SGRAメールマガジン バックナンバー

Oksana KAKIN “Beautiful Nature in Japan to Soothe a Tired Mind”

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SGRAかわらばん965号(2023年4月13日)

【1】エッセイ:カキン・オクサナ「疲れている心を癒す日本の美しい自然
~省エネでも行ける混雑ゼロのお出かけスポット*東京編*~」

【2】第21回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(4月22日、ハイブリッド)
「新たな脅威・新たな安全保障―これからの政策への挑戦―」(再送)

【3】寄贈書紹介:『中国古典庭園 園冶図解』
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【1】SGRAエッセイ#737

◆カキン・オクサナ「疲れている心を癒す日本の美しい自然~省エネでも行ける混雑ゼロのお出かけスポット*東京編*~」

博士論文を書いていると、精神的に疲れることが多い。論文を書いていなくても、生きるだけで大変な世の中なので、ストレスや疲れが溜まりやすい。疲れている心を癒すために様々な方法があるが、私にとって効果があるのは、自然が美しく、人混みがなく、落ち着いているところに出かけることである。自然と体の力が抜けて深呼吸ができるようになり、心と体がリラックスするのだ。満たされた気分になり「よしもうちょっと頑張ろう!」という気持ちになる。去年は週1でそういうところへ出かけたからこそ、論文を完成することができたのではないかと思う。経験を生かし、今回は心を癒すお出かけスポットを紹介したい。

最初は、留学生の間では意外と知られていない国立科学博物館所属の自然教育園だ。東京メトロの白金台駅から歩いてすぐのところにあるこの公園は、東京の他の公園とはちょっと違う。小石川後楽園や新宿御苑のような庭園ではなく、まるで本物の森だ。散策するための歩きやすい道や橋などがあるが、様々な植物が森のように自然と生えている。高い木がずっしり並んで周りの街の姿を隠しているので、都内にいることを忘れる。普段は片道3時間の遠い山などに行かないとこの感覚を味わえないだろう。日常を忘れてゆっくり散歩を楽しむのにうってつけだ。

どの季節も美しいが、紅葉の時期は特にだ。紅葉の名所は庭園やお寺などが多いが、庭園の紅葉の木は大きくなりすぎないように枝切りされている。しかし、自然教育園では枝切りされていないため、紅葉の木も非常に高い。真っ赤に染まった高い木が並ぶ絶景を都内で見ることができるのはここだけではないかと思う。まだ元気が残っていたら、隣の東京都庭園美術館に寄ってみてほしい。近代の建築や歴史が好きな人は美術館を楽しめるし、庭園も非常に美しい。

もう一つのお勧めは横浜にある三溪園。横浜は、みなとみらいや山下公園などが有名だが、人気スポットは人だらけで余計に疲れる。しかし、三溪園は山下公園からバスで10分ほど離れた静かなところにあって、混んでいない。実業家の原三溪によって1906年に公開されたこの庭園は、非常に広くて歩きがいがあり、梅の咲く時期は特に奇麗だ。東京湾をのぞむ上から眺める港の景色も良い。だが、一番の目玉は、京都や鎌倉などから移築された建造物だ。歴史的に貴重なものが多く、日本の建築や歴史を知りたい人にはぴったりだ。また、三渓園の周りは豪邸が並んでおり、ぶらぶらしながら現代建築を見るのも面白い。

最後は、桜の咲く季節にぜひ一度行ってほしいところだ。花見の名所はどこも非常に混んでいて、桜を見に行く気にならない人もいるだろう。だが、今回紹介するところは、目黒川の桜に美しさで全く負けていないのに全然混んでいない石神井川沿いの桜だ。石神井川は長いが、お薦めはJR、東京メトロ王子駅のすぐそばにある音無親水公園から東武東上線・中板橋駅までのコースだ。石神井川の旧流路を整備して造られた風変わりな公園で、それだけでも見る価値があるが、そのまま川沿いを歩くと5キロぐらいずっと桜が続く。目黒川のように屋台などはないが、その代わり人も少なく落ち着いて桜を楽しむことができる。好きな音楽でも聴きながら桜並木を眺めて歩くのは最高に癒される。

ストレスが絶えない毎日だが、たまには気分転換に美しい景色を見に行って心を癒そう。

<カキン・オクサナ Oksana_KAKIN>
2021年度渥美奨学生。国立研究大学経済高等学院(HSE_University)アジア・アフリカ研究所日本学科講師(サンクトペテルブルグ)。お茶の水女子大学大学院博士課程修了(社会科学博士)。研究対象は現在の日本社会と文化、ポップカルチャーとファン。9年間の日本留学を経てふるさとへ帰り留学経験と専門知識を生かし、日本語を始め日本文化論、日本社会の社会学、東アジアの文化経済学など教えている。

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【2】第21回日韓アジア未来フォーラム「新たな脅威・新たな安全保障」へのお誘い(再送)

下記の通り第21回日韓アジア未来フォーラムをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。

テーマ:「新たな脅威(エマージングリスク)・新たな安全保障(エマージングセキュリティ)―これからの政策への挑戦―」
日 時:2023年4月22日(土)14:00~17:00
方 法:渥美財団ホールおよびZoomウェビナー
言 語:日本語・韓国語(同時通訳)
参加費:無料
問合せ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)
参加登録:下記よりお申し込みください
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_JD7WveroRJKymQHj9K-CIA

主催:第21回日韓アジア未来フォーラム実行委員会
共催:公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会/財団法人未来人力研究院(韓国)

◇趣旨
冷戦後の国際関係において非軍事的要素の重要性を背景にグローバルな経済対立、貧富格差の拡大、そして気候変動、先端技術の侵害、サイバー攻撃、パンデミックなどが新しい安全保障の範疇に含まれるようになってきた。伝統的な安全保障問題が地理的に近接した国家間で発生する事案抑止を前提とするのに対して、新たな安全保障上のリスクは突発的に発生し、急速に拡大し、さらにグローバルネットワークを通じて国境を超える。多岐にわたり複雑に絡み合う新しい安全保障のパラダイムを的確に捉えるためには、より精緻で包括的な分析やアプローチが必要なのではないだろうか。
フォーラムでは、韓国における「エマージング・セキュリティー(新たな安全保障)」研究と日本における「経済安全保障」研究を事例として取り上げ、今日の安全保障論と政策開発の新たな争点と課題について考察する。

◇プログラム

【第1部】基調講演(14:00~15:05)

◆講演1 金湘培(ソウル大学政治外交学部教授)
「エマージング・セキュリティー、新たな安全保障パラダイムの浮上」

◆講演2 鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)
「日本における経済安全保障をめぐる議論」

【第2部】コメント(15:15~15:55)
・李元徳(国民大学校社会科学大学教授)
・西野純也(慶應義塾大学法学部政治学科教授・オンライン)
・林恩廷(公州大学国際学部副教授)
・金崇培(国立釜慶大学人文社会科学部助教授)

【第3部】自由討論/質疑応答(15:55~16:45)
モデレータ 金雄熙(韓国仁荷大学教授)

【総括・閉会挨拶】(16:45~17:00)
平川均(名古屋大学名誉教授/渥美国際交流財団理事)

※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。
プロジェクト概要
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2023/03/JKAFF21ProgramJ.pdf
ポスター
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2023/03/JKAFF21JF_LITE.jpg
韓国語版ウェブサイト

새로운 위협(이머징 리스크)·새로운 안전보장(이머징 시큐리티)-향후 정책에 대한 도전-

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【3】寄贈書紹介

SGRA会員の李暉さんより監訳書をご寄贈いただきましたので紹介します。

◆『中国古典庭園―園冶図解』
[著]呉肇釗(中国造園家)[監修]高橋知奈津(奈良文化財研究所主任研究員)
[監訳]李暉(奈良文化財研究所アソシエイトフェロー)[翻訳]岩谷季久子(翻訳家)

【特色1】造園の第一人者による『園冶』を図解
明代の造園家・計成が著した造園論『園冶』。中国庭園史上の重要な古典文献として今なお圧倒的な地位を誇り、近年はその立地環境を重視する造園思想に注目が集まる『園冶』の内容を、中国造園の第一人者で、計成が造園した「影園」等、歴史的庭園の復元設計の経験が豊富な呉肇釗氏が『園冶』の章立てに即して丁寧に解説する。

【特色2】これまでの園冶解説書と一線を画すアプローチ
明の文人特有の筆致で詩文のように綴られた『園冶』。本書は、現存する庭園の実景を描いたスケッチや平面図を付すことで可視化を試み、さらに「園説」「借景」では山水画を用いて一句一句読み解く。解説のために収載した挿図は1000点超。

【特色3】中国古典庭園の教科書に最適
『園冶』原書も後半の建築・庭園の装飾の解説では夥しい数の挿図がある。本書はこの挿図を現代の図面として示すとともに、前半の造園論を実在する庭園の挙例によって可視化することで『園冶』の分かりにくさを解消。理論書と実践ガイドを兼ね備えた中国古典庭園の教科書という地位が鮮明に。

【特色4】中国古代庭園常用スケッチ219点を収載
自らの庭園の絵を描くことで「詩情画意」の真髄が体得できると考えた著者は、中国古典庭園を学ぶ者には国の内外を問わず大いに伝統庭園のスケッチを描いてもらいたいとの願いから、世界各地に造園した自作の中国古典庭園のスケッチを練習画の参考に供している。

発行:科学出版社東京/発売:ゆまに書房
定価28,600円(本体26,000円)
ISBN 978-4-8433-6428-4 C1070
A4判/上製・カバー装・オールカラー/416頁
刊行年月 2023年01月

詳細は下記リンクをご覧ください。
https://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843364284

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