た。
「水」がテーマの第3ブロックでは、NGOが行ってきた、草の根活動による水処理プロ
ジェクトが紹介された(Apolonio Jimenez工学士)。
「環境・廃棄物処理」をテーマとする第4ブロックでは、製造業の包装(Packaging、
Encasement)から生ずる「廃棄物」問題が取り上げられ、「消費」と「環境」に関す
る議論が展開され、再利用や再生を促す提言が行われた(Ernie Labuntog工学士)。
午前中の一連のセッションの後、将来の大統領候補としても呼び声が高いGrace Poe
上院議員の基調講演が行われた。講演では、貧困者にも成長が共有されているとはい
えないものの、成長と発展の著しいフィリピンの経済に対する楽観的な展望が示さ
れ、また、みずから実施している貧しい子供たちのための政策を情熱的に語ってくだ
さった。講演後には、会場のみなさんとの集合写真の撮影に喜んで応じていただくと
共に、この比日共有型成長セミナーの発展のためのサポートは惜しまない、という
メッセージもいただいた。ご多忙の中、貴重な時間を割いてセミナーに参加していた
だいたGrace Poe上院議員に心からの感謝をささげたい。
午後の部の第5ブロックでは「成長の持続可能性」をテーマとして、フィリピンの成
長を妨げる2つの要因(課題)を取り上げた。輸出関係の地場製造業の未成熟
(Kristine Joy Cruz Martin先生)と(自宅)建設バブルである(Gregorio Mabbagu
先生)。
ミクロとマクロ発展をテーマとする第6ブロックでは、広い視野の発展で捉える持論
のPoBME論の説明(平川均先生)があり、現代の世界構造の変化に重要な要因である
と強調された。よりミクロ的に捉えた次の報告では、フィリピンの海外出稼ぎ者の送
金は地方の開発のためにより効率的に使うべきだとの主張(Janice Zamora-Morales
先生)が展開された。
「福島からの持続可能な製造業への教訓」をテーマとする第7ブロックでは、SGRAの
福島スタディツアーがきっかけとなった、フィリピンの原発議論における安全や経済
効率などに対する疑問が取り上げられた(マキト)。最後に、「ふくしま再生の会」
が取り組んでいる7つの挑戦が紹介され(田尾陽一先生)、会場の参加者との対話が
行われた。
翌日、セミナーでの議論を延長する形で、参加者13人による(建設中止になってい
る)バタアン原子力発電所への見学ツアーを行った。マニラから約100Km、美しいバ
タアンの海岸にある、バタアン原子力発電所は1970年代後半に着工したが、政変や相
次ぐ反対運動によって、一度も稼働することなく、現在では見学者を受け入れて、原
発の必要性や安全性を伝える、一種の原発記念館(博物館)的な施設となっている。
(※ここであえて「博物館」という言葉を使っているが、フィリピンではこの原発の
稼働開始を真剣に勧めているグループがある)
案内役のエンジニアに丁寧に応対していただきながら、約2時間、興味深く原発内の
各施設を見学して回った。日本やアメリカは無論のこと、世界のどこにも存在しな
い、唯一の「リアルな原発博物館」で、原子力発電の原理やシステムを学ぶという、
非常に貴重な経験をさせていただいた。
今回のマニラセミナーでは、共有型成長が目指すサステイナブルな社会/経済の構築
にとって原子力発電がいかなる意味を持つのか、を真剣に議論する必要があると実感
させられた。それと共にフィリピンの産業や社会にとって「革新(Innovation)」が
重要なカギを握るというコンセンサスが得られていないことに関して、SGRAフィリピ
ンの活動によって、議論が少しでも整理できれば幸いである。
SGRAが、これらの重要課題に関して果たすべき役割は多い。そして、それを絶えず模
索して行くことが、SGRAのミッションであろう。
最後に、開会の挨拶で「SGRAマニラセミナーの成功と比日の知的交流の発展を祈る」
というメッセージをいただいた在フィリピン日本大使館次席公使の天野哲郎氏、大雪
に見舞われたにもかかわらず、日本からセミナーに参加していただいた平川均先生、
徳丸宜穂先生、Penghuy Ngov先生、遠藤美純先生、田尾陽一さん、角田英一さん、並
びにご協力いただいたANA(全日本空輸)に感謝の意を表したい。
下記のリンクをご参照ください。
1. プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra-in-english/seminar17/Seminar17Program.pdf
2. 発表資料
http://www.aisf.or.jp/sgra-in-english/2013/11/seminar_17_materials.html
3. セミナーとバタアン原子力発電所への見学ツアーの写真
http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/
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<マックス・マキト ☆ Max Maquito>
SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表、フィリピン大学機械
工学部学士、Center for Research and Communication(CRC:現アジア太平洋大学)
産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧
問。テンプル大学ジャパン講師。
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【2】レポート「東アジアの市民社会と21世紀の課題」中国語版
SGRAレポート第52号「東アジアの市民社会と21世紀の課題」の中国語版をウェブ発行
しましたのでお知らせします。
<本文>
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport52c.pdf
<表紙>
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport52c-cover.pdf
尚、日本語版も下記リンクよりダインロードしていただけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/research/ca01/52.php
【3】レポート「日英戦後和解(1994-1998)」韓国語版
SGRAレポート第66号「日英戦後和解(1994-1998)」の韓国語版をウェブ発行しまし
たのでお知らせします。
<本文>
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport66k.pdf
<表紙>
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport66kcover.pdf
尚、日本語版、英語版、中国語版も、下記リンクよりダウンロードしていただけま
す。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/report/6619941998.php
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● SGRAカレンダー
【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください>
「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」
【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)<ご予定ください>
「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php
【3】第2回アジア未来会議
「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島)
http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/
★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★
●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く
ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
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けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/
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