SGRAメールマガジン バックナンバー
Kim Boram “Environment and Technology”
2020年2月27日 16:48:00
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SGRAかわらばん808号(2020年2月27日)
【1】エッセイ:金ボラム「環境と科学技術」
【2】「国史対話」メルマガを配信:
牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」
【3】寄贈本紹介:橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗』
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【1】SGRAエッセイ#621
◆金ボラム「環境と科学技術」
「科学は地球を救い、また地球を壊していく。」これは筆者が修士課程から博士課程まで5年間に渡って再生可能エネルギーの一種である太陽光発電について研究してきた間にずっと頭の中に浮かんだ思いである。この文言を通して、自分が感じた「環境と科学」の関係性について述べてみたい。
近年、石油や石炭などの資源の枯渇や大気汚染、そして地球温暖化などの環境問題が深刻化している。それに伴い、1997年の京都議定書、そして2015年のパリ協定を採択するなど世界の各国は地球環境を守るための政策を次々と出している。その政策の中で、エネルギーに関する内容だけに焦点を合わせてみると、主に地球温暖化ガス排出の低減に目標を定めている。もちろん再生可能エネルギーの使用を進めている国の目的は地球環境の問題だけではなく、エネルギーセキュリティを守るためでもあるが、ここではその話は触れないことにする。
科学技術分野において、二酸化炭素排出の低減のために一番力を入れているのが、クリーンなエネルギー源の開発である。その種類は筆者が取り組んだ太陽光発電以外にも、風力発電、地熱発電、バイオマス発電などの発電そのものについての技術もあれば、電気モーターで駆動するエンジンを入れた自動車の開発など今まで石油を使用していた製品の電気化に関する技術もある。また、火力発電などから大量に発生した二酸化炭素を捕まえて、炭素系の燃料に還元するなどの戦略も提案され、それについての研究も行われている。このようなことを見ると、科学は未来の地球を救うことが出来る学問であると考えられる。しかしながら、筆者が常に疑問として抱えていたのが、今の環境問題を起こしたのも科学技術の発展であることである。
科学は人の生活を潤沢にするために多様なものを発明してきた。現在、人の生活になくてはならない携帯電話やパソコンなどの電気製品及び自動車や飛行機などの乗り物は勿論、衣類の機能性素材などもすべて科学が発展したことでできた産物である。また、増えつつある人口に合わせた大量生産もやはり科学技術の発展があったからこそ可能になった。ここで述べたことだけでも、科学の発展により人間の生活は潤沢になり、それに比例しエネルギーや地球埋蔵資源(金属など)の使用量は増え続けていることが分かる。18世紀後半に起きた産業革命以降、発展し続けた世界の経済は、今後も開発途上国の大幅な発展などによって、成長し続けると見積もられている。しかしそれゆえに、資源の枯渇や環境問題は今後も深刻化していくと推測されている。
科学の発展により、ナノ単位までの未知の世界は段々明らかになっていき、つい最近ではブラックホールの写真まで撮ることまで成功している。これからも科学はまだはっきりしていない地球・宇宙の現象を明確にし、人の生活を豊かにしてくれると考えられる。ただ、筆者はその発展した科学知識が人だけではなく地球環境のために用いられてほしいと願っている。人の生活のため地球を壊したのも科学であるが、それを克服する鍵も科学にあると思う。実際、現在は再生可能エネルギーの開発や車用の電気モーター、すぐに溶けるプラスチックの開発など、その努力が始まっている。工学を専門にした筆者も今後、地球のために自分の知識が使われるように研究に挑みたい。
<金ボラム Kim_Boram>
日韓共同理工系学部留学奨学生(国費)として来日。千葉大学工学部電子機械工学科卒。東京大学の工学系研究科にて電気系工学専攻修士号、博士号を取得。研究分野は高効率の量子井戸型太陽電池。現在、SAMSUNG電子の総合技術院にて専門研究員としてパワーデバイスを研究中。
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【2】「国史対話」メールマガジン第12号を配信しました。
◆牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」
http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2020MakiharaEssay.pdf
SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。
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【3】寄贈本紹介
SGRA会員でポーランド州立大学訪問教授の橋本明子さんよりご著書の中国語版をご寄贈いただきましたのでご紹介します。
◆橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗:日本的文化創傷、記憶与認同』
原著:橋本明子
翻訳:李鵬程
出版社:上海三聯書店
出版年月:2019年8月
ISBN 978-7-5426-6668-0
詳細は下記リンクよりご覧ください。
https://www.duokan.com/book/186686
尚、原著は英文ですが、日本語版について下記よりご覧いただけます。
https://www.msz.co.jp/book/detail/08621.html
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★☆★お知らせ
◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始!
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